2016年11月12日
Brian “Head” Welch「Flush」
Brian Head Welchのソロデビュー曲。
発表された当初は「今のKORNよりKORNらしいじゃねーか」と言われていた曲。
私が異常にこの曲に興味を持ってしまうのは「痛々しさ」と「イタさ」、「切実さ」と「無防備さ」が共存している所だと思う。
冒頭「これから24時間で、15006人のティーンが初めてドラッグを使用する」という文章が表示され、元ドラッグユーザーの告白が少し挟まり、指に「JESUS」「LOVE」とタトゥーを彫った指が映されて曲がはじまる。
「嘔吐 俺の顔を見てみろよ やっちまった 一日中寝てたみたいに思える
目をつぶると 目の前がグルグル回ってる 最低な気分だ
流せ! 全部吐いちまう トイレの中なんてクソだ
こんなのは成長じゃない ただダメになっていくだけだ
人生は退屈だ またくだらない繰り返し 飲んで吐いて眠るだけ
俺には何かあるはずだ 決して無ではない 腐っていく自分を許せない」
1番の歌詞はこんな感じ。
何があったのか?
当時ヘッドは享楽的なライフスタイルに、自滅していく自分に嫌気が差してKORNを脱退し、クリスチャンになったのだ。
曲に関していえばクオリティはちょっと頑張ったデモくらいのものだ。
自分が主にやるギターとボーカルだけがキチンとしていて、ベースも、おそらく打ち込みのドラムもほとんど聞き取れないし、ただ必要最低限の部品としてしか存在していない。曲のスタイルも完全に「1人KORN」でしかない。
本当にとてもパーソナルなものに聴こえる。
そういう意味で音楽的にはKORNとは比べ物にならないのだが、個人としての苦しみをここまで無防備に曝すという意味で、そしてそこまで切実に、とにかく外に出さなければいけない、という情念においてこれは突出している。
その切実さは後にクリスチャンロックバンドとして組んだLove&Deathには無いものだ。
歌詞もものすごく解りやすい、というか稚拙とすら言っていいだろう。メッセージだけが完全に先行していて詩情なんてものは無い。そこまで英語が得意でもない私が初めて聴いた時にほぼ聴き取れて意味も解ったくらいのシンプルな歌詞だ。
自分はドラッグを止める為に信仰に救いを求め、そして成功した!皆、そうするべきだ!という、そのまんま。上からの説教でも、悟りでもない、やっとドラッグを止める事が出来て、しかしそこにまだ自信が持てていないような、現在進行形な感じ。
曲の最後に繰り返しCome on!Get up!Let's change!と叫ぶのは自身にも向けているのだろう。
そんな「痛々しさ」と「イタさ」、「切実さ」と「無防備さ」の共存に、どうしようもなく惹かれる。
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