令和6年度(前期) 2級建築施工管理技術検定
第一次検定問題 [ No.01 ] 〜[ No.14 ] 解答解説
令和6年6月6日(日)問題の解答の仕方は,次によってください。
イ.[ No.01 ]から[ No.04 ]までの4問題は,全問題を解答してください。
ロ.[ No.05 ]から[ No.14 ]までの10問題のうちから,5問題を選択し,解答してください。
[ No.1 ]
日照及び日射に関する記述として,
最も不適当なものはどれか。
1.太陽放射の光としての効果を重視したものを日照といい,熱的効果を重視したものを日射という。
2.日の出から日没までの時間を,日照時間という。
3.北緯35°付近における終日快晴の夏至の日の終日日射量は,南向きの鉛直面よりも水平面のほうが大きい。
4.夏至の日に終日日影となる部分は,永久日影となる。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
2.×
日の出から日没までの時間は、可照時間という。日照時間とは、実際に日照のあった時間、すなわち可照度時間のうちの晴天の時間をいう。(令和3年後期)
3.◯
4.◯
[ No.2 ]
鉄筋コンクリート構造の建築物の構造形式に関する一般的な記述として,
最も不適当なものはどれか。
1.純ラーメン構造は,柱と梁のみで構成された骨組みで地震力等の水平力に抵抗する構造である。
2.壁式構造は,壁と床や屋根等を一体としたもので,壁が柱と梁の役割を兼ねる構造である。
3.フラットスラブ構造は,腰壁が梁の役割を兼ねる構造である。
4.プレストレストコンクリート構造は,PC鋼材を用いて梁等のコンクリート部材に圧縮力を導入した構造である。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
2.◯
3.×
フラットスラブ構造は、柱とスラブを直結して梁をなくした構造で、室内空間を有効に利用できる。
(令和3年後期)
4.◯
[ No.3 ]
図に示す単純梁ABの点Cに集中荷重P
1,点Eに集中荷重P
2がそれぞれ作用したとき,点Dに生じるせん断力の値の大きさとして,
正しいものはどれか。
1.0kN
2.1kN
3.2kN
4.3kN
答え
3
[ 解答解説 ]
支点A及びBの反力を下図のように、VA及びVBと仮定する。
鉛直方向の力のつりありより
VA + P1 + P2 + VB = 0
VA + 1 - 4 + VB = 0
VA + VB = 3
支点Aについてのモーメントのつり合いより
MA = 4m × P1 + 6m ×(-P2) + 10m × VB = 0
4 × 1 + 6 ×(-4) + 10 × VB = 0
4 - 24 +10VB = 0
VB = 2
よって、VA = 1 となる
ゆえに、せん断力図は図のようになる。
よって、D点のおけるせん断力の値は、2 kN となる。
[ No.4 ]
日本産業規格(JIS)に規定する建具の性能試験における性能項目に関する記述として,
不適当なものはどれか。
1.水密性とは,風雨による建具室内側への水の浸入を防ぐ程度をいう。
2.防火性とは,火災時の延焼防止の程度をいう。
3.面内変形追随性とは,地震によって生じる面内変形に追随し得る程度をいう。
4.耐候性とは,環境の変化に対して形状寸法が変化しない程度をいう。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
2.◯
3.◯
4.×
耐候性とは、構造,強度,表面状態などがある期間にわたり使用に耐え得る品質を保持している程度と規定されている。環境の変化に対して形状寸法が変化しない程度は、形状安定性のことである。(JIS A 1513)(平成30年前期)
[ No.5 ]
採光及び照明に関する記述として,
最も不適当なものはどれか。
1.光束とは,視感度に基づいて測定された単位時間当たりの光のエネルギー量である。
2.照明の光は加法混色であり,その3原色は赤,緑,青である。
3.昼光率とは,室内のある点の天空光による照度を,全天空照度で除したものである。
4.輝度とは,点光源のある方向の光の強さを示す量である。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
2.◯
3.◯
4.×
輝度とは、光源からある方向への光度を、その方向への光源の見かけの面積で除した値である。単位は、[ cd/m2]で表される。光の強さを示す量は、光度である。尚、光源から単位立体角当たりに発する光束をいい、単位は [ cd(カンデラ) ]で表される。
[ No.6 ]
音に関する記述として,
最も不適当なものはどれか。
1.材料が同じ単層壁の場合,壁の厚さが厚いほど,一般に音響透過損失は大きくなる。
2.コンサートホールの客席後方部は,エコーを防ぐため,壁や天井に反射板を設置する。
3.吸音率は,壁面に入射した音のエネルギーに対する吸収及び透過した音のエネルギーの割合である。
4.合板やせっこうボードと剛壁の間に空気層があるとき,主に低音域の音を吸音する。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
2.×
一般にコンサートホールの客席後方部は,エコーを防ぐため,吸音板を設置する。反射板を設置すると音が反響し、エコーの原因となる。
3.◯
4.◯
[ No.7 ]
木造在来軸組構法に関する記述として,
最も不適当なものはどれか。
1.構造耐力上必要な軸組の長さの算定において,木ずりを柱及び間柱の両面に打ち付けた壁を設けた軸組の軸組長さに乗ずる倍率は1とする。
2.構造耐力上必要な軸組の長さの算定において,9cm角の木材の筋かいを片側のみ入れた軸組の軸組長さに乗ずる倍率は3とする。
3.筋かいの端部は,柱と梁その他の横架材との仕口から離れた位置に,釘等の金物で緊結する。
4.筋かいをたすき掛けにするためにやむを得ず欠き込む場合,筋かいに必要な補強を行う。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
2.◯
3.×
筋かいは、その端部を柱と梁その他の横架材との仕口に接近して、ボルト、かすがい、釘その他の金物で緊結しなければならない。
4.◯
[ No.8 ]
鉄骨構造に関する記述として,
最も不適当なものはどれか。
1.柱と梁を接合する接合部に設ける通しダイアフラムは,梁のフランジ厚さと同じ板厚のものを用いる。
2.柱の形式には,形鋼等の単一材をそのまま用いた柱のほか,鋼板を組み合わせた溶接H形断面等の組立て柱がある。
3.合成梁に用いる頭付きスタッドは,鉄骨梁と鉄筋コンクリート床スラブが一体となるように設ける部材である。
4.フィラープレートは,厚さの異なる板をボルト接合する際に,板厚の差による隙間を少なくするために設ける部材である。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
柱と梁を接合する接合部に設けるダイアフラムは、梁のフランジ厚さの1サイズもしくは2サイズ以上厚いものを用いる。
(例)梁フランジ厚 ダイアフラムの板厚
19(16< t ≦ 19)→ 22mm(1サイズアップ)
又は
25mm(2サイズアップ)
2.◯
3.◯
4.◯
[ No.9 ]
基礎構造に関する記述として,
最も不適当なものはどれか。
1.べた基礎は,独立基礎にすると底面が著しく広くなる場合等に用いられる。
2.複合フーチング基礎は,隣接する柱間隔が狭い場合等に用いられる。
3.独立フーチング基礎は,一般に基礎梁で連結する。
4.直接基礎の底面は,冬季の地下凍結深度より浅くする。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
2.◯
3.◯
4.×
地下凍結深度とは、温水が氷点下になる地表からの深さをいう。直接基礎の底面は、冬季の地下凍結深度より深くする。(令和4年前期)
[ No.10 ]
構造材料の力学的性質に関する記述として,
最も不適当なものはどれか。
1.細長い材の材軸方向に圧縮力が生じているとき,その力がある限界を超えると,その材が安定を失って曲がる現象を座屈という。
2.一定の大きさの持続荷重によって,時間とともにひずみが増大する現象をクリープという。
3.鋼材が極めて多数回の繰返し荷重を受けることによって生じる破壊を疲労破壊という。
4.物体に外力を加えて変形した後に,外力を除いても変形が残る性質を弾性という。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
2.◯
3.◯
4.×
物体に外力を加えて変形した後に,外力を除いても変形が残る性質は塑性という。
応力–ひずみ曲線において、弾性限度を超えて変形がのこる。
[ No.11 ]
図に示す単純梁ABのCD間に等分布荷重wが作用したときの曲げモーメント図として,
正しいものはどれか。ただし,曲げモーメントは,材の引張側に描くものとする。
答え
1
[ 解答解説 ]
単純梁ABの一部分に等分布荷重が作用する問題である。
等分布荷重w を集中荷重( w × ℓ/3 )と仮定すると
曲げモーメント図は次の様になる。
一方、支点Aと支点Bの間全てに等分布荷重がかかっている場合には、
曲げモーメントの図は、選択肢3の形状になる。
支点がピン構造の場合(図の△マーク)にはモーメントが発生しないので、
選択肢2は異なる。
選択肢4は明らかにおかしいので異なる。
よって解答は選択肢1となる。
[ No.12 ]
コンクリートに関する記述として,
最も不適当なものはどれか。
1.コンクリートの引張強度は,圧縮強度に比べて著しく小さい。
2.単位水量が多くなると,コンクリートの乾燥収縮が大きくなる。
3.コンクリートは,長時間火熱を受けても圧縮強度は変わらない。
4.コンクリートの線膨張係数は,常温では,鉄筋の線膨張係数とほぼ等しい。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
2.◯
3.×
コンクリートは、不燃材料であるが、長時間火熱を受けると変質し、圧縮強度も低下する。
4.◯
[ No.13 ]
防水材料に関する記述として,
最も不適当なものはどれか。
1.アスファルトルーフィングは,有機天然繊維を主原料とした原紙にアスファルトを浸透,被覆し,表面側のみに鉱物質粉末を付着させたものである。
2.砂付あなあきアスファルトルーフィングは,防水層と下地を絶縁させるために用いるものである。
3.塗膜防水は,ウレタンゴム系,アクリルゴム系,ゴムアスファルト系等の液状の樹脂を塗布,硬化させることで防水層を形成する。
4.金属系シート防水は,ステンレスシート又はチタンシートを連続溶接することで防水層を形成する。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
アスファルトルーフィングは,有機天然繊維を主原料とした原紙にアスファルトを浸透,被覆し,裏表全面に鉱物質粉末を付着させたものである。
2.◯
3.◯
4.◯
[ No.14 ]
ウレタン樹脂系塗床材の一般的な特徴に関する記述として,
最も不適当なものはどれか。
1.弾力性に優れている。
2.耐摩耗性に優れている。
3.高湿度下で発泡しやすい。
4.汚れが付着しにくい。
答え
4
[ 解答解説 ]
ウレタン樹脂系塗床材の一般的な特徴は、
・弾力性、耐衝撃性に優れる。
・高湿下で発泡しやすい。
・耐摩耗性に優れる。
主な用途は、
一般事務所床、廊下、学校、体育館、病院、歩経路等
である。
ゆえに、4.が不適当である。