2018年06月07日
変態性癖と脳内機能障害
要因.7)脳機能のバランスの不均衡
現代人は物事を論理的に数理的に情報処理することが求められるため、大脳新皮質や
論理脳の左脳を酷使ししがちである。この大脳新皮質は今のべた働きを行うほかに、
原始的な働きである感情や欲求を抑制する働きもある。この時、常に大脳新皮質のみを、または左脳のみを稼働させていると脳の働きにひづみが生じ、
恒常性を確保するため感覚脳である右脳や欲求発現脳である大脳辺縁系や視床下部などが自動的に働き出すことが考えられる。
バランスの働きを担当している場所は欲求や感情を受け持つ脳(視床下部、下垂体、大脳辺縁系、
視床と考えられる。なぜなら、脳にはフィードバック機構やホメオシタシス(恒常性機能)によって興奮と抑制との
二つの方法によって常にある領域内にあるように体内環境を保つ仕組みとなっているからだ。
したがって、新皮質や左脳の働き過ぎとのバランスをとるために感覚系を司る
右脳や原始本能脳が自動的に働き出すことが十分考えられる。
自律神経で例えるなら、体温もある域値内にあるように、暑くなれば汗をかく。体内体液バランス
を保つためにのども渇き水分を欲するが水分を十分補給すれば、その欲求は消失する。
食べ物も食べるだけ食べれば食べたくなくなり、時間が経過すれば食欲がまた再開する。
じっとしていればまた動きたくなる。このように生物として個体を維持し活性を保つためには
生理的な欲求が必要となる。これらのように欲求というものは、そのほとんどは反復的であり、
自分で意識しなくても自動的に行われるものである。また、欲求達成時は快感が伴うことが分かる。
変態欲求は人間の心理的側面から生じるとほとんどの人が考えるだろうが、
その欲求の根底にあるものは、無意識化された生物学的な性欲という生理的欲求であると考えられる。
要因.8).強迫神経症から生じた反倫理的欲求
神経症に強迫性障害があるが、この病気の特徴は、自分の意志や思考と逆の衝動に
駆られて、その衝動をうち消すことが自分の意志や思考ではできない。また、
それらの衝動やイメージが何度も繰り返かえされて、頭から離れないという症状である。
この病気は、大脳新皮質から投射されているセロトニン作動性神経や物質等の制御系の神経の不活性、大脳辺縁系、尾状核における
セロトニン作動性神経の制御異常、興奮性ドーパミン作動性神経の過剰活動、などと考えられている。
神経の異常活動や神経伝達物質の異常が主な原因といわれている。
その中で、強迫性障害の症状の中に、異常性癖の衝動に大変似た症状を示す者が存在する。
(倫理に反したサディステックや背徳的性衝動に駆られ、自分の意志に反した衝動に刈られる)
というものがある。このような患者には(SSRI:選択的セロトニン阻害剤)という薬が有効との報告がある。
この薬は主にうつ病や強迫神経症に用いられるが、投与によって副次的に変態性癖の欲求も消失したとする海外での臨床報告がある。