2024年10月07日
1268番:ペルル嬢(85)
ペルル嬢(85)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【85】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Mon père, bien que très calme et un peu impotent
( il traînait la jambe depuis qu' il se l' était cassée
en tombant de cheval), déclara à son tour qu' il
voulait savoir ce que c' était, et qu' il irait.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
父は落ち着いた人で、身体にやや障害があった(落馬で
骨折して以来、彼は脚を引きずっていました)のだが、
自分も行ってどうなっているのかを知りたいと言った.
そして行こうとした.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
bien que + 接続法:〜にもかかわらず、〜ではあるが
impotent(e):(形/名) 手足が不自由な(人)
cassé(e):(形) 壊れた、割れた、折れた、骨折した
jambe cassée / 骨折した脚、
traînait:(3単半過去) < traîner (他) 引く、引っぱる、
引きずる;
1267番:ペルル嬢(84)
ペルル嬢(84)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【84】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Et elle sonna, juste au moment où l' on coupait
le gâteau des Rois. Tous les hommes se levèrent
ensemble. Mon oncle François, qui avait bu du
champagne, affirma qu' il allait LE massacrer avec
tant de fureur, que ma mère et ma tante se
jetèrent sur lui pour l' empêcher.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
そしてみんなが王様を決めるケーキを切ろうとしてい
たとき、鐘が鳴りました.男たちは一斉に立ち上がりま
した.叔父のフランソワは、シャンペンを飲んでいまし
たが、あいつをぶっ殺してやると、あまりに激しく言っ
たので、母と叔母は彼に向かってすっ飛んで行って、そ
うさせないようにした.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
se levèrent:(単純過去3複) < se lever (pr) 立ち上がる
affirma:(3単単純過去) < affirmer (他) 主張する、
言い張る、断言する
empêcher:(他) 妨げる、邪魔する、遮る;
LE:遠吠えをする犬を指す
massacrer:[マサクレ](他) 虐殺する、殺戮する、屠殺する
fureur:[フュルール](f) (激しい)怒り、激昂p
se jetèrent sur:(単純過去3複) <se jeter sur ~:
〜に飛びかかる、
1266番:ペルル嬢(83)
ペルル嬢(83)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【83】−−−−−−−−−−−−−−−−−
On se remit à dîner, mais tout le monde de-
meurait anxieux; on sentait bien que ce n 'était
pas fini, qu' il allait se passer quelque chose, que
la cloche, tout à l' heure, sonnerait encore.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
みんなは食事に戻りました.しかし全員が不安をかか
えたままでした.まだ事態は終わっていないと感じられ
たのです.まだ何かが起こるだろう、まだしばらくした
らもう一度あの鐘が鳴るだろうと感じていたのです.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
on se remit à dîner:みんな再度食事を取り始めた.
一般に<se remettre à + 不定詞>で、再度〜し始める
tout le monde demeurait anxieux:みんなは不安を抱えた
ままだった.
一般に<demeurer + 状態>で、〜のままである
demeurer:(自) とどまる、残る
類似動詞にrester がある.これも同じように
<rester + 属詞・様態の状況補語>(ある状態に)
とどまる、〜のままでいる
tout le monde restait anxieux で置き換え可.(同じ意味)
1265番:ペルル嬢(82)
ペルル嬢(82)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【82】−−−−−−−−−−−−−−−−−
L' absence de mon oncle nous parut durer une
heure. Il revint enfin, furieux, jurant: ≪ Rien, nom
de nom, c' est un farceur ! Rien que ce maudit
chien qui hurle à cent mètres des murs.Si j' avais
pris un fusil, je l' aurais tué pour le faire taire.≫
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
叔父の不在時間は、私たちには1時間ほど続いたよう
に思えました.そうして叔父はやっと戻ってきたのです
が、鼻息荒げて、きっぱり言うことには、「何もねえよ、
全くこん畜生め!犬の悪ふざけだよ.いまいましい犬が、
数100メートル離れたところで、ただ遠吠えをしていた
だけさ.私が銃をもっていたら黙らせるために打ち殺し
ていたところだったよ.」
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
furieux(se):(形) 激怒した、激昂した
juant:(p.pré) < jurer (他) 誓う、約束をする
rien:なにもない、ne が伴っていないので、「ない」
という語尾までは訳せないが、日本語の北海道辺り
で「何もだよ」という言い方をする、あれと同じ.
ここでは、「人っ子ひとりいない」ほどの意味.
nom de nom:(間) いまいましい、畜生!、くそっ!
(憤り、驚きで出る言葉)(あまり上品ではない言葉)
farceur:(形) いたずら好きな、茶目っ気のある、
< farce (f) いたずら、悪ふざけ
rien que qc/qn:ただ〜だけ、たったの〜
maudit(e):(p.passé) < maudire [モディール](他)
呪う、恨む
se taire:(pr) 黙る
faire taire:黙らせる;(この場合se は省略する)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【82】−−−−−−−−−−−−−−−−−
L' absence de mon oncle nous parut durer une
heure. Il revint enfin, furieux, jurant: ≪ Rien, nom
de nom, c' est un farceur ! Rien que ce maudit
chien qui hurle à cent mètres des murs.Si j' avais
pris un fusil, je l' aurais tué pour le faire taire.≫
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
叔父の不在時間は、私たちには1時間ほど続いたよう
に思えました.そうして叔父はやっと戻ってきたのです
が、鼻息荒げて、きっぱり言うことには、「何もねえよ、
全くこん畜生め!犬の悪ふざけだよ.いまいましい犬が、
数100メートル離れたところで、ただ遠吠えをしていた
だけさ.私が銃をもっていたら黙らせるために打ち殺し
ていたところだったよ.」
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
furieux(se):(形) 激怒した、激昂した
juant:(p.pré) < jurer (他) 誓う、約束をする
rien:なにもない、ne が伴っていないので、「ない」
という語尾までは訳せないが、日本語の北海道辺り
で「何もだよ」という言い方をする、あれと同じ.
ここでは、「人っ子ひとりいない」ほどの意味.
nom de nom:(間) いまいましい、畜生!、くそっ!
(憤り、驚きで出る言葉)(あまり上品ではない言葉)
farceur:(形) いたずら好きな、茶目っ気のある、
< farce (f) いたずら、悪ふざけ
rien que qc/qn:ただ〜だけ、たったの〜
maudit(e):(p.passé) < maudire [モディール](他)
呪う、恨む
se taire:(pr) 黙る
faire taire:黙らせる;(この場合se は省略する)
1264番:ペルル嬢(81)
ペルル嬢(81)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【81】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Mon père essaya de nous rassurer: ≪ Vous allez
voir, dit- il, que ce sera quelque mendiant ou
quelque passant perdu dans la neige. Après avoir
sonné une première fois, voyant qu' on n' ouvrait
pas tout de suite, il a tenté de retrouver son
chemin, puis, n' ayant pu y parvenir, il est revenu
à notre porte.≫
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
父は私たちを安心させようと努めました.「今にわか
るよ.」と父は言いました.「それは物乞いか何かだろう、
あるいは雪の中で道に迷った通行人か何かだろう.1回
目に鐘が鳴ったあと、私たちはすぐには扉を開けないよ
うにしたが、道を探してみたのだよ.それからやっぱり
たどることができず、私たちのところの門扉まで戻って
来たってことさ.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
essaya:(3単単純過去) < essayer (他) 試みる
essayer de + 不定詞:〜しようと試みる、努める
rassurer:(他) 安心させる、
Ses propos me r4assurent. /
彼女の言葉は私を安心させる.
mendiant:(名) 乞食、物乞い
tenté:(p.passé) < tenter (他) 試みる、ためしてみる.
tenter de + 不定詞:〜しようと試みる
retrouver:(他) (なくしたものを)見つける、取り戻す
parvenir:(自) たどり着く、達する、
(人に)届く
−−−−−−−−−−−−≪語法≫−−−−−−−−−−−−−−−−−
Après avoir sonné une première fois, voyant qu'on n'ouvrait
pas tout de suite:
voyant が使われ分詞節になっているため、主体(主語)特
定が曖昧だが、意味上の主語はnous です.
Après avoir sonné une première fois, nous avions vu qu'on
n'ouvrait pas tout de suite:
そしてvoir que のところはvoir à ce que (〜するように
する)のことだと思います.
Après avoir sonné une première fois, nous avions vu à ce
qu'on n'ouvrait pas tout de suite:
1回目に鐘が鳴ったときは、私たちはすぐには扉を開け
ないようにした.
となります.
英語に[see to it that ~] という似た表現があって、「〜
するようにする、〜するように取り計らう」という意味
になります.恐らくここのvoir もこれだと思います.
1263番:ペルル嬢(80)
ペルル嬢(80)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【80】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Mais mon oncle ne prit qu' une canne et sortit
aussitôt avec le domestique.
Nous autres, nous demeurâmes frémissants de
terreur et d' angoisse, sans manger, sans parler.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
しかし叔父は杖しか持たずに、使用人と一緒に、すぐ
に出かけました.
他の私たちは恐怖と不安で食事ものどが通らず、おし
ゃべりもできず、恐怖と不安で震えおののいていました.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
canne:(f) 杖、ステッキ
domestique:(名) 召使い、使用人;
公式には employé de maison という.
demeurâmes:(1複単) < demeurer (自)
(ある場所に)とどまる、残る;
(同じ状態に)いる、〜のままである、
Elle est demeurée silencieuse toute la soirée.
彼女は一晩中黙っていた.
frémissant(e)[フレミサン(ト)]:(形) 震えている、
Il est frémissant de colère.
彼は怒りに震えている.
* frémissment [フレミスマン](m) 震え、おののき
terreur:[テルール](f) (大きな)恐怖、
* horreur [オルール](f) 恐怖、恐ろしさ
frémir d'horreur / 恐怖におののく
angoisse:[アングワス](f) () 不安、恐怖、苦悩、心配
1262番:ペルル嬢(79)
ペルル嬢(79)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【79】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Mon oncle François se leva. C' était une espèce
d' hercule, très fier de sa force et qui ne craignait
rien au monde. Mon père lui dit: ≪ Prends un
fusil. On ne sait pas ce que ça peut être.≫
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
叔父のフランソワが立ち上がった.この人は筋骨たく
ましい男で、その怪力が自慢だった人で、世の中恐れ知
らずの人だった.父は彼に言った.「銃を持っていけよ.
何があるかわからんぞ.」
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
se leva:(3単単純過去) < se lever (pr) 立ち上がる、
espèce:[エスペース](f) 種類、性質、種、種族;
une espèce de + 名詞:〜のようなもの、一種の〜
hercule:(m) 怪力の男、筋骨のたくましい男
homme bâti en hercule /
ヘラクレスのようなたくましい男.
fier de ~:〜を自慢する、誇らしく思う
craignait:(3単半過去) < craindre (他) 恐れる、
心配する
fusil:[発音注意フュジ](m) 銃、小銃、鉄砲
1261番:ペルル嬢(78)
ペルル嬢(78)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【78】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Ma mère enfin parla:≪ C' est étonnant qu' on ait
attendu si longtemps pour revenir; n' allez pas seul,
Baptiste; un de ces messieurs va vous accompagner. ≫
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
とうとう母が言った.「こんなにも長く待ってから、
戻って来るなんて、やっぱりおかしいわ.バプティス
トや、一人で行くんじゃないよ.誰かひとり男の人に
一緒について行ってもらいなさい.」
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
étonnant(e):(形) 驚くべき、不思議な、
qu'on ait attendu si longtemps pour revenir:(接続法大過去)
こんなにも長く待ってから、戻って来るなんて.
1260番:ペルル嬢(77)
ペルル嬢(77)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【77】−−−−−−−−−−−−−−−−
Nous restions à nous regarder, la fourchette
en l' air, écoutant toujours, et saisis d' une espèce
de peur surnaturelle.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
私たちは、持ったフォークが宙で止まったまま、お互
いの顔を見合わせ、尚も聞き耳を立てたまま、そして得
も知れぬような恐怖に憑りつかれていました.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−
fourchette:(f) フォーク
espèce:(f) 種類;
une espèce de + 無冠詞名詞:一種の〜、〜のような;
Ils habitent une espèce de château. / 彼らはお城みたい
な所に住んでいる.
surnaturel(le):(形) 超自然的な、不可思議な
1259番:ペルル嬢(76)
ペルル嬢(76)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【76】−−−−−−−−−−−−−−−−−
On se mi à table; mais nous étions un peu
émus, surtout les jounes. Ça alla bien jusqu' au
rôti, puis voilà que la cloche se remet à sonner,
trois fois de suite, trois grands coups, longs, qui
ont vibré jusqu' au bout de nos doigts et qui nous
ont coupé le souffle, tout net.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
みんなはテーブルにつきました.けれども私たちは少
しばかり興奮していました.特に若い連中はそうだった.
食事のコースはロースト肉まで進んでいました.それか
らまた突然鐘が鳴り出した.それは立て続けに3度、大
きな長い音で、私たちの指の先まで響いたのです.そし
て、その音で私たちは急に息をひそめました.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
se mi à table:みんなはテーブルにつきました.
se mettre à qc は❶ある状態にすること、❷
〜し始めること、の二通りに訳せますから
「みんなはテーブルにつき始めました」の
訳も可能です.宴会の始まる少し前とかなら、
この訳がいいでしょう.しかしここではあまり
そういうニュアンスはなさそうです.単に
「状態の変化」の描写のようです.このニュ
アンスは日本語にはないので、訳しようがあ
りません.
ému(e):(形,p.passé) 心を動かされた、感動した、
興奮した、動揺した
< émouvoir (他) 〜の心を動かす、を感動させる、
興奮させる;
jeune:(名) 若者
rôti:(m) ロースト肉
puis:(副) 次に、それから
voilà que + 直説法:⦅状況の変化を示して⦆
「ほら、〜だ」、「もうすぐ〜だ」.
* この表現ではque 以下の主語と動詞が倒置される
ことがある.
Tien, voilà qu'il pleut. / おや、雨が降ってきた.
Tout était calm;soudain, voilà qu'on entend un cri
perçant. / 辺りは静まり返っていた.と突然、
金切り声が聞こえた.
cloche:(f) 鐘、釣鐘、ベル、
sonner la cloche / 鐘を鳴らす
se remet à:<se remettre à + 不定詞>「再び〜し始める」
訳は「鳴り出した」と過去形にしましたが
この語形は「現在形」なので、試験では現在形で
「〜し始めるのです」としたほうがいいと思います.
尚、過去形はse remit à ~ となります.
sonner:
trois fois de suite:
trois grands coups:
ont vibré:(複合過去3複)
< vibrer (自) 震える、震動する
jusqu'au bout de nos doigts:(副句) 指先まで
ont coupé le souffle:(複合過去3複) 息をひそめた.
couper:(他) 中断する、止める
souffle:(m) (吐く)息、呼吸
net:急に、不意に、突然
tout net:まったく急に、まったく突然
−−−−−−−−−−−≪一言≫−−−−−−−−−−−−−−−
食事のコースは
❶前菜(オードブル)
❷スープ
❸アントレ(主にフィッシュ)
❹シャーベット
➎ロースト肉(アントレで肉が出たときはチキン)
➏デザートのフルーツ
➐ケーキとコーヒー(宴会の席ではデミタス)
* 肉の前に野菜サラダが出される.
が一般的なコース(と書いている私はこんな贅沢
したことがありません)のようです.
..−−−−−−−−−−−≪文法≫−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−−−−−−−−−
remettre 直説法現在
−−−−−−−−−−−−−−−
je remets..........nous remettons
tu remets..........vous remettez
il remet.............ils remettent
−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−−−−−−−−−
remettre 単純過去
−−−−−−−−−−−−−−−
je remis..........nous remîmes
tu remis..........vous remîtes
il remit............ils remirent
−−−−−−−−−−−−−−−
1258番:ペルル嬢(75)
ペルル嬢(75)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【75】−−−−−−−−−−−−−−−−−
On attendit en grand silence; nous pensions à
la neige qui couvrait toute la terre. Quand l' hom-
me revint, il affirma qu' il n' avait rien vu. Le
chien hurlait toujours, sams cesse, et sa voix ne
changeait point de place.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
みんな黙って待っていました.私たちは大地を覆う
この雪のことに思いを巡らせていました.使用人の男
は戻ってきて、何も見なかったと断言した.犬は相変
わらず、ひっきりなしに遠吠えをしていた.しかしそ
の鳴き声の場所が変わることがなかったのです.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
affirma:(単純過去3単) < affirmer (他) 主張する、
断言する;❷ 明確にする
1257番:ペルル嬢(74)
ペルル嬢(74)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【74】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Il n' avait pas fini de parler, que la cloche
du jardin tinta. Elle avait un gros son de
cloche d' église qui faisait penser aux morts.
Tout le monde en frissonna. Mon père appela
le domestique et lui dit d' aller voir.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
兄が言い終わらない間に、庭の鐘が鳴りました.鐘は
教会が鳴らすような大きな音で、告別の鐘を思わせるよ
うな響きだった.みんなはその音に身震いしました.父
は使用人に見てくるように言いつけました.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
cloche:(f) 鐘、釣鐘
son:(m) 音、音響;
tinta:(単純過去3単) < tinter (自) [鐘が]鳴る
frissonna:(単純過去3単) < frissonner (自)
[体が]震える、身震いする;
frissonner de froid / 寒さで震える
frissonner de fièvre / 熱で震える
en frissonner / それで震える;(en=大きな鐘の音で)
en は<de + 名詞>を受ける特殊な代名詞です.
文法上、[中性代名詞]と呼ばれています.
appela:[アプラ](3単単純過去) < appeler (他)
appeler qn à + 不定詞:(人)に〜するよう求める
domestique:(名詞) 家事使用人、お手伝いさん
aller voir:「見に行く」、ただしここではその報告をして
もらうので「見て来る」と訳しました.
「見に行け」と言ったのでは、なかなか帰って
来ないかも知れないので.
1256番:ペルル嬢(73)
ペルル嬢(73)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【73】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Donc, nous allions fêter les Rois, et nous étions
très gais, très gais ! Tout le monde attendait le
dîner dans le salon, quand mon frère aîné, Jacques,
se mit à dire: ≪ Il y a un chien qui hurle dans
la plaine depuis dix minutes, ça doit être une
pauvre bête perdue. ≫
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
さて、私たちは公現祭のお祭りしようと陽気な気分だ
った.とても陽気だった.みんなはサロンで食事を待っ
ていた.そのときだった.一番上の兄のジャックがこう
言い始めた.「10分ほど前から野原で犬が吠えているん
だ.可哀そうに捨てられた犬なんだろう.」
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
aîné(e):(形) (子供、兄弟姉妹中で)最年長の
†hurler:[ユルレ](自) (犬、狼が) 唸る、遠吠えをする
ウォ〜ンと鳴く
plaine:(f) 平野、平原
chien perdu:野良犬、捨て犬
1255番:ペルル嬢(72)
ペルル嬢(72)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【72】−−−−−−−−−−−−−−−−−
De tout ce monde- là, nous ne sommes plus que
trois survivants: ma femme, moi et ma bell- sœur
qui habite Marseille. Sacristi, comme ça s' égrène,
une famille ! ça me fait trembler quand j' y pense !
Moi, j' avais quinze ans, puisque j' en ai cinquante-
six.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
私たちのうち、残っているのはもうたった3人だけに
なった.私の家内と私、それからマルセイユに住んでい
る義理の姉(妹)のサクリスティだ.何てことだか!木の
実のように次々と落ちていくようにいなくなる.家族っ
てそんなものかねえ!それを思うと震えが走るよ.私は
今56歳だから、当時は15歳だったことになる.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
略号追加:n=名詞
de tout ce monde-là:そこにいた人たちから
survivant(e):(n) 生き残り、生存者、残存者
bell-sœur:(f) 義理の姉妹、本文ではおそらく
妻の姉か妹
Sacristi:(間) 畜生!、糞!ちぇっ!
⦅怒り、苛立ち、憤りなどを表わす⦆
s'égrèner:(pr) 次々に落ちていく
puisque:〜だから
1254番:ペルル嬢(71)
ペルル嬢(71)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【71】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Nous demeurions en famille à ce moment- là, et
nombreux, très nombreux: mon père, ma mère, mon
oncle et ma tante, mes deux frères et mes quatre
cousines; c' étaient de jolies fillettes; j'ai épousé la
dernière. .
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
当時私たちは家族で住んでいました.それは多人数で
した.実に多人数でした.私の父、母、叔父、そして叔
母、2人の兄弟と4人の従姉妹がいた;それは綺麗な娘
さんたちだった.私はその末っ子と結婚したのだ.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
demeurions:(1複半過去) <demeurer (自) 住む
demeurer à Paris / パリに住む
rue などの通り名が来ると、前置詞なして、
demeurer rue Racine [au] numéro 10.
ラシーヌ街10番地に住む
en famille:❶家族そろって、一族で;
❷家族だけで、内輪で、家族水入らずで
* 本文のfamille は大家族のこと(famille nombreuse).
大家族は他にgrande famille があるがこれは「大家」
や「名門一族」を意味することが多い.
nombreux(se):(形) 多人数の
cousin(e):[クザン, クジーヌ] いとこ、従兄弟、従姉妹
cousines:(f/pl) 数人の従姉妹
fillette:(f) 少女、小娘、若い娘
épousé:(p.passé) < épouser (他) 〜と結婚する
Il a épousé ma sœur. / 彼は私の姉(妹)と結婚した.
1253番:ペルル嬢(70)
ペルル嬢(70)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【70】−−−−−−−−−−−−−−−−−
On eût dit que le bon Dieu avait empaqueté la
terre pour l' envoyer au grenier des vieux mondes.
Je t' assure que c' était bien triste.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
神様が大地を梱包して、古い世界の納屋に送り込む
と言ったような為体(ていたらく)だった.しんみり
それはもう、していたよ.
−−−−−−−−−−《語句と文法》−−−−−−−−−−−−−−−−−
empaqueté:(p.passé) < empaqueter (他) 梱包する
くるむ
on eût dit que 〜:さながら〜と言わんばかりだったよ
(条件法過去第2形)
「神様が大地を梱包していた」というのは事実では
ありません.
のようだったという仮定を言っていますので条件法
が使われています.
1252番:ペルル嬢(69)
ペルル嬢(69)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【69】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Tu vois bien les lieux, n' est- ce pas ? Or, cette
année- là, aux Rois, il neigeait depuis une semaine.
On eut dit la fin du monde. Quand nous allions
aux remparts regarder la plaine, ça nous faisait froid
dans l' âme, cet immense pays blanc, tout blanc,
glacé, et qui luisait comme du vernis.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
場所はいろいろわかったんじゃないか?だろ? さて
その年の公現祭なんだが、1週間前以来雪が降り続いて
いた.世界の終わりかと思いましたよ.私たちは城壁ま
で出て平原を見に行きました.それを見て心底ぞっとし
ました.一面真っ白な銀世界でした.真っ白.氷です.
ニスを塗ったような輝きでした.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
or:(接) さて、ところが
On eut dit la fin du monde:(前過去)ただし本文中での
前過去は不自然.eut はeût のことだと思います.
On eût dit la fin du monde:(条件法過去第2形)
世界の終わりかと思いましたよ.
rempart:(m) 城壁、城砦
luisait:(半過去3単) < luire (自) 光る、輝く
conduire と同じ活用だが、単純過去はない.
さらに過去分詞lui も性数変化しない.
vernis:(m) ニス、釉薬
−−−−−−−−−−−≪質問コーナー≫−−−−−−−−−−−−−−−−−
学習者A:先生、質問があります.
私 :先生じゃないけど、同じ学習者のよしみ、
お聞きします.
学習者A:過去の時点が記されると、半過去は使えない
と聞きました.depuis une semaine は1時点
でしょ?
私 :『詳解フランス文法』(駿河台出版)によると
半過去には過去の基準点は1点与えられる
とあります.そして「開始点・終了点の双方
が同時に示されない」こととありますから
depuis une semaineという開始点1点は与えて
もらえます.それから中間の1時点ももらえ
ます.Quand ~, のあとの主節に半過去OK.
ただしこの本では触れられていませんが、終
了点があれば、半過去は使えないと思います.
開始点があっても、なくても終了点があれば
使用不可!
「いついつまで〜していた」という表現では
半過去使用禁止!だって、未完了過去とも
いいますから.
学習者A:蜜柑量下向かあ.
私 :何?
1251番:ペルル嬢(68)
ペルル嬢(68)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
.−−−−−−−−−−−【68】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Une route passait devant cette porte qui était munie
d' une grosse cloche, car les paysans, pour éviter le
grand tour, apportaient par là leurs provisions.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
街道が大きな鐘が付けられたその門の前を通っていた.
百姓たちは遠回りが嫌で、自分たちの食糧をそこを通
って運んでいたのだよ.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
munie:(p.passé/f) < muni (p.passé) < munir (他)
(de を) 備えさせる、持たせる;
munir une salle d''un climatiseur /
広間にエアコンを取り付ける
1250番:ペルル嬢(67)
ペルル嬢(67)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【67】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Il y avait aussi une porte de sortie de ce jardin
sur la campagne, au bout d' un escalier secret qui
descendait dans l' épaisseur des murs, comme on en
trouve dans les romans.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
この庭の出口の門扉もあって、そこから野原に出られ
た.それは小説なんかに出てくるような隠し階段が城壁
の厚みの中にあって、ずっと最後まで降りて行った先だ.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
épaisseur:(f) 厚さ、厚み、深み、
mur:(m) 城壁
on en trouve dans les romans:en (それについては)小説に
見られるような
−−−−−−−−−−−−≪解釈≫−−−−−−−−−−−−−−−−−−
sur la campagne, au bout d'un escalier ~
このふたつの前置詞句は、同格の言いかえです.
「階段の先、そこは野原に面していた」
1249番:ペルル嬢(66)
ペルル嬢(66)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【66】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Nous avions là une maison avec un beau jardin
suspendu, soutenu en l' air par les vieux murs de
défense. Donc la maison était dans la ville, dans
la rue, tandis que le jardin dominait la plaine.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
私たちはそこに美しい屋上庭園のある家を持っていた
のです.それは古ぼけた防御壁によって上空に持ち上げ
られていた.庭からは平野を見おろせたのだが、家は町
に建っていた.街路沿いだ.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
suspendu(e):(形) [à に] 吊るされた;
< suspendre (他) [à に] 吊るす
jardin suspendu:空中庭園、屋上庭園
soutenu:<soutenir (他) 支える
défense:(f) 防衛、防御
tandis que:❶〜する間に、〜している時に
❷〜であるのに、〜に反して
しかるに、一方
dominait:(3単半過去) <dominer (他) ❶支配する、
圧倒する; ❷見おろす
plaine:(f) 平野、平原
.−−−−−−−−−−−≪学習後記≫−−−−−−−−−−−−−−−−
jardin suspendu を見てびっくりしました.吊るされた庭
って、一体何?丹念に辞書を見ていくと、やっと見つか
りました.空中庭園ね.ビルの屋上にある庭園のことで
こちら大阪では梅田スカイビルの空中庭園展望台が有名.
でもよかったです.クレーンで吊るされた庭だったら
大変です.
1248番:ペルル嬢(65)
ペルル嬢(65)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【65】−−−−−−−−−−−−−−−−−
− Nous habitions alors Roüy- le- Tor, sur les
remparts; mais il faut d' abord t' expliquer la
maison pour que tu comprennes bien. Roüy
est bâti sur une côte, ou plutôt sur un mamelon
qui domine un grand pays de prairies.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−私たちはその当時、城壁上にあるロユイ・ル・ト
ール館に住んでいたのだよ.だがその前にその城館につい
て君がよくわかるように説明せねばならんな.ロユイは斜
面に建てられている.あるいはむしろ丘の上だな.草原の
広大な風景が見おろせるところだ.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
Nous habitions alors Roüy-le-Tor:(私たちは当時ロユイ・
ル・トールに住んでいた) habiter は普通自動詞
として用いるが他動詞として使うこともある.
Roüy-le-Torについては不明.城壁の上というから
城の名前なのか?今は仮としてそうしておきます.
「ロユイ・ル・トール城」
rempart:(m) 城壁、城砦(ジョウサイ)
côte:(f) ❶肋骨; ❷斜面; ❸海岸;
ここでは❷の斜面
mamelon:(m) ❶乳首、乳頭;❷円形突起、円い丘
domine:(3単直現)<dominer (他) ❶見おろす、
そびえる;❷支配する;❸圧倒する
−−−−−−−−−−−≪意味不明≫−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロユイ・ル・トールを調べたが、ロイ・ル・トールで
調べ直すよう案内されたので見に行きました.すると
楽天市場が出てきて「サボテン買いませんか」の広告
が出てきた.「いいえ買いませんけど、ロイ・ル・トー
ルはどうしたの?」
−−−−−−−−−−≪よけいなおしゃべり≫−−−−−−−−−−−−−
今回のテキストの後半は安物の翻訳機ならこう訳すかも!
「ロユイは肋骨の上かもしくは乳首の上に建てられている.
大草原のパノラマが見下ろせる場所だ」
ロユイは悪性腫瘍の家が胸の辺りに建てられて入院.
病棟の窓から牧草地が見られる.あ、牛が呼んでいる!
1247番:ペルル嬢(64)
ペルル嬢(64)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【64】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Il se tut, puis reprit:
− Et si tu savais comme c' est singulier que tu
me demandes ça aujourd' hui, un jour des Rois.
− Pourquoi ?
− Ah ! pourquoi ! Écoute. Voilà de cela quarante
et un ans, quarante et un ans aujourd' hui même,
jour de l' Épiphanie.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
主人は黙り込んだが、やがてまた話し始めた.
−よりによって公現祭の日にそんなことを聞くなんて、
何て不思議な話なんだろうねえ.
−どうしてですか?
−「どうして」ってかね!いいかい、あれから、そう、
もう40年とさらに1年がたつ.きょうと同じ公現祭の日
だったよ.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
su tut:(3単単純過去) < se taire 黙る、黙り込む
si tu savais:直訳は「もしも君が知っていたら」ですが、
ここではそういう意味はなく、「〜なんだよ」
si tu savais comme c'est singulier:それはなんて奇妙な
ことなんだろうねえ.
tu sais 「〜だねえ」を過去形にして強調したもの.
de cela:あれから
voilà + 期間:〜(して)から...(年月)になる
Voilà bientôt dix ans de cela. / あれからやがて10年
になる.
Voilà plus d'une heure que je l'attends.
彼(女)を待って1時間以上になる.
Épiphanie:(f)[カト] 公現祭(1月6日)
−−−−−−−−−−−− ≪文法≫−−−−−−−−−−−−−
taire 直現_______単過
1単:tais_________tus
2単:tais_________tus
3単:taît_________tut
1複:taisons______tûmes
2複:taisez_______tûtes
3複:taisent______turent
1246番:ペルル嬢(63)
ペルル嬢(63)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【63】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Il cessa de jouer, très étonné, et me regarda.
− Comment, tu ne sais pas ? tu ne connais pas
l' histoire de Mlle Perle ?
− Mais non.
− Ton père ne l' a jamais racontée ?
− Mais non.
− Tien, tien, que c' est drôle ! ah ! par exemple,
que c' est drôle ! Oh ! mais, c' est toute une aven-
ture !
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
ペルル氏は非常に驚いてゲームを中断し、私を見まし
た.
− 何だって、君は知らないのかい?ペルル嬢のこと
は話にきいていないの?
− 知るわけないですよ.
−君のお父さんは一度もその話をしていなかったの
かい?
− ええ、一度も.
− おやおや、何ておかしなことだ!ああ、何てこった.
そんなばかな!でもこれは驚くべき出来事なんだよ.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
par exemple:❶ 例えば
[会話]❷ とんでもない、まさか、何て〜だ、
Ah ! non, par exemple ! / だめだめ、とんでもない
[会話]❸そのくせ
Il déteste le poisson, par exemple il mange des co-
quillages. / 彼は魚は嫌いだ.そのくせ貝は食べる.
[誤訳] 彼は魚は嫌いだ.例えば貝を食べる.
❶か❷か❸か、内容を把握してから訳すが必要ある.
aventure:(f) 意外な出来事、驚くべき事件
1245番:ペルル嬢(62)
ペルル嬢(62)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【62】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Je commençait donc la partie; je fis quelques
carambolages; j' en manquai quelques autres; mais
comme la pensée de Mlle Perle me rôdait dans la
tête, je demandai tout à coup:
− Dites donc, monsieur Chantal, est- ce que Mlle
Perle est votre parente ?
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
さて私はゲームを始めました.何度かキャロムをやっ
てのけ、何度かやり損なったりしていました.しかしペ
ルルさんの思いが頭の中を徘徊しつづけたので私は突如
として尋ねました.
「ねえシャンタルさん、ペルル嬢はあなたの親戚なの
ですか?」
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
donc:[ドン](副) さて
parent(e):[パラン][パレント] @(m/pl) 両親
❷親戚、親類
partie:(f) 勝負、試合、ゲーム
carambolages:[カランボラージュ](m)(玉突き) キャノン、
キャロム
(手玉をふたつの玉に連続して当てること)
j'en manquai:je manquai de carambolage
私はキャロムに失敗した.
rôdait:(3単半過去) < rôder (自) うろつく、さまよう
1244番:ペルル嬢(61)
ペルル嬢(61)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【61】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Car il me tutoyait, bien que j' eusse vingt- cinq
ans, mais il m' avait vu tout enfant.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
ご主人は私を25歳になった今でも君呼ばわりしてい
るわけなのです.ずっと子供だと思い続けているのです.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
car:というのは;前回のÀ toi, mon garçon ! を受けて
bien que + 接続法:〜ではあるが
eusse:(接続法半過去1単) < avoir
mais:ここでは「まったく」しようがないなあという
気もちが入っているのだと思います.
1243番:ペルル嬢(60)
ペルル嬢(60)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【60】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Ce soir- là, on avait même fait du feu dans le
billard, à cause des Rois; et mon vieil ami prit
sa queue, une queue très fine qu' il frotta de blanc
avec grand soin, puis il dit:
−−À toi, mon garçon !
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
その夜はビリヤード室にまでもが公現祭ということで灯
りが点されていました.そして我が旧友シャンタル氏は
自分の玉突き棒を手にした.ごく細い棒だった.その先
にとても念入りに胡粉をつけて、私に言いました.
「君、これでやんなさいよ!」
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
Rois:(m/pl) 公現祭、複数形である.定冠詞を伴い、
les Rois とする.本文の à cause des Rois のdesは
de + les の縮約形である.意味は公現祭がために
frotta:(3単単純過去) < frotter (他) こすりつける
こする; [de を](こすりつけて) 塗る
avec grand soin:とても念入りに
1242番:ペルル嬢(59)
ペルル嬢(59)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【59】−−−−−−−−−−−−−−−−−
................................................. V ....................................................
Dès que le dîner fut fini, Chantal me prit par
le bras. C' était l' heure de son cigare, heure
sacrée. Quand il était seul, il allait le fumer
dans la rue; quand il avait quelqu' un à dîner, on
montait au billard, et il jouait en fumant.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
夕食が終わるとすぐに、シャンタル氏は私の手を取っ
た.それはシャンタル氏の葉巻の時間でした.葉巻に捧
げられる時間なんぼでした.シャンタル氏はひとりのと
きには通りに出て葉巻を吸いに行きます.シャンタル氏
が誰か他の人と夕食を取ったときは、ビリヤード室に行
ったりします.そして葉巻をくわえながらゲームをする
のでした.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
cigare:(m) 葉巻
montait:(3単半過去) < monter (自) 上がる、登る:
実際に上に登った、ということではなく、単に
「行った」というほどの意味.ビリヤード室が
昔は2階の部屋にあったからでしょうか?
日本語でも仕事を終わるとき「もう上がって
いいよ」などと上司が言ってくれますが、
仕事場が地下にあるわけではないケースが
多いです.
billard:[ビヤール](m) 玉突き、ビリヤード
jouait:(3単半過去) <jouer ゲームをする
en fumant:葉巻を吸いながら.
−−−−−−−−−−−<ひとこと>−−−−−−−−−−−−−−−−−
cigare (葉巻) を辞書で引いたとき、すぐ上に cigale (f)(蝉)
があった.どちらも発音は日本語よみを振ると[シガール]に
なります.これは大変です.l とr の発音をしっかり分け
なければならないと感じた一瞬でした.
r はできそうにないのでx [口蓋に息をハーと通過させる]
これだけでもフランス人には聞き分けはしてもらえると
思います.cigare 出来るだけ正しく振るとスィガーフ
フ はただの「フ」ではない.寒いときに吹きかける
ハーの混ざった「フ」
1241番:ペルル嬢(58)
ペルル嬢(58)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【58】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Elle eut envie, je m' en aperçus, de se cacher la
figure dans sa serviette; puis comme elle trempait
ses lèvres dans le vin clair, tout le monde cria:
≪ La reine boit ! la reine boit ! ≫ Elle devint alors
toute rouge et s' étrangla. On riait; mais je vis
bien qu' on l' aimait beaucoup dans la maison.
−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
私はペルルさんがナプキンで顔を隠したい気持ちになっ
ていることに気づきました.それから彼女が唇を透明の
ワインに浸すと、みんなは囃し立てた.「女王様が飲ん
だ! 女王様が飲んだ!」 そうするとペルルさんは真っ
赤になって、のどが詰まってしまいました.みんな笑っ
ていましたが、私はこの家でペルルさんがみんなにとて
も好かれていることをよく見て取りました.
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
serviette:(f) ❶(食卓用)ナプキン、❷タオル
trempait:(半過去3単) < tremper (他)
…を(液体に)浸す
Elle eut envie de se cacher la figure dans sa serviette:
彼女はナプキンに顔を隠したかった.
eut:(3単単純過去) <avoir
avoir envie de + 不定詞:〜したい
se cacher (pr) 隠す
figure (f) 顔
je m'en aperçus:(1単単純過去)
私はそれに気づいた.(それ=彼女がそうしたいこと)
en はペルルさんが顔をナプキンで覆いたい、と
いう気もち;これを仮にcela で置き換えます.
avoir envie de cela それを強く欲しいと思う.
en はこの de cela の部分を置き換える代名詞です.
trempait:(3単半過去)< tremper (他) 浸す、つける、
濡らす、
crier:(自) 叫ぶ、騒ぎ立てる、
lèvre:(f) 唇;(上下あるので複数で用いる)
devint:(3単単純過去) <devenir 〜になる
〜の部分は属詞;devenir の取る属詞は主語と同格
なので目的格補語ではありません.従ってdevenir
は他動詞ではなく自動詞.
alors:(副) そうすると
toute rouge:(形句) 真っ赤な
s'étrangla:(3単単純過去pr)
< s'étrangler (pr) のどが詰まる
riait:(3単半過去)
1240番:ペルル嬢(57)
ペルル嬢(57)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【57】−−−−−−−−−−−−−−−−−
J' étais stupéfait de mes observations. On versait
du champagne. Je tendis mon verre à la reine, en
portant sa santé avec un compliment bien tourné.
.−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
私は自分の観察力に我ながら驚きました.シャンパン
が注がれました.私は女王様の健康に寄せて、気の利い
た祝辞と共に乾杯のグラスを差し出しました.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
stupéfait:(形) 唖然とした、仰天した
observation:(f) 観察
versait:(3単半過去)(他) 注ぐ、
champagne:(m) シャンパン
tendis:(1単単純過去) < tendre (他)差し出す、
差しのべる;
Il m'a tendu une lettre. / 彼は私に1通の手紙を
差し出した.
Je tendis mon verre à la reine. / 私は女王様に乾杯
をした.
en portant:〜に寄せて、
santé:(f) 健康
verre:(m) ガラス、グラス、コップ
compliment:(m) 賛辞、挨拶、お世辞、祝辞
tourné:<tourner (他) 表現する、
[言葉など] を巧みに操る
compliment bien tourné:お世辞、挨拶の決まり文句
1239番:ペルル嬢(56)
ペルル嬢(56)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【56】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Et, brusquement, je la comparai à Mme Chantal !
Certes, Mlle Perle était mieux, cent fois mieux,
plus fine, plus noble, plus fière.
.−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
そこで私は突然だがにペルルさんをシャンタル夫人と
比べて見ようと思うのだ.確かにペルル嬢の方が優れて
いた.100倍優れていた.より細やかだったし、より気
高くより崇高だった.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
brusquement:(副) 突然、不意に、いきなり
comparai:(未来形?)
<comparer (他) 比べる、比較する;
本文ではje la comparai à Mme Chantal. で
私は彼女とシャンタル夫人を比べてみよう.
なのですが、半過去の文章の中で使われているの
でここはもう「過去未来」の代用と考えた方がい
いと思います.「私は彼女とシャンタル夫人を
比べてみようと思った.」
certes:(副) たしかに、間違いなく、もちろん、確実に
fier, fière:(形) 誇りに満ちた
−−−−−−−−−−−≪文法≫−−−−−−−−−−−−−−−−−
comparer の正しい未来形は
je comparerai............nous comparerons
[コンパルレ]......................[コンパルロン]
tu compareras...........vous comparerez
[コンパルラ]......................[コンパルレ]
il comparera................ils compareront
[コンパルラ]......................[コンパルロン]
のはずですが、事実としてcomparai (直現1単)が
ある以上、この形も是認する必要がありそうです.
je comparai....nous comparons
tu comparas....vous comparez
il compara.........ils comparont
ただし試験本番ではこの形は避けた方が無難でしょう.
単純未来形の基本形態は <不定詞 + avoir の現在活用形>
です.
万一、私の知らないcompar という単語があって
comparai という未来形になっているとしたら、
その時はすみません.私の知識不足でした.
だけど動詞がar という語尾で終わるというものは
フランス語にはないと思います.フランス語の動詞の
語尾は、er, ir, re, oir のどれかになります.
1238番:ペルル嬢(55)
ペルル嬢(55)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【55】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Quelle jolie bouche ! et quelles jolies dents !
Mais on eût dit qu' elle n' osait pas sourire !
.−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
口もとの何という美しいことでしょう! そして、そ
の歯並びの美しいこと! さりながら彼女には微笑する
ことさえ出過ぎた真似だったらしい.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
quelles jolies dents !:何と美しい歯なのか!
歯がきれい、美しいというのは色もそうだが、
歯並びも含むと思いましたのでそう訳しました.
J'ai osé traduire ce mot comme une dentition.
osait:(3単半過去) < oser (他)
<oser + 不定詞>:厚かましくも〜する
敢えて〜する、〜する勇気がある:
Il a osé me faire des reproches. / あいつはおこがま
しくも私を非難した.
否定では pas を省略できるが意味が弱まる.
Il n'osa intervenir. / 彼には敢えて口をはさむ気は
なかった.
意味が弱まっているので、
「彼には特に口をはさむ気はなかった」
ぐらいでいいと思います.
* oser は心の抵抗があって普通はやりにくいこと
をする、という理解でいいと思います.
1237番:ペルル嬢(54)
ペルル嬢(54)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【54】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Tout le visage était fin et discret, un de ces
visages qui se sont éteints sans avoir été usés,
ou fanés par les fatigues ou les grandes émotions
de la vie.
.−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
顔全体は繊細でつつましやかだった.疲労によって
消耗したり、しおれたりはせず、また人生の荒波で激
しい感情によって疲れ果てたりもせず、ただそっと若
さを消した、そんな顔だった.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
fin:(形) @細い、A繊細な、❸上質の、極上の、高級な
discret, ète:(形) 慎み深い、控えめな、A地味な、目立たない
éteint:(形) 消えた < éteindre (他) を消す
usés:すり減った、傷んだ、やつれた、衰弱した
<user (他) @用いる、使う、
A振舞う、行動する、❸をすり減らす、消費する
だめにする
s' éteindre:(pr) 消える、失われる
fané(e):(形) 枯れた、しおれた;
< faner (他) を乾燥させる、しおれさせる
fatigue:[ファティーグ](f) 疲れ、疲労
émotion:(f) (喜怒哀楽などの)気もちの高ぶり
1236番:ペルル嬢(53)
ペルル嬢(53)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【53】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Quelle drôle de créature, vraiment ! Comment ne
l' avais- je jamais mieux observée ? Elle se coiffait
d' une façon grotesque, avec de petits frisons vieil-
lots tout à fait farces; et, sous cette chevelure à
la Vierge conservée, on voyait un grand front cal-
me, coupé par deux rides profondes, deux rides de
longues tristesses, puis deux yeux bleus, larges et
doux, si timides, si craintifs, si humbles, deux
beaux yeux restés si naïfs, pleins d' étonnement de
fillette, de sensations jeunes et aussi de chagrins
qui avaient passé dedans, en les attendrissant, sans
les troubler.
.−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
何と奇妙な人間だろう、まったく! どうして今まで
こんなに注意深く彼女を観察しなかったのだろう?
彼女は髪は自分で、年寄りじみた小さな巻き毛を作って
全く、いたずらのような奇妙なやりかたで結っていまし
た.そしてこの聖母マリア様風に仕上げた若々しい髪の
下に、大きくて物静かな額が見えていました.それは
ふたすじの深いしわで切り込まれていた.積年の辛い
日々を物語るようなしわだ.それからふたつの青い目.
大きくて、穏やかな目だ.その目は余りにも内気で、気
遅れして、控えめで、いつも小娘のもつ驚きで、そして
若々しい興奮で、そしてまた悲しみでいっぱいだった.
それらは、その目の中を曇らせることなく、ほろりと
させて通り過ぎてゆくのでした.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
drôle:(形) おかしい、滑稽な、変な、奇妙な
créature:(f) 被造物、人間
se coiffait:(半過去3単) < se coiffer 自分の髪を結う
coiffer:(他) 髪を結う、髪をセットする
grotesque:(形) 珍妙な、奇妙な、異様な、グロテスクな
frisons:(m) (髪の)カール、ウェーブ
vieillot(te):(形) @ 年寄りじみた、A古ぼけた、古臭い
tout à fait:まったく、完全に
farce:(f) いたずら、愚弄,笑劇
chevelure:(f) (豊かな)髪 [髪の総称]
Vierge:(f) 聖母マリア、乙女座、処女宮
vierge:(f) 処女、生娘、
conservé(e):(形) @ よく保存された、持ちのいい;
A 若々しい
calme:[カルム](形) 静かな、穏やかな
coupé:(形) 切られた、刈られた
ride:(f) 皴(シワ)
profond(e):(形) 深い
longues tristesses:(pl) 積年の様々な辛い出来事
tristesse (f) は複数で「悲しい出来事」
timide:(形) 内気な、おとなしい、おずおずした
craintif(ve):(形) 臆病な、おどおどした
humble:[アンブル](形) 謙虚な、控えめな
naïf(ve):[ナイーフ(ヴ)](形) 無邪気な、純朴な、
あどけない、天真爛漫な、人を疑わない
étonnement:(m) 驚き
fillette:(f) 小娘、少女、若い女;
fille (少女) + ette (縮小辞):縮小辞というのは
名詞を可愛らしくする語尾
fille (娘) →fillette (娘っ子)
sensation:[サンサスィオン](f) @ 感覚、感じ; A 興奮、
センセーション
chagrin:(m) 悲しみ、苦痛
attendrir:(他) やさしい気もちにする、ほろりとさせる
感動させる
en les attendrissant:(ジェロンディフ) ほろりとさせて
les は青い二つの目
troubler:(他) 妨げる、邪魔する、濁らせる
−−−−−−−−≪学習した感想≫−−−−−−−−−−−−−−−−−
2つ目の文は長いので、文の途中で、適当に切りました.
100年以上も昔の人間は、気が長かったのだと思います.
書く方も、読むほうも、気長に果てしなく続く文につき
合っていたということですね.2時間半でいける東京・
大阪間を2週間以上かけて徒歩旅行していた時代の人間
は全長1m以上の長い文章も平気だったのでしょう.
足腰が丈夫だった以上に、脳みそも元気だったという
ことでしょうか.
1235番:ペルル嬢(52)
ペルル嬢(52)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【52】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Elle se coiffait, s' habillait, se parait ridiculement, et,
malgré tout, elle n' était point ridicule, tant elle por-
tait en elle de grâce simple, naturelle, de grâce
voilée, cachée avec soin.
.−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
ペルルさんはおかしな髪を結い、不格好な衣服の着用を
して滑稽な感じに見せていました.しかしすべてに反し
て、少しも滑稽ではないのです.それほど彼女は、素朴
な優雅さ、彼女自身によって入念に隠された見えない
優雅さで自然に着こなしていたのです.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
se coiffait:(3単半過去) < se coiffer 自分の髪を結う
自分の髪をセットする
coiffer (他) 髪を結う、セットする
s'habillait:(3単半過去) <s'habiller
habiller:(他) (人に)服を着せる
se parait:(辞書不掲載)(半過去3単) < se paraîre
se paraîre は辞書にありません.se を無視しても
大丈夫と思います.「滑稽な風に見えていた」
ridiculement:(副) 滑稽に、おかしく
malgré:(前) の意に反して
ridicule:(形) 滑稽な、おかしな
tant:(副) 非常に、それほど
portait:(半過去3単) < porter (他) 身に着けている
着ている
grâce:(f) 優雅さ、しとやかさ、
エレガンスを具えていること
simple: (形) 素朴な、
naturel(le):(形) @自然な;A生まれつきの
voilé(e):(形) 覆いのかかった、不明瞭な
cachée:(p.passé/f)(形f) <cacher (他) 隠す
soin:(m) 入念さ、注意、世話
1234番:ペルル嬢(51)
ペルル嬢(51)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【51】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Je me mis à la regarder.−−Quel âge avait- elle ?
Quarante ans ? Oui, quarante ans.−−Elle n' était pas
vieille, cette fille, elle se vieillissait. Je fus soudain
frappé par cette remarque.
.−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
私はペルルさんのことをしっかりと見るようになりま
した.−−彼女のお歳はいくつだろう?40歳ほどか?
そうです.40歳でした.−−彼女は老けてはいません.
この娘さんは.彼女は老けて見せていただけなのです.
これに気づくことにより、私は急に胸が打たれました.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
se mettre à + 不定詞:〜し始める
regarder:(他) 見る、眺める、注意してみる
注視する、注目する
oui, quarante ans:そうです.40歳でした.
ただし本文からは、彼女に聞いたから知ったとい
う情報はありません,何らかの拍子に知ったか
それともこの時点でも確証なき確信だったか!
その場合の訳:そうです、きっと40歳ほどだ.
se vieillissait:(3単半過去)
< se vieillir 自分を老けて見せる
自分を実際よりも年上に言う
remarque:(f) 注意;
ただし本文ではこの意味ではなく不記載ですが
「気づくこと」、「気づいたこと」という意味で
remarquer (気づく)という動詞が名詞転用された
もの.
frappé:(p.passé) (心が)打たれる
<frapper (他) 打つ、たたく、
(心を) 打つ
1233番:ペルル嬢(50)
ペルル嬢(50)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【50】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Mme Chantal disait: ≪ Perle. ≫ Les jeunes filles:
≪ Mademoiselle Perle ≫, et Chantal ne l' appelait
que ≪ Mademoiselle ≫, d' un air plus révérend peut-
être.
.−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
(ペルルさんのことを) シャンタル夫人は「ペルル」と
呼び、娘さんたちは「ペルルさん」と呼んでいた.そし
てシャンタル氏は「マドモワゼル」としか呼びませんで
した.おそらく思いのほか敬意がこもっていたようです.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
今回は難しい語句はありません.1点だけ申し上げます
と、plus です. 比較すべきque 以下が本文上、どこに
も見当たりません.
d'un air plus révérend / より敬意が込められた風に
ですが、一体「何より敬意がこめられているか」書かれ
ていません.だから「絶対比較」になると思いますので
「案外」、「意外なほど」と訳せばいいのかも知れません.
1232番:ペルル嬢(49)
ペルル嬢(49)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【49】−−−−−−−−−−−−−−−−−
On la traitait amicalement, mieux qu' une femme de
charge, moins bien qu' une parente. Je saisissais
tout à coup, maintenant, une quantité de nuances
dont je ne m' étais point soucié jusqu' ici !
.−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
家のみんなは彼女には、単なる家政婦以上に、友として
やさしく接してはいるが、親族ほどのものでもなかった.
私は今になって突然、今まで全然気にもかけなかった多
くの微妙な点が思っていたイメージと異なっていること
に気がついたのでした.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
amicalement:(副) 友情を込めて、親切に、
親しみのある態度で、
femme de charge:家政婦、家政を任された女、女中頭
parent(e):(名) 親戚、親類、親族
saisissais:(半過去1単)(第2群規則動詞)
<saisir (他) 把握する、理解する
se soucier:(pr)[de のことを]心配する、気にかける、
quantité:(f) 量、数量;
une quantité de ~:たくさんの〜
nuance:(f) @色合い; A 微妙な差異
jusqu' ici:今まで、[ici はここでは時間的に今の意味]
dont:関係代名詞がque ではなくdont になっているのは
se soucier(代動)が目的語にde を添える必要が
あるため;se soucier de ~ :〜を気にかける
1231番:ペルル嬢(48)
ペルル嬢(48)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−【48】−−−−−−−−−−−−−−−
Elle faisait partie de la famille Chantal, voilà
tout; mais comment ? À quel tire ? − C' était
une grande personne maigre qui s' efforçait de
rester inaperçue, mais qui n' était pas insigni-
fiante.
−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−
ペルルさんはシャンタル家の一員だった、それだけの
ことなのだが:でもどうして家族なのか?どういう経緯
(いきさつ)なのか?どんな理由があるのか?−この
人は背の高い、やせ型の人で、目立たないように心がけ
ているのだった.がしかし、なかなか隅に置けない人物
だった.
−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−
comment ? :どういう経緯(いきさつ)で?
どいいういきさつで家族の一員なのか?
à quel tire:⦅疑問文で⦆どんな資格で、
どんな理由で、
Tu dis ça à quel tire ? /
どんな資格があって君はそんなことを言うのか?
s'efforçait de + 不定詞:(3単半過去)
<s'efforcer de + 不定詞~:〜しようと努力する
inaperçu(e):[イナペルスュ] (形) 目立たない、気づかれない、
人に見つけられない
insignifiante:[アンスィニフィヤント](形) 下らない、
取るに足らない
1230番:ペルル嬢(47)
ペルル嬢(47)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−−【47】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Un jour, on ne sait pourquoi, parce qu' un rayon
de soleil tombe sur le siège, on se dit tout à
coup: ≪ Tiens, mais il est fort curieux, ce meuble ≫
; et on découvre que le bois a été travaillé par
un artiste, et que l' étoffe est remarquable. Jamais
je n' avais pris garde à Mlle Perle.
.−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
ある日、なぜだか知らないが、この椅子に日の光りが
当たって、突然、こう思う.「あれ?どうだ、この椅子.
ずいぶん変わった椅子だぞ」:木の部分は職人の手で作
られている.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
parce que ~:〜なので、〜だから
siège:(m) 腰掛、椅子
curieux:(形) 好奇心をそそる、奇妙な、変わった
meuble:(m) 家具、備品;(ここでは椅子)
étoffe:(f) ❶ 生地、布地、織物; A 素材、材料
remarquable:[ルマルカーブル](形) 注目すべき、傑出した
目立つ、すばらしい、めざましい
1229番:ペルル嬢(46)
ペルル嬢(46)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【46】−−−−−−−−−−−−−−−−−
J' étais habitué à la voir dans cette maison,
comme on voit les vieux fauteuils de tapisserie
sur lequels on s' assied depuis son enfance sans
y avoir jamais pris garde.
.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
私は、この家でペルルさんを目にするのは、いつもの
ことでした.たとえば、つづれ織りを上張りにつかった
古い安楽椅子があって、幼少期からずっとそれに座って
いる者が決してそれに注意して見詰めたことがないよう
なものです.ペルルさんをそんな感じで見ていました.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
habitué:(形) 慣れた; habitué à ~ :〜に慣れた
habitué à + 不定詞 :〜することに慣れた
<habituer (他) [à に]慣らす
fauteuil:(m) 肘掛け椅子、安楽椅子
tapisserie:(f) ❶つづれ織り、
Aつづれ織りの壁掛け、タペストリー
pris:<prendre (他) 取る
garde:(f) 用心、警戒、保護、保管
prendre garde à ~ :〜に気をつける、注意する
〜を目にかける
1228番:ペルル嬢(45)
ペルル嬢(45)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【45】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Alors, pour la première fois de ma vie, je regar-
dai Mlle Perle, et je me demandai ce qu' elle était.
.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
そのとき、私は人生で初めてペルル嬢をまじまじ眺め
た.私は不思議に思った.彼女って一体何者なの?
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
se demander:(pr) 自問する、不思議に思う
1227番:ペルル嬢(44)
ペルル嬢(44)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【44】−−−−−−−−−−−−−−−−−
On criat:≪ Vive la reine ! vive la reine ≫
Quant à elle, la pauvre vieille fille, elle avait
perdu toute contenance; elle tremblait, effarée, et
balbutiait:≪ Mais non... mais non ...pas moi... Je vous
en prie... pas moi ... Je vous en prie... ≫
.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
みんなは叫びました.「女王様万歳!女王様万歳!」
彼女、この気の毒なペルル老嬢はどうかというと、彼女
は、すっかり冷静さを失っていました.彼女はふるえ、
仰天し、口ごもって言うのでした:「とんでもないこと
です.私がだなんて、絶対だめ、お願いですから...」
もり、
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
perdu:(p.passé) < perdre (他) 失う、失くす
contenance:(f) @ 態度、様子、冷静さ;A 容積
tremblait:(半過去3単) < trembler (自) ふるえる、
心が動揺する
effaré(e):(形) 仰天した、ぎょっとした、
balbutiait:(3単半過去) < balbutier (自) 口ごもる
1226番:ペルル嬢(43)
ペルル嬢(43)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【43】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Mais tout à coup, j' eus une inspiration, et je
tendis à Mlle Perle la poupée symbolique. Tout
le monde fut d' abord surpris, puis on apprécia
sans doute ma délicatesse et ma discrétion, car
on applaudit avec furie.
.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
しかし突如私はひらめいたことがあって、ペルル嬢に
例の人形を差し出しました.みんなは最初、驚きました
が、それから、おそらくみんなは私のデリカシーや出し
ゃばらない態度を嘉してくれたようです.というのは、
みんなは絶賛してくれたものですから.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
eus:[ユ](単純過去1単) < avoir
inspiration:[アンスピラスィヨン](f) 思いつき、ひらめき
tout à coup:突然、
tendis:(単純過去1単) < tendre (他) 差し出す、
指しのべる
symbolique:[サンボリック](形) 象徴的な
poupée:(f) 人形
poupée symbolique:相手選びの人形、ここでは結婚相手
選びを象徴する人形のこと;
単に「例の人形」と訳しておきます.
apprécia:(3単単純過去)
< apprécier (他) 〜を高く評価する
の真価を認める、尊重する;
Les vins sont très appréciés au Japon.
フランスワインは日本での評価が大変高い.
J'apprécie beaucoup le cadre de ce restaurant.
私はこのレストランの雰囲気を高く買っている.
doute:(m) 疑い;
sans doute: おそらく、多分、きっと
(字義通りの厳密さはないので「間違いなく」
としてしまわないように.)
délicatesse:(f) 繊細、微妙;(英)delicacy
discrétion:(f) 慎み、控えめ、遠慮
applaudit:(3単単純過去) <applaudir
furie:[フュリ](f) 激怒、狂乱、熱狂
avec furie:激しく、猛然と、熱狂的に
−−−−−−−−−−≪文法≫−−−−−−−−−−−−−−−−−
......................avoir 単純過去..........................
j' eus [ジュ]..................nous eûmes [ヌーズューム]
tu eus [テュユ]................vous eûtes [ヴズュット]
il eut [イリュ]..................ils eurent [イルズュール]
1225番:ペルル嬢(42)
ペルル嬢(42)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【42】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Élire l' une d' elles au détriment de l' autre me sem-
bla aussi difficile que de choisir entre deux gouttes
d' eau; et puis, la crainte de m' aventurer dans une
histoire où je serais conduit au mariage malgré moi,
tout doucement, par des procédés aussi discrets, aussi
inaperçus et aussi calmes que cette royauté insignifian-
te, me troublait horriblement.
.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
他方の心を傷つけて二人のうちひとりを選ぶなんて
私にはふたつの水滴からひとつを選ぶのと同じくらい
難しいことにように思われました.その上、私の意に
反した縁談が甘い言葉で巧みに秘密裏に、わからない
ように進められる事案に、わが身を危険にさらす心配
で私の心は動揺していました.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
élire:[エリール](他) 選出する、選挙する
au détriment de ~:〜に迷惑をかけて、〜を害して
〜を犠牲にして
goutte:(f) しずく、水滴
et puis:(理由を付け加えて) その上、おまけに
crainte:[クラント](f) 恐れ、心配
aventurer:(他) (生命、財産などを)危険にさらす
histoire:(f) 話、事柄、問題
malgré:(前) (人の)意に反して
procédé:(m)@ 方法、方式、処置;
❷【悪い意味で】技巧、策略
discret:(形) 秘密の、秘密裏の
inaperçu(e):[イナペルスュ](形) 人に見つけられない
気づかれない、目立たない、
calme:[カルム](形) @静かな、穏やかな;
A落着いた;
(m) 落着き、冷静
royauté:[ロワィヨーテ](f) 王であること、王位、
insignifiant(e):(形) くだらない、取るに足らない
troublait:(半過去3単) < troubler (他) @ 濁らせる、
曇らせる; A乱す;❸(人を)動揺させる
horriblement:[オリーブルマン](副) ひどく、恐ろしく
−−−−−−−−−−≪アドバイス≫−−−−−−−−−−−−−−−−
長文です.途中どこにもピリオド(ポワン)がありません.
とりあえず、セミコロン(ポワン・ヴィルギュル) ;で切
りましたが、うまい具合に、ここで文はふたつに分かれ
ているので.なんとかがんばれそうです.かといって、
後半の文もあなどれません.
後半の文の主語はla crainte、 これの動詞はどこです
か? ない?そんなことはありません.おしまいのほう
にポツンと一軒家のようにme troublait があります.
合わせまして:
la crainte me troublait./ 心配で私は動揺しました.
これが芯です.これにいろいろ修飾語句が巻きついて
います. 今回はクイズのような仏文でした.
1224番:ペルル嬢(41)
ペルル嬢(41)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【41】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Une peur atroce de me compromettre m' envahit, et
aussi une extrême timidité, devant l' attitude si obs-
tinément correcte et fermée de Mlle Luise et Pau-
line..
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
私は、このお婿探しの巻き添えを食らうのかという耐え
難い恐ろしさでいっぱいになっていました.しかもルイ
ーズお嬢さんとポーリーヌお嬢さんの、頑なな礼儀正し
さと、近づきにくい態度を前にしては、私は極端なまで
に引いてしまうのでした.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
atroce:(形) @残虐な、恐ろしい;Aひどく不愉快な
耐え難い、ひどい
compromettre:(他) (人を)危険に巻き込む、危険にさらす
巻き添えにする
envahit:(単純過去3単) <envahir: [アンヴァイール](他)
@侵入する、を侵略する;
Aに群れをなして押しかける;
B〜いっぱいに広がる、を覆う、
〜に広く浸透する
extrême:@(名詞の前多し)末端の、ぎりぎりの、最後の
A(名詞の後多し)極端な、過激な
B(前後不定)[文]はなはだしい、極度の
timidité:(f) 内気、遠慮
attitude:(f) 態度、挙動;A姿勢、物腰;B様子
obstinément:[オプスティネマン](副) 頑固に、執拗に、
粘り強く、たゆみなく
correct(e):(形) 礼儀正しい、きちんとした、
fermée:(形) 閉鎖的な、近づきにくい、閉ざされた
1223番:ペルル嬢(40)
ペルル嬢(40)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【40】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Était- ce là un moyen de me faire dire celle que
je préférais ? Était- ce une douce, légère, insensible
poussée des parents vers un mariage possible ?
L' idée de mariage rôde sans cesse dans toutes les
maisons à grandes filles et prend toutes les formes,
tous les déguisements, tous les moyens.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
これは私に自分の好きな方のお嬢さんを指名させる方法
なのだろうか? 結婚の可能性に向けて、両親の軽く優
しい、人知れず図った押しであろうか?
適齢期の娘を持つ家庭では絶えず結婚という考えが脳裏
をよぎるものだ.そして結婚させる気もちは様々な形に
なり、様々に化け、様々な方法を取ってくるものなのだ.
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
moyen:(m) 手段、方法、手だて
doux (douce):(形) 甘い、柔らかい、優しい
léger(ère):(形) 軽い
insensible:[アンサンスィ-ブル](形) [à に] 無感覚な、麻痺した
poussée:(f) ❶ 押す力、圧力; A 激発、
idée:(f) 考え
rôde:(直現3単) rôder (自) うろつく、さまよう
prend:(直現3単) < prendre (他) 取る
forme:(f) 形、形態、様相
déguisement:(m) 変装
−−−−−−−−−−−≪文法≫−−−−−−−−−−−−−−−−−
Était-ce là un moyen ~:半過去なので「〜だったのか」と
訳すべきところですが、Je pansais が省略されているもの
としてその内容部分を現在形で訳しました.試験本番で
はこんなことをせず、「〜だったのか」と採点者に半過
去を理解しているアピールが必要と思いますのでよろし
く.
1222番:ペルル嬢(39)
ペルル嬢(39)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【39】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Alors je fus atterré. En une seconde, mille
pensées, mille suppositions me traversèrent l' esprit.
Voulait- on me faire désigner une des demoiselles
Chantal ?
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
そのとき私は打ちのめされたような気分になりました.
一瞬のうちに幾つもの考えや思いが脳裏をよぎりました.
みんなは私にふたりのシャンタルお嬢さんのうちどちら
かを女王に指名せよと望んでいるのだろうか?
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
fus:(1単単純過去) < être、 本文では受動文の助動詞
Je fus atterré. / 私は打ちのめされた.
atterrer: (他) (驚き、悲歎などで) 打ちのめす、
茫然自失させる; 【多くは受動態で用いる】
Je suis atterré par cette nouvelle.
(その知らせに私は打ちのめされた)
supposition:[スュポズィスィヨン](f) 推測、思惑;
esprit:(m) 精神、心、頭、知性、頭の働き
désigner:[デズィニェ](他) 〜を指す、指名する
1221番:ペルル嬢(38)
ペルル嬢(38)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【38】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Je demeurais les yeux baissés, tenant entre deux
doigts ce grain de faïence, m' efforçant de rire et
ne sachant que faire ni que dire, lorsque Cantal
reprit: ≪ Maintenant, il faut choisir une reine. ≫
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
私は、何をすればいいのやら、どんな言葉を掛ければい
いのやら何もわからず、ただ笑顔を見せようとしながら、
豆粒ほどの小さな陶器を指につまんで取出してたものの、
ずっと目を伏せたままでした.そこにシャンタル氏が言
葉継ぎ足しました: 「今度は女王を選ばなくちゃね.」
−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
demeurais:(半過去1単) < demeurer (自)
(ある場所に)とどまる、残る;
(同じ状態に)いる、〜のままでいる
Elle est demeurée silencieuse toute la soirée.
彼女は一晩中黙っていた.
grain:(m)[グラン] @ 穀粒、穀物; A 粒状の実、
faïence:[ファイヤーンス](f) 陶器
s'efforcer de + 不定詞:〜しようと(努力)する
rire:(自) 笑う
reprit:(単純過去3単) <reprendre (他) 再び続ける
言葉を続ける、言葉をつぐ
reine:[レーヌ](f) @ 王妃; ❷ 女王
どちらの意味もあるが、定訳本に従った.
−−−−−−−−−−−《訳本》−−−−−−−−−−−−−−−−−
.
『モーパッサン短篇集』(岩波文庫):女王
『モーパッサン全集』(春陽堂):女王
1220番:ペルル嬢(37)
ペルル嬢(37)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【37】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Et je rougis jusqu' aux oreilles, comme on rougit
souvent, sans raison, dans les situation un peu
sottes.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
面食らったとき、誰でもそうなるように、私は耳まで
真っ赤になりました.
.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
rougis:(3単単純過去) [第2群規則動詞は単数人称で
現在と単純過去が同形]
< rougir (自) (顔が)赤くなる、赤面する
sot (sotte):(形)❶ 面食らった、当惑した;
A 困った、厄介な
1219番:ペルル嬢(36)
ペルル嬢(36)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【36】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Tout le monde reprit en chœur: ≪ Vive le roi !
vive le roi ! ≫
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
みんなは、再び合唱を始めた.「王様、万歳! 王様
万歳!」
.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
reprit:(単純過去3単) < reprendre (他) 再び始める
chœur:[クール](m) 合唱、コーラス
1218番:ペルル嬢(35)
ペルル嬢(35)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【35】−−−−−−−−−−−−−−−−−
La surprise me fit dire:≪ Ah ! ≫ On me regarda,
et Chantal s' écria en battant des mains: ≪ C est
Gaston. C'est Gaston. Vive le roi ! vive le roi ! ≫
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
この驚きで私は思わず口から「えっ!」とこぼした.
みんなは私を見た.シャンタル氏は両手をたたいて叫び
ました.「ガストンだよ、王様は! 王様ばんざい!」
.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
battant:(p.pré) <battre (自他) 打つ、たたく
Chantal:ルイーズとポリーヌには改まった挨拶をする間
柄なので、ご主人か奥様のことでしょう.どちらなのか
は分からないので訳本をみてみました:
@ モーパッサン短篇集(岩波文庫)シャンタル氏
A 全集(春陽堂)シャンタル氏
どちらもご主人として訳しておられるので従います.
1217番:ペルル嬢(34)
ペルル嬢(34)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【34】−−−−−−−−−−−−−−−−−
J' ôtai doucement cet objet de ma bouche et
j' aperçus une petite poupée de porcelaine pas plus
gross qu' un harico.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
私はそっと口からこの物品を取り出しました.すると
それはインゲン豆ほどの大きさの陶器製の小さな人形で
した.
.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
ôtai:(単純過去1単) < ôter (他) (物を)取り除く、
片づける、どける、
aperçus:(単純過去1単) < apercevoir (他) 見つかる、
見えてくる、見える; 気づく
本文は j'aperçus une petite poupée なので
「小さな人形がみつかった…」で、apercevoir
をちゃんと訳してもいいのですが、驚きを
追加したかったので「するとそれは(何と)」
としました.
1216番:ペルル嬢(33)
ペルル嬢(33)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【33】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Aussi, fus- je stupéfait en sentant dans une bouchée
de brioche quelque chose de très dur qui faillit me
casser une dent.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
そんなわけですから、ブリオッシュを一口食べた中に、
何か固いものがもうちょっとで歯を折ってしまうよう
な感じがしたときは、たまげました.
.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
aussi:(接) それゆえ、だから
stupéfait(e):(形) あ然とした、仰天した、[de に]
bouchée:(f) 一口(の量)
brioche:(f) ブリオッシュ(丸い菓子パン)
faillit:<faillir (自) 危うく〜しそこねる
casser:(他) 壊す、割る、折る、切る
dent:[ダン](f) 歯
1215番:ペルル嬢(32)
ペルル嬢(32)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【32】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Au dessert, on apporta le gâteau des Rois. Or,
chaque année, M. Chantal était roi. Était-ce l' effet
d' un hasard continu ou d' une convention familiale,
je n' en sais rien, mais il trouvait infailliblement
la fève dans sa part de pâtisserie, et il proclamait
reine Mme Chantal.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
デザートの時間になり、公現祭のケーキが配られまし
た.ところでなぜか、毎年のようにご主人のシャンタル
氏が王様になってしまうのです.毎年偶然が重なった結
果のことでしょうか?それとも家族内での取決めがあっ
たせいなのでしょうか、私はそれについては全く何も知
りませんでした.しかし私は間違いなくソラマメが彼の
ケーキの中にあるのを見出していました.そしてシャン
タルのご主人はマダム・シャンタを王女として宣言して
いたのでした.
.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
gâteau des Rois:(m) 公現祭のお菓子;
このお菓子はパンやケーキなどで全員に配られ、
その中に一つだけソラマメ(あるいは陶器の人形)
が入っていて、それに当たった人が王様になる.
or:(接) さて、ところで、
effet:(m) 結果
†hasard:[アザール](m) 偶然、偶然の出来事
continu:(形) 連続した
convention:[コンヴァンスィオン](f) 取決め、協定、
familial, ale:[ファミリヤル](形) [男複]_aux; 家庭の
家族の
trouvait:(半過去3単) < trouver (他)
infaillible:[アンファイーブル](形) 絶対に間違えない、
確実に、誤ることのない;
Mlle. Mitiko Daimon est femme médecin infaillible.
大門未知子は失敗しない女医である.
infailliblement:確実に、誤ることなく
fève:(f) ソラマメ
pâtisserie:[パティスリ](f) ケーキ
proclamait:(半過去3単) < proclamer (他)
〜を…であると宣言する、布告する
reine:[レーヌ](f) 王妃、女王
la reine Marie-Antoinette /
王妃マリー・アントワネット
1214番:ペルル嬢(31)
ペルル嬢(31)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【31】−−−−−−−−−−−−−−−−−
On se mit à table comme toujours, et le dîner
s 'acheva sans qu' on eût dit rien à retenir.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
みんなはいつものように食卓につき、夕食は別段何
ということもなく終わりました.
.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
mit:(3単単純過去) <mettre
se mettre + 場所:[人が]…に身を置く
se mettre à table / 食卓につく
retenir:(他) @ 抑える、こらえる
❷ 記憶に留める
sans rien à retenir / 何も記憶に残すべきものなく
sans qu'on eût dit / 言うことなく
sans qu'on eût dit rien à retenir / 取り立てて何も
言うこともなく
sans que + 接続法:〜することなしに
とりとめもない会話は食事が終わる前の
ことなので「接続法大過去」で表現されています.
le dîne s'acheva sans + とりとめもない会話=
食事終了(単純過去)+ 食事中の会話 (大過去)
1213番:ペルル嬢(30)
ペルル嬢(30)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−【30】−−−−−−−−−−−−−−−
Dès qu' elles ont commencé une phrase
sur quelque chose, ça roule, ça va, ça sort
par dix, vingt, cinquante idées rondes, des
grandes et des petites que je vois courir
l'une derrière l'autre, jusqu'au bout de
l'horizon. D' autres personnes aussi ont des
idées pointues... Enfin, cela importe peu.
−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−
こういう人たちが何かについて言葉を発すると、
すぐにその言葉は回転します.口から外へ出て
転がっていきます.10にも20にも輪になって、
大も小も丸い考えが、次々と転がって、地平線
の彼方へと走っていくのが見えたりします.四
角でも丸でもなく尖った考えの人もいます...
結局はどうでもいいことですが.
.−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
elles:(人称代名詞) 彼女たちではありません.
personnes を受けているので、「人々」.
しかも発話者と読者了解の人々.つまり
「考えが輪のように丸く回転する様に見える人々」
sort:(直現3単) < sortir (自) 外へ出る、外出する、
流れ出る
pointu(e):(形) (先の)とがった
1212番:ペルル嬢(29)
ペルル嬢(29)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【29】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Je n' en sais rien; mais tout ce qu' elle dit
prend cette forme dans mon esprit: un carré, un
gros carré avec quatre angles symétriques. Il y a
d' autres personnes dont les idées me semblent tou-
jours rondes et roulantes comme des cerceaux.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
そのことについては何もわかりません;しかし彼女の
言うことは、私の頭の中では、この四角という形になる
のです:そう四角形なのです.それも大きな四角形で、
4つの角が対称位置にある正方形です.また私にはその
考えが輪のように丸く回転するように思える別の人間も
います.
.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
carré(e):(形) 四角形の;
carré:(m) 正方形、四角形
gros(se):(形) 大きな
symétrique:(形) (左右)対称的な
roulante:(形) コロコロ回る、回転する
cerceau (複cerceaux):(m) 輪、たが
1211番:ペルル嬢(28)
ペルル嬢(28)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【28】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Mme Chantal, une grosse dame, dont toutes les
idées me font l' effet d' être carrées à la façon des
pierres de taille, avait coutume d' émettre cette phrase
comme conclusion à toute discussion politique: ≪ Tout
cela est de la mauvaise graine pour plus tard. ≫
Pourquoi me suis- je toujours imaginé que les idées
de Mme Chantal sont carrées ?
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
シャンタル夫人は太った婦人です.彼女の考え方は私に
は切り出した石のように、四角い印象があります.そん
な彼女は政治のディスカッションの締めくくりに、結論
として発する言葉が習慣になっています.それは「これ
はすべてずっと後に災いの種になりますよ」だった.
なぜ、私はシャンタル夫人の考えというものがいつも四
角形だと思ってしまうのか?
.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
gros(se):(形) 太い、大きい;
(名) 太った人
effet:(m) 結果、効果、印象
faire bon effet (sur qn)/ (人に)良い印象を与える
carré(e):(形) 正方形の、四角い
taille:(f) 切断、(石の)切り出し
coutume:(f) 習慣、しきたり、風習
avoir coutume de + 不定詞:[文]〜する習慣がある
à la façon de ~ :〜風に
émettre:(他) 発する、放つ、述べる、表明する
graine:[グレーヌ](f) 種;
de la mauvaise graine :後の災いの種
s'imaginer:(pr) 思い描く、想像する
(根拠なく)思い込む、考える
1210番:ペルル嬢(27)
ペルル嬢(27)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【27】−−−−−−−−−−−−−−−−−
On m' interrogea sur mille choses, sur les événements
du boulevard, sur la politique, sur ce qu' on pensait
dans le public des affaires du Tonkin, et sur nos
représentants.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
私は様々なことを尋ねられた.街で起こった出来事や、
政治のことや、巷ではトンキン事件のことをどう思っ
ているか、また私たちの国会議員のことなども聞かれ
たのでした.
.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
interrogea:(単純過去3単) < interroger (他) (人に)
尋ねる、質問する
événement:(m) 出来事、事件、大事件、ニュース
boulevard:(m) 大通り、大通りとその周辺街
Tonkin:(m) トンキン;トンキン湾に臨むベトナム北
部の主要地域;旧仏領インドシナの保護領名.
(トンキン事件により1885年、条約によりベ
トナム安南地方が仏領となった)
représentant(e):(名) 国会議員、代議士、代表者、
代理人
1209番:ペルル嬢(26)
ペルル嬢(26)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【26】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Selon la coutume, j' embrassai M. Chantal. Mᵐᵉ
Chantal, Mˡˡᵉ Perle, et je fis un grand salut à
Mlles Louise et Pauline.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
習慣に従って、私はシャンタル氏、シャンタル夫人、
ペルル嬢に抱擁キスをして、ルイーズ嬢とポリーヌ嬢
には丁重な挨拶をしました.
.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
coutume:(f)[クテューム] 習慣、しきたり
embrassai:(単純過去1単) キスをするという意味だが、
この時代には「抱擁する」という意味もあった.
. ただし実際に抱きしめるとえらいことになるので
形だけ、肩の後ろに手を回してキスしたのでしょ
う.お嬢様にこんなことをすると興奮するので、
丁寧な挨拶にとどめたのでしょう.
1208番:ペルル嬢(25)
ペルル嬢(25)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【25】−−−−−−−−−−−−−−−−−
..............................................U...........................................................
Donc, cette année、comme les autres années, j' ai
été dîner chez les Chantal pour fêter l' Épiphanie.
−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
そういうわけで、今年も例年に同じく、私はシャンタ
ル家で公現の祝日を祝って、夕食を取ったのでした.
.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
donc:(副) それゆえ、したがって
Épiphanie:(f) 主の公現
fêter:(他) 祝う
l'Épiphanie:公現の祝日(1月6日)
1207番::ペルル嬢(24)
ペルル嬢(24)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【24】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Le 15 août, on invite quelques amis, mais aux
Rois, je suis le seul convive étranger.
..−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
8月15日には数人の友だちが招待されますが、1月
6日の公現祭には外部からの招待客は私1人だけなので
す.
.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
convive:招待客
1206番:ペルル嬢(23)
ペルル嬢(23)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【23】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Quant à moi, je vais dîner chez eux le 15 août
et le jour des Rois. Cela fait partie de mes de-
voirs comme la communion de Pâques pour les ca-
tholiques.
.−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
私はというと、8月15日と公現祭の日にシャンタル
一家のところへ行って夕食をとっています. これは
私の義務の一環になっています.復活祭の聖体拝領が
カトリック教徒の義務であるようなものです.
−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
quant à:〜に関しては、〜はどうかといういと
Quant aux enfants, ils iront en colonie de vacances.
子供たちの方は林間学校に行くことになっている.
le jour des Rois:公現祭 (1月6日)
8月15日:聖母被昇天
(わかりやすくいうとマリア様の命日)
partie:(f) 部分、一部
devoir:(m) 義務
Pâques:[パーク](f/pl)[無冠詞] 復活祭、イースター
communion:(f) [カトリック] 聖体拝領(の儀式)
−−−−−−−−−−≪ひとこと≫−−−−−−−−−−−−−−
8月15日が聖母被昇天の祭日で、台湾、韓国にとっては
無条件降伏した日本から解放された祝日です.聖母マリ
アの祭日はほかにもあって、12月8日が無原罪のマリア
の祭日です.奇しくも日本が戦争を始めた日と止めた日
がマリア様の祭日となっています.
1205番:ペルル嬢(22)
ペルル嬢(22)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−−【22】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Les Chantal ont des relations cependant, mais des
relations restreintes, choisies avec soin dans le voisi-
nage. Ils échangent aussi deux ou trois visites par
an avec des parents qui habitent au loin.
.−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
それでもシャンタル家にも人とのつき合いはある.ある
のですが、そのつき合いも近隣の人たちの中から入念に
選ばれた人たちに限られていました.また彼らとは年に
2度か3度、遠くに住んでいる親たちも一緒に訪問し合
ったりしています.
−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
relation:(f) @関係、関連;
❷[複数で](人との)交際、つき合い
restreint(e):[レストラン(ト)](形) 制限された、限られた
choisi(e):(形) 選ばれた、より抜きの;
avec soin:入念に、(elaboratelly)
soin:(m) 入念さ、注意
voisinage:(m) 近所、近隣
échangent:(直現3複) <échanger (他) 交換する
かわし合う、交際する;
échanger des lettres / 手紙のやり取りをする
1204番:ペルル嬢(21)
ペルル嬢(21)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−【21】−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Il lit beaucoup, cause volontiers, et s' attendrit
facilement. L' absence de contacts, de coudoiements
et de heurts a rendu très sensible et délicat son
épiderme, son épiderme moral. La moindre chose
l' émeut, l' agite et le fait souffrir.
−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
シャンタル氏は読書家であり話好き、そして涙もろい.
人と会うことがなく、触れ合うことがないせいで、皮膚
は、感受性という心の皮膚は敏感で繊細になっていまし
た.ほんの些細なことにでも彼は心を震わせ、掻き立て
られ、また苦しむのである.
−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
lit:(直現3単) < lire (他/自) 読む、読書する
Il lit un livre. / 彼は本を読んでいる.
Il lit beaucoup. / 彼は読書家だ.
lire は複数人称でs が現れるので注意が必要.
lis - lis - lit - lisons - lisez - lisent
il lit beaucoup:彼は本をたくさん読んでいます.
試験の答案ならこれでいいのですが、人に聞か
せる訳なら歯切れよく「彼は読書家だ」
cause:(直現3単) < causer (自) おしゃべりをする
volontiers:(副) 進んで、喜んで;
il cause volontier:彼は進んでおしゃべりをする.
→かれはおしゃべりが好きだ.話好きである.
s'attendrit:(直現pr3単)(第2群規則動詞なので単純過
去と同形であるが、2つ直説法現在が続いて
いるのでそれに合わせたほうが自然)
「ほろりとなる(sur に)」「感動する」「同情する」
absence:(f) 欠如、欠席、不在
contact:(m) (人との)接触、交際
l'absence de contacts:人との交際がないこと
coudoiement:(m) いつも会うこと、接触
(人と) 肘をつき合わせること < coude (m) 肘
†heurt:[ウール](m) 衝突
rendu:(p.passé) <rendre + 直目 + 属:〜を...にする
épiderme moral:精神の皮膚 → 感受性
sensible:[サンシーブル](形) 敏感な、感じやすい
délicat(e):(形) 繊細な、優美な、優雅な;A過敏な
épiderme:(m) 表皮、上皮、 皮膚
moral(ale):(形) 精神の、精神状態
moindre:(形、petit の比較級) より小さい
定冠詞、所有形容詞と共でpetit の最上級;
もっとも小さい、もっとも劣った.
émeut:(直現3単) <émouvoir (他) 感動させる
[p.passé: ému]
agite:(直現3単) < agiter (他) 揺り動かす、振る
souffrir:(自) 苦しむ、気分が悪い、
[de のために] 苦しむ
1203番:ペルル嬢(20)
ペルル嬢(20)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−【20】−−−−−−−−−−−−−−−
Quant au père, c' est un charmant homme, très
instruit, très ouvert, très cordial, mais qui aime
avant tout le repos, le calme, la tranquillité, et
qui a fortement contribué à momifier ainsi sa fa-
mille pour vivre à son gré, dans une stagnante
immobilité.
−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−
父のほうは魅力的な男性で高い教育を受けており、
解放的な性格、真心のある人なのですが、どのような
休息にもまして好んだのは平静や静寂であった.彼の
この好みに合わせて生活をするためにこの静けさが彼
の家族をよどんだ動きのない停滞した、ミイラのよう
な生活に追い込んでいたのでした.
−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−
cordial:(形) 心からの、真心のこもった、親切な
repos:(m) 休息、休憩、休養、休暇、休日
fortement:強く、しっかりと
contribué:[コントリビュエ](p.passé)
< contribuer (自) (àに)貢献する、寄与する
momifier:(他) ミイラにする
se momifier:(pr) ミイラになる;
Momifier-cuilleur s'est momifié. /
ミイラ取りがミイラになった.
gré:(m) 好み
vivre à son gré:彼の好みのままに
stagnant(e):(p.pré、形) ❶よどんだ、
A停滞した、不振な
< stagner [スタグネ](自) よどむ、不振である
immobilité:(f) 不動、不動の状態、不変
−−−−−−−−−−−≪解釈≫−−−−−−−−−−−−−−
西洋文学は、基本的に暗喩、直喩を、料理にたとえると、
塩、コショウのように文章に振りかけます.今回はミイ
ラが出てきました.家族をみんなミイラにしてしまった
と言っているのですが、まともに受け取ってしまっては
怪奇小説になってしまいます.シャンタル氏の静寂好み
に家族が協力してみんなミイラみたいになってしまった
と言っています.
1202番:ペルル嬢(19)
ペルル嬢(19)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−【19】−−−−−−−−−−−−−−−−−−
c' est à peine si on ose leur parler, tant on les
sent immaculées; on a presque peur d' être inconve-
nant en les saluant.
−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
もし敢えて彼女たちに話かけようものなら、それ相応の
純潔さを彼女たちに感じるため、気苦労が多いのである.
挨拶をすることでさえ無礼なのではないかと恐れ多く思
うのでありました.
−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
à peine:【否定的】ほとんど…ない
ose:(直現3単) < oser
oser:(他) 思い切って〜する
immaculé(e):(形) 汚点ひとつない、無垢な、純潔な
ciel immaculé / 雲一つない空
inconvenant(e):[アンコンッヴナン、ト](形) 無作法な、
無礼な、下品な
question inconvenante / ぶしつけな質問
saluant:(p.pré) < saluer (他) 挨拶をする、会釈する
おじぎする
1201番:ペルル嬢(18)
ペルル嬢(18)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−【18】−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Jamais l' idée ne me viendrait de faire attention ou
de faire la cour aux demoiselles Chantal;
−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
私はこの二人のシャンタルお嬢様に気を配ったり、ご機
嫌取りをしたりするような気などさらさら持ち合わせて
いませんでした:
−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
viendrait:(条現3単) <venir (自) (考えなどが)浮かぶ
faire attention à...:〜に気を配る、に注意する、用心する
faire la cour à...:〜のご機嫌をとる
−−−−−−−−−≪訳本では≫−−−−−−−−−−−−−−−
『ペルル嬢』の訳本は2冊もっています.それぞれ
@「モーパッサン全集(11)」
A「モーパッサン短篇集」
で、せっかくですから今回の箇所をご紹介いたします.
@「モーパッサン全集(11)」の訳
シャンタルのお嬢さんたちに眼をつけたり、ご機嫌をと
ったりしようなどという考えが、私に湧いて来ることは
決してないだろうと思う.
A「モーパッサン短篇集」
シャンタル家のお嬢さんたちに、目をつけるとか、言い
寄るなど、私にとっては思いもよらないことだ.
つまり、この物語の語り手は男性だということがわかり
ました.ですので、私の訳文は訂正しなければなりませ
んが、それは、また後日、訂正に戻って参ります.とり
あえずは、テキストからだけの情報ということで訳しま
す.
1200番:ペルル嬢(17)
ペルル嬢(17)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−【17】−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Les jeunes filles ont aujourd' hui dix- neuf et
dix- sept ans; ce sont deux belles filles, grandes
et fraîches, très bien élevées, trop bien élevées, si
bien élevées qu' elles passent inaperçues comme
deux jolies poupées.
−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
娘たちは今は19歳と17歳になります.ふたりとも美
少女で、背が高く、溌剌としています.行儀がよく、よ
すぎて、綺麗な2つの人形のように目立ちませんでした.
−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
aujourd'hui:今では
inaperçu(e):[イナペルスュ](形) 人に見つけられない、
気づかれない、目立たない;
passer inaperçu /
(注目を引かない、気づかれずにすむ)
ce sont ~:人物がすでに前の文で書き手と読み手は
了解しているのですが、尚、人物の同定(正体
の説明が続く場合、elle(s) ではなく、c'est や
ce sont を用います.
frais, fraîche:[フレ、フレッシュ](形) 若々しい、みずみずしい
élevé(e):(形) 育てられた
bien élevé(e):育ちのよい、行儀のよい
1199番:ペルル嬢(16)
ペルル嬢(16)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−【16】−−−−−−−−−−−−−−−−−−
De temps en temps cependant, on mène les jeunes
filles au théâtre, à l' Opéra- Comique, ou au Français,
quand la pièce est recommandée par le journal que
lit M. Chantal.
−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
しかしそうはいっても時々は娘たちをオペラ・コミッ
ク座やフランス座などの劇場へ連れて行ったりもします.
もっともシャンタル氏が読んだ新聞で出し物が推奨され
ているときのことではあるが.
−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
de temps en temps:時々、時折
cependant:(副) しかしながら、それにもかかわらず
l'Opéra-Comique:(固有) [劇場名] オペラ・コミック座
小文字の場合は普通名詞:
opéra-comique (m) 喜劇、オペラ・コミック
[複数形_s -_s]
「こっけいな」という意味の形容詞として使われる
こともある.
le Français:フランス座 [パリにある国立劇場]
lit:(直現3単) < lire (他) 読む
(活用時はs の出没に注意)
lis---lis---lit---lisons---lisez---lisent
1198番:ペルル嬢(15)
ペルル嬢(15)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−【15】−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Pour les Chantal, toute la partie de Paris située
de l' autre coté de la Seine constitue les quartiers
neufs, quartiers habités par une population
singulière, bruyante, peu honorable, qui passe
les jours en dissipations, les nuits en fêtes, et qui
jette l' argent par les fenêtres.
−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
シャンタル家の人々にとってセーヌ川の向こうの地区
はすべて新開地であり、そこは自分たちとは変わった、
騒々しい、不真面目な人たちが住んでいるところなので
ある.彼らは放蕩三昧の毎日を送り、夜はどんちゃん騒
ぎで、まるで窓から金銭を投げるかのように湯水の如く
浪費するという為体の連中がいるというのである.
−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
constitue:(直現3単) < constituer (他) を構成する;
groupe de rock constitué de quatre musiciens.
4人の音楽家から成るロック・グループ
singulier(ière):(形) 風変わりな
bruyant(e):(形) 騒々しい、やかましい
peu honorable:不真面目な
dissipation:(f)@ (雲などが)消え去ること、消散、
A浪費、B注意散漫、不規律;C[文語] 放蕩
fête:(f) お祭りさわぎ、楽しみ
jette:(直現3単) < jeter (他) を投げる.
1197番:ペルル嬢(14)
ペルル嬢(14)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
−−−−−−−−−【14】−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Mᵐᵉ Chantal et Mˡˡᵉ Perle font ce voyage ensemble,
mystérieusement, et reviennent à l' heure du dîner, ex-
ténuées, bien qu' émues encore, et cahotées dans le
coupé, dont le toit est couvert de paquets et de
sacs, comme une voiture de déménagement.
−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
シャンタル夫人とペルル嬢はこの旅行を、ふたり一緒で
密かに行ない、夕食時には未だ興奮冷めやらぬうち、く
たびれてまるで引っ越し車両のように、箱馬車の屋根に
買物荷物と買物袋をぎっしり積み上げて、揺られながら
戻ってきます.
−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
mystérieusement:(副) ひそかに、不思議にも、神秘的に
秘密めかして、秘密裏に
reviennent:(直現3複) <revenir (自) 戻る
exténuées:(形女複、p.passé) へとへとになった
< exténuer (他) くたびれさせる
ému(e):(形) 心を動かされた、感動した
bien que + 接続法:〜にもかかわらず、〜ではあるが
cahotées:(p.passé/f/pl)
<cahoter (自) (車が)動揺する、がたつく
(他) 揺する、がたつかせる
coupé:(m) ⦅自動車⦆クーペ、2人乗り箱馬車
toit:[トワ](m) (家屋・車の)屋根、ルーフ
尚、『ペルル嬢』が書かれた1884~5年当時は
クーペと言っても今のように2ドアの流線形の
スポーツ車を指すのではなく、箱型の馬車だった
と考えるほうがよい.ガソリン車が出たのが1885
年である.
couvert de ~:〜で覆われた
paquet:(m) 包み、梱包、小荷物、(商品の)箱、袋
sac:(m) 袋、バッグ、かばん
déménagement:(m) 引っ越し、引っ越し荷物、移転
< déménager (自) 引っ越す