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岡本太郎 「今日の芸術」





芸術家、岡本太郎の美術評論書。1954年に光文社より刊行されたものを
文庫で復刊したもの。
50年以上前に出版されたものなのか、と思うと唖然とする。
全く古びていない、今もなお新鮮で驚いてしまう。
「中学1年生でも理解できる芸術の啓蒙書を書いてくれ」と依頼されて書いたものらしいが、そのためとても読みやすく、まるで軽いエッセイ集でも読むかのように読めてしまいました。

岡本太郎は、私が10歳の時に亡くなってしまっているので、テレビや雑誌で見る機会は全然無く、岡本太郎のイメージといえば、太陽の塔を作った人で、「爆発だー!」っていうなんというか一発ギャグをする人的な・・・「芸術家」というもののイメージが今やだいぶ安くなってるし、有名すぎてあまり知らなくて「なんか凄いらしい」というくらいの感じでした。
むしろおもしろ偉人伝みたいなのを読んで、岡本かの子(岡本太郎の母、作家)のムチャクチャさに驚いて、岡本かの子の本を読む方が先でした。

最近、興味を持って岡本太郎を調べていくと、アヴァンギャルドなイメージより、むしろ真っ当すぎるほど真っ当な芸術家だったんだなぁ、とイメージとのギャップがあり、作品も好きだったので、それなら本を読んでみようと数冊買ったうちの1冊。
中学生でも理解できるようにとのことなので難しくはないですが、キチンと美術史もざっくり学べます。こう言うと堅苦しような感じがしますが、具体例を上げながら飄々と口語に近い文体なので、ほとんど実際の絵の写真などが挿まれていなくても面白く読めてしまいます。ソルボンヌ大学で哲学・心理学・民族学などを学んだだけあって、引用元も豊富で、イメージと違いインテリなんだなぁと思わされます。

そして岡本太郎は繰り返しこう書いています。
「同じ事を繰り返してはならない」
「常に気持ちは新鮮で若くいなければならない」
「今日の芸術は、うまくあってはならない、きれいであってはならない、ここちよくあってはならない」

この本は、美術に限らず、文章を書く人も、音楽をやる人も、みんな1度は読んでみたほうがいい素晴らしい本だと思います。

しかし、2、30年前の本ならまだしも、半世紀以上前の本か・・・本当に天才だったんだなぁ。

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楽団ひとり 「NOT FOR SALE」





昨日BBPで観て、おもわず買った楽団ひとりの1st。
録音からトラックから全て自分で手がけている。
最初に言ってしまうと、私は昨日のライブでかなり好きになってしまっているので、たぶん偏ってしまってはいると思う。なんというか希望的観測に。

CDを聴いてみたわけだが、やっぱり好き。
結婚を機に現場を離れて自宅に引きこもり楽曲製作をし、「プレスしたアルバムなんて誰でも出せる」と嘯きながら、現場にいたときの実体験に基づいたラッパー批判や地方でラップをすることの難しさや、自分がラップをする意味などを内省的に歌っている。
「別にプレスCDじゃなくてもよかった/音源だけならRでも充分」と帯にもあるように、ほとんどを完全に自主でやっているため、サウンド的にはけっこう厳しかったりはするし、歌ってることもHIP HOPについてのことと自分の表現についてのことがほとんどなので、村社会っぽいHIP HOPの世界を批判しながらも、HIP HOPが好きでいるという、前に引用した宇多丸の
「ヒップホップの村社会っぽいところとか、どうしようもないところも含めて魅力だし、楽しいんですよ」
という発言に当てはまるようだし、音的にはデモCD−Rで売られてても驚かないな、くらいのクオリティだとは思う。
しかし、やはりラップにはとても惹かれてしまう

「わかってるんです/僕はいずれラップを辞めるために/ラップをするのです」

現場を離れて、結婚もして子供もいて、仕事や育児の合間をぬって曲を作り、わざわざプレスしてアルバムを作って、1曲目でこう言ってしまうのである。

「クラブは片道1時間半」
「クラブもねぇ、パーティもねぇ、路上のサイファー見たことねぇ、レコ屋もねぇ、楽器屋もねぇ」

そんな町で続けているのである。

1stアルバムだし、現場から離れていろいろ思い出しながら曲作ってたらこういう内容になって当然かもしれない。でも、所々にみられる寒いところ特有の「音の冷たさ」「内省的に静かに燃えてる感じ」や、話題に反して大多数に伝わるように留意されたリリックやポップさ。さっきみたいに引用したくなるパンチラインがあり、次に凄く期待が持てるラッパーだと思う。

そして、これは言い方が凄く難しいし、軽率にこんな事を言うことは凄く失礼だし、東京にいて全く被害の無かった人間のふざけたエゴかもしれないが↓
http://pomeric.blogspot.jp/2008/07/seeda-heaven.html
ここで言われてるように、(以下引用)
『ヒップホップで勝ち上がってセールスを伸ばしていくために必要なものって「自分の話題作り」だと思うんですよ。で、今までの日本語ラップって実際に注目されるものは大体何かしらの「ドラマ」がある。例えば、”証言”だったり、”人間発電所”におけるBUDDHAの帰国だったり、BIG JOEの投獄だったり。ああいう話って予期せずに出来たものもありますけど、自分から行動して「ドラマ」を身につけていくもので、ある意味でそういう逆境に身を置く「行動力」みたいなものが日本語ラップの表現に深みを与えているのかなって思いました。』
今回の地震で、もちろん不運なことではあるが、期せずして彼はドラマを、今まで以上に歌う意味を手に入れたと思う。
そこまでのバックグラウンドは知らずとも、始めてステージを観たBBPで私の心を1番掴んだのはその部分だと思う。
もう一度書く。ふざけたことを書いてる。地震にあうということは悲惨な事だし、被災した方々にとってはまだ終わってはいないし、これからもずっと残り続ける傷だろう。
「評論」「感想」を隠れ蓑に、私は最低なことを書いてるかもしれない。

配信されている楽団ひとり&KICK-O-MANの「NORTH EAST COMPLEX part 3.11」の売り上げはすべて被災中の楽団ひとりとKICK-O-MANへ直接渡されるらしい。
一刻も早く復興して欲しいし、この被災を乗り越えた彼の歌がもっと聴きたい。


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