2017年07月05日
「神様なんかくそくらえ」
思い起こされるのはやはり『KIDS/キッズ』『クリスチーネF』『マイ・プライベート・アイダホ』、あとちょっと『真夜中のカウボーイ』あたり。
こういう映画は、昔なら熱狂的な支持をしたのかもしれないけど、オッサンになった今は、「可愛くってよかったね。結局映画に出れて、復学できたわけだし」という醒めた感想を持ってしまった。
ただ、凄く真摯に、正直に作っているとは思う。
嫌な言い方をすると、クレイジーさで若い時に一瞬カリスマ性を持つような奴はあっさり死に、タフぶる男はプッシャー、女は万引きと物乞いくらいしか出来ず結局男にすがる。
ラストにプッシャーのマイクの所に戻っていると言うのは凄くリアルですよ。
出来るのは万引きと物乞いくらいなので、強い男にすがらないとホームレスはやっていけない。
安く住まわしてくれる女性からの、真っ当な路上販売も無視し、ドラッグを打ち、やる事といえば物乞い。
そのドラッグでさえ、彼氏に教わり、プッシャーに恵んでもらう。
まともな男友達を拒絶するが利用はする。
なんかね、やっぱこういうのって全然同情できないよな、って。
私も、昔は好きだったのよ、こういうの。私立に通うお坊ちゃんで冷房の効いたマンションで観てる時はね。
でもこう、実際にホームレスを家に泊めたり、ホームレス寸前のバンドマンとバンドやったり、自分もそう変わらない環境にいた事もあったりするとね、同情の余地がないな、って思うんだわ。ジャンキーも一緒。なんにせよ依存してるって事は、それ以外の事が出来なくなるって事だから、単純に迷惑なんだわ。
「オレはリスク背負ってドラッグを売ってるんだ!」
って、それが一番真っ当なセリフだよ。
主演を務めたアリエル・ホームズの実体験に基づいたお話らしいけど、この主人公は本当に何にもやってないんだよね。自己決定すら放棄してる。
そのくらい苦しんだんだ、って事なんだろうけど、結局、スクリーンにアップになっても耐えられるくらい美形だったから監督に拾われて、女優として主演して、何本か出て今後は学校に戻りますってさぁ・・・なんかね。
たしかに魅力的ですよ。そりゃホームレスなんてやってたら助けます。
でもホームレス時代もずっとそうなわけじゃん。
売春すらせず(描いてないだけかもしれないけど)、あなたがいないと生きていけないって言いながら、死んだ後はあっさりプッシャーの所にいるわけ。
そこがさ、人間の悲しさだよね。
そう考えると、腑に落ちるけど、この映画はそれが描きたいわけでもなさそうだしなぁ。
イライラすんなぁ、でも美形だしな、っていう、それがずっと続きました。
これもね、嫌って程わかったけど、結局そこだったりするしね・・・。
アリエル・ホームズのプロモーションビデオって感じだね。
あ、音楽は良かった。冨田勲なんだよな。
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