2013年07月20日
「ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ −ア・トライブ・コールド・クエストの旅ー」
少し前に話題になったア・トライブ・コールド・クエストのドキュメンタリー映画。例によって旧作になるまで待ってレンタルしたので観るのが遅れてしまった。
洋hiphopは弱いとはいえさすがにトライブのCDは持っているし、大好きなヒップホップの、しかも名盤を持ち、グループとしてはツアーやフェスでのライブアクトとして、ソロでも各自現在も活躍しているア・トライブ・コールド・クエストのドキュメンタリーという事で非常に楽しみだったし、期待して観た。
・・・のだが、うーん、なんかイマイチ、というかアッサリしすぎている感じがして・・・。
もちろん音楽グループモノとしては確実に入ってくる、お互いのエゴでの確執、嫉妬ややっかみ、病気、分裂と再結成みたいなのは入っているのだが、なんだろうこのサラッと感は。なんだかんだ言っても幼馴染だから、納まるところに納まる感じがしてしまうせいだろうか。
音楽映画、それもバンドモノのドキュメンタリーは大好物なのでよく観ている方だと思うのだが、例えば有名どころでいうとメタリカ「サム・カインド・モンスター」での140分もあるのに飽きさせないドラマの数々や、ピクシーズ「ラウド・クァイエット・ラウド」で観られる解決不能の問題と人間関係の寒々しさ、「アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち」での泥臭さと馬鹿馬鹿しさ、そしてそれゆえのラストの痛快さと感激、「ニューヨーク・ドール」で観られる運命の数奇さ。ヒップホップのものでも、ビギーとトゥパックのドキュメンタリーなどは目を離せず、とてもズッシリとした感触がもたらされたのだが、この作品には本当にそれが無い。
もちろん、貴重な証言、インタビューもあるし、年代順においしい映像が観られる、当然カッコいいわけなんだけど、ドキュメンタリー映画にするほどなのかなぁ?という感じ。
もちろん、たまにグループとしてライブはするが解散してしまってもう20年以上アルバムは出ていないし、ファイフ・ドーグは糖尿病で腎移植をするに至ったし、現在は高校バスケのスカウトとして働いている、ソロで活躍するQティップとはかなり違った道になっている。とても大変なことだ。ドラマだ。
しかし、嫌な言い方だが、他人事として映画を観た今回はあまり感情を動かされなかったのは事実だ。ちょこっと雑誌に『ATCQのファイフが腎移植』なんて書かれていたら、「マジか、糖尿悪化したんかな?大丈夫か」と思うが、それでドキュメンタリー映画の3分の1ほどを占められるとちょっと反応に困ってしまう。
劇中にも出てくるメアリー・J. ブライジに「ノー・モア・ドラマ」という歌がある。
「『ファック・ザ・ポリス』なんていう必要は無い」という劇中のセリフもあった。
ア・トライブ・コールド・クエストはヒップホップを「ハードコア」な方向ではなく、「パーティー」「個性」という方向により引っ張っていったグループだ。
だから、このMV集のおまけみたいな感じも、良いっちゃ良いのかなぁ・・・。
あんまり期待しすぎると肩透かし食らうのは確実だと思うけど、悪くは無いしね。
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