2017年12月05日
尾形スカウトの鈴木誠也選手獲得秘話
神ってた!?広島・誠也獲得秘話
週刊カープ 2017.12.5 10:00
オフ恒例の特別企画サンスポデイリースペシャル「週刊カープ」の第5弾は、関東地区を担当する尾形佳紀スカウト(39)を直撃! 2013年ドラフト2位、いまや日本を代表するスラッガーとなった鈴木誠也外野手(23)の獲得秘話など、発掘に定評のあるカープのスカウティングに迫った。(取材・構成=柏村翔)
鈴木誠也を発掘した男−。高校時代、甲子園出場のない投手を、なぜ2位で指名したのか。関東地区を8年担当している尾形スカウトに、獲得秘話を聞いた。
「誠也を初めて見たのは、高校1年の秋季大会です。私は野手の場合、足の速さと肩の強さをみるのですが、おもしろそうなのがいるなという印象でした」
尾形氏は2009年に引退後、関東地区のスカウトに転身。1年目は苑田聡彦スカウト(現統括部長)に師事し、2年目に一本立ち。そのタイミングで自身の出身である日大のOB、市原勝人氏が監督を務める二松学舎大付高のエース兼4番、鈴木誠也と出会った。
「投手としては145キロくらい投げていました。ただ、変化球の精度が悪かったですね。打者としては、スイングスピードが他の高校生と比べて圧倒的に速かった。打球を飛ばしたときの角度も良かったですね」
1994年生まれの同世代には大谷翔平(花巻東)、藤浪晋太郎(大阪桐蔭)、北條史也(光星学院)ら“超高校級”がズラリ。鈴木は投手として最速148キロ、打者として高校通算43本塁打の“二刀流”で注目されてはいたが、3年夏は東東京大会準決勝で敗退。結局3年間で甲子園出場はかなわず、全国の舞台に立つことはなかった。
「試合ではいつも、サードゴロを打っていました。試合で活躍しているところをほとんど見たことはありません」と尾形スカウト。「(ただ)ベンチに帰る姿が好きでした。一塁へ全力で走ってね。カモシカのような脚といいますか。バネのある走り方で、ベンチに戻っていくんですよ」。
“凡打の後”に感じた確かな素材。練習姿勢も好感を持った。「一生懸命練習していました。野球が好きなんでしょう。カープは練習量が多いですし、うちのスタイルに合うと思いました」。
球団は1月から1カ月か2カ月に1度のペースで球団事務所に松田オーナー、スカウトが集結。定期的に会議を行う。尾形スカウトはそのたびに鈴木のプレーを集めた10分程度の動画を作成し、アピールした。「誠也は試合ではいいところがほとんどなかったので、練習の映像ばっかりだったのを覚えています」。
球団が求めていたのは遊撃手。評価はやはり、甲子園で爆発的な活躍をした北條の方が高かったが野手としての素材の高さをアピールする尾形スカウトの声もあり、10月のドラフト直前のスカウト会議で鈴木と北條の二者択一に−。そして当時の野村謙二郎監督の「足はどっちが速いの?」の問いが“決め手”となった。
「足なら誠也です」。断言した尾形スカウトは「2位なら獲れます」とたたみかけ、2位で指名することが決まった(注)。
今でこそ明かせるが、「会議のときに『誠也は遊撃ができます』と言っていたけど、難しいと思っていた」という。「ただ能力は高かったので押し通しました。闘争心があるので絶対にプロ向きだと思っていました」。
実際、内野手としては難しかったが外野手として開花。4年目の昨年、“神ってる”で大ブレークし、優勝に貢献。今季は4月後半から4番に定着し、115試合で打率・300、26本塁打、90打点。8月23日のDeNA戦(横浜)で守備の際に外野フェンスに激突し、右足首を骨折するまで打線をけん引した。
「けがをしたときには連絡をくれました。そのときは『レギュラーはけがをすることでチームに迷惑がかかる。要領よくプレーすることも大事だぞ』と。でも全力で行くところが、誠也のいいところなんですけどね」
来季、球団史上初の3連覇、34年ぶりの日本一を目指すカープ。常勝軍団への土台は、最強スカウト陣が支えている。
(注)ドラフトは2巡目以降はウエーバー。12年のセ・リーグは広島が4位、阪神が5位だったため、ウエーバー順は阪神が3番目、広島が5番目で、広島の方が後だった。
★苑田氏の教え「自分の目で」
尾形スカウトの根底にあるのは、苑田スカウト統括部長の教えだ。「周りに惑わされてはいけない、自分の足を運んで、自分の目でしっかり確かめるように。惚れた選手はずっと行けよ、と教わりました。(そうすれば)会議のときにオーナーや監督に自信を持ってプレゼンができるわけですから。この言葉が今のスカウト人生のもととなっています」。だからこそ、「試合もそうですけど、練習の態度だったり、性格も見ます。そのために監督さんやコーチの方から情報収集をしたりしています」という。
★責任大きい分やりがいある
他球団では、1人の選手に対して何人もスカウトが見て、クロスチェックをしたりするが、「カープでは、その地区を任されたら基本的にその地区の選手しか見ません」と尾形スカウト。「だから、自分がしっかりプレゼンをしないと、その選手はカープでは日の目を見なくなる。自分がどれだけ選手を発見できるか。責任が大きい分、やりがいはありますね」と話した。
★ベストナイン遊撃・田中も
尾形スカウトは、今季の遊撃手ベストナイン、田中広輔(14年D3位、JR東日本)も東海大時代から追っていた。野手の中では最上位候補だったが、同年のカープは投手狙い。「外れ1位でいなくなるだろう」とみていたが…。どの球団も上位で指名しない。松田オーナーが「もしかしたら、けがをしているんじゃないか」と不思議がり、JR東日本のコーチに電話。「けがはしていない」と確認し、急きょ指名したという。「最上位をこの順位でとれたので、良かったです」と振り返った。
尾形 佳紀(おがた・ よしのり)
元内野手。1978(昭和53)年8月5日生まれ、39歳。札幌市出身。日大藤沢高、日大、ホンダを経て、2004年D4巡目で広島入団。09年シーズン後に引退し、スカウトへ転身。6年間で通算147試合出場、477打数127安打(打率・266)、12本塁打、42打点。1メートル75、70キロ(現役時公称)。右投げ左打ち。
尾形スカウトの選手を掘り起こす手腕は素晴らしいものがありますね。実戦でほとんど活躍できていなかった鈴木誠也選手に一目置くわけですから、大したものです。現在阪神にいる北條選手と二者択一だったんですね。足の速さと真面目な態度というところに注目するのも、カープのスカウトの伝統なのでしょうね。鈴木選手は昨年ブレイクし、今季は4番を務めるまで成長してきました。持ち前の明るさと、負けん気の強さで来季はチームを牽引してくれると思います。優勝旅行を辞退して、大野練習場で黙々とトレーニングしているのは、鈴木選手らしいですね。尾形スカウトの手腕を向上させたのは、師匠である苑田スカウトの存在でしょう。苑田スカウトと黒田投手の関係は今や有名ですが、カープに連年と伝わる独自のスカウティング術の申し子と言っていい存在です。苑田スカウトは今月25日夜にNHK総合テレビで放送される「プロフェッショナル 仕事の流儀」で取り上げられ、放送されるので、楽しみです。
年末年始カープ関連のテレビ番組
12/15
(金) 19:00 -
「カープ優勝旅行 in ハワイ〜海にグルメに常夏の楽園を大満喫SP〜」
【広島テレビ】[地上波/広島]
12/21
(木) 19:30 -
「プロフェッショナル仕事の流儀」
【NHK総合】[地上波/広島]
広島東洋カープ スカウト・苑田聡彦
12/25
(月)
22:00 -
「プロフェッショナル仕事の流儀」
【NHK総合】[地上波/全国]
広島東洋カープ スカウト・苑田聡彦
カープ関連特番の放送予定
(2018年)
1/1
(月・祝) 14:30 -
「カープ日本一TV2018〜夢の日本一へ!決意の書初め!」
【RCCテレビ】[地上波/広島]
1/2
(火) 13:30 -
「スポラバ新春スペシャル(仮)」
【テレビ新広島】[地上波/広島]
[出演]安部友裕、野間峻祥、西川龍馬
22:54 -
「2018 新春恒例 カープ選手会ゴルフ」
【広島テレビ】[地上波/広島]
1/3
(水) 15:00 -
「今年もやります!カープ菊池涼介とゆかいな仲間たち!ハワイでキク散歩 Vol.2(仮)」
【広島ホームテレビ】[地上波/広島]
[出演]菊池涼介、田中広輔、上本崇司
18:00 -
「VS嵐 2018賀正 新春豪華2本立てスペシャル」
【フジテレビ系列】[地上波/全国]
広島カープ、有吉軍団との豪華三つ巴対決
丸選手、帰国後も無休でトレーニング宣言!
【広島】丸、球団史上4人目の5年連続全試合出場へ意欲「こだわる」
12/5(火) 7:04配信
スポーツ報知
今季MVPの広島・丸佳浩外野手(28)が、球団史上4人目となる5年連続全試合出場へ意欲を見せた。
「試合に出続けるのは、僕にとって数少ないこだわり」。来季もフル出場すれば、広島では衣笠祥雄氏の17年連続(1971〜87年)、山本浩二氏(77〜82年)、山崎隆造氏(84〜89年)の6年に次ぐ。13年5月20日のロッテ戦から675試合連続出場中で、球団史上3位の山崎氏の803試合も迫っている。
この日はRCCテレビ(広島地区)で来年1月1日午後2時30分放送の特番「カープ日本一TV2018」(TBSチャンネルでも同1月中旬放送予定)の収録に参加。リラックスした表情でV旅行を楽しんだが、帰国後は無休でトレーニングに励む。残り53本に迫った通算1000安打にも「モチベーションになる。早いうちにクリアできればチームに貢献できる」とハイペース達成を誓った。
丸選手の来季への思いも熱いのがわかります。今季は逆方向へ強い打球を打てるようになった丸選手の進化は素晴らしいし、より一層勝負強いバッティングができました。セ・リーグMVPも受賞し、正に脂が乗った現在です。来季は通算1000安打も目前ですし、3割、30本塁打、100打点も夢ではないと思います。とにかくケガなく、素晴らしい体調で来季の開幕を迎えて欲しいものです。