2017年02月14日
工藤明男「いびつな絆」「破戒」
元々2chのアウトロー板を見るのは好きだったし、前田日明のTHE OUTSIDERや『闇金ウシジマくん』以降に活発になった、元ネタや逸話の真贋を探るのが流行っていた時にやはり同じようにハマっていた。
やはりとても刺激的で幻想に満ちていて、それでいて実際にTHE OUTSIDERに出場しているのを見れたり週刊誌でインタビューを読めたりする。明らかに危ないオーラの出ている人から、温厚そうな人、チャラく見える人、キャラ立ちも様々。
毎週のように、誰かが捕まった、誰かが一般メディアに出た、あの事件の裏では実は...、あのコメンテーターの言ってる事は間違ってる、関連書籍がまた出た、なんてニュースがあって正直あの時期はメチャメチャ面白かった。
男なら誰だって多少なりとも、強さに憧れる、不良に憧れる。そして大金や権力を手に入れたくなる。
普通、不良の物語は青年期で途切れ、あとは地道にやってます家族も出来ましたで終わるのだけど、彼らの場合は初めて不良のまま、その先があったからだろう。とにかく幻想が膨らんだ。
しかし、いわゆる「六本木フラワー事件」という、同時代にあまりに生々しく起きてしまった殺人事件に、ふと目を覚ましてしまった人も多いだろう。これは現実だ、と。東京の繁華街に行かなければ関係ないといえる事ではないのではないか?と。
そんな関東連合の元幹部の書いた書籍が出た、という事で、そりゃあ読みますよ。
現在では本名で活動している著者が、この時点では「工藤明男」のペンエームで書いている。これは、ネット上で作られていった架空の人物の名前だという。
1作目『いびつな絆』は携帯の着信で起こされ、事件を知る事になる著者が、事件を探っていき、関連する人物たちの話を書いていき、事件に至る経緯や事件後の犯人らとの実際にあったやりとりを描く。
あくまで中心はあの事件であり、報道が白熱し、ネット上にもまとめサイトなんかが乱立し、デマが拡散されていた中で、著者が自分の知る事実を書いたという感じの本。
2作目は関東連合自体の成り立ちを、自身の生い立ちを軸に、より細かく時系列順に書いていった本。
間を空けて読んだので最初気がつかなかったが、結構同じエピソードが書かれている。ただ、2作目の方がより細かく書かれているし、時系列順になっているのでわかりやすい。あくまで1作目は事件を、2作目は関東連合自体の成り立ちを中心に書いているからだろう。
なにより、1冊の本として、事件後に急いで出版されたであろう前作に比べて、格段におもしろい。
これ以上の本はもう出ないと思うし、決定版といっていいと思う。良い意味でも悪い意味でも、幻想と異様な熱に満ちた関東連合ブームみたいなものは終わりなんだろう。
当時を知る人からの反論もあると思うけど、誰が書いたって、言えない事も、言いたくない事も、単なる記憶違いもあるだろうから。
あとはもう、警察の調書や裁判記録くらいしかないだろうなぁ。
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