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平山夢明 「東京伝説 溺れる街の怖い話」





お馴染み、平山夢明による実話都市怪談集。
なのだが、このシリーズはより都市伝説よりっぽい感じで、ストレートに怖いというより都市伝説とか、ガキの頃にあった不思議な話、会った変な人みたいな部分もある。
ストーカーや変質者による、不可解な(犯人の中にだけしか理屈の無い)犯罪、みたいなオチは他のシリーズでもありがちなので、まぁいつもの感じ。
でもその中でもやっぱ不思議に寄ってる感じかなぁ。
単純にこの巻がイマイチだったのかもしれないけど、サラッと読めてしまった。慣れてきて、ネタが被ってるのとかもあるからなんだろうけど。

やはり印象深いのは最後の、おそらく平山さん自身の経験であろう話。
それはやはり平山さんの小説のように、ちょっと変だけどそれ込みの日常の中で更に事が起こり、不思議と最後は切ないような気持ちになる話で、やっぱこの人はこういう経験を多くしてきて、なるべくしてこうなったんだなぁ、とか思ったりしました。

なんだろ、幽霊とかの怪談話よりかはこっちの方が好きなんだけど、そこまでではない巻だったかな。

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デイヴ・アスプリー(著)栗原百代(翻訳) 「シリコンバレー式 自分を変える最強の食事」

少し前に本屋に平積みになってて、気になってた本。
その後「バターコーヒーを飲むだけで痩せる!」みたいな記事をよく見かけたけど、そのネタ元の本ですね。

『東大生の〜』『ハーバードの〜』とか、本にそういうタイトルをつけて箔をつけるパターンが流行った時期の本ですね。
『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』。

まぁ概ね間違ってはいないと思うんですけど、原題が『ブレットプルーフ・ダイエット(防弾ダイエット、本の中では「完全無欠ダイエット」となっている)』なので、まぁダイエット本です。
勿論、健康的に痩せ、結果的に自分のパフォーマンスが上がり、人生がよくなる的な話だからいいんだけど。
シリコンバレーはIT企業が多いところですね。

なので、優秀さとお金の力を使い、オタクの執念深さで掘り下げまくり会社まで作り、ダイエット、そしてライフハックに繋げた本ですね。
ビジネス本のダイエット版って感じ。

毎回思うんですけど、こういう本読んでも、ド文系の上に3流大学中退の私にはデータが本当かどうか分からないし、「こういう成分がこういう働きを〜」みたいな事を書かれても分からないんですよね。だから、文章が上手かったら騙されちゃうだろうな、とは思うんですけど、まぁその前提はありで読んでます。
実際に会社を作って成功させているんだからある程度信用はできるかな...。

実際読んでみると、「バターコーヒー」というのが日本人的にちょっと引っ掛かるだけで、あとはわりと普通の事を書いてます。
たくさんの野菜、質のいい肉や魚、炭水化物を少し摂る生活は、そりゃ痩せるし健康になるわ、としか言いようが無い。

特徴的な言葉は「カビ毒」とか「炎症/抗炎症成分」とかかな。それで分けて、食べるものを選びましょうと。

あとは最大の売りである「バターコーヒー」ですね。
チベットのバター茶とか北海道のバター飴とかがあるし、寒いところに行く探検家がバター齧ってたりするんでそんなに変には感じなかったんだけど、ちょっと抵抗があるはある。
要は、空腹の時間を長くする「プチ断食」をする為に、朝はバターコーヒーのみ、昼は遅めにするんですな。
で、バターコーヒーはカロリーもあるし、満足感があるから空腹感は感じないよ、と。
良質な無塩バターやMCTオイル(ココナッツオイルの上位版みたいなやつ)を入れてるので腸内細菌がいい感じになるよ、と。
そういう感じ。

ここ2週間くらい実際に飲んでみてるんですけど、確かにおいしいし空腹感はあまり感じずに過ごせるのでいいと思います。お通じもいい感じです。


...でもまぁ、あとの2食はたくさんの野菜、質のいい肉や魚、炭水化物を少しだからねぇ...金持ちしか無理だよね。

私は朝はバターコーヒーだけなのはいいんだけど、昼とかコンビニで惣菜パン買うか立ち食いそばだから...。仕事で疲れたらお弁当買って家に帰ってきちゃうし。
そうなると中々ね。余裕がある時はちょっと気にして自炊するから、多少は痩せた気がするけど。

なので...ある程度収入のあるオフィスワーカー向けかな?著者がそうだもんね。
あとは、まぁ腸内細菌とかは人種とか住む地域とか食習慣によって異なるから、日本人的にはどうなのか自分で試してみつつだろうね。



まぁでもバターコーヒー飲みながらパンとか食ったら余計太るよ、当たり前だけど。

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漫☆画太郎 『珍遊記 -太郎とゆかいな仲間たち-』





何気なく、床屋で『地獄甲子園』を手にとって、改めて読んだら凄く面白かったので、とりあえず帰りにこれを購入。

これまでも好きだったんだけど、思えば単行本を買ったのははじめてかも。
小学校低学年だった頃に『まんゆうき 〜ばばあとあわれなげぼくたち〜』をジャンプで読んでいたので、そりゃファンにもなるわけですが、考えてみるとその後はそんなに読んでないかも...。

インパクトのある作風だから記憶にバッチリ残ってるし、何故か(?)定期的にアニメ化や映画化がなされるので、そんなに途切れてる感じはしないんだけど、漫画はあんまり読んでないかも。あ、『ハデー・ヘンドリックス物語』は買ったな。
何気に『地獄甲子園』と『ババアゾーン』は映画も観てるな...うーん。
あと、清野とおるの『東京都北区赤羽以外の話』に出てきてビックリしたり、そんな感じ。

で、初の連載となるこの作品なんですけど、なんか改めて読むと凄くちゃんと描いてるなぁーって思いますね。
普通に絵が上手いんじゃないの?っていう。
いや、ナンセンスギャグだし、あの画風なんだけど、1話目のドラゴンボールパロディっぽい街破壊のところとか普通に上手いもん。
実はかわいい女の子とか描ける人なのは知ってるけど、にしてもちゃんと描いてるなぁー、って。その後を考えると凄く思っちゃうね。

まぁそんな事とは関係なく、やっぱ凄く面白いっすよね。
ホント単純に、太郎がじじいを殴ってる絵とかで噴き出しちゃったもん、俺。

最近、仕事のストレスのせいかギャグ漫画ばっか読んでるなぁ...。

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西原理恵子 「毎日かあさん13 かしまし婆母娘編」





毎日かあさんの13巻目。
次の14巻で完結したんだよな、たしか。

西原理恵子の大ファンな私だが、さすがに子育て漫画はそんなに熱心に読んでいない。
『毎日かあさん4 出戻り編』は鴨ちゃんの事があって、何度も読み返したし、号泣したんだけど、まぁやっぱ基本子育て漫画はそこまでね。私は結婚もしてないんで。

なので、その後も何冊かは読んだ気がするが、間がだいぶ開いていたのでけっこう驚いた。

息子が留学先から帰国、って留学してたんだ?とか、娘めちゃめちゃ反抗期になってんじゃんとか。

まぁなんすかね、息子の変わらなさっぷりと、娘の変わりっぷりが対称的で、「へー」みたいな。いや、私には分からない世界なんで。

あとは「まっすぐな道」ってタイトルの話でエリート法曹一族の息子がグレて中卒バンドマンになるも才能が無く、ためしに実家に帰って勉強したらあっさり国立大学法学部に合格、ってのが中々身につまされるというか...わかるわー、ってなったり。

まぁ『毎日かあさん4 出戻り編』が特殊なだけで、基本は新聞連載の子育て漫画で、しかももう子供が大学に行くまでに大きくなっちゃったわけで。その最後の時期だから、どうしても初期みたいな「男の子って馬鹿ねー女の子は小さくても女ねー」みたいなほのぼの感もないし、子供って言ってイイかすら分からない時期だからね。

うん、まぁ普段のエッセイ漫画に近いテイストになってきてるから私的には読みやすくなってるけど、そら次あたりで終わらせるわな、という感じ。
悪い意味じゃなくね。もう育て終わったって言う事で。

西原作品はほぼ外れ無しだと思うファンなので、普通におもしろかったっす。

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「デジタル・スーパースター列伝 闇の世界の超人たち 再編集版」




初めてアマゾンビデオってのを使ったんだけど、コレ、便利すぎじゃね?マジヤバいんだけど。

なんだろ、何で急にこんなバカな感じの文章書いてたんだろ?まぁいいや。

基本的にレンタル屋や古本屋で見つけられなかったらDVDを買って観てたんだけど、そういえばアマゾンでレンタルってのもあるらしいよな、と。1週間以内に見ればイイだけだからお手軽なんだけど、私いまだに音楽をダウンロードとか定額制の音楽聴き放題サービスとか疎くてですね、今までやってなかったんです。

ただ、就職して時間も限られてきて、古本屋巡りもなかなか出来なくなりまして、反対にお金の余裕が多少は出来たんで、サクッとこう、やってみようかと。

で、使ってみたんですけどね、超便利だわ。ハマりそう。タブレット買おう、って思いました。

はい、で、『デジタル・スーパースター列伝 闇の世界の超人たち』前に感想を書いた本の映像版ですね。
えーと、まぁ面白行っちゃ面白いんですけど、要は本を書いた時についでに記録用に撮ってたハンディカムの映像って感じです。
そんな感じだろうとは思ってたんですがアマゾンビデオでは、唯一の楽しみだった「伝説のペド・田中さん(仮名)」の部分が削られた『再編集版』だったっていう。いや、理由はわかるけど。
なので、ほとんどの時間がクーロン黒沢がミスターPBXをインタビューしながら秋葉原を歩いたりするだけなので、中々に辛かったです。「ダウンロード修道士Aさん」の部分は短いと思ったけど、基本ずっと落としてDVD焼いてる人だからこれ以上掘ってもねぇ......とも思うし。
だからやっぱ「伝説のペド・田中さん(仮名)」の部分は必要だよな。まぁ、最近るろ剣の作者も捕まったし、そこら辺がイロイロあるからカットしたんだろうけどね。

ちょっとガッカリだったな。
まぁ、アマゾンビデオで配信ってなると厳しいんだろう。



本の感想はこっち↓
https://fanblogs.jp/gateofdoom/archive/566/0

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クーロン黒沢「怪しいアジアの歩き方 -怒号と波乱の人間不信紀行-」




クーロン黒沢もだいぶ読んだな。今検索したら、感想を書いているものだけでも5冊あった。これが6冊目。

この本は、著者お得意のアジア旅行記モノの1冊目。
「はじめに」の最後で1997年と書いてあるのでもう20年も前の話だ。
最初の本なので、それぞれの国ごとに章が分けられていて、最初のページで「危険度」「国名」「首都」「換金レート」「安ホテルの相場」なんかが載っていて、良心的、というか20年前だとこういう情報を元に東南アジアに行ってたんだよな。

今回ブックオフで108円で買ったんだけどさ、研磨されすぎて物凄く本がちっちゃくなってんの。カバーが余っちゃってさ。
それだけ、グルグル色んな人のところをまわってたんだろうな、とか思ったり。インターネット以前はこういう本を読んでドキドキしてたよなぁ。
片や「留学する人へ」とか「私の留学体験記」みたいな本とバックパッカー的な本と、両極端なんだけどどっちもドキドキしてね。

長期で行きゃーよかったかな?というか今からでも行けるんだけど......。

とか自分語りしてもしょうがないので本の感想ですが、「普通」。
まぁ1冊目なんでね、ネタは溜まってるだろうけど文章が追いついていなかったり、そもそも20年前だし、まぁこういうのっていまや結構テンプレになっちゃってるからね。
「警官に賄賂」「バイタクのボッタクリ」「アレな日本人バックパッカー」「麻薬」「売春」「海賊版」まぁそんな感じですよ。
当時は衝撃だったんだろうけどね。

そろそろiPad買って「SIXSAMANA」読むかな。


追記
とか言ってたのか、6年前は。
今やマレーシア在住3年目です。この本の頃みたいなことは起きないどころかマレーシアは安全で、良くも悪くも表面上は発展してしまっていて、寂しいような感じさえあります。
いい事なんだけどね、まぁ日本人にとってはイライラさせられる事はまだまだ多々あるけどw

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Tony Parker (原著)沢木 耕太郎 (翻訳) 「殺人者たちの午後」

仕事の休憩時間にこの本を読んでいたら、上司に
「おいおい、爆弾の作り方とか読んでんじゃないよねぇ〜?w」
と、非常にベタなネクラのイジり方をされたんですが、
「いや、殺人者のインタビュー集っす」
と答えたら妙な空気になりました。
そんな就職2ヶ月目。

はい、まぁそんな事はどうでもいいんですが、この本ですね。
元々、サブカルっ子あるあるとして、猟奇殺人やシリアルキラーには興味があって、それに関する本もよく読んでいたので、その感じでこの本も手に取ったのだけど、これはまたちょっと違いました。
原題が『LIFE AFTER LIFE』。「LIFE」は生活や人生といった意味の他に、「終身刑」という意味もあり、それを知って原題を考えると本の内容がなんとなく分かってきます。
いわゆるシリアルキラー語録とか猟奇殺人者獄中インタビューとかそういうモノではなく、終身刑を受け、仮釈放になり社会復帰をしている、又はそれに向かっているような人たちのインタビュー集というか、それを題材としたドキュメンタリー作家の作品という感じ。

三流大学法学部中退の私が法律云々書くのは恥ずかしいのですが、「終身刑」というのは、言葉通り死ぬまでという事でもないんです。
というか、この本の舞台のアメリカだと仮釈放ありの相対的終身刑と、仮釈放無しの絶対的終身刑(Life sentence possibility of parole)があって、この本でインタビューされている人の多くが、刑務所の外で暮らしています。
とはいえ長く刑務所にいたせいでいろんな問題を抱え、まともに職にも就けずに生活保護を受けながらアパートで1人で暮らす人もいます。

難しいな。なんか傑作ノンフィクションなのは間違いなくて、題材がこれだからね。なんか肩に力入っちゃうんだよな...。
うん、おもしろかったっす。本として、買った時の予想とは違ったんだけど、凄くいい本だった。

最近亡くなったチャールズ・マンソンや、古くは切り裂きジャックなんかをダークヒーローとして扱う感じのものや、下世話でショッキングな面を強調したモノが多いなか、淡々としたトーンで殺人者との会話を描く。
そして、「もしかしてあなたの隣にも」どころか、本当に仮釈放されてて普通に暮らしているわけだ。

当たり前だけど「死刑」と「終身刑」では大きな隔たりがあります。
そして、「終身刑」というのは仮釈放される可能性があります。法律上は10年経過ごとに仮釈放を認めることが出来ますが、実際には日本では20年以上後の事がほとんどです。
そして、この本を読んで行くと非常にその事を考えてしまうのだけど、悪い事が重なると、この判決が出てしまうかもしれません。

...っていうのもおかしいんだよな...この本に出てくる人たちは確実に1人は殺めてしまっていて、「何人から〜刑じゃないと」ってのもナンセンスな議論なわけで。


「運悪く」「出来心で」なんて常套句が出てきそうでグッと堪えているんだけど、この本を読んでも、シリアルキラー本を読んだ時のようなダークな高揚感や、普段の生活の鬱憤が晴れるような反社会的な爽快感も無い。
隣人どころか、自分にだっていつか起こるかもしれない。カッとなって、当たり所が悪く、手持ちが無かったのでそこにあった財布を持ってタクシーに乗った。
全部が悪くとられたら終身刑もあり得る。
そして、そこからは『LIFE AFTER LIFE』なのだ。

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村上龍 「歌うクジラ」

しかし、またここにきて名作書くかね。と空恐ろしくなりました。

村上龍の、今の所は最新長編小説になるのかな?けっこう前に出たけど。
最初、電子出版で出してて、そのために電子出版の会社も作って、みたいな話だったのを読んで、なんかあんまり興味をそそられないというか、ファイル共有ソフト全盛期からの事を考えるとあまり上手くはいかない気がしたので、読むのが遅れた。
電子出版という自分的にイマイチな出し方の上、タイトルがファンタジックだったので、ちょっと様子見をしていたのだ。

この前文庫が出ているのを見てやっと買ったんだけど、名作。ビビッたね。
私が活字中毒になった原因は間違いなく村上龍で、ずっと好きでほぼ全作読んでいるし、これからも読む気なのだけど、正直、最初に『限りなく透明に近いブルー』や『コインロッカー・ベイビーズ』を読んだ時のような衝撃というのは望むべくも無いわけですよ。
村上龍が65歳、私ももう31歳です。
このベテラン作家から、いいオッサンになって本を読む時間も減った一読者が受けるものなんてたかが知れてるだろうと。
エッセイを読んで、相変わらずだなぁ、あぁ最近はこういう事もしてるんだとか。芥川賞の選評を読んで、そりゃそうだよなぁ、賞をあげたいような作品なんか毎年は出てこないわな、とか。そういう感じで、まったり好きな作家の文章を読む、って感じが続くと思っていた。

だから、最初は重いっちゃ重かったんだよね。単純に長いし、元々苦手な近未来SFみたいなやつだしさ。
なんだけど、読んでいくとメチャメチャ引きこまれていって、前作と同じく、最近の経済とかに関わりだしてからの色も濃く、それでいて今までの色もあせておらず、寄りくっきりとしたようにも感じる。『愛と幻想のファシズム』や『コインロッカーベイビーズ』の近未来版のような感じというとあまりにも単純化してるかもしれないけど。
ただ、近未来小説でありながら、よしもとばななも巻末の解説で書いていたが、これは「近未来小説であり、すでに今の現実でもある」といえると思うんですよね。

村上龍は文芸春秋の芥川賞の選評で、「小説は『言いたいことを言う』ための表現手段ではない。言いたいことがある人は、駅前の広場で拡声器で叫べばいいと思う。だが、『伝えたい事』はある」みたいな事を書いていたんだけど、自分がちゃんとこういう小説を出すんだもんなぁ...何の文句も言えないわ。いや、元から文句無いけど。

しかし、これは凄いな。ここまでとは思わなかった。
過去作のブラッシュアップ版とも思えるし、結末はストレートに希望や祈りを感じさせるものなので少し今までの村上龍の作品とは違う感じも受けたが、これは現在必要なものだと思うわ。

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西原理恵子 「ダーリンは71歳」





『ダーリンは70歳』の続編、というか連載してるからそのまま年1くらいで単行本を出していくのだろう。

さて、もうなんの言いようも無いような位置に行ってしまった西原さんなので、普通に面白い。もうリアルタイムで追う事はしなくなったものの、やはり。

金持ち彼氏との日常漫画はもうキツくなってきてるが、高須克弥院長のエピソードや、四百年続く医者の家系である高須院長の母親や祖母のエピソードはやはり面白い。戦場カメラマンと医者という、人の生き死にに関わる職業をパートナーとしているので、「ネタ」と簡単にはいえない凄みのある話が、西原の漫画で描かれるとやはり興味深い。
金持ちネタとそれに反する自身の貧乏性ネタはもうお腹いっぱいだが、そういうエピソードが本のそこかしこに混ざってくると、やっぱ凄いな、と思って、読み終わった後には「悪くなかった。面白かった」って感じに落ち着く。

私事ですが最近就職しまして。警備員なんすけど、某超有名ブランドの店舗内なんですよ。
だからまぁ、冗談みたいな額の服や鞄が陳列された店内で、毎日お金持ちを見てると、イロイロ思う事もありまして。
なんかねぇ、お金があると余裕も出来るし、青春ごっこがもう一回出来るんだよねぇ。
それはあくまで「ごっこ」でしかなくて、もっと若い頃は鼻で笑ってたと思うし、今も抵抗が無いわけではないんだけど、じゃあ自分がこの先も貧乏なまま歳をとって...って考えるとね、やっぱお金は必要だよな、と。
最近の西原の漫画読んでさ、たぶんもっと若い頃だったら反発して「西原はつまんなくなった」って切り捨てたと思うのよ。「高須の金で無理矢理ネタ作ってるだけだし、もう違う世界過ぎて関係ないわ」と。

初めて買ってあげたユニクロのパジャマを、ボロボロになった今でも着てくれてる(定宿のホテルニューオータニでクリーニング出してるからクリーニング代30万以上かかってます)。

ってのを、自分の中でどう処理するかって話。


そこら辺で、評価変わるんだろうなぁ。私は普通に「羨ましい」と「イイ話」っていう2本立てで考えてるから読んでるし、やっぱファンだから、2人の幸せそうな生活を垣間見れればそれでいいんだけど。

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ちゃんみな (CHANMINA)「CHOCOLATE」/AYA a.k.a. PANDA 「甘えちゃってSorry」





歳とって丸くなったせいか、今までなら聴かなかった曲も全然聴くようになった。
そんな感じで、昔なら重視しなかったであろう2曲。
まずちゃんみな。BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権で有名になったラッパーで、Reiコピーライトマーク︎hiとの1戦はいまだに名勝負として観られ続けている。
興味は無くはなかったが、単純にもう私おっさんだからさ、高校生RAP選手権出身者への抵抗は無くはなかったし、その後youtubeで公開された楽曲も、「あぁ、またキリコの『女ラッパーは必ず歌い出す』か...」と思わなくも無かった。
でも、最新のこの曲は凄くいい。テーマや曲の内容的には乗れないハズのおっさんの私もお気に入りだ。PVも使える人脈総動員って感じで面白く、この曲にかける意気込みを感じる。
トライリンガルというバックグラウンド(この曲だと英語と日本語だけど)も感じられる、それでいて普通に音楽が、特にブラックミュージックが好きな感じがストレートに出ているとてもいい曲でした。
聴く側がストレートに感じてさらっと聴けるようにまとめられてる、ってのが凄いんだよな。



もう1曲はAYA a.k.a. PANDA。
なんかのREMIXだかビートジャックだかで知ってファンになり、「COMA-CHIの次は完全にこの娘やろ!」と思ったのだが、その後、S7ICKCHICKsでの活動がはじまったりしたもののイマイチ「コレ!」って1曲が出ないままな感じ。
で、久々にソロでの新曲が公開されてたので聴いたら、これがまたイイ。



これまたラブソングで、クラブでの夜遊び的な内容なので私には遠い題材なわけですが、イイんだよねぇ。
まぁ元々ファンなんだけど、ソロで最後まで楽しんで聴けた曲は初めてじゃないかな?今までもこのワンバースはイイ!ってのはあったんだけどね。



こうやってまとめられてると凄くイイんだけど、曲単位でってなると中々ね...難しいところなんだろうけど。

今回の曲は、題材も使ってる言葉も特別ではないんだけど、ちゃんと聴かせるっていう貫禄みたいなものまで出てきてるなぁ、凄い。
私の中でこの人、一番「フィメールラッパー」って感じするんだよな。
リリックやフロウとかのテクニックが素晴らしいのは勿論、ちゃんといわゆるヒップホップ界のジャーゴンも使えて、かつ女性目線での切り口が詩にハッキリと出てるってあたりが。
今回の曲でも、「赤く割ったビール」「どれを飲んでもあんま変わんないな」とか、いわゆる「へネシーがどうの」とか「クラブでドンペリ〜」とかと逆の、重要なのは相手の男性であって、この場や酒はさほど重要ではないっていう女性の心理がこうやってサラッと表現できるのが凄いと思うんだよな。
今までで一番関心したのがNEW MONEY【Female REMIX】の
「広げるMarket カリカリのバゲットの上に乗っけて食べちゃうターゲット」
ってので、それは、男ラッパーでは出てこない、たぶん男ラッパーでは様にならないラインだからなんだよね。「カリカリのバゲット」出てこないし言わないよ、うん。最後の吐息交じりのフロウもグッとくるしね。

2曲共に言えるのは、フィーメールラッパーである必然性というか、歌とラップの境界であるとか、RUMIやCOMA-CHIが模索していた部分を自然にやっちゃう世代なんだなぁ、という事。
詩の内容にせよ、フロウやメロディにせよ、次世代感あるなぁと思っちゃうね。
男勝りでもフェミニンでもビッチでもサブカルでもない、そういうキャラクターを必要としない普通な感じ。
高ぶりゃ歌うだろうし、細かく伝えたきゃラップする、激高すれば叫ぶだろう。

最新の流行は勿論チェックしているだろうがいわゆるトラップとか最先端のフロウとかそういうのではなく、冬や年末に発売されがちな、ベタなくらいの曲調かも知れないんだけど、聴いていて心地よくて、最近よく聴いてる。

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