2021年10月11日
「山口冨士夫/皆殺しのバラード The documentary film of FUJIO YAMAGUCHI in his late years.」
山口冨士夫のライブドキュメンタリー映画待望のDVD化。
公開時に観逃してしまって、そこから7年だよ...ちょこちょこHPやTwitterをチェックして、どこかでまた劇場公開してないかと思ってたら、DVDですよ。あえて劇場公開のみの『サウダーヂ』みたいなパターンかと思ってたんで嬉しかったです。
なんの気無しにフジオちゃんのCDなんか買おうかななんてアマゾン開いたら出てきて、しかも先々月出てるやんってなってファン仲間の友達に知らせたら速攻買ってきてくれたんで仕事終わりに観賞会をしました。二人とも発売を知らなかったんだけど、話題にならなかったのかな?
しかもDVD発売記念で新宿で一週間だけだけど劇場でやってるやん。
さて、映画ですが「in his late years.」という事で、最晩年の山口冨士夫のライブ映像と少しのMCやバックステージの映像で構成されています。
正直、観るのコワイ部分もあったんですよ。無駄に派手な衣装で、メンバーや客に気を使われながら弾けなくなったギターを弾く老いた姿なんかは見たくないな、と。ロックバンドのドキュメンタリーは観ると悲しくてやりきれなくなる事も多いからね...。
でも杞憂でした。マジでヤラれました。超カッコよかった。最晩年のライブ映像なのにめちゃくちゃ良かった。
確かにソロで手が動いてない所もあった。歌い終わりに倒れそうになって最後のジャン!の後、膝に手をついて立ってるのもやっとに見えた所もあった。
でも、カッコいい。
よく考えれば、村八分やラリーズのギタリストとしてのフジオちゃんが伝説的に語られてるから印象的なだけで、ダイナマイツのデビュー曲もリードボーカルだったし、ソロでもTEARDROPSでも歌ってるからギターボーカルの方が長いよねっていう。最高のフロントマンですよ、彼。一人でギター一本で出てきてこんな魅せられる人なかなかいないよ。
ライブ映像も素晴らしかったが他にも感銘を受けたのが、この映画で観れるライブ中のMCや客とのやり取りから、彼は天上人のアーティストなんかではなく、ずっとロックで、俗でいる事に、ファンを楽しませる事にこだわり続けた人だとよくわかった事でした。
照れ屋で、でも冗談で人を笑わせたり楽しませる事が好きな人。
「俺なんてアップで撮ってねーで客のみんな撮ってやってくれよ」とライブ中にステージにカメラマンを上げて客席撮らせてたのはグッときました。
出自からして大きな虚無を抱え、戦後にハーフの孤児院上がりとして生きてきた彼がシリアスになろうとすればいくらでも出来ただろうし、伝説のアーティストでございとも生きれただろう。しかし、あくまで彼は舞台に上がり、目の前を人間を楽しませようとする。
勿論ミュージシャンだし、偏屈でめんどくさい人間だったのは間違いないだろうが、予告編で観られた緊迫した雰囲気というのは実はほとんど無い。『何笑ってんだよ』と凄むのも本気だが、その後雰囲気を戻す為に皆を笑わせるのも山口冨士夫なのだ。
本人も劇中で「ブルースが大好き」と語るが、60を超えた最晩年さえ露骨にブルースブルースした曲や演奏は皆無で、最後までロッカーであったのが本当にカッコよかった。
「チャー坊は可愛かったけどよ、俺も可愛いんだ。可愛い同士だと殺し合いになるんだよ」なんて冗談めかして言ってたが、うん、フジオちゃんも可愛いわ。
あぁ、一度でもライブを観たかったなぁ。
そんな後悔を無くすために、これからはもっとライブを観に行きたいなぁ。早くコロナが治まりますように。
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