2018年12月06日
カワノアユミ 「底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる」
twitter見てて、丸山ゴンザレスとの繋がりで知った著者の初単行本。それで分かる通り、裏アジアモノというか、サブカル目線のアジア放浪記みたいなやつの一種。
珍しいのは女性であることと、行った先でキャバ嬢として働いていた事。
この手の本は元々大好きだし、若い女性のニューカマーということでキャッチーなタイトルもあって読んでみました。
とりあえずやはりタイトルに目を惹かれたこともあって、期待して読み始めたんだけど、
「そんな私の9か月におよぶアジア(タイ、香港、シンガポール、カンボジア、ベトナム)のキャバクラ潜入&夜遊び体験をまとめたのが本書である。 p.3 『はじめに』より」
っていきなり「はじめに」に書いてあって、なんかこう...短くね?って思っちゃったんだよね。
5ヶ国で9か月?それでナンバー1?っていう。
いやまぁ期間はそこまで重要ではないといえばそうなんだけど、にしても...と思いつつ読み進めると、やはり予想通り、勤務期間は最長で3か月半、最短で1週間。一度はナンバー1にはなったらしいがキャストが数名しかいないお店の上に、1か月ですぐにその座を明け渡している。
う〜ん、ちょっとタイトル負けしている感じが...というかさっき引用した「はじめに」の続きの
「実際は『ダメ人間の人生と、カオスな仲間たち』程度に読んでくれると嬉しいです。 p.3 『はじめに』より」
が本当のところ。
こういう本に文章力は期待してもしょうがないし、日本でもずっとキャバ嬢で小金ができちゃアジアで遊び、その延長でちょっと働いてみた、という感じの著者にはやはりタイトル以上のインパクトのあるものは 出てこない。
男のライターだともっと一攫千金を考えて怪しいビジネスとか、ドラッグや銃、死体などのサブカル/アングラカルチャーや、キャパに憧れて...みたいな使命感や夢を持った、暑苦しいのが多いので、そういう意味では新鮮といえば新鮮なくらい、軽い感じではあるんだけど。逆に、男にありがちな借金や犯罪で金を何とかするでもなく、一応ちゃんと働いているので日々の暮らしは質素で地味なんだよね。それはそれで書くこと無いよね。
さすがに9か月の海外キャバ体験記だけでは持たなかったのか後半3分の1くらいはコラム形式で書いていくが、そこはもうありがちな感じで、よくあるアジア放浪記で書かれているものでしかない。
貴重な体験記だと思うし、やはり若い女性ならではの話題、例えば日本では通ってる脱毛サロンが無い、とか美容院やネイルサロンの話題は新鮮ではあった(それこそ普通のガイドブック見ればいいのかもしれないけど)し、文章も上手くはないが読みやすくて本人のキャラも出ていると思うので、悪くはないと思う。
「六本木では数々の店を飛び、歌舞伎町では『あの子、豆ばっか食ってんのよ!』とキレられ、香港では寝てばかりいた私が、バンコクのキャバクラでナンバー1!! p.74」
みたいな文章はキャラと勢いと面白さが出てて魅力的だ。
話したら面白いし魅力のある人なんだろうな、だからライターが仕事になって、本の出版までいったんだろう、とは思うんだけど、この本単体ではあまり評価はできない感じ。気にはなるからたまに検索したりするんだろうけど。
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