2017年11月08日
人余り業界から人手不足業界への移行も必要かも
ここ数年前から将来も同様の傾向にある人手不足の産業として、
1、建設業
2、介護医療業
3、運送業界
4、農林水産業
5、情報処理業界
などが挙げられており、こららの産業は将来的にも人手不足であることは各業界団体でも自明のことといわれている。
上記の産業に共通していることが
1、労働環境がきつい(寒暖の激しい外での勤務、週休二日制がまだ定着していない)
2、仕事のわりに賃金が安い(介護関係、農林水産業)
3、労働安全性でリスクの懸念がある(建設業や運送業)
4、汗や土や排泄物などの汚物を扱うなど非衛生的でイメージがよくない(建設業や介護関係、農林水産業)
5、中小企業(特に若者は給与が高くネーム張りのよい大手有名企業に入社したがる)
一方で人余りが始まっており、将来的にリストラが確実と言われている話題の業界がある。
リストラを進めている大手企業の特徴は
1、賃金が高く、ボーナスや退職金もある
2、週休二日制が定着し労働条件も良いことが多い
3、額に汗しないホワイトカラー的な仕事
4、下請け企業に仕事を流し、ピンハネ構造が利益のもとの場合が多い
5、非衛生的なことはノンタッチで重労働を伴わない
など、人手不足産業とは違って一般的に肉体労働ではなく頭脳労働で高待遇である。
今年の7月からは東芝が赤字決算が続き、数万人の社員のリストラが必要だと言われており、
東芝の下請け会社の従業員も含めると相当の数に昇るとみられる。
東芝といえば家電製品を思い浮かべるだろうが、実は原子力発電機材を製造している大手でもあるのだ。
東芝でも半導体部門は黒字だったが、近年の脱原発の広まりで、原子力部門が大幅な赤字で、
将来的にも黒字に転じる気配がないという。
また、現在ある原発をメンテナンスする技術も継承する必要もある。
もしそうゆう技術を失くしたら、原発のトラブルに対処不能となってしまう。
なるほど、原発をすぐに無くせないわけだ。
東芝も経団連加盟企業だし、原発産業をすぐやめれば産業に従事する人たちの生活が困る。
ただ、東芝の正社員の場合、50歳前に早期退職すれば数千万円の退職金が出るとのことなのでまだ救いはあるが、
下請け会社の社員や契約社員、派遣社員には退職金はないだろうから、生活苦がすぐやってくるだろう。
さらに、最近では大手デパートでもリストラが進められているという。
大手デパートといえば数年前まで中国人富裕層の爆買で儲かっているイメージだが
爆買が終わった今は、その上り調子は下火であり、国内でもデパートで高級品を購入する国民意識もない。
それがさらに先週のニュースでは銀行業界までも数万人のリストラを進めることを明確にした。
大手銀行業界などお金を貸した利子で利益を上げている業界である。
先週のニュース記事で、銀行でも三菱UFJなど大手3行はこれから数年で数万人のリストラをすすめるとしている。
その中でもみずほフィナンシャル・グループでは6万人いる従業員をこれから10年で1.9万人を減らす方針を打ち出している。
今後更に効率的なコンピュータシステムを導入し、徹底して自動化や省力化を図りスリム化を目指して、
収益性の確保に向け、各銀行が熾烈な競争に入っているという。
もちろん正社員外の契約社員や派遣社員などは真っ先に解雇の対象になり、その人数まで入れると大きな数になると予測される。
私が知る中では、銀行窓口の女性事務員さんの多くが派遣社員か契約社員で給与が安いことを知っている。
高校の同級生を見ると銀行に就職できる人間は高校や大学進学でもエリート学校を卒業し、
面接試験以外に学力試験や健康診断など様々な試験をパスして入れる難関な就職先である。
もちろん、年収は平均的な職業の人と比べ倍近い、40歳での平均年収は800万円以上がふつうである。
私と同年代でそこそこ出世した人だと年収1000万円以上というのはざらだ。
ところで銀行をはじめ貸金業界はどうしてこんなに大変なのかといえば、
まずは安倍政権になってからの低金利政策のせいで、利子での金もうけがしにくくなったこと(銀行といってもその本質は金貸し業である)
二つ目は近年景気が回復した関係で特に経団連加盟の大手企業が収益を伸ばしたため、銀行からお金を借りるどころか、
儲かったお金を内部留保としてため込んでおり、銀行は金貸し業としてなりたたない。
三つ目として、銀行で働く人の給与体系が一般の平均よりもはるかに高いため、人件費が経営を圧迫していることが考えられる。
日本の大手銀行はバブル崩壊後に担保にしていた不動産の価値が下落したり不良債権問題が顕在化し、
経営が危うくなり、しかたなく日本経済の失速を懸念した日本政府が大手銀行だけに数千億の国費を投入し持ち直してきた。
ただ、国費を投入されなかった北海道拓殖銀行などの地方銀行は倒産し、銀行の倒産で融資が受けられなくなった
北海道の地元企業は連鎖倒産に追い込まれ北海道に大不況をもたらし、世間の批判が大きかったと記憶している。
今頃、過去の銀行のいわるゆ護送船団方式の甘え体質を言っても仕方ないが、
今後、リストラされた優秀な大手関連企業の社員は後に就職口があるだろうか。
まずはプライドを捨てないと就職は難しいのではないかと思う。
私は以前まで有名大学の○○大学を卒業し○○大手の○○に20年勤め、課長まで上り詰めたなどと、自分の過去の栄光を就職試験で面接官の前で述べようが、
住宅ローンと家族を抱えているという自己都合の家庭の事情とともに高い年収を希望されても、
採用する側からしたら、「いったいあなたは私の会社のために今何ができますか」との問いにどうこたえるだろう。
私も40歳を過ぎた頃から、派遣社員という立場であっても、そのような質問を受けたことがたびたびあり、
40歳を過ぎると、大変厳しいなと実感し、自分の立場と能力をわきまえた給与で妥当する受け入れの心に変わった。
日本では冒頭であげたように業種によって、人手不足の職種が数多くあるのも事実である。
彼らが高い給与にこだわらずプライドさえ捨てることができたら、就職は難しくないだろう。
なぜなら、銀行員をはじめ大手企業で働いたことがあるなら、それなりの何らかの専門スキルと同時に人間的スキル、社会常識などを持ち合わせていることが普通だからだ。
例えば接客や営業の仕事、お金を扱う業務であるから、それらのスキルはほかの仕事でも役立つと考えられる。
現政府は将来に向けて、人手不足業界への人余り業界からの円滑な流動政策を考える必要があると思う。
そのためには冒頭であげた、人手不足産業での労働条件、労働環境、賃金の改善などが図れる政策や法令の改正
それら受け入れ産業側でも業界団体として企業努力での受け入れ態勢の準備、心構えなどが必要であると考えられる。
ただ一番は本人が世間の平均年収で生活することに慣れること、
家族を生かすためまた、自分が生きるために学歴や大手企業で勤務したというプライドを捨てる構えが必要ではと思う。
特に50歳近くでリストラされたら、過去の栄光など役に立たないことが多い。
中高年での転職は景気が回復したとはいえ、厳しい現状はそう簡単の変わらないと考えられる。
今、健康で就職先企業にあなたが何ができるのかが試されると思う。