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「農業と福祉のマッチング」事業、県がスタート

「農業と福祉のマッチング」事業、県がスタート

 栃木県は、人手不足が課題の農家側と就労先の確保が課題の障害者らを引き合わせる「農業と福祉のマッチング」事業を今年度からスタートさせた。農家側と障害者福祉施設の依頼を同じ窓口で一元的に管理し、双方の意向を確認しながら間を取り持つ試みだ。

 宇都宮市下栗町の専業農家「のざわさんち」。田畑が広がる一帯に、野菜を栽培しているビニールハウスがいくつも並んでいた。

 ハウスに入ると、苗には真っ赤なミニトマトの実がいくつもなっていた。男女の作業員がおり、ミニトマトに両手を伸ばし、丁寧に摘み取り作業をしていた。

 作業をしていたのは同市の障害者就労継続支援B型施設「房香(ほうこう)会しのいの郷(さと)農園」の知的障害者たち。普段は施設で菌床シイタケの栽培や販売といった作業などをしている。

 この日は男女5人が施設を出て農作業。3月から手伝うようになり、週2回ペースで訪れている。きっかけは県河内農業振興事務所から人手不足に悩む「のざわさんち」の野沢真理さん(43)への声かけだった。

 野菜のほか、コメや肥育牛、自宅で直売所も手がける農家。家族で手分けしてやっていたが、キュウリを作っていた母親が2016年3月に急逝した。母のキュウリを何とか残したいと苦悩する野沢さんに、「しのいの郷農園が農作業の手伝いをやりたがっている」と取り次いでくれた。

 当初、アスパラガスの除草作業を依頼しようとしていた野沢さん。ただ実際に障害者に作業を手伝ってもらうと「思った以上にやる気があり、頑張って取り組んでくれる」。現在は作業の幅を広げ、「通年来てもらうのを目標にやってもらっています」と笑顔だ。

 ミニトマトの摘み取り作業をしていた津田幹生さん(33)は「外に出るのは楽しいし、やりがいがある。来るのが楽しみ」。上田誠さん(36)は「働きがいがあり、楽しい。にこにこです」とほほ笑んだ。

40施設が登録 工費面に課題
 農業の課題となる労働力不足と、福祉の課題となる障害者の就労先の確保や工賃向上。双方の補完を探る「農福マッチング」は全国各地で取り組みが進む。香川県では2011年度から本格実施した。畑作の除草や苗の植え付け、収穫などで障害者が活躍してきた。鳥取県や長野県なども導入している。

 栃木県は5月から「農の福祉力」に着目し、農業分野への障害者の就労を後押しするマッチング事業を始めた。農家側と障害者福祉施設の依頼を受ける共同窓口は、県社会福祉協議会の中にある「とちぎセルプセンター」。センターでは農家側が希望する作業内容やスケジュール、報酬など双方を取り持つ役割を担う。

 県によると、県内の障害者就労継続支援B型施設で働く障害者の昨年度の月平均工賃は1万6612円。B型施設はA型と異なり、1人で現場に行けないなど障害の程度が重く、職業訓練の位置づけで雇用契約を結ぶものにはならない。最低賃金の規定も適用されず、A型の昨年度の月平均賃金6万5636円に比べても低く、工賃を高めていくことも課題となっている。

 県農政課によると、マッチング事業に登録しているのは主にB型。31施設でスタートし、現在40施設が登録。9月までに10件の契約が成立した。担当者は「工賃向上はもちろんだが、障害者には外に出ての作業となる農業だとリフレッシュや体力の向上といった心理的な症状の改善も期待される」と話す。

 県は18日、農福連携の農作業の様子を見られる見学会を鹿沼市の社会福祉法人「希望の家」で開く。定員約30人。問い合わせは県上都賀農業振興事務所(0289・62・5236)へ。

2018年10月1日 朝日新聞社
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