2017年05月30日
「ブルー・リベンジ」
まさに拾い物って感じ。
レンタル屋でボンヤリ棚の前にいて、なんとなく手に取ったら町山さんの推薦文が付いてたので、お、と思って借りたのだ。
話はシンプル。両親を殺された男が犯人の出所を知って復讐、それだけ。
しかも、登場人物はパッと思いつくだけだと10人に満たない。数分以上映っているのは3人くらいじゃないかな?ほぼ主人公1人が映っている映画だ。
セリフもあまりない。
こう考えていくと凄いな、おそらく低予算映画だ。
低予算映画で、話自体はシンプル。
なのにおもしろい。最後まで緊張感が続き、目を離せない魅力がある。
低予算からワザとこういう方向性にして、「芸術でござい」って誤魔化す事も多いんだろうけど、今考えていくとそういう要素が浮かぶんだけで、観ていた時はそんなことを全く感じさせられなかった。
丁寧に、リアルに、描いていく復讐劇はかっこ悪く、痛い。
復習を思い立つが金が無くて銃は買えず、盗んだものの掛かってるロックを壊そうとして銃自体が壊れてしまう。復讐を成し遂げたと思ったら、真犯人は別に。反撃にあえば車の鍵を落としてくるし、相手のタイヤをパンクさせようとナイフを振るえば自分が手のひらを切ってしまう。
主人公役の役者さんも絶妙だよな。パッケージを見たときには、ホームレスって設定でもイケメンな長髪髭面って感じだったんだけど、逃走のために髪を短くして髭を剃ったらトッツァン坊やみたいになるし。
住人が留守の家から拝借した微妙にサイズの合わないシャツを着て、その姿で姉に復讐を告白する所なんかもう切ないですよ・・・。
しいて言うと、その姉の言動がイマイチわからない部分もあるけど、ほとんど出番は無いしね。
細かいバックグラウンドは描かれないので、両親が殺害されたショックで誰にも言わずに地元から失踪し、ホームレスとして無為に生きていた、ということがなんとなく解る程度なのだけど、そこを想像させられつつのリアルすぎる復讐劇がねぇ・・・悲しいです。
原題が「BLUE RUIN」で、「青い破滅(廃墟)」って意味で、ボロボロの青い車に寝泊りしている所とか、青を常に画面に入れているところとか、主人公の行く末とかを表現しているんだと思うんだけど、邦題はわかり易いけどちょっと誤解させるかもね。
ノワールっていうのかな?こういうの。
いい映画でした。
こういう出会いがあるから、店に行くのは楽しいんだよな。
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