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鈴木おさむ 「芸人交換日記」





2、3年前まで、あんなに好きだった青春物の映画や小説をすっかり読まなくなった。
完全に年齢的なものだろう、「年取った」と言うと怒られるくらいではあるのだが、太りやすくなったし風邪が長引くという実感がある。同世代のフリーターは金と就職の話しかしなくなった。
昔から年上と絡むことが多かったので当然なのだが、自分が16歳の時に会った20歳は今、30歳だ。不思議。
自分と組む人間を探す時に、若くて根拠の無い自信の持ち主を避け、まず実績があることが第一の条件にしてしまった時に、終わったんだな・・・、と少し考えこんでしまった。「ゼロから作る」ということが終わったのに、いまだ自分がゼロ地点、もしくはマイナス地点にいるのだ。

鈴木おさむ著、ということで本来なら手に取らないどころか鼻で笑うタイプの本だったのだが、この本の舞台化の際のキャストがオードリー若林で、ラジオでも度々話に出てきていて面白そうだったので読んでみた。古本屋で105円になるのを待ったが。

「リアル」と言い切っていいのかは私は芸人の世界はよく知らないのでわからないが、「リアリティ」は凄くあった。本当にこうなんだろう、と思ったし、夢を追う、そして諦めるという部分は誰もが共感するところだろう。
私は先ほど書いたように、青春映画のような希望に満ち満ちた状態は過ぎてしまったので、諦める、辞める方にどうしても興味が行ってしまう。
「辞める」とははっきり言わなくても、「活動ペースを無理のない程度に・・・」などと言ってしまえば、実家に帰って1年に1回だけ集まってライブとか、1人で作ってネットで公開して再生回数は気にしないとか、もっといえば、大泉逸郎の「孫」パターンだと言ってしまえば、定年まで勤め上げても何も言われない。
「わかってるんです 僕はいずれラップを辞めるためにラップをするのです」と歌った楽団ひとりや、活動休止を決めたメテオのブログが、今年はとてもはっきりと自分に刺さった感触があった。
もう6年も前、たまに忘れてしまうくらい前だが、よくある話として、彼女に言われて私は1回辞めようと思って機材を全部売った事がある。最終的にこれもまたよくある「私と音楽と〜」みたいな話の末、別れて、恥ずかしげも無く戻ったのだが。

「辞めるタイミング」「辞める理由」「辞めるきっかけ」、それを失ってしまっただけ、気がつかないフリをしているだけなのかも、とはたまには思う。後悔は無いが、バイトと同じように無感情になったまま流してしまっているのなら、当然今すぐ辞めた方がいい。

久々にそんな事を考えてしまうくらいよく出来ている本だ。著者が人気番組の放送作家だということが頭にあったから、ともいえるが、正直出来すぎてるきらいがあって、個人的には最上級に褒めたりはしないが、いい本だったと思う。
題名の通り、交換日記という設定なので、売れない漫才コンビが交互に書いていく、という形式なのだが、平易な言葉で口語体で書かれているので、台本のようで空白も多く、サラッと読める。
これまで多くの芸人と仕事をしてきただけあって凄くリアリティがあるが、さっき書いたように逆に上手くできすぎていて、鈴木おさむの頭の中でのシミュレーションを覗いてしまったような、番組を作る際にも実在の芸人を頭に描いてシミュレーションするんだろうな、と想像してしまって、完成形ではないような気が少ししてしまったし、こっちの反応を見透かした上で書いているように感じたので、感動まではいかなかったのは確かにある。

そういう意味でも、まさにはまり役とも思えるオードリー若林が演じている舞台を見るのが1番いいのかも。ちょっとレンタル屋行って探してみよう。

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