2020年05月12日
淑き人の 良しとよく見て 良しと言ひし 吉野よく見よ 良き人よく見
吉野よく見よ 良き人よく見」
(作者 天武天皇『万葉集』巻1-27)
昔の淑き人が、良い所だとよく見て、良いと行った、この吉野をよく見よ。今の良き人よ、よく見よ。
天武天皇八年(679年)五月五日に吉野に行幸した時の天皇の御製です。この行幸は、天皇・皇后と、草壁・大津・高市・河島・忍壁・芝基の六皇子との団結を盟約を目的とするものであったことが「日本書記」によって知られています。その時に天武天皇は、「詩経」曹風の「鳲鳩(しきゅう)」の詩の「淑人(しゅくじん)」の語を踏まえて、淑き人のよいという吉野をよく見ることを求めたのです。吉野は天武朝においては、壬申の乱の勝利の原点の地であり、聖地でした。その聖地吉野をよく見ることは、目のもつ力によってその聖性を身に取り込むことです。以来、吉野は人々にとって、見られるべき聖なる地と意識されるようになってきています。
By やまと まほろば通信
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