学科試験問題 [ No.01 ] 〜[ No.14 ] 解答・解説
平成 29年6月11日(日)
※ 問題番号[ No.1 ]〜[ No.14 ]までの 14 問題のうちから9問題を選択し、解答してください。
[ No. 1 ]
冬季暖房時における外壁の室内側表面の結露を防止するための対策として、最も不適当なものはどれか。
1. 壁体に熱貫流抵抗の小さい材料を用いる。
2. 室内の水蒸気の発生を抑制する。
3. 室内側表面に近い空気を流動させる。
4. 室内より絶対湿度の低い外気との換気を行う。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
壁体の結露防止対策としては、熱貫流抵抗の大きい(熱貫流率の小さい)材料を用いる。
2.◯
結露の原因となる水蒸気の発生を極力抑制する。
3.◯
室内側の壁際の空気は温度が低くなるので、結露温度を下げないよう冷えた空気を流動対流させる。
4.◯
絶対湿度の低い外気との換気することによって、水蒸気量を減らすことは、結露防止に有効である。
[ No. 2 ]
吸音に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 合板や石こうボードと剛壁の間に空気層があるとき、主に低音域の音を吸音する。
2. コンクリート打放し壁などの剛壁は、主に低音域から中音域の音を吸音する。
3. 有孔板と剛壁の間に空気層があるとき、主に中音域の音を吸音する。
4. グラスウールなどの多孔質材料は、主に高音域の音を吸音する。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
質量の大きな剛壁と合板やせっこうボードとの間に空気層を設けると、主に低音域の音を吸音する。
2.×
コンクリート打放し壁などの剛壁のみでは、高音域の音を吸音する。
3.◯
剛壁と有孔板との組合せは、主に中音域の音を吸音する。
4.◯
主に高音域の音を吸音するために、グラスウールなどの多孔質材料を用いる。
[ No. 3 ]
色に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 実際の距離よりも遠くに見える色を後退色、近くに見える色を進出色という。
2. 一般に明度、彩度が高いほどはでに感じられる。
3. 純色とは、各色相の中で最も明度の高い色をいう。
4. 無彩色とは、色味をもたない明度だけをもつ色をいう。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
青色などの寒色系の色は、収縮したり後退しているように見え、赤や黄などの暖色系の色は膨張したり、進出しているように見える。
2.◯
明度(明るさ)や彩度(鮮やかさ)が高い色ははでに感じられる。
3.×
純色とは、各色相の中で最も彩度の高い色をいう。
4.◯
白、灰、黒などの色相(色味)をもたない色(無彩色)は、明度だけをもつ。
[ No. 4 ]
木造在来軸組構法に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 圧縮力を負担する木材の筋かいは、厚さ3 cm 以上で、幅9 cm 以上とする。
2. 筋かいを入れた軸組は、地震力などの水平荷重に対して、建築物にねじれが生じないようにつり合いよく配置する。
3. 筋かいの端部は、柱と梁その他の横架材との仕口に接近して、ボルト、かすがい、くぎその他の金物で緊結する。
4. 構造耐力上必要な筋かいを入れた軸組の長さは、各階の床面積が同じならば、2階の方が1階より大きな値となる。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
筋かいが木材の場合、圧縮筋かいは厚さ3cm以上× 幅9cm以上、引張り筋かいは、厚さ1.5cm以上 × 幅9cm以上とする。
2.◯
筋かいを入れた軸組(≒ 耐力壁)はつい合いよく配置し、建築物にねじれが生じないようにすると同時に、上下階でのせん断力が支障なく伝達されるよう上下階の耐力壁線をそろえるなど、立体的なつり合いにも配慮する。
3.◯
筋かいは、その端部を柱と梁その他の横架材との仕口に接近して、ボルト、かすがい、釘その他の金物で緊結しなければならない。
4.×
建築物に作用する地震力は、2階より1階の方が大きい。したがって、筋かいを入れた軸組の長さの総計は、床面積が同じならば、1階の方が大きい値となる。
[ No. 5 ]
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. D32の異形鉄筋の継手には、重ね継手を用いてはならない。
2. 柱の出隅部の主筋には、末端部にフックを付ける。
3. 柱の帯筋比は、0.2%以上とする。
4. 梁の幅止め筋は、腹筋間に架け渡し、あばら筋の振れ止め及びはらみ止めの働きをする。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
継手には、重ね継手、ガス圧接継手、溶接継手などがあるが、それぞれの継手の仕様規定を満足していれば、どの継手を用いてもよい。
2.◯
鉄筋の末端は、かぎ状に折曲げ(フック)て、コンクリートから抜け出ないように定着しなければならない。ただし、柱及び梁の出隅部分と煙突部分以外の部分に使用する異形鉄筋にあっては、その端部を折り曲げないことができる。(建築基準法施行令第73条第1項)
3.◯
柱の帯筋比とは、柱の軸を含むコンクリートの断面積に対する帯筋の断面積の和の割合として、国土交通大臣が定める方法により算出した数値をいう。柱の帯筋比は、0.2%以上とすることが定められている。(建築基準法施行令第77条第四号)
4.◯
梁せいが大きくなると配筋がゆれて不安定になったり、はらんでしまうことがある。これらを防止するため、腹筋(腹鉄筋)や幅止め筋を配置し、配筋全体の安定化を図る。
[ No. 6 ]
鉄骨構造の接合に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 高力ボルト接合の形式には、摩擦接合、引張接合、支圧接合などがあり、このうち摩擦接合が多く用いられる。
2. 高力ボルト接合の摩擦面には、赤さびの発生などによる一定の値以上のすべり係数が必要である。
3. 完全溶込み溶接は、溶接部の強度が母材と同等になるように全断面を完全に溶け込ませる溶接である。
4. 隅肉溶接の有効長さは、隅肉溶接の始端から終端までの長さである。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
摩擦接合は、高力ボルトを大きな力で締め付けて得られた材間圧縮力による摩擦抵抗を利用した接合方法で、多く用いられている。引張接合は、大きな材間圧縮力で打ち消し合う形で、ボルトの軸方向の応力を伝達する方法である。支圧接合は、ボルト軸に垂直な方向の応力を、ボルト軸とボルト孔壁との間の支圧力及びボルト軸部のせん断力によって伝達させる方法である。
2.◯
設問のとおりである。赤さびの発生などによるすべり係数は0.45、溶融亜鉛めっき面のすべり係数は0.4である。
3.◯
完全溶込み溶接は、部材の全厚にわたって完全な溶け込みを得て、全種類の応力を母材と同時に負担するものである。
4.×
隅肉溶接は、ほぼ直交する2つの面を接合する三角形状に断面をした溶接方法。溶接長さは、溶接始終端の欠陥が生じやすい部分の長さを隅肉サイズの寸法程度と考え、有効長さに隅肉サイズの2倍を加えたものとする。
[ No. 7 ]
基礎等に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 杭基礎は、一般に直接基礎で建物自体の荷重を支えられない場合に用いられる。
2. 杭は、支持形式による分類から大別して、支持杭と摩擦杭がある。
3. 同一建築物に杭基礎と直接基礎など異種の基礎を併用することは、なるべく避ける。
4. 直接基礎の鉛直支持力は、基礎スラブの根入れ深さが深くなるほど小さくなる。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
杭基礎は、一般的に地盤が軟弱で支持層が深い位置にあり、直接基礎では建物を十分支持できない場合に用いられる。
2.◯
杭は、軟弱地盤を貫いて硬い層まで到達し、主としてその先端抵抗で支持させる支持杭と、大部分を杭周面の摩擦力によって支持させる摩擦杭がある。
3.◯
基礎は、それぞれ特性が異なるので、安易に混用して用いることは避ける。併用するには、十分な安全検証を行う必要がある。
4.×
直接基礎の鉛直支持力は、基礎スラブの根入れ深さが深くなるほとど大きくなる。
[ No. 8 ]
構造材料の力学的性質に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 一定の大きさの持続荷重によって、ひずみが時間とともに増大する現象をクリープという。
2. 弾性体の応力度 σ とひずみ度 ε との比( σ/ε )をポアソン比という。
3. 細長い材の材軸方向に圧縮力が生じているとき、その力がある限界を超えると、その材が急に横へ曲がり出す現象を座屈という。
4. 物体に外力を加えて変形した後に、外力を除いても、変形が残る性質を塑性という。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
一定の荷重が断続的に載荷されたとき、変形(ひずみ)が時間の経過とともに増す現象をクリープという。木材やコンクリートで、常温でこの現象がみえられる。鋼では高温状態でないと見られない。
2.×
ポアソン比とは、横のひずみ度ε1を縦のひずみ度εで除した値をいう。 −ε1/ε= 1/m のmをポアソン数といい、材料によって一定である。応力度のσとひずみ度εの比σ/εのことをヤング係数という。
3.◯
設問のとおりである。座屈は材の長さや材の固定状態によって、座屈する荷重は異なる。材の長さが長いほど、固定度が弱いほど、座屈する荷重は小さくなる。(→小さい荷重で、座屈する)
4.◯
応力度 ─ ひずみ曲線において、弾性限度を超えて変形が残る性質を塑性という。
[ No. 9 ]
図に示す単純梁の左側半分に等分布荷重w が作用するとき、梁の中央部C 点に生ずる 曲げモーメントM とせん断力Q の大きさの組合せとして、正しいものはどれか。
1. M = 8 kN・m、Q = 2 kN
2. M = 8 kN・m、Q = 4 kN
3. M = 16 kN・m、Q = 2 kN
4. M = 16 kN・m、Q = 4 kN
答え
1
[ 解答解説 ]
@等分布荷重を集中荷重に置き換える。
W = w1 = 2 kN/m × 4m = 8 kN
A垂直反力 VA、VBを求める。
ΣMA = 0より
+( 8kN × 2m) − (VB × 8m )=0
VB = 2kN(上向き)
VA + VB = 8kN より VA = 6kN(上向き)
BC点に生ずる曲げモーメントMを求める。(C点から右側の外力によるモーメントの和)
M = 2kN × 4m = 8kN
CC点に生ずるせん断力Qを求める。(C点から右側の外力の和)
Q = 2kN
よって、正答は 1 である。
[ No. 10 ]
図に示すラーメンに等分布荷重w が作用するときの曲げモーメント図として、正しいものはどれか。ただし、曲げモーメントは材の引張側に描くものとする。
答え
2
[ 解答解説 ]
梁は真ん中がたわんで下がるので、梁の下側が伸びる。
ポイントは右の柱の柱脚部が滑り支点(ローラー)となっているところである。
水平方向(X方向)には力が働かない。→ 柱にはモーメントが発生しない。
ということである。
ちなみに、右側の柱の柱脚も固定であれば、モーメント図は1となる。
[ No. 11 ]
コンクリートに関する一般的な記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 普通コンクリートの単位容積質量は、約 2.3 t/m3 である。
2. 単位水量が大きくなると、コンクリートの乾燥収縮が大きくなる。
3. コンクリートの耐久性は、水セメント比が小さくなるほど向上する。
4. コンクリートの引張強度は、圧縮強度の1/5 程度である。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
普通コンクリートの単位容積質量は、約 2.3 t/m3 である。
2.◯
単位水量は、水和熱及び乾燥収縮によるひび割れを防止するため、できるだけ小さくすることが望ましい。単位水量が大きくなると、コンクリートの乾燥収縮が大きくなり、ひび割れが発生しやすい。
3.◯
水セメント比が小さくなる(セメント量が多くなる)と、コンクリートの耐久性は向上する。
4.×
コンクリートの設計基準強度をF(N/mm2)とすると、圧縮強度はF、引張強度はF/10である。(建築基準法施行令第97条)
[ No. 12 ]
木材に関する一般的な記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 木材の強度は、繊維飽和点以上では、含水率が変化してもほぼ一定である。
2. 木材の熱伝導率は、密度の小さいものほど小さい。
3. 木材の辺材部分は、心材部分に比べて乾燥にともなう収縮が小さい。
4. 木材の曲り、ねじれ及び反りは、一般に広葉樹の方が針葉樹に比べ大きい。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
木材の強度は、繊維飽和点(気乾状態)以上では、含水率が変化してもほぼ一定である。日本の気乾含水率の平均値は、15%である。
2.◯
木材は、細胞腔内、細胞間に多くの空隙があるのでで熱伝導率は小さい。空隙の多い密度の小さいものの方が熱伝導率は小さい。
3.×
木材の辺材部分は、心材部分に比べて、含水率が高い。そのため、辺材部分は心材部分に比べて乾燥収縮が大きい。
4.◯
広葉樹に比較して針葉樹の方が空隙が多い。そのため、広葉樹の方が乾燥収縮も大きくなり、曲り、ねじれ及び反りが大きくなる。
[ No. 13 ]
日本工業規格(JIS)に規定するセラミックタイルに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 素地は、タイルの主体をなす部分をいい、施ゆうタイルの場合、表面に施したうわぐすりを含む。
2. ユニットタイルは、施工しやすいように多数個のタイルを並べて連結したものをいう。
3. タイルの吸水率による種類は、㈵類、㈼類、㈽類に区分される。
4. セラミックタイルは、粘土又はその他の無機質材料を成形し、高温で焼成した、厚さ40 mm 未満の板状の不燃材料をいう。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
素地は、タイルの主体をなす部分をいい、施ゆうタイルの場合、表面に施したうわぐすりを省いた部分をいう。
2.◯
設問のとおりである。デザインタイルや小口の外装壁タイル、100角、150角程度の小型の外装床、内装床及び内装壁タイルもユニットタイルとして用いられる場合が多い。
3.◯
タイルの吸水率は、T類が吸水率 3.0%以下、U類が10.0%以下、V類が50.0%以下と規定されている。
4.◯
セラミックタイルは、陶磁器質タイルのことをいう。粘土又はその他の無機質材料を成形し、高温で焼成した厚さ40mm未満の板状の不燃材料である。
[ No. 14 ]
シーリング材の特徴に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. ポリサルファイド系シーリング材は、表面の仕上塗材や塗料を変色させることがある。
2. シリコーン系シーリング材は、表面への塗料の付着性が悪い。
3. エマルションタイプアクリル系シーリング材は、0℃以下での施工は避ける。
4. 変成シリコーン系シーリング材は、耐熱性及び耐寒性が良好で、ガラス越しの耐光接着性に優れている。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
ポリサルファイド系シーリング材は、表面仕上げを軟化・変色させることがある。また、ムーブメントが大きい目地には好ましくない。
2.◯
シリコーン系シーリング材は、表面への塗料の付着性が悪いが、耐候性、耐熱性、耐寒性及び耐久性に優れている。
3.◯
エマルションタイプアクリル系シーリング材は、硬化すると弾性体になり、湿った場所にも使用できる。塗装もできるが、施工は0℃以下では行わない。
4.×
変成シリコーン系シーリング材は、ガラス越しの耐光接着性が劣るため、ガラス面には向かない。
-
no image
-
no image
-
no image