2015年11月29日
北原みのり 「毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記」
今更感漂う感じ。でもしょうがない。興味はあったけど、この本には100円しか出す気がなかったから。
という事で古本屋で108円で購入。
ご多聞に漏れず下世話な興味からこの事件は気になっていたのだが、それを題材にした本の中でも著者がけっこうアレな感じ、という事前情報はあったのでそれを念頭において読んだのだが、やはり苦笑を禁じえない感じ。
「リングイネを知らない男に、佳苗は罪を問われ、佳苗のサンダルなど、恐らくどうでもいい男たちに佳苗は守られ、裁かれようとしているのだ。」
とか、同じような事をフェミ系の人が書いてネタにされてたな、とか思い出した。「おひとりさま」の人だったっけ?乾燥ポルチーニと〜みたいな。
きっかけが、ツイッターで「傍聴希望者の抽選に外れた」と書いたら傍聴記の依頼がきて、初めて傍聴記を書く事になったという経緯なので、いかにも裁判を知らない人が書いたというような記述にもうんざりする。
裁判を「劇場」などと表現し、そこで超然としている佳苗!みたいな感じなのだが、裁判が演劇じみていることなんてもう嫌ってほど書かれてきた事だし、裁判員裁判がはじまったばかりなんだからそりゃ過剰なところもあるだろう。というか裁判モノのハリウッド映画とか腐るほどあるだろうし、裁判劇も山ほど書かれてきてるだろうが。
下世話な興味で読んでいるので、その下世話さによって得られた情報(昼休憩の時に髪巻いてる!とかハンカチ変わってる!とか)は期待通りだったんだけど、中途半端な自意識が出ていて、感受性が豊か風な文章に辟易する。
「あなたに今聞きたいのは、『あなたが語るあなた』の話ではなく、『あなたが語る男たち』の話だ」
うん、ならそういう意図でインタビューでも申し込みなよ。たぶん死刑が確定したら喋るんじゃん?
「僕なら騙されない」みたいに言う男性目線に苦言を呈したかと思えば、数行あとに「私なら〜」と似たような考えが出てくるところには実に驚いたね。
結局のところ、木嶋佳苗というキャラクターに対する下世話な興味以外の部分だと、「週刊朝日」編集部による事件概要と、上野千鶴子との会話で上野から出たという「援交世代から思想が生まれると思っていた。生んだのは木嶋佳苗だったのね」という一言だけで事足りるな、という印象だった。
朝日新聞出版、って書かれているからまともそうに見えるだけで、「週刊朝日」と「婦人公論」という週刊誌に書かれたものだ。
たしかに100日裁判、というのは一般人の裁判員にとってはそうとうな負担なのだが、3ヶ月ちょっとの間に計36回の裁判の傍聴で本を書くって、ライターとしては普通の仕事に思えるしね。
最後に著者のプロフィールを
コラムニストで、女性のアダルトグッズショップの代表。著書に「フェミの嫌われ方」「ブスの開き直り」「はちみつバイブレーション」。最新刊に「アンアンのセックスできれい
になれた?」がある。
うーん、予想通り。田嶋陽子タイプのあとの、宮台真司に乗っかったようなタイプね。
つかそれこそ「援交世代から思想が生まれると思っていた。生んだのは木嶋佳苗だったのね」だわな。
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