2023年03月08日
2級建築施工管理技士 建築学 鉄骨構造 練習問題
【 鉄骨構造 】
( 1 )
鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(令和4年前期_No.5)
1.圧縮材は、細長比が小さいものほど座屈しやすい。
2.軽量鉄骨構造に用いる軽量形鋼は、通常の形鋼に比べ、部材にねじれや局部座屈が生じやすい。
3.鉄骨構造の柱は、鉄筋コンクリート構造の柱に比べ、小さな断面で大きな荷重に耐えることができる。
4.大空間を必要とする建築物に用いる長大な梁は、軽量化を図るためにトラス梁とすることが多い。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
細長比とは、部材の細長さを示すもので、細長いものほど細長比が大きい。したがって、圧縮材は、細長比が大きいものほど、細長くなり、座屈しやすい。
2.◯
軽量鉄骨構造に用いる軽量形鋼は、通常の形鋼に比べて、厚みが小さく軽量に製造されており、強度が低いので、部材にねじれや局部座屈が生じやすい。
3.◯
鉄骨構造の骨組の部材は、鉄筋コンクリート構造の部材に比べて、部材の断面積当たりの強度が高く、小さな断面の部材で大きな荷重に耐えることが可能である。
4.◯
トラス構造とは、三角形を組み合わせた構成の構造形式で、比較的細い部材で、大きな空間をつくることができるという特徴がある。
( 2 )
鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(令和4年前期_No.6)
1.フィラープレートは、厚さの異なる板をボルト接合する際に、板厚の差による隙間を少なくするために設ける部材である。
2.添え板(スプライスプレート)は、梁のウェブの座屈防止のために設ける補強材である。
3.柱の形式には、形鋼等の単一材を用いた柱のほか、溶接組立箱形断面柱等の組立柱がある。
4.合成梁に用いる頭付きスタッドは、鉄骨梁と鉄筋コンクリート床スラブが一体となるように設ける部材である。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
フィラープレートとは、厚さの異なる板をボルト接合する際に、板厚の差による隙間を少なくするために挿入する板状の部材をいう。
2.×
添え板(スプライスプレート)は、柱や梁の高力ボルト接合に用いられる部材である。梁のウェブの座屈防止のために設ける補強材は、スチフナーである。
3.◯
鉄骨構造の柱の形式には、H形鋼等の形鋼の単一材を用いた柱のほか、溶接組立箱形断面柱等の組立柱がある。
4.◯
頭付きスタッドとは、鉄骨と鉄筋コンクリートで構成される合成梁において、鉄骨に対するコンクリートの付着性をよくするために設けられる部材である。
( 3 )
鉄骨構造の一般的な特徴に関する記述として、鉄筋コンクリート構造と比べた場合、最も不適当なものはどれか。(令和2年後期_No.5)
1.骨組の部材は、工場で加工し、現場で組み立てるため、工期を短縮しやすい。
2.骨組の部材は、強度が高いため、小さな断面の部材で大きな荷重に耐えることができる。
3.構造体は、剛性が大きく、振動障害が生じにくい。
4.同じ容積の建築物では、構造体の軽量化が図れる。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
鉄骨構造の骨組の部材は、工場で加工し、現場で組み立てるので、現場での加工が不要なため、工期を短縮しやすい。
2.◯
鉄骨構造の骨組の部材は、鉄筋コンクリート構造の部材に比べて、部材の断面積当たりの強度が高く、小さな断面の部材で大きな荷重に耐えることが可能である。
3.×
鉄骨構造の構造体は、鉄筋コンクリート構造の構造体に比べて、剛性が小さく、振動障害が発生しやすい。
4.◯
鉄骨構造の構造体は、鉄筋コンクリート構造に比べて、小さな断面の部材で大きな荷重に耐えることが可能なので、同じ容積の建築物では構造体の軽量化が可能である。
( 4 )
鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(令和2年後期_No.6)
1.ガセットプレートは、節点に集まる部材相互の接合のために設ける部材である。
2.添え板(スプライスプレート)は、梁のウェブの座屈防止のために設ける補強材である。
3.ダイアフラムは、柱と梁の接合部に設ける補強材である。
4.合成梁に用いる頭付きスタッドは、鉄骨梁と鉄筋コンクリート床スラブが一体となるように設ける部材である。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
ガセットプレートは、節点おける部材相互の接合に用いられる部材である。
2.×
添え板(スプライスプレート)は、柱や梁の継手の接合に用いられる部材である。梁のウェブの座屈防止のために設ける補強材は、スチフナーである。
3.◯
ダイアフラムは、柱と梁の接合部に設ける補強材である。
4.◯
頭付きスタッドとは、鉄骨と鉄筋コンクリート構成される合成梁において、鉄骨に対するコンクリートの付着性をよくするために設けられる部材である。
( 5 )
鉄骨構造の一般的な特徴に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(令和3年後期_No.5)
1.トラス構造は、比較的細い部材による三角形を組み合わせて構成し、大きな空間をつくることができる。
2.H形鋼の大梁に架けられる小梁には、大梁の横座屈を拘束する働きがある。
3.柱脚の形式には、露出形式、根巻き形式、埋込み形式がある。
4.鋼材は不燃材料であるため、骨組は十分な耐火性能を有する。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
トラス構造は、三角形を組み合わせた構成の構造形式で、比較的細い部材で大きな空間をつくることができるという特徴を有している。
2.◯
小梁は、大梁の座屈防止のため、また、スラブの荷重を分散して受けるために用いられる。
3.◯
柱脚の形式には、コンクリートに埋め込まない「露出形式」、根巻きコンクリートを建て込む「根巻き形式」、基礎コンクリートに埋め込む「埋込み形式」がある。
4.×
鋼材は不燃材料ではあるが、高温になると強度が低下し、骨組は十分な耐火性能を有していない。したがって、必要な耐火時間に応じた耐火被覆をする必要がある。
( 6 )
鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(令和3年後期_No.6)
1.ダイアフラムは、梁から柱へ応力を伝達するため、仕口部に設ける。
2.エンドタブは、溶接時に溶接線の始終端に取り付けられる。
3.丸鋼を用いる筋かいは、主に引張力に働く。
4.スチフナーは、ボルト接合の継手を構成するために、母材に添える。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
ダイアフラムとは、鉄骨構造の梁から柱へ応力を伝達するため、仕口部(部材の接合部分)に設ける補強材である。
2.◯
エンドタブとは、溶接時に溶接線の始端部、終端部に取り付けられる補助部材をいう。
3.◯
筋かいとは、柱と梁により構成される方形の構面に対角線状に入れる補強材のことをいう。鋼材は引張力に対抗する部材であり、丸鋼を用いる筋かいは、主に引張力に働く部材である。
4.×
設問は、スプライスプレートの説明である。スチフナーは、梁のウェブの座屈防止のために設けられる補強材のことである。
( 7 )
鉄骨構造の接合に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(令和3年前期_No.6)
1.高力ボルト接合の摩擦面には、ショットブラスト処理などによる一定の値以上のすべり係数が必要である。
2.隅肉溶接は、母材の端部を切り欠いて開先をとり、そこに溶着金属を盛り込んで溶接継目を形づくるものである。
3.応力を伝達させる主な溶接継目の形式は、完全溶込み溶接、部分溶込み溶接、隅肉溶接である。
4.溶接と高力ボルトを併用する継手で、高力ボルトを先に締め付ける場合は両方の許容耐力を加算してよい。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
すべり係数とは、摩擦接合面のすべりにくさを表す値で、値が大きいほどすべりにくいことを表す。高力ボルト接合は、接合面の摩擦力により圧力を伝達するので、ショットブラスト処理などによる一定の値以上のすべり係数が必要である。ショットブラスト処理とは、研磨剤の噴射により部材の表面をザラザラに加工する処置方法である。
2.×
母材の端部を切り欠いて開先をとり、そこに溶着金属を盛り込んで溶接継目を形づくる溶接は、突合せ溶接である。隅肉溶接とは、部材の入隅部に溶着金属を盛り込んで溶接継目を形づくる溶接をいう。
3.◯
鉄骨構造の接合における応力を伝達させる主な溶接継目の形式には、完全溶込み溶接、部分溶込み溶接、隅肉溶接がある。
4.◯
溶接と高力ボルトを併用する継手で、高力ボルトを先に締め付ける場合は両方の許容耐力を加算することができる。
( 8 )
鉄骨構造の接合に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(令和元年前期_No.6)
1. 完全溶込み溶接とは、溶接部の強度が母材と同等以上になるように全断面を完全に溶け込ませる溶接である。
2. 隅肉溶接とは、母材の隅部分を溶接する方法で、重ね継手には用いない。
3. 一定規模以下の建築物の構造耐力上主要な部分の接合を普通ボルト接合とする場合には、ボルトが緩まないようにナットを溶接したり二重にするなどの戻り止めの措置を講じる。
4. 支圧接合とは、ボルト軸部のせん断力と部材の支圧によって応力を伝える接合方法である。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
完全溶込み溶接とは、溶接部の強度が母材と同等以上になるよう、全断面を完全に溶け込ませる溶接をいい、突合せ継手などの溶接に用いられる。
2.×
隅肉溶接とは、母材の隅部分を溶接する方法で、重ね継手やT継手などの溶接に用いられる。
3.◯
建築基準法施行令第67条1項に次のように規定されている。「構造耐力上主要な部分である鋼材の接合は、接合される鋼材が炭素鋼であるときは高力ボルト接合、溶接接合若しくはリベット接合(構造耐力上主要な部分である継手又は仕口に係るリベット接合にあっては、添板リベット接合)又はこれらと同等以上の効力を有するものとして国土交通大臣の認定を受けた接合方法に、接合される鋼材がステンレス鋼であるときは高力ボルト接合若しくは溶接接合又はこれらと同等以上の効力を有するものとして国土交通大臣の認定を受けた接合方法に、それぞれよさなければならない。ただし、軒の高さが9m以下で、かつ、張り間が13m以下の建築物(延べ面積が3,000m2が超えるものを除く。)にあっては、ボルトが緩まないように次の各号のいずれかに該当する措置を講じたボルト接合によることができる。
一 当該ボルトをコンクリートで埋め込むこと。
二 当該ボルトに使用するナットの部分を溶接すること。
三 当該ボルトにナットを二重に使用すること。
四 前三号に掲げるもののほか、これらと同等以上の効力を有する戻り止めをすること。」
したがって、一定規模以下の建築物の構造耐力上主要な部分の接合を普通ボルト接合とする場合には、ボルトが緩まないようにナットを溶接したり、二重にするなどの戻り止めの措置を講じる必要がある。
4.◯
支圧接合とは、ボルト軸部のせん断力と部材の支圧によって、応力を伝える、ボルトによる鉄骨の接合方法をいう。
( 9 )
鉄骨構造の一般的な特徴に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(令和元年後期_No.5)
1.軽量鉄骨構造に用いる軽量形鋼は、通常の形鋼に比べて、部材にねじれや局部座屈が生じやすい。
2.鉄筋コンクリート構造に比べ、鉄骨構造の方が架構の変形能力が高い。
3.鋼材は不燃材料であるため、骨組は十分な耐火性能を有する。
4.鉄筋コンクリート構造に比べ、鉄骨構造の方が大スパンの建築物を構築できる。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
軽量鉄骨構造に用いる軽量形鋼は、通常の形鋼に比べて、厚みが小さく軽量に製造されており強度が低いので、部材にねじれや局部座屈が生じやすい。
2.◯
鉄骨構造は、鉄筋コンクリート構造に比べ、架構の変形能力が高い。
3.×
鋼材は不燃材料ではあるが、高温になると強度が低下し、骨組は十分な耐火性能を有しているとはいえない。したがって、断熱性のある材料で耐火被覆する必要がある。
4.◯
鉄骨構造は、鉄筋コンクリート構造に比べ、柱間隔(スパン)の大きな大スパンの建築物を構築することが可能である。
( 10 )
鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(令和元年後期_No.6)
1.丸鋼を用いる筋かいは、主に引張力に働く部材である。
2.スチフナーは、節点に集まる部材相互の接合に用いられる鋼板である。
3.エンドタブは、溶接時に溶接線の始終端に取り付けられる補助部材である。
4.裏当て金は、完全溶込み溶接を片面から行うために、溶接線に沿って開先ルート部の裏側に取り付けられる鋼板である。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
筋かいとは、柱と梁により構成される方形の構面に斜めに入れる補強材のことをいう。鋼材は引張力に対抗する部材で、丸鋼を用いる筋かいは、主に引張力に働く部材である。
2.×
節点に集まる部材相互の接合に用いられる鋼板はガセットプレートである。スチフナーとは、H形鋼の座屈防止のために用いられる鋼板をいう。
3.◯
エンドタブとは、溶接時に溶接線の始端部、終端部に取り付けられる補助部材をいう。
4.◯
裏当て金とは、完全溶込み溶接を片面から行うために、溶接線に沿って開先ルート部の裏側に取り付けられる鋼板をいう。なお、開先とは溶接しやすくするために部材に施す切り欠きをいい、ルート部とは開先の基部をいう。
( 11 )
鉄骨構造の一般的な特徴に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(平成30年前期_No.5)
1.圧縮材は、細長比が小さいものほど座屈しやすい。
2.柱脚の形式には、露出形式、根巻き形式、埋込み形式がある。
3.鉄筋コンクリ−ト構造に比べ、同じ容積の建築物では、構造体の軽量化が図れる。
4.トラス構造は、比較的細い部材で三角形を構成し、大きな空間をつくることができる構造である。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
座屈とは、細長い材の材軸方向に圧縮力が生じているとき、その力がある限界を超えると、その材が安定を失って曲がる現象をいう。また、細長比(λ)は次式で与えられる。
細長比(λ)= 座屈長さ(ℓk)/ 断面二次半径( i )
座屈長さが大きくなるほど、また、断面二次半径が小さくなるほど、細長比が大きくなる。すなわち、細長い圧縮材となり、細長比が大きいほど、座屈しやすい。
2.◯
鉄骨の柱脚の形式には、露出形式、根巻き形式、埋込み形式等がある。
3.◯
鉄筋コンクリ−ト構造に比べ、同じ容積の建築物では、構造体の軽量化が図れる。
4.◯
トラス構造は、比較的細い部材で三角形を構成し、大きな空間をつくることができる構造である。
( 12 )
鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(平成30年前期_No.6)
1.厚さの異なる板をボルト接合する際に設けるフィラープレートは、板厚の差によるすき間を少なくするために用いる。
2.柱と梁を接合する接合部に設けるダイアフラムは、梁のフランジ厚さと同じ板厚のものを用いる。
3.ボルト接合の際に部材間の応力を伝達するために設けるスプライスプレートは、母材に添えて用いる。
4.鉄骨梁と鉄筋コンクリート床版を一体とする合成梁に設ける頭付きスタッドは、梁へスタッド溶接して用いる。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
厚さの異なる板をボルト接合する際に設けるフィラープレートは、板厚の差によるすき間を少なくするために用いる。
2.×
柱と梁を接合する接合部に設けるダイアフラムは、梁のフランジ厚さの1サイズもしくは2サイズ以上厚いものを用いる。
(例)梁フランジ厚 ダイアフラムの板厚
19(16< t ≦ 19)→ 22mm(1サイズアップ)
又は
25mm(2サイズアップ)
3.◯
スプライスプレートは、ボルト接合の際に部材間の応力を伝達するために用いられ、母材に添えて用いるので添え板ともいわれる。高力ボルト接合による摩擦接合の場合は、所定の摩擦力が必要である。
4.◯
頭付きスタッドとは、鉄骨梁と鉄筋コンクリート床版を一体とする合成梁において、鉄骨に対するコンクリートの付着性をよくするために設ける。
( 13 )
鉄骨構造の接合に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(平成30年後期_No.6)
1. 高力ボルト摩擦接合は、高力ボルトで継手部材を締め付け、部材間に生じる摩擦力によって応力を伝達する接合法である。
2. 普通ボルトを接合に用いる建築物は、延べ面積、軒の高さ、張り間について、規模の制限がある。
3. 溶接と高力ボルトを併用する継手で、高力ボルトを先に締め付ける場合は両方の許容耐力を加算してよい。
4. 隅肉溶接は、母材の端部を切り欠いて開先をとり、そこに溶着金属を盛り込んで溶接継目を形づくるものである。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
高力ボルト摩擦接合は、高力ボルトで継手部材を締め付け、部材間に生じる摩擦力によって応力を伝達する接合法である。
2.◯
普通ボルトを接合に用いる建築物は、延べ面積、軒の高さ、張り間について、建築基準法施行令第67条1項に規模の制限がある。軒の高さが 9m以下で、かつ、張り間13m以下の建築物(延べ面積が3,000m2を超えるものを除く)にあっては、ボルトが緩まないように所定の措置を講じれば使用することができる。
3.◯
溶接と高力ボルトを併用する継手で、高力ボルトを先に締め付ける場合は両方の許容耐力を加算することができる。
4.×
母材の端部を切り欠いて開先をとり、そこに溶着金属を盛り込んで溶接継目を形づくる溶接は、突合せ溶接である。隅肉溶接とは、部材の入隅部に溶着金属を盛り込んで溶接継目を形づくる溶接をいう。
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