2017年10月28日
2017年10月27日
広島はなぜ清宮幸太郎選手を獲らなかったのか?
知名度・実力ともに抜群の高校生スラッガー。だれもが無条件に飛びつく逸材だと思いきや、セ・リーグ覇者がいちはやく「獲得戦線不参加」を表明。その陰には、チームづくりへの確固たる戦略があった――。
守る場所がないから
ドラフト会議を前に、最大の目玉選手である早稲田実業・清宮幸太郎(18歳)獲得に向けて、各球団が必死の「清宮詣で」をはじめていた。
育成方針や、充実した施設、ケガのしにくい天然芝の球場……。それぞれの球団が自分たちのセールスポイントをプレゼンするため、入れ替わり立ち替わり東京・国分寺市にある早実校舎を訪れるなか、12球団で唯一、清宮側と面談の約束すら取り付けなかったチームがある。セ・リーグ連覇を達成した広島カープだ。
「清宮はものすごくいい選手だけど、うちのスタイルじゃない」
松田元オーナーは、報道陣の前できっぱりとこう明言した。
石井一夫球団社長を筆頭に、最多の5人で面談に押しかけ、なりふり構わぬ姿勢を見せた巨人とは、まるで対照的だ。
近年、坂本勇人を超えるようなスター選手がなかなか育たず、巨人戦のテレビ視聴率は低迷し、地上波での中継は激減している。
高校球界に久々に登場した大物スターである清宮の獲得は、注目度を高める起爆剤になるに違いない。だからこそ、「最恵国待遇」で臨んだとの見方がもっぱらだ。
とはいえ、巨人は今季のセ・リーグホームラン王がほぼ決まりの中日・ゲレーロの獲得にもすでに動いており、現有戦力の阿部や村田、マギーも加えれば長距離バッターは飽和状態。「なんでも欲しがる」体質は、相変わらずのようだ。
ラグビー選手として早大、サントリーの両方で日本選手権優勝という輝かしい実績を残した父・克幸氏から受け継いだDNAと、高校野球の通算最多記録である111本塁打(10月8日現在)をうち立てた実績。
話題性と実力を兼ね備えた清宮は、巨人ならずとも、どの球団もノドから手が出るほどほしい逸材。
ではなぜ、広島は早々に「いらない」と宣言したのか。
広島OBで野球評論家の北別府学氏が言う。
「端的に言って、いまのチーム状況を考えると、清宮君がすぐに守れる場所はないということでしょう。去年、今年と連続で優勝し、若手の戦力がとても充実している。
また、カープは昔から若手選手の足と肩を重視していますが、緒方孝市監督が就任してからはそれがますます必須の条件になっている。清宮君の打棒は魅力的ですが、走塁と守備についてはさほど特筆すべきものはない。
将来的には素晴らしいスラッガーになる可能性を秘めていることは重々わかったうえで、『カープの色』の選手ではないと判断したのでしょう」
広島の今季の盗塁数は112個に上り、リーグ断トツの数字だ。35盗塁で盗塁王がほぼ確定の田中広輔を筆頭に、2ケタ盗塁を達成した選手が5人もいる。攻撃的走塁で相手守備にプレッシャーをかける「機動力野球」は、今シーズン41試合もの逆転勝ちを記録した広島伝統の攻撃スタイルだ。
「客寄せパンダ」も必要ない
広島で16年間プレーし、昨年引退した廣瀬純氏が言う。
「田中、菊池、丸、鈴木と、若くて走れる選手が4番まで固定されていて、あのメンツは当分変わらない。それに、左打者という面では松山竜平、岩本貴裕もいる。ここで清宮君を獲っても、左バッターが余ってしまいます。補強するなら右バッターのはず」
また、打線の中軸を担う長距離砲は、「出戻り」の新井貴浩を除けば、エルドレッドやバティスタのように、外国人選手で補充することが慣例になっている。
こうしたチーム方針からすれば、たしかに清宮は「広島の野球」に当てはまらない選手と言える。
どんなに素質あふれる選手であっても、チームの長期的な強化方針に合わなければ宝の持ち腐れになってしまう。広島の「清宮はウチのチームに合わない」という判断は、極めて理にかなっている。
集客面でも、広島が清宮に頼る必要はない。'09年にマツダスタジアムが完成して以降、クライマックスシリーズ出場の機会も増えて観客動員数は爆発的に増加。
昨季は球団史上最高の215万人ものファンが球場に足を運んだ。グッズの売り上げも好調で、球団は黒字をキープしている。清宮を「客寄せパンダ」にしなくても収益の基盤は確立されているのだ。
広島の二軍監督を務めた山崎隆造氏が言う。
「毎年の指名選手を見ていると、現有戦力とポジションや年齢がバッティングしないように相当考えられています。カープのスカウトは『年齢別選手表』というリストを独自に作成し、常にチェックしている。
投手の利き腕の左右や野手の守備位置を年齢別に一覧にしたもので、これを見れば各年代ごとに今後どのポジションが手薄になっていくのかが、ひと目でわかる。5年先まで見据えたチーム状況を考えたとき、清宮君はチームにフィットしないという判断を下したのでしょう」
育成に絶対の自信がある
思い起こせば、昨オフの黒田博樹の引退に加え、エース格だったジョンソンが開幕当初は不振にあえいだこともあり、広島のV2は困難と見られていた。
が、フタを開けてみれば15勝で勝ち頭となった薮田和樹、2年目の岡田明丈(12勝)、4年目の九里亜蓮(9勝)など、若手投手が次々と台頭した。これこそ、計画的な選手育成を行ってきた賜物だろう。
広島には、時間をかけて育てあげた主力選手を他球団に奪われ続けてきた「悲劇の歴史」がある。FAで移籍した江藤、金本、新井、大竹、そしてメジャーに去った黒田や前田健太……。
戦力に大きな穴が開いても、巨人や阪神のようにカネにあかせてFAやトレードですぐに補強をすることができないからこそ、まるでパズルのピースをはめていくような緻密な選手獲得計画を徹底してきた。
「広島では、毎年1月中に合計で数百名におよぶ注目選手のリストをスカウトがフロントに提出します。他球団に比べてもこれは相当に早い。2月からのキャンプでは、その年のチーム戦力が分析され、弱点となるポジションや欲しい選手のタイプがフロントから一斉に伝達される。それに基づいてリストの中から絞り込みが行われます。
つまり、ドラフトのはるか前から、有望選手と自軍の戦力の『すり合わせ』を重ねているのです」(スポーツ紙広島担当記者)
そうして、時間をかけて絞り込み、一度獲ると決めた選手に関しては徹底して獲得に動く。
「今年の勝ち頭である薮田は大学時代に肘や肩を繰り返し痛め、ほとんど登板の機会がなかった。他球団なら故障リスクを恐れて指名できない選手です。
それでも、スカウトが力のあるストレートに目をつけ、自軍チームトレーナーのもとであればケガは完治できると判断して2位指名しました。自分たちの育成環境に絶対の自信があるからこそ獲れた」(前出・スポーツ紙広島担当記者)
逆に言えば、そこまで徹底して選びぬいた獲得選手リストがあるからこそ、大学進学とプロ入りを迷っていた清宮が、ドラフト直前の時期になってプロ入り宣言をしたからといって、あわてて路線を修正して獲得に舵を切ることは考えない。
清宮のかわりに広島が注目しているのが、夏の甲子園を沸かせた地元・広陵の捕手、中村奨成だ。
「昨年のドラフトでは、パワフルな打撃が売りの捕手・坂倉将吾(東京・日大三高)を指名していることからもわかるように、『打てる捕手』がいまの広島にとって重要な補強ポイントです。
さらに、俊足強肩の中村君はいざとなれば他ポジションへのコンバートも融通が利く。緒方監督が重視する条件にもあてはまります」(前出・北別府氏)
広島のスカウトがもうひとつ重視しているのが、選手の性格がチームの育成方針に向いているかどうかだ。
'10年に広島のヘッドコーチを務めた野球評論家の大野豊氏が言う。
「アマチュア時代にすでに突出した実績を残している選手を獲るのも重要だと思いますが、カープの場合はそれよりも日ごろの練習態度とか、責任感を非常に重視している。体力や技術は12球団屈指の厳しい練習で鍛え、教え込むこともできる。
しかし、長年かけて形成された性格はプロに入ってから急に変えるのは難しい。そこを見極めるため、両親の人柄や、選手がアマチュア時代にチームの中でどういう役割を果たしていたかを注意深く見ています」
四番打者は一人でいい
「素質」と「素直さ」があれば、結果はあとからついてくる――。アマチュア時代に無名でも、いや、無名だったからこそ、プロの世界で生き残るために、死に物狂いで泥臭く野球に取り組む。
そういう選手をじっくり厳選したうえで、「胃から汗をかく」とまで称される熱血指導で鍛え上げるのが、広島が長年築き上げてきたメソッドだ。
翻って考えると、高校時点で既に大きな実績を残している選手は、自分なりの方法論を確立しているぶん、プロのコーチといえども、修正を施すのは容易ではない。
とりわけ、清宮は独自の打撃勘へのこだわりが強いことで知られる。
あるパ・リーグ球団のスカウトが言う。
「たとえば、今年のドラフトの目玉のひとりである履正社の安田尚憲は、教科書に載っているような『正しい』打ち方をするので、フォームを崩しても割と誰でも修正できる。
しかし、清宮は身体を小刻みに動かしてタイミングを取りながら、身体から近い場所でボールを捉えて飛ばす。まるでメジャーリーガーのような打ち方をする。あの『清宮流』の感覚は、周りからは口出ししにくい。彼には、教えすぎない球団のほうが向いています」
そもそも、清宮はプロ入りを表明した会見でも、「1年目での一軍入り」という目標を明言している。これも「高校生野手は二軍で基礎体力をつけさせる」という広島の方針とは相容れない。
こうして、広島はさまざまな角度から考慮した結果、他球団が群がる清宮という才能を獲得するよりも、チームがつちかってきた方針を守ることを選択したのだ。
広島のオーナー室と、若手選手寮にはチームの方針を記した揮毫が掲げられている。
〈愚直に強く、前向きに〉
手ずから見つけ出した原石を手塩にかけてじっくり磨き上げる――。
広島が貫いてきた「愚直さ」は、ほぼ生え抜きメンバーだけでのリーグ連覇という形で花開いた。
四番打者をずらりと並べたからといって勝てるほど、野球は単純ではない。それをどこよりも知っている広島の黄金時代は、当分終わらない。
「週刊現代」2017年10月28日号より
この記事を読んでなるほどなと感じました。清宮選手が悪いのではなく、広島の補強プランに沿うものではないという事がわかりました。しかし、広島のドラフト戦略はすごいですね。他のどのチームよりも早くスカウト会議などを開き、選手のリストアップをし、早く絞り込んで、この選手と決めたら徹底的に動くという姿勢は素晴らしいと思いました。広島はいわゆる暗黒時代に、川口投手、江藤選手、金本選手、新井選手などの主力選手が次々と他球団へ流失してチームが低迷した苦い過去があります。二度とこのような 事にならないように、ポジション別に戦力表みたいなものを作成して、補強ポイントが明確に分かるようにしているそうで、広島のスカウト陣のすごさに驚いています。
今年のドラフトは、即戦力ではなく、数年先を読んでの獲得になりました。広島カープは原石を手に入れて、いずれは輝く存在にする独自の育成プランがありますからね。中村選手をはじめドラフト6人、育成ドラフト3人の将来の活躍を楽しみにしておこうと思います。
広島、ドラ1中村選手に指名あいさつ
広島 ドラ1・中村に指名あいさつ 本人は「新聞で大きく載っていた」とプロ実感
10/27(金) 18:43配信
デイリースポーツ
広島からドラフト1位で指名された中村奨成捕手(18)=広陵=が27日、広島市内の同校で川端編成部長、白武スカウトから指名あいさつを受けた。
運命の瞬間から一夜明け「(昨晩は)ぐっすり眠れました。朝、新聞で大きく載っているのを見たので、プロ野球選手になるんだなと感じました」と心境を語った。
クラスメートからも祝福の言葉をかけられ、「クラスにもカープファンが多い。『応援に行くから早く1軍に上がれ』と言われた。早く1軍に上がりたいです」と力を込めた。
昨日のドラフト会議の時はかなり緊張していた中村選手ですが、今日は笑顔で指名のあいさつを受けていました。しかし、広島がよくクジを引き当てたなあと、今になってドリヨシもホッとしています。これで広島の捕手は安泰と言っていいと思います。それも打って走れる捕手ですから、非常に楽しみです。今在籍している坂倉選手と共に切磋琢磨して、将来の広島のバッテリーを支える存在になって欲しいですね。
エルドレッド選手が帰国
エルド帰国 球団助っ人最長来季7年目「ケガのない体づくりを」
10/27(金) 6:00配信
スポニチアネックス
広島・エルドレッドが広島から米国に帰国するため出発した。チーム最多27本塁打を記録するなどリーグ連覇に貢献。
CSファイナルSでは右手関節症で途中離脱したが、「連覇を成し遂げ非常にいいシーズンだった。向こうでは1〜2週間ゆっくりしてケガのない体づくりをしたい」と話した。昨オフに2年契約を結んでおり、来季で7年目。77〜82年に6年間在籍したライトルを超え、球団の外国人としては最長になる。
来季もエルドレッド選手には活躍して欲しいですね。今季もチームトップの27本のホームランを放って、広島のリーグ連覇に大きく貢献しました。来季でエルドレッド選手は7年目になります。助っ人外国人では球団最長になります。あのライトル選手を抜くんですね。来季はリーグ3連覇がかかりますし、CS突破して34年ぶりの日本一の為にも、エルドレッド選手の長打力は必要不可欠です。ゆっくり休んで体調を整えて、来季もいいスタートを切って欲しいですね。
広島、ドラフト5位に霞ヶ浦・遠藤淳志投手を指名!
広島5位に遠藤涙…監督コーチへプロで「恩返しを」
10/27(金) 0:00配信
日刊スポーツ
<プロ野球ドラフト会議>◇26日
角度のある直球が武器の最速142キロ右腕、霞ケ浦(茨城)の遠藤淳志投手(3年)は広島に5位指名された。
同校の高橋祐二監督(58)は「素材はいいものがある。広島さんは投手の育成が素晴らしい球団。鍛えていただいて、さらなる成長を期待します」と教え子の将来を楽しみにしていた。
遠藤は、指名された直後は「なにがなんだかわからない」と焦り、落ち着かない様子だったという。
7月の茨城大会決勝で敗れ甲子園出場を逃した直後、遠藤は大粒の涙を流しながら「甲子園に行けず、お世話になった高橋監督やコーチへの恩返しができなかった。プロに入って恩返しをするしかない」と語っていた。ドラフトの結果を受け、母美江さんは「ホッとしました。広島で頑張ってくれることが、みんなへの恩返し。監督さんにも感謝です」と心境を明かした。
◆遠藤淳志(えんどう・あつし)1999年(平11)4月8日、茨城県土浦市生まれ。小1から斗利出ベアーズで野球を始める。新治中野球部を経て霞ケ浦に入学。角度のある直球が武器。好きな料理は焼き肉。フォームに憧れている投手は金子千尋。家族は両親。最速142キロ。185センチ、74キロ。右投げ右打ち。
角度のあるストレートが武器の、将来の本格派になりうるピッチャーだと思います。体を鍛え上げていけば、スピードもさらにアップするでしょう。是非カープで開花させて、高校の監督、コーチ、そして家族に恩返しをして欲しいですね。
2017年10月26日
広島、ドラフト4位に二松学舎大付・永井敦士選手を指名!
広島ドラ4で鈴木誠也の後輩・永井を指名
10/26(木) 18:56配信
デイリースポーツ
「プロ野球ドラフト会議」(26日、グランドプリンスホテル新高輪)
広島がドラフト4位で鈴木誠也外野手の後輩である二松学舎大付・永井敦士外野手を指名した。
永井は広角に鋭い打球を飛ばす強打者。高校通算47本塁打。今夏の甲子園では2回戦・明桜戦で5打数5安打と活躍した。
◆永井敦士(ながい・あつし)2000年1月10日生まれ、17歳。埼玉県草加市出身。178センチ、91キロ。右投げ右打ち。外野手。小2から野球を始める。花栗中では草加ボーイズ(硬式)に所属。投手、外野手として全国大会に3度出場。ボーイズ日本代表として世界大会優勝(7番・外野手)。二松学舎大付では1年秋からベンチ入りし、左翼のレギュラー。50メートル走5秒8。遠投96メートル。あこがれの選手は、中田翔(日本ハム)と鈴木誠也(広島)。
鈴木誠也選手の後輩が入って来ます。テレビで永井選手の姿を見る限り、体がしっかりできあがっている感じがします。走・攻・守そろっていて、高校通算47本塁打を放つスラッガーです。是非鈴木誠也選手のような、負けん気の強い、野球小僧のように終始野球漬けの日々を過ごして欲しいと思います。
広島、ドラフト6位に中部学院大・平岡敬人投手を指名!
【ドラフト】広島6位 中部学院大・平岡敬人 早くから才能の豊かさが注目されていた152キロ右腕
10/26(木) 19:12配信
週刊ベースボールONLINE
【ドラフト】広島6位 中部学院大・平岡敬人 早くから才能の豊かさが注目されていた152キロ右腕
26日、2017年プロ野球ドラフト会議が行われ、広島が6位で中部学院大・平岡敬人を指名し交渉権を獲得した。
■プロフィール
名前:平岡敬人(ひらおか・たかと)
ポジション:投手
生年月日:1995年8月5日
身長・体重:185cm92kg
投打:右投右打
所属:中部学院大
経歴:大河内中 - 育英高 - 中部学院大
甲子園出場経験こそないが、その才能の豊かさは早くから注目されていた逸材。中部学院大では1年秋からリーグ戦に出場し、2年春には自己最速の152キロをマークした。右肩関節唇の影響で3年秋は登板ゼロに終わったが、4年春からは復調して白星も挙げた。長身から投げ下ろす球威のあるボールは迫力満点。
週刊ベースボール
3年生の秋に肩を壊してしまいましたが、その後復調し、MAX152キロの角度あるストレートが魅力ですね。おそらくクセがないピッチャーだと思うので、育成次第では素晴らしいピッチャーに化ける素質を十分持っていると言っていいでしょう。