学科試験問題 [ No.36 ]〜[ No.50 ] 解答・解説
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ロ.受検種別「建築」「躯体」
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※ 問題番号[ No.36 ]〜[ No.50 ]までの 15 問題のうちから6問題を選択し、解答してください。
[ No. 36 ]
やり方及び墨出しに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 地墨は、平面の位置を示すために床面に付ける墨である。
2. やり方は、建物の高低、位置、方向、心の基準を明確にするために設ける。
3. 検査用鋼製巻尺は、その工事現場専用の基準の巻尺を使用する。
4. 陸墨は 垂直を示すために壁面に付ける墨である。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
地墨とは、平面の位置を示すため、床面に直に付ける墨のことである。
2.◯
やり方は、建物物の位置及び水平の基準を明確にするために設ける。
3.◯
工事現場における検査・計量管理用に使用する巻尺は鋼製とし、現場専用のものとする。
4.×
陸墨とは 水平を示す墨であり壁面などに付ける。天井、床仕上及び開口部高さ等の基準となる。
[ No. 37 ]
次の項目のうち、標準貫入試験のN 値から推定できないものはどれか。
1. 粘性土における一軸圧縮強さ
2. 粘性土におけるせん断抵抗角(内部摩擦角)
3. 砂質土における相対密度
4. 砂質土における液状化強度
答え
2
[ 解答解説 ]
標準貫入試験のN値から推定される項目は、砂質土においては、相対密度、変形係数、動的性質、内部摩擦角、液状化判定等がある。粘性土においては、硬軟の程度、一軸圧縮強度等がある。粘性土の内部摩擦角は推定できない。
[ No. 38 ]
平板載荷試験に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 試験で求められる支持力特性は、載荷板直径の5倍程度の深さの地盤が対象となる。
2. 載荷板の沈下量を測定するための変位計は、4箇所以上設置する。
3. 試験地盤面は、載荷板の中心から1m 以上の範囲を水平に整地する。
4. 試験地盤に載荷板の直径の 1/5を超える礫が混入する場合、より大型の載荷板に変更する。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
試験により求められる支持力特性は、載荷幅の1.5 〜2倍程度の深さまでである。(直径30cmの載荷板の場合は、45〜60cm程度の深さまでとなる。)
2.◯
変位計は、4個以上を載荷板端部に等間隔に配置し、載荷板の変位を測定できるように載荷板に垂直に設置する。
3.◯
試験地盤面は、載荷板の中心から載荷板直径の3倍以上の範囲を水平に整地する。載荷板は直径30cm以上のものが標準であるため、1m以上の範囲を水平に整地する。
4.◯
載荷板寸法に対して、粒径の大きな礫が混入する場合、載荷の進行に伴い、傾斜により載荷面に対して荷重を鉛直に作用させることが難しくなるため、より大型の載荷板に変更する方がよい。
[ No. 39 ]
根切り及び山留め工法に関する一般的な記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 法付けオープンカット工法は、山留め支保工が不要であり、地下躯体の施工性がよい。
2. 水平切梁工法は、敷地に大きな高低差がある場合には適していない。
3. トレンチカット工法は、根切りする部分が狭い場合に適している。
4. アイランド工法は、根切りする部分が広く浅い場合に適している。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
法付けオープンカット工法は、周囲に安全な勾配の法面を設け、その安定を保ちながら根切りする方法である。山留め支保工が不要となるため、地下躯体施工の作業性がよい。
2.◯
水平切梁工法は、山留め壁に作用する側圧を切張り・腹起こしなどの山留め支保工で支持して掘削を進める工法である。掘削平面が不整形な場合、大スパンの場合、敷地に大きな高低差がある場合は採用が難しい。
3.×
トレンチカット工法は、山留め壁を根切り場周囲に2重に設け、その間を溝掘りし、外周部の地下躯体を構築した後、この躯体で支えながら内部の根切り、地下躯体の築造を行う工法である。根切りする部分が広くで浅い場合に適用される。
4.◯
アイランド工法は、山留め壁が自立でるだけの法面を根切り場内周囲に残し、中央部を先行して根切りし、地下躯体を構築した後、外周法面の根切り、残りの地下躯体を構築する工法である。根切りする部分が広く浅い場合に適用される。
[ No. 40 ]
地業工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 砂地業に用いる砂は、締固めが困難にならないように、シルトなどの泥分が多量に混入したものを避ける。
2. 砂利地業に用いる再生クラッシャランは、コンクリート塊を破砕したものであり、品質のばらつきが少ない。
3. 砂利地業において層厚が厚い場合の締固めは、2層以上に分けて行う。
4. 捨てコンクリート地業は、掘削底面の安定化や、基礎スラブ及び基礎梁のコンクリートの流出等を防ぐために行う。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
シルト等の泥分が多量に混入している砂は、締固めが困難となるので、使用してはならない。また、草木根、木片等の有機物が含まれていない砂を使用する。
2.×
再生砕石(再生クラッシャラン)は、建設副産物であるコンクリート塊を破砕したものであり、品質にばらつきがある。使用箇所によっては、強度、吸水率等を確認して使用する必要がある。
3.◯
砂利地業において、厚さが300mmを超えるときは、300mmごとに締固めを行う。
4.◯
捨てコンクリート地業の目的は、@この上に墨出しを行い型枠等を正確に設置するため、A鉄筋の組立てを正確に行うため、B基礎底面を平らにするためである。
[ No. 41 ]
鉄筋の加工及び組立てに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 鉄筋の種類と径が同じ帯筋とあばら筋は、折曲げ内法直径の最小値は同じである。
2. 大梁の幅止め筋は、組立て用鉄筋であるが、かぶり厚さを確保できるよう加工する。
3. 鉄筋の折曲げ加工は、常温で行う。
4. 鉄筋相互のあきの最小寸法は、鉄筋の強度によって決まる。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
鉄筋の折曲げ内法直径の最小値は、鉄筋の種類と径によって決まる。
2.◯
組立て用鉄筋であっても、かぶり厚さの確保は必要である。
3.◯
鉄筋の加工に安易に溶接を用いると、アンダーカット、急冷により材質に悪影響があるので、常温で加工を行う。
4.×
鉄筋のあき・間隔の最小寸法は、鉄筋の径と粗骨材の最大寸法によって決まる。鉄筋のあきは、鉄筋とコンクリートの付着による応力の伝達が十分に行われ、かつコンクリートが分離することなく密実に打ち込まれるよう過小であってはならない。
[ No. 42 ]
異形鉄筋の継手及び定着に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 直線重ね継手の長さは、同じ径であっても、鉄筋の種類によって異なる場合がある。
2. フック付き重ね継手の長さは、フックの折曲げ角度によって異なる。
3. 小梁の主筋の定着長さは、上端筋の方を下端筋より長くする。
4. 帯筋に用いるD13の鉄筋を現場で溶接継手とする場合は、フレア溶接とする。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
直線重ね継手の長さは、鉄筋の種類及び径とコンクリートの設計基準強度によって異なる。
2.×
フック付き重ね継手の長さは、鉄筋の種類及び径とコンクリートの設計基準強度によって異なる。
3.◯
小梁の主筋の定着長さは、地震時の応力をほとんど無視できることから、下端筋の方が上端筋より短くてよい。
4.◯
D16以下の細径鉄筋に対する溶接は、重ねアーク溶接(フレア溶接)とする。フレア溶接継手は、鉄筋どうし又は鋼材を重ね合わせて、その重ねた部分にできる開先部分を溶接する方法である。
[ No. 43 ]
支柱にパイプサポートを使用した型枠支保工に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 支柱を継ぐときの本数は、2本までとした。
2. 支柱の継手は、差込み継手とした。
3. 上下階の支柱は、できるだけ平面上の同一位置になるように設置した。
4. 軽量型支保梁を受ける梁型枠の支柱は、梁型枠下の中央に1列で設置した。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
パイプサポートを3以上継いで用いないこと。(労働安全衛生規則第242条第1項第七号イ)
2.◯
支柱の継手は、突合わせ継手又は差込み継手とすること。(労働安全衛生規則第242条第1項第三号)
3.◯
上下階の支柱が同一位置にないと、強度が十分発現していないコンクリートスラブに悪影響を与えることになるので、できるだけ同じ位置に支柱を配置する。
4.×
軽量型支保梁は、両端の梁スラブ型枠により支持されているものであり、中間の下弦材等を支柱で支えるような方法による補強を行わない。打設時にたわむことを考慮してむくりを検討する。
[ No. 44 ]
コンクリートの調合に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 普通ポルトランドセメントと高炉セメントB種の水セメント比の最大値は同じである。
2. 細骨材率が大きすぎると、流動性の悪いコンクリートとなる。
3. スランプは、荷卸し地点における値を指定する。
4. 空気量が多くなると、圧縮強度の低下や乾燥収縮率の増加をもたらす。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
計画供用期間の級が短期・標準・長期における、普通ポルトランドセメントの水セメント比の最大値は65%であり、高炉セメントB種の水セメント比の最大は60%である。
2.◯
細骨材率が大きすぎる場合は、単位セメント量及び単位水量を大きくする必要があり、また、流動性の悪いコンクリートとなる。一方、細骨材率が小さすぎる場合は、がさがさのコンクリートとなり、スランプの大きいコンクリートでは、粗骨材とモルタルとが分離しやすくなる。
3.◯
スランプは、荷卸し時を基準とする。また、打込み箇所において、打込み・締固めが十分に行えるワーカビリティーの指標ともなっている。
4.◯
コンクリートの単位水量は、連行空気量の増加に伴い減じることができるが、空気量が6%程度以上になると、それ以上空気量を増やしてもフレッシュコンクリートの品質はそれほど改善されなくなり、逆に硬化後の圧縮強度の低下及び乾燥収縮率の増加をもたらす。
[ No. 45 ]
コンクリートの打込み等に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. スラブの付いたせいの高い梁の打込みは、梁とスラブを連続して行った。
2. 柱へのコンクリートの打込みは 縦形シュートを挿入して行った。
3. コンクリートの鉛直打継ぎ部は、梁やスラブの場合、スパンの中央付近に設けた。
4. 棒形振動機の先端を、先に打ち込んだコンクリートの層に届くように挿入した。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
スラブの付いた、せいの高い梁は、スラブと一緒に打ち込まず、梁だけ先に打ち込む。
2.◯
高い柱に打ち込む場合は、最上部から縦形シュートが使用できるときはこれを利用して、常に打上げ面近くでコンクリートを放出する。
3.◯
梁やスラブ及び屋根スラブの鉛直打継ぎ部は、スパンの中央又は端から1/4付近に設ける。
4.◯
棒形振動機の長さは、60〜80cmであるので、1層の打込み厚さはそれ以下にする。振動機の先端を先に打ち込んだコンクリートの層に入れるのは、コールドジョイントを防止するためである。
[ No. 46 ]
コンクリートの養生に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 初期の湿潤養生の期間が短いほど、中性化が早く進行する。
2. コンクリートの打込み後、少なくとも1日間はその上で歩行又は作業をしないようにする。
3. 高炉セメントB 種を用いたコンクリートの材齢による湿潤養生期間は、普通ポルトランドセメントの場合より長くする。
4. コンクリート打込み後の養生温度が高いほど、長期材齢における強度増進が大きくなる。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
初期の湿潤養生の期間が短いほど、かつ水和速度の遅いセメントほど中性化が早く進行する。
2.◯
コンクリートの打込み後、少なくとも1日間はその上で作業をしてはならない。やむを得ず歩行したり作業を行ったりする必要がある場合は、乾燥、振動や過大な荷重を与えないよう、適切な養生を行い、なるべく静かに作業する。
3.◯
湿潤養生の期間は、計画供用期間の級が短期及び標準の場合は、普通ポルトランドセメントが5日以上、高炉セメントB種が7日以上であり、長期及び超長期の場合は、普通ポルトランドセメントが7日以上、高炉セメントB種が10日以上である。高炉セメントB種の方が湿潤養生期間は長くなる。
4.×
コンクリート打込み後の養生期間中の温度が過度に低いと強度発現が著しく遅れる。また、過度に高いと温度ひび割れの発生を誘発したり、長期材例における強度増進が小さくなる。
[ No. 47 ]
鉄骨の加工等に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 部材を加工、組立てする際に、固定したり、拘束したりするためにジグが用いられる。
2. 曲げ加工を加熱加工とする場合は、赤熱状態で行ってはならない。
3. 高力ボルト接合における摩擦面には、ディスクグラインダー掛けによるへこみなどがないようにする。
4. ひずみの矯正を常温加圧で行う場合は、プレスあるいはローラー等を使用する。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
組立では作業に適した定盤や治具を用い、部材相互の位置及び角度を正確に保つようにして行う。
2.×
曲げ加工は、常温加工又は加熱加工とする。加熱加工の場合は、赤熱状態(850〜900℃)で行い、青熱ぜい性域(200〜400℃)で行ってはならない。
3.◯
高力ボルト接合における摩擦面の処理について、ディスクグラインダー掛けを行う場合、ボルト孔周辺がへこまないように注意する。
4.◯
加工中に発生したひずみは、そのひずみ量が定められた製品精度を確保できない場合には、常温加圧もしくは加熱で矯正する。常温加圧で矯正する場合は、プレスあるいはローラー等を使用する。
[ No. 48 ]
鉄骨の建方に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 接合部のボルト孔が合わない場合、ドリフトピン等を用いてボルト孔を一致させる。
2. 溶接継手におけるエレクションピースに使用する仮ボルトには、普通ボルトを使用して全数締め付ける。
3. 建入れ直しを行ったものは、高力ボルト接合の場合、速やかに本締めを行う。
4. 鉄骨建方が長期間にわたる場合、気候が変わるため、建入れ直しに用いる測定器の温度補正を行う。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
ドリフトピンは、接合部のボルト孔が合わない場合に、ボルト孔に打ち込んで一致させるために使用する。
2.×
溶接継手におけるエレクションピース等に使用する仮ボルトは、高力ボルトを使用して全数締め付ける。
3.◯
建入れ直しを行った者は、高力ボルト接合の場合、速やかに本締めを行い、建方精度を確保する。
4.◯
鉄骨は気温によって伸縮が発生する。建方が長期間にわたる場合は、外気温を考慮し、測定器の温度補正が必要である。
[ No. 49 ]
在来軸組構法における木工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 筋かいにより引張力が生じる柱の脚部近くの土台には、柱心より 150 mm の位置にアンカーボルトを設置した。
2. 柱に使用する心持ち材には、干割れ防止のため、見え隠れ部分へ背割りを入れた。
3. 根太の継手は、大引の心で突付け継ぎとし、釘打ちとした。
4. 洋式小屋組における真束と棟木の取合いは、棟木が真束より小さかったので、長ほぞ差し割くさび締めとした。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
アンカーボルトの設置は、柱心から200mm以内の位置、土台切れの箇所や土台継手、仕口箇所の端部、その他間隔 2.0程度に配置することが望ましい。
2.◯
木は、木裏と木表があり、収縮率が異なる。そのため、そのまま使用すると割れることが多い。干割れを防止するには、あらかじめ見え隠れ部分に背割りを入れる。
3.◯
根太の継手位置は、大引等の受け材の心として、突き付け継ぎ、釘打ちとする。
4.×
真束と棟木の取合いは、棟木が真束と同寸以上の場合は、長ほぞ差し割くさび締めとする。棟木が真束より小さい場合は、和薙(わなぎ)ほぞ差し割くさび締めとする。
[ No. 50 ]
市街地における、鉄筋コンクリート造の建築物の躯体の圧砕機による地上解体工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. コンクリート片の飛散防止や騒音防止のため、防音パネルを取り付けた。
2. 最初に作業開始面の外壁を解体し、オペレーターが建物の各部材に対応できる視界を確保した。
3. 各階の解体は、外周部を先行して解体し、中央部分を最後に解体した。
4. 解体時に発生する粉じんの飛散を防止するため、充分な散水をした。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
騒音・防塵等の対策として、防音パネルをすき間なく取り付けることや、防音シートをジョイントの重ねと結束を十分に施し設置することなどがある。
2.◯
最初に作業開始面の外壁を解体し、躯体の安定性等を常に確認しながら作業を進める。
3.×
解体は、まず作業開始面の外壁を1面解体し、躯体外周部をコの字型に残し、中央部分を先行して解体する。外周部を自立状態にする場合は、その高さは2層以下とし、安全性を確認する。
4.◯
ブレーカー、穿孔機、破砕機、圧砕機等による粉塵発生部には、常時散水を行う。
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