要因.10).神経病理学的な異常
身体の運動失調を主とするが精神症状も伴う脳に起因する病気としてパーキンソン氏病という病気があり、特に加齢によって発病することが多く
原因として脳内の黒質でのドーパミン分泌の低下が言われており、その治療法としてドーパミンの前駆物質である
ドーパの経口投与が行われている。(脳内での血液脳関門のためドーパミンでは分子が大きすぎ透過できないため)て
最近のパーキンソン氏病の治療研究で、治療のため快感誘発物質ドーパミンの前駆であるドーパの投与による副作用として
ギャンブル依存や性欲亢進、衝動買いなどの衝動と快感を伴った症状が報告されている。
この原因は、脳内に入ったドーパミンがやる気を惹起する側坐核や線条体のドーパミンD3受容体を刺激すると同時に、
快感物質エンケファリンを分泌する、側坐核周辺の帯状回や淡蒼球での快感領域が興奮することが考えられている。
これらの副作用はドーパの投与を中止するか、ドーパミン拮抗薬を投与すると、消失することが報告されている。
また、ドーパミン作動性神経をコントロールするセロトニンという脳内物質が減少すると、性欲が亢進することも知られている。
最近に研究で、人が他の個体よりも生物学的に生きることに優位性を認識した際に快感が生じることがわかってきており
その際に線条体の興奮が関係していることがわかってきた。
具体的な例としてどのような場合に他の個体よりも生物的な優位性を感じるかといえば
1、身体機能が他の人よりも優れている場合(スポーツ競技や器用さなど)
2、学習能力などが他の人より優れている場合(学力テストなどの上位順位)
3、外見やスタイルが多くの個体から見て魅力的な場合など(子孫を残すのに異性から魅力的に見えることは有利である)が挙げられる。
また、線条体が興奮し快感作用が生じるのは、相手の個体が自分よりも不利であったり、劣っていることを認識した場合にも
相対的に見れば自分が生物学的に優位であると認識するわけであるため快感が生じる。
具体的な例では
1、いじめなどによって他人の劣等性が誇張されたばあい
2、学習能力や地位が自分よりも下と認識した場合(職場の先輩後輩関係、出身大学の序列)
3、他人の不幸や不運により自分の幸福や安全が誇張された場合などがあげられる。
したがって、サド趣味の人間は異性を自分に服従させたり、自分より相手が弱い立場におかれたり、いじめることに快感が生じると考えられる。
また、マゾ趣味の人間は性を意識したストレス刺激によって、それを中和するために脳内で快感物質が過剰に分泌されることで快感が生じると考えられる。
つまり、変態性癖の人は上記の脳部位で自己脳内で快感物質を過剰分泌する体質であると考えられる。
その体質は、遺伝特性での先天的か後天的に習得したものかは別として、環境要因が深く関与している可能性がある。
最近の研究では遺伝子の発現は環境要因によって惹起させられるという意見が多い。
例えば、上記の神経核の興奮や神経伝達物質の過剰分泌しやすい遺伝子で成長期を迎える人が2人いたとする。
ある一人は周囲に性欲を刺激する要素の少ない環境に育ち、男女の性のあり方が愛や一族の温存などの正当な目的のために行うと認識していれば
その個人は変態異常性癖者にはなりにくいだろう。
その逆の他方の人間は性欲の目的が自己の満足だと認識し、常に異性の性欲を惹起させるような環境にいる人間は異常性癖者になり易いと考えられる。
このように遺伝子は周辺環境に応じて反応をおこすものであり、特に先進諸国ではそのような社会環境にあるため、異常性癖者や同性愛者などが多いと考えられる。
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