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ジャー・ヒロ「ラスタマン・バイブレーション」




「なんとなく買ったらプレ値で取引されてたシリーズ」第一弾。
いや、アマゾンのマケプレの値段なんて当てになんないんですけどね、「えー、9千円って」と思いましたよね。古書店で5000円くらいで出してたとこもあったから、まぁレアではあるんでしょう。
私はブックオフで500円くらいで買いました。結構シミも入っちゃってるし高く売れるとは思えませんが、なんかこういうのちょっと嬉しいですよね、最近なかった掘り出し物感をちょっと味わえました。

著者は「80、90年代に原宿でトレンチタウンというレゲエ・グッズの店をやっていました。」というジャー・ヒロさんです。twitterやってますね。さっき書いたのもプロフィールからの抜粋です↓
https://twitter.com/jahhiro100?lang=en
ブログもありますね↓
https://sites.google.com/site/trenchtown21/
「それは日本でまだレゲエが殆んど知られなかった1980年代の頃の話だ。83年の10月にオープンした、原宿のレゲエ・グッズの店『トレンチタウン』」とあるので本当に早い。日本におけるレゲエの第一人者ですね。レゲエ・ファンジン「JAMMING」に文章を書くようにもなり、小説も書き...という事のようです。

というわけで、レゲエはそこまで詳しくなく、ダブとか結構好き、くらいの私なんですが読みました。

もう本当にね、いろんな意味で凄いというか、90年代の景気のいい時にはこういう面白いものも出てたんだよなぁ、という感じ。
上記のプロフィールで予想できる通り、当然の如く文章は上手くないです。校正をちゃんとしてないのか誤字は多いし、話は飛ぶし、挿絵はめっちゃ粗かったりするし、急にラスタ豆知識集や単語集がインサートされるしで、小説としての評価はとてもじゃないけどできない代物です。
ただねぇ、なんというか、まぁあっちの言葉でいう「グッドヴァイブス」に溢れてるっていうか、もうレゲエへの愛情のみで突っ走った感じでね、嫌な感じはしないんですよ。むしろレゲエへの興味をかき立てられたんですよね。読んだ後ボブ・マーリーのDVD買うくらいには。

80年代から90年代前半くらいまでの景気が良かった頃のサブカルの感じだよね。商品として整えられてないプリミティブな愛情がそのまま本になって世に出ちゃうっていう。

情報に溢れた今読んでどうか?っていうと、この本の役目は終わってるんですよ。レゲエは日本でも広く知られるようになり、「ジャパレゲ」なんて呼ばれて夏には大観衆を集めるフェスも開催されるようになったわけですから。
でもね、やっぱこの時期の、どうにかレゲエ/ラスタファリズムを広めたい、でも現地でブッ飛ばされたインパクトをどう翻訳していいかわからない、という中で無理矢理にひり出されたこの本はその時期、その葛藤の中でしか生まれない面白さがある。




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