有志で集まっている会です。
他職種で月1回テーマを決めてやっています。
参加者:、看護師・教授・鍼灸師・ケアマネージャー・サービス提供責任者・配食弁当業者(順不同) 第42回地域の社会資源を創り上げる会議事録
日時:平成28年10月27日(木)18時30分〜20時40分 テーマ
「認知症の対応の仕方について]
事例1
あるヘルパーさんから言われたことが、凄く良かった。
認知症の方の紙パンツ交換時に暴れてしまう利用者さんがいらっしゃる。
本人は、汚れていない。と言い張る。
上手く取り替えられないかと相談される。
私が行って、紙パンツ交換を行う。 まずは、本人に「体を見るので横になって下さい。」と私が言うと横になり、寝た状態で交換出来た。
紙パンツ交換を暴れることなく出来た。 このヘルパーさんが言う。 何か騙して交換させるのってどうなんでしょうね?と。
なるほど。確かに紙パンツ交換をしましょう。と言わずに交換した。 騙しているつもりはないが、他から見れば騙している。誤魔化していると思うかも知れない。
私は、配慮だと思うのだが。他人からの視点は発見になる。 参加者からの意見
・何故暴れるのかを理由を探った方が良い。
・施設だと24時間観察をして、情報の共有が出来るので、理由を探りやすいが、在宅だと
30分の排泄介助では、理由が分からない。探る時間がない。
・介護は、自立支援なので、出来るだけ自分でトイレに行かせた方が良い。オムツをするのは赤ちゃんだと思って暴れる方がいた。理由が分かったので、布オムツにしたら、自分で排泄するようになった。
・在宅では、家族の負担や、家族の介護力を考えて、トイレ誘導が厳しいこともある。
在宅では、オムツ交換の方が良い場合もある。
・自立を考えるとトイレに行くこと。食事が食べられることで自立になる。
認知症ではないが最初は、こんな姿誰にも見せたくないと、サービスを拒んでいたが、ケアマネさんと同行して、最初は話をして帰るだけであった。
2週間位は、サービスではなくただ顔を出しただけであった。
ある時、私が「歩くの辛くないですか?」と聞くと本人は「辛い。」とおっしゃる。
一緒にトイレまで歩きましょう。と声かけをして、トイレまで行き、排泄して部屋まで戻った。「普通のことが、他人の手を借りてでも出来て良かった。」と本人がおっしゃる。
他人に手をわずらわせたくないという思いから、サービスを拒むケースは多い。
丹念にコミュニケーションを取り、信頼関係を結んでからサービスに当たればより良いサービスが出来る。他の人の手を借りたとしても自立につながる。
・介護の仕事は、技術よりもコミュニケーションが大事だと思う。
・接遇でよく、○○さんと名字で呼びなさい。と教わる。しかし、○○ちゃんと言った方が良い方もいる。その方が良い根拠を言えればいいと思う。教えられたことをやっているような気がする。
・赤ちゃん言葉だと思われるからと言って、根拠があるにも関わらず、統一した呼び方にすることがいいことなのだろうか?本当に必要ならば家族に説明をすべき。それが専門性ではないか?
・「体を見るので横になって下さい。」と言ったら何故、上手く行ったのか?根拠が言えたらいいと思う。
・配食弁当で配達に行った時に、利用者さんにお金を払えないからいらないと言われることがある。その時は、区役所からお金をもらっているからと説明すると納得してくれる。
区から助成金が出ているから嘘ではない。
・「体を見るので横になって下さい。」というのも嘘ではないのでは?褥瘡がないのかを見るのも含まれるから、嘘ではない。
・紙パンツが汚れているままだと、尿路感染になる可能性もあるから、体を見るのは嘘ではない。もしかしたら、違和感があって取り換えさせてくれたのかも知れない。
・介護では、利用者本位と教えてもらう。本人が嫌がっているのなら、紙パンツを無理やり替えるのは良くないと考える方もいる。それぞれの解釈によって違いが出る。
・施設で認知症の方が、「学校に行く」と言っているので、「学校にいきましょう。」とお誘いをして、お昼のご飯だったので、席に着いてもらって、ご飯を出したら召し上がった。
私達の常識にとらわれずに、その方の世界観に寄り添うことだと思う。美味しそうに召し上がっている姿が物語っている。
・その方の世界観に寄り添う。という言葉は分かりやすい。確かにこちらの常識ではなくて、その方の世界観に寄り添うことだと思う。
・介護には、正解がない。今日、上手く行ったからといって、明日も上手く行くとは限らない。日々のアセスメントが必要。こういう話し合いの場は大切。色々な視点を知る事が重要。
事例2
平成18年から関わった利用者さんが亡くなった。
最初は、要支援であった。
5年位して、盗られ妄想が始まる。
ヘルパーさんに大事にしていた草履を盗られたから始まった。
家族(娘さん)に報告すると、母を認知症扱いするんですか?と言われた。
こちらの言うことより、本人の言うことを信じて、家族も草履をヘルパーが盗った。と
思っていた。
私は、事業所を変えられてもしょうがないと思っていた。
ある時、本人からヘルパーが洗濯をしたら、青い液体を入れて、全て洗濯物が青くなった。とクレームが入る。
本人がそう思っている以上謝った。
家族にも報告すると、思いがけない返答が来る。
「ヘルパーさんを疑って悪かった。真実を真摯に伝えて下さり有り難い。今後も宜しくお願いします。」と言ってくれた。
それからは、家族と些細なことでも報告しあって、認知症になったも対策を講じることが出来た。
要介護3になり、歩くのも厳しくなって来ていたが、本人は人には迷惑をかけたくないと歩こうとしていた。
半年前、熱が出て病院に入院する。
食欲もなくなり、胃ロウにするかと医師と相談していたが、亡くなった。と報告を受ける。最後の顔を見てほしいと家族に言われて、見てきました。穏やかな顔をしていました。
家族から色々あったけど、貴方の事業所で良かった。こんな穏やかな最後で良かった。とおっしゃってくれた。
真実を真摯に伝える。なんて考えもいなかったがそう感じてもらえたならうれしい限りです。
私の考えでは、ヘルパーの変更はしません。医師から言われたことがある。一番信用している人が何故だか、盗られたと思うと。
ヘルパーにもそう言っています。盗られたと思われたのなら、それは一番信用しているからだと。そうするとヘルパーも嫌な気持ちはしない。
行きたくないと思って行くのと、信用されていると思って行くのでは大きな差になる。
嫌だと思っていくと、どうしても言葉の端々に出てしまう。
それに、盗られ妄想が出ても、安心してサービスにあたっていくと、段々と言わなくなる。多分、不安から盗られ妄想になるようにも思う。 参加者からの意見
・教科書に載っていないことを教えてもらえるから面白い。
・自分がなくしたことを認めたくなくて言うこともあるのでは?
・すだれの1本なくなったとか、リモコンがなくなったとか、水1本なくなったとか、あり得ないものがなくなったと訴えることもある。
・本当かどうかが分からないことが多く悩ましい。
事例3
みずから伝える若年性認知症
資料省略
参加者からの意見
・こうやって、発信してくれると勇気づけられる方がいると思う。
・まだまだ、認知症には偏見があり、人格を否定されてしまうのではないかと思って、言えない方もいる。
・認知症を地域で見守るには、ちゃんとした理解が必要だと感じる。 その他
・高齢になると自己決定ではなくて、家族が契約して施設に入れられてしまうことがある。
・有料老人ホームで、医師が常駐しているので、有料老人ホームの医師と契約してしまうが、今までのかかりつけ医でも大丈夫。そのことを知らない方も多い。
・ケアマネージャーも訪問介護等も近いとかで決めるのではなく、選択して決めた方が良い。
・デイサービスの時間に間に合わせようとして、急がせる時がある。でも、生活というのは毎日同じ時間に起きるのも普通の人でも難しい。たまには寝坊もする。
その時に、デイサービスに行く時間もデイサービスが勝手に決めている。バスポイントもデイサービスが勝手に決めていることだから、遅れても大丈夫。というと、遅れてはいけないと利用者さんが急いでくれる方もいる。
自立支援とは、やらせることでゃなくて、仕掛けることだと思う。どう仕掛けるかが大事なことだと思う。ほとんどの人が、自立支援はやらせることだと思っているように思う。
・社会生活は時間を守らないといけない時もある。それをどうやって、やらせるのではなくて、意欲的にやらなくちゃと思わせるためにどうしたら良いかを仕掛けることだと思う。
参加者のアンケート
・今回も介護と医療の違いを実感しながら話を聞かせていただきました。
物とられ等をもう少し、対応事例など意見をききたと思いました。
・様々な視点で見ることの大切さを伝えていく難しさを感じています。認知症の診断をつける事が悪い事ではなく本人を守る事になる事が上手に伝えられない場面があり苦労している。
「おいしいですよ」と食べたこともない食品を介助していた時のことを思い出しました。
・見方によって変わるものだと感じました。
・初参加になります。意見が多数聞けて視野が広がりました。認知症を自分なりに掘り下げていきます。
・3事例から、それぞれの意見が出て、それが正しいのか間違っているのかではなく、その人の生活に寄り添うことが大事⇒まさにそうですよね。楽しかったです。
・地域の高齢者を支えるため、この会が発展出来るよう応援していきます。
・「利用者の世界観で観る」忘れていた大切な視点を、原点を思い起こさせていただきました。言葉で言うのは簡単だけど、利用者の世界観で観ることの本質を深めていきたいと
思います。やっぱり「寄り添う」ことなんですね。ありがとうございました。
・認知症の方の世界観に寄り添うこと。今日の話の中で一番感動しました。介護の世界に飛び込んで良かったと思います。
・施設に入る事への支障になる要因の一つ、転じて入りやすくする思考への変換のヒントをもらいました。
・利用者の立場に立って考えるという意見に凄く共感できました。相変わらず、自分の想像の出来ない色々な意見が聞けてとても有意義な会だと感じました。
・参加させていただきましてありがとうございました。一つの事で皆さんと話し合うということはほとんどありません。十人いれば十人の見方意見があり、参考になりました。
自立支援に向けてのケアが目的ですが、介護保険法という元で働いていますが、法律を頭の中に入れて仕事をしているということは少ないです。仕事をやっていくということで毎日働いているのが現状です。内容の濃い勉強会でした。