2012年12月25日
静寂 [灰野敬二(guitar, vocal, etc.) / ナスノミツル(bass) / 一楽儀光(drums)] ラスト ワンマンライブ 2012/12/24 at 秋葉原 CLUB GOODMAN
「今年もこれで最後のライブか・・・」なんて思いつつ、今月2本目だ。この前のライブが最後のつもりだったが、どうしても観たかったので、今日も行ってしまった。クリスマスイブにこのメンツのワンマン、最高じゃないか。
結果、大成功。二時間半以上に及ぶライヴは物凄いものだった。
開演30分程前に着いたのだが既にけっこうな混雑。以前来た時にはステージ前にもあった椅子は今日は無く、ステージ前には気合いの入ったファンが占拠しており、割って入れそうも無いくらいだ。 トイレを済ませ、ドリンクを受け取り、中央少し後ろに立って待つ。
しかし、狭いライヴハウスとはいえずいぶん入っている。開演が近づくと更に増え、満員といえる状態で人をかき分けないと進めない。
見るからに、前回は明らかにジャズ寄り、今回はサブカル/ロック寄りの客が多いとはいえ、こういうジャンルのアーティストのワンマンライヴでここまで集めるというのも中々いないだろう。というかライブハウス満員なんて久しぶりだ。
「椅子あるかな〜」なんてなめたことを考えていたので、立ったままほとんど動けない状況での待ち時間はつらい。 待っていたら、横を普通に灰野さんが通っていって驚く。
時間に厳しい人だという評判の通り、ほぼオンタイムでスタート。
個々人の事は知っているが、「静寂」というバンドになるとほぼ未聴。灰野さんがギターを持って歌う事だけを確認し、あえてそのままの状態で今日は来た。
この前の、大友×オルーク×エリオット・シャープの時もそうだったが、即興色の強い人はCDを聴いて好きでいても、少し懐疑的に見ている。やはり実際に観ないとわからない。
スローに始まり、ドゥーミーでサイケがかったブルースロックかと思ったのだが、そこからどんどんテンションが上がっていく。この会場なのでちょっと心配だったが、音はいい感じに大きい。
不失者の系譜に、というかハッキリと後継者的なバンドに思えた。裸のラリーズをタイトにヘヴィーパンプアップにしたような感じも受けた。暴力的に聴こえない暖かいギターノイズが心地よい。
内臓にくるヘヴィーなバスドラと、安定しながらも豊富な手数の素晴らしいドラマーの一楽儀光、冷静にブルース/ロックとしてのアウトラインを薄く濃く描きながら動く太いベースを弾くナスノミツル、そして、もっと難しく神経質な人かと思っていたがギタリストとして、稀有なヴォイスパフォーマーとして、一本筋の通った熱いブルースメン/ロッカーとしての存在感を見せつける灰野敬二。
素晴らしいバンドでした。そして、全員の気迫が感じられる素晴らしいライブでした。
本編が終わり、3人が一度楽屋に行き、ステージに戻って最後にアンコール的なジャムの中でドラムの一楽さんへの感謝、一緒にやれた喜びなどを叫び唄い、ライブ終了。「この男と音楽ができた事を誇りに思う」「死ぬ気で音楽をやっていた男と」「続けるんだ」「ここに生まれて」「ここに散る」「死ぬんじゃない」などの言葉(不正確です)を覚えている。
かろうじてこらえたが、後2分演奏が続いていたら泣いていたと思う。
アンダーグラウンドでは狭い世界で組んで離れてというのがよく行われるので、ラストライブというのを大変な事だと捉えていなかったのだが、どうやら一楽さんの引退ということらしい、というのが理解できた。
灰野さんが「一楽君に大きな拍手を」といってうしろを指す。客みんな、手を肩よりあげて大きな拍手。一楽さんから「灰野敬二」「ナスノミツル」と紹介があり。「ありがとう」と感謝の言葉を客席にかけながらハケていく。
それを見送り、客電も付いたのでトイレに行くと、また歓声が聞こえる。戻ると、もう一度一楽さんだけ戻ってきていて再び感謝の言葉を口にし、「こんな時になんだけどあっちに物販あるんで買っていってください」とシリアスにならず、軽く客を笑わせて帰る。
2時間半以上のライブ、さすがに途中に中弛みした、というかこちらが先にヘバッたというか、全てが素晴らしい、というのは書きすぎかな、とも思うが、ハッキリ言って感動した。確信できた。
家に帰って検索してみると、どうやら腰痛の悪化によるドラム引退、という事らしい。
http://ameblo.jp/doravideo/entry-11148550930.html
あんなに素晴らしいドラマーが、残念だ。しかし、違う形で「ドラびでお」名義での活動はするようなので、これからにも期待したい。
さて、せっかくこれから通いたいと思えるような感動するライブを観たのに、「ラストライブ」というのは残念だ。灰野さんのソロはこれから行こうと思うが、今回観たのは、まぎれもなく「バンド」だ。「バンド」形態でまた観たいな、何がいいんだろ?
写真は予約来場特典の「静寂」未発表ライブCDR。
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