2020年11月21日
5位に甘んじた要因はリリーフ投手陣の不調にあり!?
カープOB・大野豊氏が今季のカープを総括。「不振の最大の要因は投手陣。なかでもリリーフ陣の課題を解消できなかった」
11/21(土) 12:01
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広島アスリートマガジン
最終的に抑えに固定されたフランスア投手だが、春先から7月まではなかなか状態が上がらなかった。
11月11日に2020年シーズンの全日程を終えたカープ。6月の開幕から苦戦が続いた今季は、52勝56敗12分の5位に終わった。ここでは厳しい戦いが続いた今季を、カープOBの大野豊氏が総括する。
◆実績組の投手が高い壁となるべき
今季のカープの全日程が終了して、早くも1週間以上が経過しました。いろいろあったペナントレースですが、今回から数回にわたり今年のカープの戦いぶりを総括していきたいと思います。
120試合制で行われた今季、カープはなかなか状態が上がらず、5位でシーズンを終えました。終盤になって良い内容の試合も増えてきましたが、トータルで見れば厳しいシーズンだったと言わざるを得ません。
その要因となったのは、やはり投手陣の不振でしょうね。開幕前から「クローザー、セットアッパーをどうするか」という部分が課題となっていたのですが、そこが解消されないままにシーズンに突入してしまいました。非常に不安定な状態で開幕を迎えたことで、その後も勝ち切れない試合が多く見られました。
スコット、菊池保と試行錯誤を重ねる中で、最終的にはフランスアがクローザーに、その前を塹江、ケムナが務めることになりました。若い投手が台頭してくることは良いことなのですが、塹江、ケムナに関しては経験、実績というものが何もなかったわけですよね。そういう投手に大事な場面を任せないといかなかったというところに、今季のカープ投手陣の苦しさがよく現れていたと思います。
まだ彼らに本当の意味での安定感、信頼感がないという中で、リーグ3連覇の立役者となった中ア、今村、一岡といったあたりが全く機能しませんでした。来季を見据える上で若い投手を使って戦力を整えていくことも重要ですけど、実績を残している投手たちの復活も同じくらい重要になってくると思います。
今季存在感を見せた塹江、ケムナですが、自らの力でポジションを奪い取った、とは言いづらい部分があります。任せられる投手がいないからチャンスを与えられた、という側面がなかったとは言い切れません。ですから彼らのさらなる成長を促す意味でも、実績組の投手が高い壁となって投手陣全体のレベルアップを図ってほしいですね。
広島アスリートマガジン編集部
今季は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、開幕が3か月遅れるという、異例の中でのシーズンでした。選手の皆さんは感染防止対策をしながらのプレーだったので、本当に大変だったと思います。
さて、我らが広島東洋カープですが、シーズンスタートからつまずき、結局上位浮上もできないまま、5位に終わってしまいました。その原因の一つに投手陣の不調、ことさらリリーフ投手陣の不調が挙げられます。まずは守護神の不在が大きかったですね。リーグ3連覇の胴上げ投手となった中崎投手が手術明けのリハビリで使えなかったため、フランスア投手を起用したいところでしたが、フランスア投手が不調。そこで、春のオープン戦や練習試合で好投した新外国人のスコット投手に白羽の矢が立ち、守護神に起用しました。しかし、全く機能せず、菊池保則投手や一岡投手も起用されましたが、抑え投手のプレッシャーに潰された形になり、これが原因で僅差のゲームをモノにすることができませんでした。1点差で落とした試合も多かった印象がありますし、延長戦も勝ちきれず、引き分け試合が12と、接戦に弱かったですね。中堅所の中継ぎ投手の一岡投手、今村投手、中田投手が活躍できなかったのは残念なところです。
そんな中で、若手の投手が台頭してきました。塹江投手、ケムナ投手、島内投手と、有望なピッチャーが出て来ました。今季勝ちパターンでこれらの若手投手が支えてくれたのは事実です。来季はこれらの若手投手プラス実績のある中堅所の投手が噛み合い、中崎投手とフランスア投手のダブルストッパーが整えば、最強のリリーフ陣になる事は間違いありません。
先発投手陣については、ジョンソン投手がいませんし、大瀬良投手、野村投手が手術明けという事で未知数の部分があります。しかし、今年彗星のごとく、カープで唯一二桁勝利を挙げ、新人王ほぼ確定の森下投手がいますし、九里投手、床田投手、遠藤投手、中村祐太投手に加え、今年のドラフト1位の栗林投手、2位の森浦投手、3位の大道投手と、即戦力投手もそろっていますので、層はかなり厚くなりそうです。
ドリヨシは来季のカープのチーム防御率はグンと良くなると予想しています。打線が普通に打てば、守り勝つケースが増えると思います。来季の春のキャンプのブルペンが楽しみです。