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ジミー桜井(著),田坂圭(著)「世界で一番ジミー・ペイジになろうとした男」




コピーバンド、又はトリビュートバンドというものはどうしてもオリジナル曲を演奏するバンドより一段も二段も低く見られてしまう。
私もオリジナル曲を演奏するバンドにいた事もあり、コピーバンドやヒット曲を演奏する営業バンドには抵抗があった。もちろん私を含め誰しもがコピーからはじめるのだけど、ある程度経つと「まだやってるの?」という感じがどうしてもしてしまう。趣味ならばともかくプロを目指すなら尚更だ。もちろんギャラを貰えばプロという考えもあるのだが、誘われても営業バンドをやる気にはなれなかった。
海外ではコピーバンドがパブなどで演奏する文化があり、各都市にオラが街のビートルズだのディープパープルだのがおり、それで生計を立てていて、ツアーを回る人気バンドもある。「キャリアの最初はトップ40を演奏するバンドだったよ」なんていうのはよくミュージシャンのインタビューでも出てくる。
不遇な時代の長かったSteel Pantherのメンバーも元Van Halenのトリビュートバンドだったりするし、お遊びのパーティバンドとしてプロミュージシャンがカヴァーバンドを結成することもある。コスプレなども取り入れたりしていて、フェスなどではむしろその方が盛り上がったりもする。
ティム・リッパー・オーウェンズや、Journeyのボーカルなど、コピーバンドから本家に誘われる事もある。栗田貫一のルパンみたいなね。

だがそれはやはりかなり特殊ケースだ。



この本の主人公であるジミー桜井はある種新たな道を切り開いたとも言える。「コピーバンドの人間の自叙伝?」と興味は惹かれるも購入には至らず、Amazon unlimitedで発見したので暇つぶしに読んでみたんだけど、コレね、ちょっと凄いですよ。
「現在ジェイソン・ボーナムとバンドを組んでいる」「50歳で脱サラ渡米してプロに」みたいな帯に書いてあるような事は確かに凄いし興味深い。凄いね、上手いんだね、で終わらせてしまいそうになるが、いやメチャメチャ異常なんですよ。

サラリーマンやりながらツェッペリンのコピーバンドやってたんだよ?
日曜大工を極め過ぎて人間国宝みたいな事よ、コレ。

バンドやってる/た人間ならこの異常さがよりわかると思うんですよ。

上手い人はいるよ。Shigeo rolloverだって凄いし、それこそ王様だって面白い。
でもこうなると思う?それもサラリーマンの趣味としての活動よ?当然本人もプロ志向ではないわけですよ。

といことで、単純に「趣味が高じて…」なんて次元では無い、ある種狂気じみた極め方を高校時代からエレハモの営業部長やりながら50歳まで続けてきた、もうアウトサイダーアートみたいに思える人の本でした。
シュヴァルの理想郷とか思い出しちゃいましたよ、もう。

という事で、意外や意外、すごく面白かったです。Amazon unlimitedに加入してる人は読んで損はないと思います。特に30歳以上のバンドマンや元バンドマン。

いやー、なんか読後は凄く清々しい気分で、久しぶりにギター弾こうかなとか思いました。


世界で一番ジミー・ペイジになろうとした男

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