【 構造設計に関わること 】
( 1 )
部材の応力度及び荷重の算定とそれに用いる係数の組合せとして、最も不適当なものはどれか。(平成30年後期_No.8)
1. 引張応力度の算定 ──── 断面二次半径
2. 曲げ応力度の算定 ──── 断面係数
3. せん断応力度の算定 ── 断面一次モーメント
4. 座屈荷重の算定 ───── 断面二次モーメント
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
引張応力度(σt)は、
σt = P/A
である。
P:引張力、
A:断面積
断面二次半径は、断面二次モーメントを断面積で割った値の平方根をとったもの。
2.◯
曲げ応力度(σ)は、
σ = M/Z
である。
M:曲げモーメント
Z:断面係数
断面係数は、断面二次モーメントより算定される。
3.◯
せん断応力度(τ)を求める式としては 2つある。
平均せん断応力度は、 τ = Q/A であるが、
一般には
τy = QSx/Ixb
である。
Q:せん断力
Sx:y部分におけるX方向の断面一次モーメント
Ix:y部分におけるX方向の断面二次モーメント
b:断面の幅
4.◯
座屈荷重は、ヤング率、断面二次モーメント及び座屈長さから求まる。
P = π2 × E × I /ℓk2
E:ヤング率
I :断面二次モーメント
ℓk2:座屈長さ
( 2 )
建築物の構造設計における荷重及び外力に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(平成30年前期_No.8)
1.風圧力は、その地方における過去の台風の記録に基づいて定められた風速に、風力係数を乗じて計算する。
2.地上階における地震力は、算定しようとする階の支える荷重に、その階の地震層せん断力係数を乗じて計算する。
3.床の構造計算をする場合と大梁の構造計算をする場合では、異なる単位床面積当たりの積載荷重を用いることができる。
4.雪下ろしを行う慣習のある地方では、積雪荷重を低減することができる。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
風圧力は、速度圧に風力係数を乗じて計算しなければならない。(建築基準法施行令第87条第1項)
2.◯
建築基準法施行令第88条第1項に「建築物の地上部分の地震力については、当該建築物の各部分の高さに応じ、当該高さの部分が支える部分に作用する全体の地震力として計算するものとし、その数値は、当該部分の固定荷重と積載荷重との和(第86条第2項ただし書きの規定により特定行政庁が指定する多雪区域においては、更に積雪荷重を加えるものとする。)に当該高さにおける地震層せん断力係数を乗じて計算しなければならない。」と規定されている。したがって、地上階における地震力は、算定しようとする階の支える荷重に、その階の地震層せん断力係数を乗じて計算する。
3.◯
建築基準法施行令第85条第1項に「建築物の各部の積載荷重は、当該建築物の実況に応じて計算しなければならない。ただし、次の表に掲げる室の積載荷重については、それぞれ同表の(い)、(ろ)又は(は)の欄に定める数値に床面積を乗じて計算することができる。」と規定されている。(い)は床の構造計算をする場合、(ろ)は大梁、柱又は基礎の構造計算をする場合、(は)は地震力を計算する場合である。したがって、床の構造計算をする場合と大梁の構造計算をする場合では、異なる単位床面積当たりの積載荷重を用いることができる。
4.◯
雪下ろしを行う慣習のある地方においては、その地方における垂直積雪量が1mを超える場合において、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる。(建築基準法施行令第86条第6項)
( 3 )
建築物の構造設計における荷重及び外力に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(令和元年後期_No.8)
1.地震力は、建築物の弾性域における固有周期及び地盤の種類に応じて算定する。
2.バルコニーの積載荷重は、共同住宅の用途に供する建築物より学校の方が大きい。
3.多雪区域における地震力の算定に用いる荷重は、建築物の固定荷重と積載荷重の和に積雪荷重の1/2を加えたものとする。
4.建築物を風の方向に対して有効にさえぎる防風林がある場合は、その方向における速度圧を1/2まで減らすことができる。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
建築基準法施行令第88条第1項により、建築物の地上部分の地震力については、Rt:建築物の振動特性を表すものとして、建築物の弾性域における固有周期及び地盤の種類に応じて国土交通大臣が定める方法により算出した数値を用いて算定する旨、規定されている。
2.◯
建築基準法施行令第85条第1項の規定により、屋上広場又はバルコニーの積載荷重は、学校又は百貨店の用途に供する建築物の方が、その他の用途に供する建築物の規定値よりも大きい。したがって、バルコニーの積載荷重の規定値は、学校の方が共同住宅の用途に供する建築物より大きい。
3.×
建築基準法施行令第88条第1項の規定により、多雪区域における地震力の算定に用いる荷重は、建築物の固定荷重と積載荷重の和に積雪荷重を加えたものとする必要がある。
4.◯
建築基準法施行令第87条第3項の規定により、建築物を風の方向に対して有効にさえぎる防風林がある場合は、その方向における速度圧を1/2まで減らすことができる。
( 4 )
構造材料の力学的性質に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(令和元年前期_No.8)
1. 一定の大きさの持続荷重によって、時間とともにひずみが増大する現象をクリープという。
2. 物体に外力を加えて変形した後に、外力を除いても、変形が残る性質を弾性という。
3. 弾性係数の一つで、垂直応力度 σ と材軸方向のひずみ度 ε との比( σ/ε )をヤング係数という。
4. 細長い材の材軸方向に圧縮力が生じているとき、その力がある限界を超えると、その材が安定を失って曲がる現象を座屈という。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
クリープとは、物体に一定の大きさの荷重が継続して作用することにより、時間とともに物体のひずみが増大する現象をいう。
2.×
物体に外力を加えて変形した後に、外力を除いても変形が残る性質はを塑性という。弾性とは、物体に外力と加えて変形した後、外力を除くと、元の形に戻って変形が残らない性質をいう。
3.◯
ヤング係数とは、弾性係数の一つで、垂直応力度σと材軸方向のひずみ度εとの比(σ/ε)をいう。ヤング係数の大きな物体は剛性が高い性質を有している。
ひずみ度と応力度の関係の比例定数がヤング係数
σ = E・ε
応力度 σ = N/A
ひずみ度 ε = Δℓ/ℓ
応力度とひずみ度の関係式
σ = E・ε
E:ヤング係数
この式に上式に代入して
N/A = E・Δℓ/ℓ
∴ Δℓ = N・ℓ/ AE
4.◯
座屈とは、細長い材の材軸方向に圧縮力が生じているとき、その力がある限界を超えると、その材が安定を失って曲がる現象をいう。
( 5 )
建築物の構造設計における荷重及び外力に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(令和2年後期_No.8)
1.固定荷重は、建築物各部自体の体積にその部分の材料の単位体積質量及び重力加速度を乗じて計算する。
2.積雪荷重は、雪下ろしを行う慣習のある地方では、低減することができる。
3.地震力は、建築物の固定荷重又は積載荷重を減ずると小さくなる。
4.風圧力は、地震力と同時に作用するものとして計算する。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
建築物の各部の固定荷重を当該建築物の実況に応じて計算する場合は、建築物各部の体積にその部分の材料の単位体積質量と重力加速度を乗じて算定する。
2.◯
雪下ろしを行う慣習のある地方においては、その地方における垂直積雪量が1mを超える場合において、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる。(建築基準法施行令第86条第6項)
3.◯
建築物の地上部分の地震力は、当該部分の固定荷重と積載荷重との和に当該高さにおける地震層せん断力係数を乗じて計算しなければならないため、固定荷重又は積載荷重が小さくなると地震力も小さくなる。(建築基準法施行令第88条第1項)
4.×
短期に生ずる力の応力の組み合わせにおいて、風圧力と地震力、多雪区域を除いた積雪荷重は同時に作用しないものとして、積雪時、暴風時、地震時それぞれを計算する。(建築基準法施行令第82条第1項第二号)
( 6 )
建築物の構造設計における荷重及び外力に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(令和3年後期_No.8)
1.床の構造計算をする場合と大梁の構造計算をする場合では、異なる単位床面積当たりの積載荷重を用いることができる。
2.屋根面における積雪量が不均等となるおそれのある場合、その影響を考慮して積雪荷重を計算する。
3.風圧力は、その地方における過去の台風の記録に基づいて定められた風速に、風力係数のみを乗じて計算する。
4.地上階における地震力は、算定しようとする階の支える荷重に、その階の地震層せん断力係数を乗じて計算する。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
建築基準法施行令第85条第1項に「建築物の各部の積載荷重は、当該建築物の実況に応じて計算しなければならない。ただし、次の表に掲げる室の積載荷重については、それぞれ同表の(い)、(ろ)又は(は)の欄に定める数値に床面積を乗じて計算することができる。」と規定されている。(い)は床の構造計算をする場合、(ろ)は大梁、柱又は基礎の構造計算をする場合、(は)は地震力を計算する場合である。したがって、床の構造計算をする場合と大梁の構造計算をする場合では、異なる単位床面積当たりの積載荷重を用いることができる。
2.◯
積雪荷重は、屋根面における積雪量が不均等となるおそれのある場合には、その影響を考慮して計算する必要がある。
3.×
建築基準法施行令第87条第1項に「風圧力は、速度圧に風力係数を乗じて計算しなければならない。」と規定されている。
4.◯
建築基準法施行令第88条第1項に「建築物の地上部分の地震力については、当該建築物の各部分の高さに応じ、当該高さの部分が支える部分に作用する全体の地震力として計算するものとし、その数値は、当該部分の固定荷重と積載荷重との和(第86条第2項ただし書きの規定により特定行政庁が指定する多雪区域においては、更に積雪荷重を加えるものとする。)に当該高さにおける地震層せん断力係数を乗じて計算しなければならない。」と規定されている。したがって、地上階における地震力は、算定しようとする階の支える荷重に、その階の地震層せん断力係数を乗じて計算する。
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