2012年09月06日
MSC 「帝都崩壊」
MSCの1stミニアルバム。
昨日に続きMSC、聴きたくなってしまった。
個人的にはとても驚かされ、日本語ラップにハマるきっかけとなった1枚。
Introを含む全5曲。
やはり1番驚いたのは漢のソロ曲である2曲目の『幻影』。しょっぱなからぶっ飛ばされた。
日本語ラップ界に向けて「つまんねぇ」と呟きながらトイレで大麻を吸い、マイクジャックして場を盛り上げ、クラブで悪ノリしたガキをぶん殴る。そんな曲である。
ブルーハーブの、ヒップホップを愛しすぎるが故の「地方対東京」という構図での日本語ラップへの侵入の仕方とは違う、全方位に世界へ向けられた不満が感じられる曲である。
「俺は最高だ!」「俺の方がラップが上手い!俺のほうが金持ってるぜ!」と自慢し、ギャングぶって持ったことも無いのに「銃をぶっ放す」などとは彼らは言わない。
「気に入らない」と大麻をふかし、テキトウなカモを見つけて仲間とボコッて憂さ晴らしをする日常。いい悪いではなくとてもリアルだ。
強面な部分ばかりではなく4曲目の『快感』のような曲でふいに笑ってしまうようなラインが出てくるのも彼らの特徴だろう。それがいい感じに抑揚をつけてくれて、かなりヘヴィーな事をラップしてるにもかかわらず疲れずに聴き通せる。
02の不気味さ、PRIMALの一聴すると支離滅裂で錯乱しているような歌詞、TABOO1のストレートな熱さもいい。
アルバムを通じて、トラックはシンプル、というかチープでスカスカだが、MSCの面々が淡々と吐き捨てるようにラップをのせていくととても不気味な暗さが出る。それが当時、メタル/ハードコアを離れノイズ/フリージャズに傾倒していながら完全に行き詰まっていた自分には、音楽と非音楽の間を自由に行き来するように聴こえ、大いに嫉妬した。
MSCで名盤、といえば「MATADOR」になるだろうが、こちらも捨てがたい。
私はMSCを聴くと、雑誌BURSTや山本政志監督の「JUNK FOOD」という映画を思い出す。BURSTには出てたのかな?般若が漢にBBPのMCバトルの決勝で敗退したすぐ後に載ってたのは読んだけど。「JUNK FOOD」は98年だから時期的には少し前だが、どちらもバブルを経験していない自分には、「昔は日本元気だったんだなー、特に不良は。楽しそうだなー」と思わされる。その空気がMSCにはある。
昨日も聴いていて「あれっ?おかしいな・・・」と思ったことがある。以前には感じなかったのに、少し音が古く感じたのだ。
今は2012年、考えれば10年程も前の作品だ。そう感じて当たり前。新作...そろそろ聴きたいな。
ちなみに映画「JUNK FOOD」予告編↓
新品価格 |
【音楽の最新記事】
この記事へのコメント