変化する環境で生き抜くために必要な進化のための衝動
身の安全を求める欲求と変化を求める欲求
生物が変化する環境で生き抜くためには、変化する環境に対応できるように、生体 機能を変化させる必要がある。
そのためには、自己の特性である生体システムをそのまま残しつつ、自己とは異質であっても、
生存に合理的な生体機能を持ったものと結合することが最も早急な方法であり、変化する環境に対応できる。
その結合を可能にするためには自己の特性と相手の特性の異質性を感知する事が第一に必要であり、
第二に合理的な異質であれば快感を感じる必要がある。
次の段階として、快感を生み出す対象に近づき一体化しょうという衝動が必要である。
その逆に生存の確保が危ぶまれ、進化の逆行が生じる対象からは遠ざかる必要がある。
そのために快感と苦痛が必要になる。
このように、生存と進化のためには現在の自己の独自性を確保しつつ、変化に対して快感を感じる必要がある。
人の場合、芸術や文化等の美というものがよい例といえるだろう。
人が対象となるものを美しい感じることを科学的検証するとどうなるか。
美しいと感じるとは、生物的にとって、快感を感じることに分類できる。
逆に、醜いと感じることは苦痛と感じることに分類できる。
人は先ほども述べたように、生体機能維持と細胞の損傷を防止するため、
苦痛から離れ、快感に向かおうとする生物的な衝動が存在する。
また、進化のために自己と異質な対象物に接合しようとする衝動もある。
つまり、美しいと感じる対象物には、自己の特性との共通項と異質性が同時存在する事が必要となる。
ただ個人によって、以上で述べた身の安全を確保することに多くの快感が感じ、
変化に対しては不快(不安、恐怖、苦悩)を感じる傾向が強い者と、
その逆に変化を好み身の安全が確保されている平衡状態を苦痛と感じる傾向の者がいることは確かである。
これは、近年の遺伝子の研究から明らかになっており、人間が生物の一つの種として
生き残るために培った多様性の一つであると言える。
しかし、生物的な衝動のみが優先するわけではないといえる。
それは、後天的な部分で、特に神経の急速な発達時期である、「幼児期」に形成された
神経配線の影響や「成人期」での記憶に昇らない無意識な記憶や過去に遭遇した快体験や苦痛体験の影響をうけるからである。
これを証明する例として
人が同じことの繰り返しに対して「飽きる」ことや長時間変化のない状況を退屈と感じることがあげられる。
もし、同じことの繰り返しや何もしないこと、動かないことに苦痛を感じなかったら、
脳細胞の神経配線が単純化、固定化され高度な神経ネットワークが発達しなくなり
複雑な機能を創造出すことが不可能になると言える。それだけにとどまらず、
脳内の神経細胞の退化が生じることも考えられる。催眠術や洗脳はこれらの原理を応用し
たものであり、同じことの繰り返しによって、大脳新皮質の働きを抑制することによって行われる。
これは脳だけではなく肉体の場合も同様に、体を動かさなかったら使われない器官や体細胞や制御器官は
どんどん退化してゆき、結果的に変化する環境に対応して生存を維持することが難しくなることも意味する。
しかし、いつも大きな変化を望んでいたのでは身を危険にさらす機会が増大し、
体細胞のエネルギー生産と消耗のバランスが崩れ、細胞全体の存続維持が難しくなる。
よって、人間の場合、身の安全を確保できる範囲での変化に対して快感(楽しい)
を求めることが生存と進化にとって合理的となる。
人間に至ってはこの無意識的な欲求が強化され、多種多様な芸術や文化を生み出すに至っているといえる。
しかし、人間の場合、時には未来に現在よりも多くの快感を得るため、
または、未来に生じうる多くの苦痛を回避するため、
現在の小さい苦痛を積極的に取り込む必要がある場合もある。
例として(体の鍛練や学習、危険回避の方法の学習、感覚での有害性の学習)等があげれ
一時的に本能欲求に逆行した形で行われる。
しかし、結果的にトータルで見れば生存をより確実なものにし、また、快感の増大を目的にしていると言える。
このように、人間も生物として進化するための衝動が根底にあり、その衝動を満足させるように人間社会が発展してきている。
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