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「ソークト・イン・ブリーチ ~カート・コバーン 死の疑惑~」





『NWA&EAZY-E キングオブコンプトン』と一緒に借りて、どっちかというとこっちの方が期待していなかったんだけど、これがどうして、面白かった。

要は陰謀論、というか、「カートは自殺じゃない!コートニーが殺したんだ!」というお話。
元々当時から、本気で信じてるのか辛らつなジョークとしてなのかはともかくそういう話はあって、NIRVANAにはまってた中高時代に無数に読んだカート・コバーン本の中にもその前提の本はあった。
詳しくは覚えてないんだけど、それは疎遠になったコートニーの父までインタビューを受けて「娘ならやりかねない」みたいなコメントをしている、要は「あのビッチならやりかねねぇよな」という世間の下世話な陰口を具体化したような本で、地元の売れないミュージシャンが「コートニーに金でカート殺害を持ちかけられた」とか言っている。
それはさすがに「おもしろいけど、さすがに信用出来ないメンツしか出てこねーじゃん」という感じで、真に受ける事は無かった。

しかし、今回の映画がね、よく出来てるんですよ。出来すぎているくらい。
『NWA&EAZY-E キングオブコンプトン』と大違い、インタビューの映像や再現映像がよく出来すぎててちょっとデヴィッド・フィンチャーっぽかったりする。凄いよ。インタビューをわざわざ屋根裏部屋みたいなとこでやってて、窓越しに見える外が豪雨とか、やりすぎスレスレ。
で、やっぱりショッキングなのはね、実際の録音テープがあるって事。コートニーにカートの捜索を頼まれた私立探偵が、あまりのコートニーの惨状(ヤク中真っ盛り)に「危ないからやりとりを全部録音しとこう」という事にしていたのだ。
再現映像にのっけてその録音テープ流すんだけど、リアルでねぇ。
しかも、1つ1つ証拠を細かく分析していて、ちゃんと専門家からのコメントも取っている。冒頭で私立探偵自身が「陰謀論という人もいるが・・・」みたいに言う事からも、キチンとわかって作っているのだ。
遺書は実は偽造されたもので、その証拠として、カートの筆跡の癖を練習したと見られる紙も存在する。そこで練習していたアルファベットが、遺書の偽造されたと見られる部分にピッタリはまる所とかね、ちょっと鳥肌立ちました。

面白いし、映像のクオリティは高いし、安易にスルー出来ないくらいのモノである事は確かです。昔読んだ本の時は素直に笑えたけど、こっちは口が重くなる。
現実は面白くないし、偶然を繋げてもっともらしくこじつけて、面白く創作する事はいくらでも出来る。
「陰謀論は確かに面白い→しかし、それは創作だから面白いんだ」
という理屈。

にしても・・・という感想が残る。

なんにせよ、カリスマの死、というのはあらゆる方面に、とても長い時間影響を与える。
この私立探偵も、自身が言う通り「コートニーから電話が来た時から私の人生は変わった。永遠に・・・」なのだ。

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