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本谷有希子 「嵐のピクニック」

昔何気なく借りた『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の映画が良すぎて、凄くビックリしたのがキッカケで本谷有希子を知った。
その後は演劇には疎い事もあって、『hon-nin』でちょっと読んだりするくらいだったけど、小説が目に入ってなんとなく買った。
面白い。
というか今wikiを見て驚いてるんだけど、メッチャ受賞してんのね。芥川賞獲ってるやん。なんでスルーしてたんだろ?まぁ3〜4年前にノンフィクション以外の本読めなかった時期あったからな...。

はい、という事で著者初の短編集にして大江健三郎賞受賞作。
やっぱり面白いんだよなぁ。
「他の女性作家とは違う!」
とか書くとアホみたいだし、言うほど女性作家の小説を読んでもいないのだけど、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』でも分かる、客観性というか、いわゆる「女性が書く女性」みたいな揶揄視線でもなく、それでいて男性には書けないような洞察があるっていう、ちょっと不思議な感じなんだよな。
作品と自分の繋げ方が特殊な感じ。

この短編集では作者と直接的に近しいような主人公ではないものも多く、動物が主人公のものもあるので、その部分はあまり感じなかったものの、やはり「アウトサイド」のようなやさしいピアノ教師と反抗的な生徒(両者とも女性)や「哀しみのウェイトトレーニ−」「亡霊病」のように主人公が女性ものが印象に残った。

長編小説のようにどっしりしたものは無いが、短編小説としてスポッとキチンとオチをつけ、温かい気持ちになったり、予想を裏切られたり、とても面白かった。
いい読書でした、って感じ。

うわー、なんか凄いなこの人。天才なんだな。

なんかの記事で読んだ同級生の
「『(好きな人がファンなので)電気グルーヴのCD全部貸して』って言われて、それどうなのよ?全部って!好きな人に近づきたいなら買えよ!って思いません?」
みたいな証言に笑った記憶があるんだけど、うわー天才じゃんこの人。
しかも今ググッたら私が一番尊敬する小説家の村上龍の息子さんと結婚してんじゃん。
うわー、全てを手に入れてんジャーン。

...もっとこの人の作品読もう。

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