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「UPSIDE DOWN 〜アップサイド・ダウン:クリエイション・レコーズ・ストーリー〜」





クリエイションレーベルの始まりから終わりまでを描くドキュメンタリー映画。

シューゲイザー好きな私には中々思い入れのあるレーベルであるクリエイションレーベル。マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの伝説として、「『Loveless』のレコーディングに金をかけすぎてレーベルを倒産させた」というものがあり、そのレーベルがこれだ。

映画はCEOのアラン・マッギーという、プライマルスクリームのボビーの子供の頃からの友達であり、酒とドラッグにレーベルの従業員ごとまみれるロック野郎でありながら、ジーザス&メリー・チェインを、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインを見つけ出し、シューゲイザームーブメントを起こし、さらにオアシスを見つけ出してチャートの1位にオアシス、2位にプライマルスクリームを送り込んでる状態でレーベルを辞めた伝説の男を中心に語られる。

よくあるといえばよくある話だと思ってました。地元で一緒にぶっ飛んでた友達とバンドやりました、自分は裏方になりました、ロックだから入った金でさらにハイになりました、会社潰しました、だと。
しかし、アラン・マッギーという天才で物凄く運のいい人物にかかると、全然違いました。
まず先見の明がありすぎです。まったくどこにも相手にされていなかったバンドや、バンドをはじめてまだ数回目のバンドをパブで観て契約し、ヒットさせるのだ。
そして驚いたのが、サイケデリック、アシッドハウス、といえばつきもののドラッグがやはり、というかCEOが率先して配り、金曜の夜から会社の地下でパーティーが始まるようなレーベルなのに、みんな生きてて元気そうに話しているのだ。同時期にイギリスをツアーしててよく会っていたと語られるNIRVANAなどのいわゆるグランジ周辺と比べるとよく分かります。

ヒットしたバンドをいくつも抱えながら、それをレコーディングに、そして酒やドラッグや、友達を連れてきてそのままレーベルで働かせるなどの体質も作用して、いつも金がなかったと語られるのは、予想通りですが、完全インディーズ、自由な環境を求めていたアランの思想から、メジャーとの関わりを拒否してレーベルを運営していたはずが、前述の「Loveless」にとどめを刺されソニーと提携をしますが、その後さらにOASISを見つけ出し、世界1のバンドにまでしてしまうのです。
アランのドラッグのやり過ぎでの入院などを経て、徐々にクリエイションレーベルは侵食され、終わりを迎えますが、ほとんどのインディーズ、アンダーグラウンドと言われるものが、単にアマチュアで、上昇志向は満々にあるくせにクオリティが低いから売れないだけ、という状態にある中、この映画はとても励まされるものでした。

こんなにロックな思想持ち続けながら成功したレーベルがあったでしょうか?
「現代最高のロックレーベル」といわれる理由が分かりました。

いい映画です。
音楽好き、特に裏方の人に見て欲しいです。


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