2017年12月28日
鈴木誠也選手の2018年にかける思い。
いま最も楽しみな男、鈴木誠也。掴みかけた一流への感覚。2018年は新たなる覚醒へ
12/28(木) 11:00配信
ベースボールチャンネル
広島東洋カープ・鈴木誠也外野手は、今季序盤から4番を任され、8月に右足首を骨折するまで115試合に出場して打率.300、26本塁打、90打点とリーグ連覇に貢献した。ケガからの復帰を目指す鈴木は、来季どんな活躍を見せてくれるのか。
いま最も楽しみな男、鈴木誠也。掴みかけた一流への感覚。2018年は新たなる覚醒へ
けがで離脱を余儀なくされた2017シーズン。来季、鈴木誠也はどんな活躍を見せるか。
■手応えを感じた一方、シーズンが終わった8月23日
確かな手ごたえを感じていたのに、広島東洋カープ・鈴木誠也の2017年シーズンは昨季より2カ月も早く幕を閉じた。
8月23日の対DeNA戦。
鈴木は、戸柱恭孝の右中間への打球を追った。ジャンピングキャッチでボールをグラブに収めたが、その際に右足首を痛めた。「最低、じん帯はいったなと思いました。骨折していたのは予想外ですけど、軽いけがではないことは分かった」。そして、その後のシーズンを棒に振った。
全力プレーでのけがは仕方ないが、何より痛手だったのは、このけがをする前の1打席目、プロ入りして初めての不思議な感覚をつかみかけていたことだ。
「センター前ヒットだけを打とうと思って打席に入っていたんです。そしたら、少し詰まりながらも身体がくるっと回転して左翼スタンドまで飛んで行きました(今季26号)。“これや”って思いました。ずっと試行錯誤しながら探していた初めての感覚。“来た”と思った瞬間、足にもきてしまいました」
今季は鈴木にとってターニングポイントになるシーズンだった。
まず、開幕前のワールドベースボールクラシック(WBC)出場だ。メジャーリーガー・青木宣親らさまざまな選手と話ができたことは非常に勉強になったという。
「一流になってくると、持っている感覚がすごいのでマネはできない。みなさんが仰っていたことは分かるし、あのレベルになると、深く考えて打っているんだなと思いました。いまは自分にできなくても、一度聞いておくだけで後々その感覚が出てくるかもしれない。頭に入れておけば、あのとき、そんなことを言っていたなというのを思うかもしれない。そのための引き出しになりました」
偉大な先輩たちの言葉に心酔し過ぎず、切り捨てもしない。自分の中にかみ砕いて取り込んでいこうという姿勢は、常に高いレベルを目指そうとしている鈴木ならではの発想力といえる。
外国人投手対策もWBCを戦った中で大きな経験値となった。
「外国人投手を苦にしなくなりました。海外の選手は身長が大きいし、球が強い。WBCでは投げ方がごちゃごちゃしていて、怖さがあったんですけど、そういうのを経験して慣れたのはあるかもしれないです。僕にとって外国人投手の対応が課題でもあったんですけど、WBCで経験させてもらって、気持ちに余裕を持って入れるようになった。結果が出る・出ないではなく、苦手意識がほとんどなくなりました」。
■常に成長を求める鈴木、“4番”で得た感覚
次なるターニングポイントは、4月25日から務めた4番だ。
シーズン開幕後、WBC戦士は「後遺症」とも呼ばれる不調に陥ったが、鈴木は全くの無縁だった。前年に逃した日本一へ向けてチームが一つになっていたことに加え、4番を務めることになり、これが彼自身を大きく変えた。
当初、鈴木は「4番」というポジションを「打席が多く回ってくる」程度にとらえていた。しかし、試合を重ねるうちに、このポジションがいかに打者にとってかけがえのないものであるかに気づいた。
「去年までだと、相手チームの投手交代は、僕まで投げた後が多かったんです。今年は僕のところで代わることが増えた。マウンドにいる投手をイメージしていたのに交代する。それも僕があまり得意じゃない投手をぶつけてくるので『うわっ』と思うときが何度もありました。そういうことの連続でアジャストするのが大変だった」
「4番の重責」とよく言われる。しかし、鈴木はその重責以上に「4番には1打席1打席を本気で抑えに来られるハイレベルな戦いがある」ということを痛感した。その経験が成長の糧となることを知ったのだった。
もともと、鈴木は結果として表れる数字を気にしていない。
何本ホームランを打った、何割だった、打点はいくつだったというより、「自分はこの1打席で、前の打席より進歩できたのか」という求道者のような思考が鈴木の中にはある。 成長できているかが一番大事なものさしで、それは試合展開に関わらず、5打席なら5打席すべてで考えることなのだという。
「4番は常にレベルの高い投手との対戦があるので、成長を感じることができる打順でした。楽しいですよ、4番は」と鈴木は言う。
好投手との対戦経験、そして、試行錯誤の繰り返しが8月23日の1打席目に繋がったというわけである。
■ゼロからのスタート、新しいバッティングを作る
ならば、けがをしたとはいえ、来年に大いに期待できると思ってしまうのだが、鈴木はかぶりを振った。
「もうゼロからのスタートです。もう一度、DeNA戦と同じ感覚をつかもうとは思わないです。けがをしてしまったので、足の感覚は必ず変わりますから。けがが治って、その時の足の感覚でまた新しいバッティングを作っていきたいなと思っています」
復帰や復活ではなく、新たなる覚醒――。
2018年の鈴木が目指すのは新しい姿だ。求道者の道を行く、鈴木だからこその言葉といえるかもしれない。
WBC、4番、そして、けがによる離脱。2017年に様々な経験を経た鈴木は復活へ向けて新たな気持ちが芽生えているという。
「けがをして、病院で出会った子どもたちやおじいちゃん、おばあちゃんに勇気をもらったんです。出会った人たちはつらい想いをして、僕なんかよりもやりたいことができないのにリハビリを頑張っていた。4番で打てない時期に色々考えたりしましたけど、僕はなんて幸せなことで悩んでいたんだろうと。リハビリを頑張れたのもその人たちのおかげもあったので、一緒にリハビリやっていた人たちにもっと頑張ろうって思ってもらえるように頑張って結果を出したい。僕は今まで4番タイプではないと思っていたので好いてはなかったんですけど、こういうけがもあって、ああいう風に応援してもらっているので、“4番”で活躍する姿を見せたい」。
新しい自分を探すための彼の試行錯誤はこれから始まる。「けががなければ、人として終わっていた」と話してという報道もあるが、いかにも鈴木らしい物事のとらえ方であろう。
2018年はどんなプレイヤーになっているのか。鈴木誠也の帰還を心底、楽しみに待ちたいと思う。
氏原英明
ベースボールチャンネル編集部
来季の鈴木選手の活躍がかなり期待されます。今季ケガをした8月のDeNA戦の第1打席で打ったホームランでバッティングの究極の感覚を掴んだようですが、ケガをしてしまったので残念です。ただ、鈴木選手はこのケガを自身を見直すいい機会になったと言っています。「ナイス・ケガ」と言うぐらいですから、超ポジティブですね。数字を追いかけず、常にバッティングの究極を求める「求道者」の姿は、カープOBの前田智徳さんに似た感じがします。来季は足の様子を見ながら、5月の一軍復帰を目指しているという話ですが、焦ることなく、じっくりトレーニングを重ねて、完璧な状態で戻って来て欲しいですね。
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怪我で精神の成長があり凡打しても腹はたってもものをシバくとかもしないで欲しいです。
野球に関するもの怪我しますから。