伊集院光のメールマガジンで連載されていたコラムをまとめた本第3弾。
1巻は読んでて、2巻・・・読んだっけ?とか思ってたら3巻が出てしまって、なんとなく放って置いていたがようやく買った。2巻はやっぱもう読んでいた。
伊集院はテレビでニコニコして無難なコメントしたりクイズに答えてるる時が「白伊集院」で、ラジオでの毒舌や痙攣的な笑いを追及するときは「黒伊集院」なんて言われている。この「のはなし」シリーズは、うすーいグレーくらいの伊集院だと思う。「あ」から「ん」までの五十音から始まる言葉をお題にして書くコラムなので比較的自由にテーマは選べるだろうが、メールマガジンという形態なのでそこまで多くの人の目に触れないとはいえ、「白伊集院」しか知らない人が多いだろうからかな。
私は一時期、「深夜の馬鹿力」の結構なヘビーリスナーで、聞き出したのは遅かったがちょうどネットも発達して来た頃だったので、なんだかんだでほぼ全ての回を聴いたし、家にいる時は1日中「深夜の馬鹿力」を流しながらなにかしらしていたので、一時期本当に「俺は音楽より伊集院のラジオの方が好きなんだろうか・・・」と悩んだくらいなので、知ってる話も多く載っていた。
紙に字としてラジオのトークをペーストしたような文体なので、やっぱりちょっと無理があって、即興で喋る脱線トークを無理に再現してある感じとかは、書いてあるのを読むとなるとちょっとキツイ部分があったりするが、話自体は折り紙つきに面白いし、うすいグレーな伊集院もゆったりのんびり読むのにはちょうどよく、逆にラジオで話せないようなほのぼのする話も出てきたりして、熱心にリアルタイムで録音してまで聞くほどではないくらいの今の自分にはいい温度だった。
1巻2巻を読み直してないので忘れた部分もあると思うが、自分は「理屈バカ」というか「バカ理屈」だと嘯くが「『根性なし』で一つよかったなと思うことは、ある程度両側の意見が理解できること」と言うような、気の弱さもあったりする伊集院の、哀愁というか、メロウな部分が出てる巻だと思った。奥さんの話で始まり、5代目三遊亭圓楽の死の話で終わるからだろうか。もちろんその間には馬鹿話がいっぱいあるのだけど。
「日曜日の秘密基地」(日曜の昼にやってた伊集院のラジオ番組)でピエール瀧といじめられっこにエールを送ったり、震災の時や、亡くなった身内や友達の話をする時のあくまで笑いとして成立させながら、むしろ照れ隠しで笑いにしながら、ちゃんと自分のメッセージを伝えようとする所が私は好きだ。
こち亀のいい話の回とかみたいな感じかなぁ、言うなら。
これはゲッツ板谷の本を読んだ時にも感じるのだけど、「地元」ってものがあってそこには今でも「家族」や「友達」がいて、というのはとても羨ましい。
ユートピアとしての昔の記憶のことではない、思い出の店が潰れ、家族は徐々に年老いて、友達は家族を作り・・・など、急に居なくなったりする他人、自分がどれだけ愛着があっても全く関われずに無くなる建物などを、地域ごと、他人同士の記憶のネットワークで保存して、それを生活の糧としてるような印象を受けるからだ。
地元の無い私の、無いものねだりかな、「いろいろしがらみがめんどくせーよー」と愚痴ってた友達も地元に帰ったし、私はいつも取り残されたような気持ちになる。
1人は楽だが、めんどくさそうなこんな人との繋がりを、もっと持ってみようかな、とか読んでると思ったりする。長けてつまらない上に関係ない話になってきた、終わろう。
・・・いやいや、もう一回言うけど、基本馬鹿話で、面白いよ。これで伊集院好きになったら、ラジオも聞くといいと思うけど。きっと面白すぎてびっくりするよ。私のお勧めは「深夜の馬鹿力」の「やっつけようスペシャル」です。
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