2025年01月12日
カープの今季の戦力を考える。
広島・投打とも“泣きどころ”補強は着実 競争激化による底上げがカギ握る【2025最新メンバーリスト】
1/12(日) 11:00配信
週刊ベースボールONLINE
2025年を迎えたばかりだが、新しいシーズンに向けて、すでに戦いは始まっている。ここでは首脳陣を含めた全球団の布陣を紹介する。どのチームも前年よりパワーアップしているのは間違いない。
写真=BBM
※情報は1月5日現在 チーム打率、チーム防御率の[]数字は2024年のリーグ順位
右の強打者として活躍が期待されるモンテロ[写真=Getty Images]
【2024年成績】セ4位 68勝70敗5分、勝率.493、チーム打率.238[6]、チーム防御率2.62[3]
ポイントを押さえて補強に動いた。求められたのは、昨季に課題となった得点力不足の解消に加え、先発陣の一角を担ってきた九里亜蓮のFA移籍の穴を埋めること。オフの補強はその“泣きどころ”を的確にカバー。同時に、選手間の競争意識の醸成にもつなげる考えも見て取れる。
昨季は打率、本塁打数ともにリーグ最下位に終わり、攻撃力の底上げは急務。菊池涼介、矢野雅哉、小園海斗がほぼ固定された内野には、新たにメジャー通算21本塁打のモンテロ、現役ドラフトで山足達也、ドラフトで大卒の佐々木泰、渡邉悠斗と地力のある選手が加入。二俣翔一ら一軍で経験を積んで飛躍を目指す若手には勢いがあり、堂林翔太らベテラン勢も負ける気はない。外野は昨季、中堅・秋山翔吾以外は固定に至らず。大砲候補の末包昇大や田村俊介、野間峻祥、新加入のファビアン、内外野兼務の選手も含め、競争の激化は間違いない。
投手陣は、空いた先発1枠を巡って活気づく様相だ。昨季は軸となった九里、大瀬良大地、床田寛樹、森下暢仁に加え、アドゥワ誠、玉村昇悟が頭角を現した。森翔平、常廣羽也斗らを含め、誰が先発の“穴”を埋めるか。ドラフトで即戦力左腕の佐藤柳之介ら、現役ドラフトで変則右腕の鈴木健矢、新外国人として長身右腕のジョハン・ドミンゲスも加入。現役ドラフトでは矢崎拓也がチームを離れており、既存戦力の若手を含め、適材適所で力を発揮して強固な投手陣を築き上げたい。オフに右肘を手術した守護神・栗林良吏は順調な経過を明かしている。
新井貴浩監督は今季に向けて『変革』を掲げたが、コーチ陣は昨年に続き全員が留任した。昨季は終盤の歴史的失速で4位に終わったものの、9月上旬まで接戦を粘り強く制して首位に立った。3年目となる新井政権の結束力を生かし、昨季の戦いを検証して同じ轍を踏まないことが肝要だ。新たに、昨季限りで現役引退した野村祐輔氏が三軍投手コーチ兼アナリストに就任。ケガなどで苦しい時期もありつつ先発登板を続けた現役時代の経験を生かし、選手に寄り添った貢献が期待される。
支配下登録選手68人と、陣容はほぼ固まっている。2025年シーズンのキャッチフレーズは『遮二無二』。7年ぶりのリーグ制覇へ、「2(二)位はな(無)い」の覚悟で突き進む。
広島東洋カープ2025 メンバー表
【監督】
25新井貴浩
【一軍コーチ】
77藤井彰人、83朝山東洋、89小窪哲也、80赤松真人、90三好匠、86菊地原毅、74永川勝浩、81石原慶幸
【二軍監督】
71高信二
【二軍コーチ】
85福地寿樹、84新井良太、75廣瀬純、72東出輝裕、87高橋建、82横山竜士、76倉義和
【三軍コーチ】
78畝龍実、91迎祐一郎、73小林幹英、〇92野村祐輔
【投手】
12大道温貴、13森浦大輔、14大瀬良大地、16森翔平、17常廣羽也斗、18森下暢仁、■19床田寛樹、20栗林良吏、21中崎翔太、22高太一、24黒原拓未、26益田武尚、☆28佐藤柳之介、29ケムナ誠、30滝田一希、34高橋昂也、35赤塚健利、36塹江敦哉、39長谷部銀次、△41鈴木健矢、〇42J.ドミンゲス、43島内颯太郎、45松本竜也、46河野佳、47斉藤優汰、48アドゥワ誠、☆53岡本駿、65玉村昇悟、66遠藤淳志、☆67菊地ハルン、68ハーン、70日高暖己
【育成投手】
120杉田健、※123小船翼、125辻大雅、※126竹下海斗、128杉原望来、◆129小林樹斗
【捕手】
27會澤翼、31坂倉将吾、32石原貴規、40磯村嘉孝、57持丸泰輝、62清水叶人、64高木翔斗
【育成捕手】
※122安竹俊喜
【内野手】
■00羽月隆太郎、0上本崇司、2田中広輔、■4矢野雅也、■5小園海斗、7堂林翔太、☆10佐々木泰、33菊池涼介、44林晃汰、☆49渡邉悠斗、54韮澤雄也、58仲田侑仁、63内田湘大、△69山足達也、94佐藤啓介、〇95モンテロ、99二俣翔一
【育成内野手】
127前川誠太、130モイセス・ラミレス
【外野手】
9秋山翔吾、37野間峻祥、38宇草孔基、50中村健人、52末包昇大、55松山竜平、56久保修、59大盛穂、60田村俊介、〇61ファビアン、96中村奨成、97中村貴浩
【育成外野手】
121名原典彦、131ネルソン・ロベルト
[注釈]〇=新加入、△=移籍、□=復帰、◆=24年オフに球団内で支配下から育成、☆=支配下新人、※=育成新人、■=背番号変更、名前横は背番号。
週刊ベースボール
今季のカープの課題は、九里投手の抜けた穴よりも、打線の活発化だと思います。昨年はチーム打率と本塁打数がリーグ最下位になり、あの9月の「大失速」の大きな原因となりました。
この打力を上げるべく、新外国人選手のモンテロ選手とファビアン選手を獲得しました。新外国人選手は毎シーズン期待されてきましたが、ほとんど不発に終わり、我々カープファンの間では、外国人選手アレルギーになりそうという声も聞かれます。特に昨季はレイノルズ選手とシャイナー選手の2人が共にビリッとせず、シーズン途中で契約解除という、最悪の結末になりました。この度獲得したモンテロ選手とファビアン選手は年齢がまだ26歳と若く、まだ伸びしろがあると思われますし、それが故に日本の野球にも早くアジャストしてくれるのではないかと期待しています。エルドレッド駐米スカウトがフロントに進言したように、2年程度は様子をみるべきかもしれません。
ドリヨシが大きく期待しているのは、ドラフト1位の佐々木選手と、ドラフト4位の渡邉選手です。どちらも右の大砲候補で、即戦力としての活躍が期待されます。可能であれば、2月の練習試合やオープン戦からどんどん打席に立ってもらい、プロのピッチャーの球にアジャストできるような環境を整えて欲しいと思います。
これら新人選手に加えて、現有戦力の若手選手や、中堅選手もウカウカしてはいられないでしょう。レギュラーポジション奪取のための、選手間の競争がし烈になる中で、レベルアップしながら底上げ出来れば、得点力不足は解消出来ると思います。
投手陣については、ドリヨシはそんなに心配していません。九里投手の抜けた穴は十分埋まると思います。先発投手陣は大瀬良投手、床田投手、森下投手の3本柱に加えて、常廣投手、玉村投手、森投手、アドゥワ投手など、伸びしろのあるピッチャーが控えていますし、リリーフ陣も黒原投手、森浦投手、塹江投手のレフティ3人組をはじめ、中崎投手、遠藤投手、河野投手、セットアッパーの島内投手とハーン投手、守護神の栗林投手と、層は厚いですね。
故に、打線が活発になれば、あの2016年のカープのように、「逆転のカープ」が復活するような予感がします。