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リトル・スワンプ・ドラマー・ボーイ

 今回は、またまたアナログLP盤です。
 去年オークションで入手しました。
 ジャケ・デザインがいまいちなので、本人のスナップも併せて貼っておきます。

 本盤は、78年にCrazy Cajun Recordsからリリースされました。
 まちろん、制作はHuey P. Meauxです。


Family Rules
Warren Storm

Side One
1. Your Kind Of Love (Huey P. Meaux)
2. Honky Tonk (Doggett, Scott, Butler, Shepherd)
3. They Won't Let Me In (Wolfe) 
4. Don't Fall In Love (Huey P. Meaux)
5. Four Dried Beans (Huey P. Meaux) 
Side Two
1. I'll Walk Alone (77-73) 
2. Don't Let It End This Way (Kerney Ravet) 
3. Love Me Cherry (77-74)
4. Jack and Jill (Joe Bernice Jr)
5. Family Rules (Guitar Jr.)

 今回の主人公、Warren Stormについてはあまりよく知りません。

 比較的有名なのは、彼の音楽人生がスタジオ・ミュージシャンとしてスタートしたということです。
 サウス・ルイジアナでは、ちょっとしたセッション・ドラマーだったらしいです。



 他人の伴奏からスタートしましたが、50年代の終わり頃に、シンガーとしてシングルを出します。
 その後、ローカル・レーベルを渡り歩いたのだと思いますが、LPは作られなかったのだ思います。

 そして、90年代以降になり、ソロLPデビューしますが、それ以前のシングル時代は、現在でもまとまったリイシューがなされていません。
 (細かく言えば、LPは、一時期Rod Bernardと組んでいたバンド、The Shondells名義のLP(未CD化)があります。…Tommy Jamesとは無関係です。)

 さて、彼は、ヴィンテージ・スワンプ・ポップ・シンガーの一人として知られていますが、スタジオのドラマーとして、ときどき「おっ」というセッションに参加していたりして驚かされます。
 (Lazy Lesterの50年代のExcello録音、"Suger Coated Love"でドラムを叩いていますので、他にもJ. D. Miller関連のアーティストの伴奏をしていてもおかしくないはず…と推測します。)

 ヴィンテージ期の自身の録音では、58年に"Prisoner's Song"というスワンプ・ポップの佳曲をNasco(NashboroのR&B部門)から出していて、同曲はJohnnie Allanなどもカバーしていたはずです。
 また、Roy Head盤とは同名異曲ですが、"Mama Mama Mama"という曲もあります。

 そのほか、70年代以降にはサザン・ソウル風の伴奏を使った曲もあり、興味深いですが、南部系よりも、むしろBen E.Kingの隠れた(?)名曲、"Seven Letters"のカバーが秀逸でした。
 (お馴染み英Aceの名コンピ、"Louisiana Saturday Night"で聴けます。)

 その後、ソロ・シンガーとして、ミレニアム以降も数枚のアルバムをリリースしており、息の長い活動をしている人です。
 そのスタイルは、若干Rod Bernardに近く、例えて言うならスワンプ・ロックンローラーという印象です。



 また、近年では、ルイジアナのオールスター・バンド、Lil' Band O' Goldにも参加して数曲でボーカルを担当していました。
 Lil' Band O' Goldでは、"Seven Letters"の再演もありましたね。

 Heuy P. Meaux関連の音源では、00年に英EdselからリリースされたCD、"King Of The Dance Halls 〜 Crazy Cajun Recordings"が貴重なソフトです。
(流通しているうちに入手しましょう。)

 ここには、古き良き時代のスワンプ・ポップの空気感と同種の香りが、そこかしこに感じられます。
 このCD収録曲の録音ソースははっきり分かりませんでしたが、今回のLPの収録曲が数曲チョイスされていましたので、70年代後半の音源が加わっていることが判明しました。
(私の思うところ、80年代の音源も混ざっていると思います。)

 本盤の曲のうち、英EdselのCD(26曲入り)に収録されているのは、以下の6曲です。

Side One
3. They Won't Let Me In 
4. Don't Fall In Love
Side Two
1. I'll Walk Alone 
2. Don't Let It End This Way 
3. Love Me Cherry 
4. Jack and Jill 

 "They Won't Let Me In"は、Rod BernardやJohnnie Allanを連想させるギター・ロックンロールで、なかなかかっこいいですが、彼らと同様、どこかほのぼの感を感じます。

 その他の曲は、いずれもミディアム〜スローのバラードで、それぞれ味わい深い魅力があります。
 コーラス入りのおセンチなミディアム・バラード"Don't Fall In Love"、オルガンを伴奏に使ったスワンプ・ポップの"Love Me Cherry"、ピアノの三連バラード" Don't Let It End This Way"あたりの定番感は、保守的な私には、それぞれが安息の1曲です。

 また、"I'll Walk Alone"は、Fats DominoスタイルのニューオリンズR&Bで、ころころと転がるピアノが耳に心地よく、これまた安心して聴けます。
 "Jack and Jill"は、軽快で小粋な良曲で、グッドタイム・ミュージック風のホーン・リフに癒されます。

 そして、未CD化曲では、何といってもA面1曲目の"Your Kind Of Love"が注目です。
 このHeuy P. Meaux作とクレジットされている曲は、ほとんどDoug Sahmの"She's About A Mover"と同じ構成で作られた曲です。
 オルガンの伴奏から、アーリー・ソウル風のグルーヴ、サビ前のタメやブレイクのタイミングまでそっくりです。
 オリジナルのギター・ソロがあるので良しとしましょう。

 ビル・ドゲットの大有名曲、"Honky Tonk"は「?」で、まるで別の曲に聴こえます。
 ここでは、Joey Longぽいブルージーなギター・ソロが聴けます。

 そして、Guitar Junior作とクレジットされているラストの"Family Rules"は、本盤の中では少し残念な出来で、ストリングス入りの大甘のアレンジにしてしまったスワンプ・ポップ・バラードです。
 間奏で、セリフの語りがあるのが面白いです。
 本曲に関しては、Guitar Junoior盤の、ぶっきらぼうながらも愛すべきボーカルと、緊張感のあるバックの圧勝でしょう。

 とはいえ、本盤は、Huey P. Meauxのこの時期のプロデュース作にいくつか散見する、安易なカントリー寄りの制作には陥ることなく、主役のパーソナリティを尊重した仕上げになっていると思います。



Seven Letters by Warren Storm & Willie T.


Ben E.のオリジナルが聴きたくなったでしょ?




関連記事はこちら

70年代 Crazy Cajun LPs

土曜の夜は流れるままに
トミーのお気に入り
土曜の夜のショータイム
スワンプ・レジェンドの帰還
シャーリー&カンパニー、しばしばジェシー
スワンプ・ロッカーの休息
カオスの人、ジョゼフ・ロンゴリア
マーゴはルイジアンナ







ビー・リアル 〜ダグ・ソング拾遺1

 Doug Sahmが天に召されて、没後10年を機に出されたトリビュート・アルバムのリリースからも、すでに数年が経過しようとしています。

 未CD化アルバムには、未だに動きはないのか?
 新しい編集盤のリリース予定は?
 ライヴ音源は一杯あるだろうに、なぜソフト化しない?
 などなど、こういった思いに激しく同意していただける同志は多いと思います。

 そこで(?)、強引に飛躍しますが、私がDoug Sahm禁断症状を抑えるため、日々張っているセンサーにかかった小ネタを、少しづつ機会をとらえて紹介していきたいと思います。
 (今までから似たようなのやってますが、なぜか突然胸熱く宣言 !)

 今回はその手始めとして、このアルバムを取り上げたいと思います。
 中身はカントリーです。

 全く初めて聴く人ですが、私が注目して入手した理由は、もちろんトラック2の"Be Real"の存在です。


Country To The Bone
Tommy Alverson

1. Country To The Bone (Roy Robinson, Jerri Lynn Robinson, David Oxford)
2. Be Real (Doug Sahm)
3. Got Here Fast As I Could (Tommy Alverson)
4. I Can't Convince My Heart (Clay Blaker)
5. Just Like Hank (Walt Wilkins, Davis Raines)
6. She Found Something In Me (Jerry Max Lane)
7. This Buzz Is For You (Roy Robinson, Jerri Lynn Robinson)
8. Second Hand Love (Tommy Alverson, Charlie Throckmorton Jr.)
9. I'll Still Be Around (Jim Lauderdale)
10. Tequila Rose (Roy Robinson, Jerri Lynn Robinson)
11. She Even Woke Me Up To Say Good Bye (Mickey Newbury)
12. Upside Down (Brain Burns)
13. Welcome To Paradise (Tommy Alverson)
14. Texas Woman (Tommy Alverson, Charlie Throckmorton)

 本盤は、07年にPalo Duro Recordsからリリースされました。
 主人公のTommy Albersonは、95年にアルバム・デビューしたようで、現在まで2〜3年に1枚のペースで新作をリリースしているようです。

 風貌から、テキサス・アウトロー・カントリーを連想します。
 多分、それほど間違ってないんだろうと思いますが、本作を聴くと色々と趣向をこらして一本調子にならないよう、工夫しているように感じました。



 基本的にソングライターでもあり、デビュー当初は、自作中心でやっていたようですが、本盤では、Jim LauderdaleやMickey Newburyなど、定評の高いソングライターの作品を積極的に取り上げています。

 しかし、アタマに書きましたように、私の目的はあくまでDoug Sahm絡みです。
 本盤には、Doug Sahmが書いた本格的(?)なカントリー曲、"Be Real"がカバーされています。

 オリジナルの"Be Real"は、何かの企画ものとして作られたのではないかと思われ、バックを完全ナッシュビル陣営で固めて仕上げられた、どカントリーでした。
 それでも、Dougらしさ満載の名曲で、この曲を気に入ったカントリー・シンガーはかなりいたのではないかと想像しています。

 後にSir Douglas Quintetの伴奏によるバージョンが、Sonetのアルバム、"Midnight Sun"の中で披露されました。

 本盤でのアレンジは、想定範囲の普通のウエスタン・スイング調ですが、やはり曲の良さが光っています。
 …などと、どうしても贔屓目に書いてしまいます。
 Alversonさん、Dougをカバーしてくれてありがとう!
 フィドルのイントロが始まるやいなや、「Ha〜 Coutry Music !」と掛け声をかけていて、その声が嬉しそうです。

 実はこの人、09年リリースの最新ライヴ盤、"Live Again"では、やはりDoug作の"Texas Me"をやっているのでした。
 この人のDoug好きは本物ですね。

 さて、"Be Real"ばかりに注目していましたが、実は他の曲もかなりよいです。
 まず、トラック4の"I Can't Convince My Heart"と、トラック9の"I'll Still Be Around"の2曲が、私好みの王道のウエスタン・スイングの良曲で、イントロの段階で昂まりまくりで胸熱です。

 ホンキートンク・カントリーでは、トラック7の"This Buzz Is For You"が群を抜いて耳を惹かれます。
 中身は、おそらくブルー・ラブ・ソングなのでしょうが、曲調が完全にウキウキ感満載で、いかにも(?)米国人が好きそうな失恋バカ騒ぎ曲です。
 「俺に冷たいビールを2杯くれ」
 「こっちはウィスキーをワン・ショット」みたいな歌詞が聴き取れます。
 背後に聞こえる酒場の喧噪を模したSEの演出が、雰囲気を高めていてグッド・アレンジです。

 そして、女性ボーカルとのデュエットで歌われるトラック10の"Tequila Rose"は、日本人好みのボーダー・ソングで、哀愁のアコーディオンの伴奏がぴったりはまる、これまた良曲です。

 その他、アコギの伴奏が気持ちいい"Upside Down"、トーキング風の歌が楽しいトロピカル調の"Welcome To Paradise"、爽やか系で、かつ往年の70年代カントリー系サザン・ロックを思い起こさせる"Texas Woman"という、トラック12から14への流れが、気持ちよくアルバムを締めてくれています。

 こうやって振り返ると、やはりバラエティに富んだ内容ですね。
 これを、どれを聴いても同じようなカントリーだと感じる方、多分あなたの方が正常です。

 でも私の場合、たった1曲でもDoug Sahmのカバー曲があるだけで、この程度の高揚感はすぐに見出せるのでした。



Be Real by Tommy Alverson



Invitation to The Blues by Tommy Alverson & Ed Burleson


デュエットしているEd Burlesonは、Doug Sahmプロデュースのアルバムを出しているカントリー・シンガー


関連記事はこちら

Be Real
白夜の国から
テキサス遥か

Ed Burleson
君に捕らわれて


バイユー・ブギー・マン

 針がやたらとスベります。
 レコード針の替え時なのかも知れません。
 針圧が軽いのか、盤のそりなのかとも思ったりもしましたが、この頻度の多さはやはり針の寿命なのかな。

 シングル・レコードの音圧の強さが好きです。
 まあ、普段聴くのはもっぱらLPなんですが…。
 CDは便利で使い勝手がいいですが、レコードの音には活きの良さを感じます。
 (感覚で語っています。なにぶん昭和の人間なので。)
 今回は、久々にのこのLPを引っ張り出してきました。


The Crawl
Guitar Junior

Side One
1. The Crawl (Shuler, Vitrian)
2. Family Rules (Baker, Shuler)
3. I Got It Made (When I Marry Shirly Mae) (Baker, Shuler)
4. Tell Me baby
5. Love Me, Love Me Mary Ann
6. Now You Know (Baker, Shuler)
7. Roll, Roll, Roll (alternative take)
Side Two
1. Roll, Roll, Roll (Baker, Shuler)
2. Broken Hearted Rollin' Tears (Baker, Shuler)
3. Oo Wee Baby
4. Please (Garlow, Baker)
5. Pick Me Up On Your Way Down (H. Howerd)
6. Love Me, Love me (Lee Baker Junior)
7. Knocks Me Out Fine Fine Fine (Lee Baker Junior)

 Obinさんがギター・スリムのスペシャルティ盤について書かれていたので、刺激を受けました。
 私もギター・スリムが大好きです。
 アトコ時代は物足りないところもありますが、早世しなければ、もっともっと傑作を残してくれた人だと思います。

 ダグ・サームのファンなら、T-ボーン、ギター・スリム、ボビー・ブランド、ジュニア・パーカーは皆んな好きにさせられますよね。
 「好きなアーティストが赤い靴下をはいていたら、私も赤い靴下をはいたりします。」
 …とディランも言っていました。(引用が不正確の可能性大です。でも主旨はこんな感じのはず。)

 私がギター・スリムから連想するアーティストは、次の通りです。

・ゲイトマウス・ブラウン(ライバル?的な意味で)
・アール・キング(スリムの信奉者、ボーカルは影響大、一方、意外にギターの影響は控えめ?)
・ジョニー・ギター・ワトソン(アール・キングのカバー、"Those Lonely Lonely Nights"からの連想。意外とギターがスリムぽい)
・ジミー・ヴォーン(武骨で音数が少ないソロというイメージから)

 そして、今回の主人公、ギター・ジュニアです。
 スワンプ・ブルース的な連想です。
 同じスワンプでも、スリム・ハーポに代表される、マディ、ライトニン、リード系とは一線を画す人ですよね。

 この人は、後にLonnie Brooksの名前で発掘され、一定の成功を収めました。
 ロニー時代のスタイルは、Chuck Berry調やR&Bを得意としている人というイメージですが、それなりにブルース・マンとして認知されていたと思います。
 エディ・クリアウォーターなどと似たイメージです。

 しかし、このGuitar Junior時代はどうでしょう?
 頭に浮かぶのは、完全にR&Bの人で、スワンプ・ポップもやっているというイメージです。
 本盤は、84年に英CharlyからリリースされたLPで、数年ぶりに聴きました。

 この時代(Goldband時代)の音源は、CD化があまりされていず、英Charlyがほぼ同内容のものをジャケを替えてCD化していたように思いますが、私は、ジャケが気に入らず入手していません。

 個別には、GoldbandのコンピCDに数曲が収録されています。
 ただ、"The Crawl"とか特定の曲が選ばれている場合が多いので、やはりしっかりとした編集のコンプCDが欲しいですね。
 あせらずゆったりと、熊家族あたりに期待しましょうか。

 久々に聴いたら、とてもよかったです。
 最初の方に音圧のことを書きましたが、音楽全体から受けるパワーを感じました。
 そして、私が記憶していたイメージとかなり違いがありました。

 ノベルティックな歌中心というイメージでしたが、しっかりとギター・ソロもあってかっこいいです。
 しかも、これがギター・スリムっぽく感じて驚きました。 
 普通に、テキサス〜ウエストコースト・スタイルなのかも知れませんが、とにかくいいです。
 Lonnie Brooks時代は、スクイーズ系で、なおかつシカゴに近いイメージを持っていました。

 "The Crawl"や"I Got It Made (When I Marry Shirly Mae)"の攻撃的なソロが気持ちいいです。
 "The Crawl"は、確かT-Birdsが初期のアルバムでカバーしていたような気が…。

 ブルージー・バラードもいいです。
 "Now You Know"が特に印象に残りました。
 また、Bobby Blandのデューク・サウンドを連想させる、"Oo Wee Baby"みたいなのもあって、思わず「おおっ」と声が出ました。

 記憶のイメージにあったロックンロール調の曲より、こういったハード・ブルース(あまりないですが…)や、ブルージーR&Bがいいです。
 "Family Rules"のようなスワンプ・ポップ調の曲も、記憶とは違い大甘なアレンジではなく、つばが飛ぶような熱気あるスタイルでやっていて、眼を洗った直後のようなすっきりした気分になりました。

 唯一、ハーラン・ハワード作の"Pick Me Up On Your Way Down"が違和感ありですが、目くじら立てるほどではありません。

 久しぶりに引っ張りだしてきたLPがですが、記憶のハードルが下がっていたせいでしょうか、とても印象がよく、予想外の喜びを感じました。 

 今私は、Lonnie Brooksの方も聴き返したいなと思い始めています。
 (もう10年くらい聴いていません。) 



The Crawl by Guitar Junior


このつべの音源のソースはなんでしょう?
若干迫力不足に感じます



関連記事はこちら

レット・ザ・グッド・タイムス・ロール



土曜の夜は 流れるままに

 どーも
 お久しぶりです。
 新しい年が皆さんにとってよい1年でありますよう お祈りします。

 年が明けて、かなり経ってしまいましたが、今年最初の更新になります。
 何をチョイスしようかと考えたのですが、このアナログLP盤を選ぶことにしました。

 78年にCrazy Cajun Recordsからリリースされた、Freddy FenderとTommy McLainの共演盤です。


Friends In Show Buisiness
Freddy Fender & Tommy McLain

Side One
1. Fannie Mae (B. Rrown, M. Robinson)
2. Get Out Of My Life Woman (N. Neville)
3. Little Bitty Pretty One (R. Byrd)
4. High Heel Sneakers (Henry Glover)
5. Going Out With The Time (Huey P. Meaux, Gene Bourgeois)
6. Slippn' & Slidin' (R. Penniman)
Side Two
1. Whip It On Me (J. Hill)
2. Tell It Like It Is (G. Davis, L. Daiamond)
3. Kansas City (J. Leiber, M. Stoller)
4. These Arms Of Mine (Redding)
5. You Got Me Dizzy (R. Reed, E.G.Abner Jr.)
6. Been Dowm In Virgina (Steven Garcia)

 もちろん、制作はHuey P. Meauxで、お馴染みのシュガーヒル・スタジオで録音されました。

 この二人は、随分と仲良しのようで、これまでにも、共演の音源がいくつかのレコードやCDにばら売り状態で散見していたように思います。

 本盤は、去年入手したんですが、初めて手にしたときは嬉しかったです。
 ファクトリー・シールが封されたままの新品でした。
 ジャケ・デザインもGJです。

 収録曲は有名なものがほとんどで、また、Freddy Fenderが既にソロで録音しているものが多いですが、どれもアベレージ以上の出来で、普通に楽しいです。
 ただ、本盤の表記には、例によって誤植があります。
 まあ、もう慣れましたが…。

 A3の"Little Bitty Pretty One"の作者がRoy Byrdとなっていますが、ロイ・バードというのは、みんな大好きな長髪教授(Roeland Byrd)のことですよね。
 正解は、Robert Byrdで、Bobby Dayの本名です。

 Bobby Dayは、"Buzz Buzz Buzz"のヒットを持つR&Bグループ、Hollywood Flamesからソロになったシンガーで、ソロでは、他にも自作ではないですが、"Rockin' Robin"という有名ヒットがあります。

 A5の"Going Out With The Time"は、とりあえず原文表記のママにしましたが、もちろん正解は"Going Out With The Tide"です。
 他にもミスがあるかも知れませんが、私がすぐに気づいたのはこの2曲でした。

 収録曲のうち、私の知る限りでは、以下の4曲が、99年にリリースされたFreddy Fenderのトールサイズの3枚組CD-Box、"The Voice(Crazy Cajun Recordings)"でCD化されています。

Side One
1. Fannie Mae  
2. Get Out Of My Life Woman
3. Little Bitty Pretty One 
5. Going Out With The Tide (×Time)

 また、確信はないですが、"Going Out With The Tide"は、89年にP-vineからリリースされた日本企画のCD、「フレディ・フェンダー/涙のしずく」の収録テイクと同じものではないかと思います。

 Freddy FenderとTommy McLainの共演は、他にもライヴ音源がLP化されているはずで、今回は正月ぼけもあり、また元来からの根性不足で探しきれませんでした。
 聴いた覚えがあるので、所有しているLPにあると思うんですが…。
 (スタジオ盤に、突然ライヴ・テイクが紛れ込んでいるたぐいの妖しいLPだったような気がします。)

 さて、本盤の収録曲ですが、私の好みから言いますと、やはり"Going Out With The Tide"の仕上がりが一番好きです。
 元々、この曲自体が好きということもあり、Tommy McLainとのハスキー共演はたまりません。
 Freddyの独唱で始まり、途中からTommyがダミ声でカットインしてくるところが、何度聴いても胸キュンです。

 全体的に、アップより、スロー〜ミディアム・テンポの曲が、二人の個性をより引き出しているようで、相性がいいと感じました。

 ところで、"Going Out With The Tide"は、Huey P. MeauxとGene Bourgeoisの共作とクレジットされています。
 Gene Bourgeoisは、スワンプ・ポップ・シンガーのJivin' Geneの本名で、オリジナルは58年にJin Recordsからリリースされヒットしました。
 ただし、Jivin' Geneは、Huey Meauxが手掛けて成功した最初期のアーティストと言われていて、Jin盤の前に、Meaux制作のローカル盤があるのではとも思います。

 ついでに言えば、Jivin' Geneには、"Breaking Up is Hard to Do"という、Neil Sedaka、Howard Greenfield作の有名曲(カーペンターズ盤のウキウキ感が最高!)と同名異曲のヒットがあり、先の"Going Out With The Tide"と並び、初期のスワンプ・ポップを代表する名作だと思います。

 "Breaking Up is Hard to Do"は、Cookie & The Cupcakesのカバー盤も、時代の空気感一杯で素晴らしいです。
 最近では、Jimmie Vaughanが最近作、"Play More Blues, Ballads & Favorites"でやっていました。

 1曲に長く触れてしまいました。
 その他では、他の曲とは印象が違う、"You Got Me Dizzy"が気に入りました。
 イントロで、渋いブルージーなソロを弾いているのは、誰でしょう?
 Freddyはもちろん、Tommyもギターを弾く人です。(メインはキーボードですが…。)

 Jimmy Reedのカバーですが、作者名のR. Reedが気になりますね。
 彼のファースト・ネームはJamesのはずです。
 もしかして、ここも誤植?
 それとも、Rで始まるミドル・ネームがあるのかな?

 "You Got Me Dizzy"は、Jimmyの58年の1st、名盤"I'm Jimmy Reed"の収録曲でした。
 "I'm Jimmy Reed"は、昨年、英Charlyからデジパック仕様の2枚組CDがリリースされ、(Disc2のボートラも含めてダブリ多数でしたが)つい買っちゃいました。
 英Charlyは、同じような仕様で、最近、アラン・トゥーサン制作関係のアーティストのリイシューを進めていて、久々に注目です。

 この文を書くため、本盤を通して聴きかえしましたが、、ほっこりとくつろいだ気分になれました。
 改めて、今回の二人は、私の心の琴線に触れる存在なんだと再認識したところです。

 PS:
 去年買ったレコード・プレイヤーが、安物のせいか早くもへたりかけていて、それでも、とことん使い倒そうと決心しているこの頃です。





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Jivin' Gene
スワンプ・ポップのふるさと

Jimmie Vaughan
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追伸
唐突な話題ですが、John FogertyがCCRの復活について前向きな発言をしているらしいです。
ただ、対してDougとStuが否定しているそうで、うまくいきませんね。
http://www.spinner.com/2012/01/03/creedence-clearwater-revival-reunion/


ルイジアナで迎えるクリスマス

 クリスマスですね。
 この時期には、旬の企画ものが出ますが、まったく買っていません。
 でも、キャロル・キングの新譜はちょっと気になっています。

 定番のクリスマス・アルバムというものがあって、私もいくつか持っていますが、ずっと欲しいと思いながら買い逃しているものがあります。
 ベンチャーズのクリスマス・アルバムなんですが、今年も入手せずじまいでした。
 "I Feel Fine"のイントロから始まるのは、「赤鼻のトナカイ」でしたっけ?

 今回は、おそらく誰も注目していないだろうアルバムを紹介します。

 
Have a Merry South Louisiana Christmas

1. White Christmas : Van Broussard
2. It Won't Be Christmas Without You : Ronnie Melancon
3. Louisiana Christmas Day : Ryan Foret and Foret Tradition
4. Silver Bells : Kenny Cornett
5. Rockin' Around the Christmas Tree : Mike & Steve Broussard
6. All I Want For Christmas Is You : Wayne Foret
7. Jingle Bells : Fats Domino
8. Christmas Comes But Once A Year : Ronnie Melancon
9. Let It Snow : Gary T.
10. Santa Claus Is Back : Jake Chimento
11. So This Is Christmas (McCLain, Hacher) : Mike & Steve Broussard
12. I Told Santa Claus : Kenny Cornett
13. Blue Christmas : Mike & Steve Broussard
14. Rudolph The Red Nosed Reindeer : Fats Domino
15. Please Come Home For Christmas : Van Broussard
16. Jingle Bell Rock : Grace Broussard
17. I'll Be Home For Christmas : Travis Thibodaux
18. Sweet Dream Christmas (Kane, Glaze) : Kane Glaze

 ルイジアナで、現在進行のスワンプ・ポップをリリースし続けている、CSP Records制作のクリスマス・アルバムです。
 本盤は、07年にリリースされました。

 私は、当初、収録曲はこの盤のための新録かと思っていたのですが、どうやら既出の吹き込みの寄せ集めのようです。

 Wayne Foretの"All I Want For Christmas Is You"は、彼のアルバム、"Still Going Strong"からのチョイスです。
 また、Ryan Foretの"Louisiana Christmas Day"は、やはりRyanのアルバム、"She's Mine"からのものです。

 その他、ネタ元は調べ切れていませんが、VanとGraceのBroussard兄妹は、CSPではお馴染みです。
 あるいは、Van Broussardは、CSP Recordsで最も多くのアルバムをリリースしているスワンプ・ポップ・シンガーかも知れません。

 Ryan Foretもやはりお馴染みです。
 この人もベテランですが、VanやWayneに比べると若手でしょうか。

 Gary T.と息子のTravis Thibodauxが、それぞれソロでフューチャーされているのが嬉しいです。
 期待にたがわず、いい味を出しています。
 (実は今日、この親子の共演盤、"Deuce Of Hearts"(99年Jin Records)が届きました。)

 その他は初めて聴く人ばかりです……。
 一人の超大物を除いては。

 そう、もちろん、Fats Domino師匠ですね。
 師匠もCSPに録音していたとは驚きです。

 そこで少し調べたところ、どうやら、93年のキャピトルからのアルバム、"Christmas Is A Special Day"が出典のようです。
 CSP Recordsは、このアルバムを06年にジャケを替えてリイシューしていました。
 本盤のFatsの収録曲は、この"Christmas Is A Special Day"からのチョイスです。

 この人は、やはり凄いですね。
 最近作は、06年のものでしょうか。 

 私は、活きのいい現役スワンプ・ポップ・シンガーに関心があります。
 しかし、Fatsのこの90年代の録音を聴くと、その強烈な存在感に圧倒されました。

 全盛期をはるかに過ぎていますが、あるいはB.Bと同様、まだまだ晩年などではなく円熟期なのかも知れません。
 ただ、カトリーナ以降、流石に活動のニュースが伝わってこないようです。

 Ronnie Melancon
 Kenny Cornett
 Mike & Steve Broussard
 Jake Chimento
 Kane Glaze

 この5組はいずれも初めて聴きました。
 1、2曲を聴いただけで判断できませんが、一聴した感想は似ています。
 
 彼らは、おしなべて普通にうまいです。
 これは肯定ではありますが、なんとも手放しで好きとは言えず、こんな風に言ってしまうのがもどかしいです。

 言葉足らずなのが歯がゆいですが、とりあえず思いつくまま言えば、あくの強さが不足しているように感じます。
 普通にうまいし、古いスタイルの曲もそつなくやりそうです。
 でも、私は、普通にうまいより、「へたうま」のほうが好きです。

 「えぐさ」や「危険な香り」、または逆に「茫洋とした抜けた感じ」でもいいんですが、名前を残している昔のブルースやR&Bのシンガーは個性の塊でしたよね。

 例えば、本盤のFatsの"Jingle Bells"を聴きましょう。
 誰もが知る手あかのついた曲です。

 しかし、Fatsがやると、素晴らしい左手のリズム(Fatsのプレイではないかも知れませんが)、バックの軽快な手拍子を従えた、唯一無二のあのリッチな歌声に酔わされます。
 その歌いくちの隅々に、過去のヒット曲で繰り返し聴いた、あんな「くせ」やこんな「くせ」がそこかしこに見え隠れして、思わず胸キュンです。

 そんな思いのなか、初物組では、Jake Chimentoが、最も個性を感じます。
 単純にダミ声ということもありますが、それも武器ですよね。

 他では、Mike & Steve BroussardとKane Glazeが、もう少し聴いてみたいと感じさせてくれました。
 Broussardという姓が気になりますが、Van Broussardとはおそらく関係ないと思います。
 Broussardという姓は珍しいですが、実のところ、私は他にもこの姓のミュージシャンを知っています。

 ブルー・アイド・ソウル系(?)のMarc Broussard、テキサス・ロッカー系(?)のRick Broussardなどです。
 私は、勝手にフレンチ系(クリオール系?)の姓ではないかと想像しています。

 今回気になったシンガーは、ぜひ単独盤が(あれば)聴いてみたいです。

 本盤は、クリスマス・アルバムとして充分楽しめる内容です。
 そして、初めて聴いたシンガーに関心を持つとともに、何よりもFats DominoのImperial時代以降にも、大いに興味を持たせてくれたアルバムになったのでした。



Jingle Bells by Fats Domino



クリスマス関連記事はこちら

サンタさん、ぼくはここだよ
フェリース・ナビダ
クリスマスはテキサスで陽気に
スウィンギン・クリスマス
シェイキーのロッキン・クリスマス
懐かしのソウル・クリスマス





サンタさん ぼくはここだよ 

 季節ものなので、クリスマス・アルバムの連投でいきたいと思います。
 今回は、Freddy Fenderの聖夜曲集で、Huey P. Meauxが制作して、77年にMCAからリリースされたものです。

 この時期の一連のアルバムと同じく、ヒューストンのシュガーヒル・スタジオで録音され、バックもいつものハウス・バンドの面々だと思われます。

 アルバムのジャケ・デザインが一見地味ですが、もしや古代マヤかアステカのキルト模様がモチーフでは、などとメキシコと結び付けて考えてしまうのは、少し強引でしょうか……。


 
Merry Christmas ・ Feliz Navidad
Freddy Fender

Side One
1. Please Come Home For Christmas (Charles Brown, Gene Redd)
2. Pretty Paper (Willie Nelson)
3. Love Gets Better At Christmas (Lee Emerson, Mickey Moody)
4. If Christmas Comes To Your House (Lee Emerson, Mickey Moody)
5. Blue Christmas (Billy Hayes, Jay Johnson)
Side Two
1. Christmas Time In The Valley (Baldemar Huerta)
2. Santa ! Don't Pass Me By (Huey P. Meaux)
3. When They Ring Those Christmas Bells (Lee Emerson, Mickey Moody)
4. I'll Be On The Chimney (When Santa Comes Tonight) (Lee Emerson, Mickey Moody)
5. Natividad Song (Bob Ferguson)

 本盤の収録曲は、程度の差こそあれ、ほぼ英語とスペイン語のバイリンガルで歌われています。
 英語中心に歌い、ワン・フレーズだけスペイン語になるものから、1番は英語、2番はスペイン語とはっきり切り替えているものなど様々です。


CDはタイトル、ジャケ共に変更されています



 さて、通して聴いてまず思うのは、1曲1曲がていねいに制作されているなあ、ということです。

 曲ごとに、当然違いがあるにも関わらず、全般的に落ち着いた雰囲気で進行し、良くいえばクオリティが平準化されている、悪く言えばメリハリに欠ける構成だな、と感じました。

 個別に完結していて、全体を通してのパーティー感が希薄なような気がします。
 実際、明るめのウキウキ感のある曲も、孤独でブルーな気分を歌った曲も、個別に聴けば印象の違いは明らかですが、この流れの中で聴くと、なぜかたんたんと進行するように感じます。

 例えば、Charles Brownの"Please Come Home For Christmas"は、この曲のカバーとしては珍しく、ブルージーさがとても低い印象を受けます。
 一方、明るく楽しい(はずの)"Love Gets Better At Christmas"では、逆にはしゃいだ感じがぐっと抑えられているように受け取りました。
 定番のベルの音がないつくりも、印象を大きく左右していると思います。

 そんな中で、私が強く惹かれたのは、次の3曲です。

Side One
4. If Christmas Comes To Your House
Side Two
1. Christmas Time In The Valley
2. Santa ! Don't Pass Me By 

 "If Christmas Comes To Your House"は、とても落ち着いた雰囲気で進行する曲で、間奏に比較的長めのスペイン語での語りがあり、(当然意味は理解できませんが)とても印象づけられ、その雰囲気と構成の妙にまんまとのせられた感じです。

 "Christmas Time In The Valley"は、Freddy Fenderの自作曲です。
 (Baldemar Huertaは、彼の本名です。)
 こちらは、英語で長めにしっかりと歌ったあと、2番をごく自然にスペイン語で歌っています。
 この切り替えがいつもながら見事で、またまた制作側の仕掛けにはまってしまいます。
 少しゴスペルっぽさやトラッドな雰囲気も感じさせる、素朴な魅力がある曲です。

 "Santa ! Don't Pass Me By"は、聖夜への期待と緊張を歌った曲で、Jimmy Donleyのカバーです。
 作者がHuey P. Meauxとなっていますが、つい先ごろ英Aceからリリースされた、Jimmy Donleyのレア作品集のブックレットでは、Huey P. Meauxとともに、Murphy Madduxの名前が共作者としてクレジットされていました。

 Murphy Madduxは、Jimmy Donleyのパートナー的な存在だった人で、おそらくはHuey MeauxがDonleyから権利を買い取ったものだと推測され、Donleyの作品だと思います。

 Jimmy Donleyのレパートリーで、Donleyと関係の深い人物とMeauxの共作となっているものは、まず間違いなくDonleyが書いたものだと私は勝手に考えています。

 この曲では、驚くべきことにオリジナルのDonley盤より、こちらのFreddy盤のほうが、英語が聴き取りやすいです。
 Donley盤では気付いていませんでしたが、はっきりと"Saint Nick"(聖ニコラス)に語りかけている歌だと分かります。

 にぎやかにパーティを盛り上げるものがクリスマス・アルバムだと思っていましたが、何度か聴き返すうち、こういうのもありかもと思うようになりました。

 家庭での聖夜の団らんを邪魔しないように配慮された、優れたクリスマスBGM集になっているかも知れません。


Santa ! Don't Pass Me By by Freddy Fender




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フェリース・ナビダ

 年の暮れですねェ
 でもその前に、このイベントをこなしておきましょう。
 クリスマスです。

 行事としては、個人的になんの感興もないですし、クリスマス・ソングにも特別な想いはないですが、好きなアーティストが手掛けているものには、ファンとして普通に興味があります。


A Blue Cat Christmas
featuring Los Taxmaniacs
with Special Guests
Augie Meyers & Willie J. Laws

1. Navidad Navidad Navidad (Baca, Farias, Villanueva) 
2. Jingle Bell Rock 
3. I Saw Mommy Kissed Santa Claus  
4. Santa Clause Is Comming Town  
5. Marry Christmas Baby  
6. Rudolph The Red Nose Reindeer  
7. Jesus Is The Reason (Baca, Farias, Villanueva) 
8. Feliz Navidad  
9. Jingle Bells  

 Los Texmaniacsが、ゲストにAugie Meyersを迎えて吹き込んだクリスマス・アルバムを入手しました。
 リリース年のクレジットはありませんが、アマゾンの商品紹介欄では08年リリースとなっています。

 一部のオリジナル曲を除き、クリスマス・ソングのスタンダードをやっており、選曲は、外国人にも馴染みの深い特に有名な曲を並べています。

 全般的に楽しく陽気なアレンジでやっていて、曲間にメンバー同士の短いやりとりが交わされるのが、何を言っているのか気になります。

 参加メンバーは以下のとおりです。

Max Baca : Bajo, Drums, Percussion
David Farias : Accordion
Israel "Speedy" Villanueva : Bass
Willie J. Laws : Guitar
Augie Meyers : Keyboards
Vernon "Spot" Barnett : Saxophone
Danny Martinez : Drums
David Villearal : Trumpet
Henry "Si O No" Gomez : Vijuela

 中心メンバーは、バホ・セストのMax BacaとアコーディオンのDavid Fariasです。

 陽気に弾むリズムに、暖かみのあるアコーディオンとAugie Meyersのオルガンが、素晴らしいハーモニーを奏でています。
 そして、否が応でもクリスマスを連想させる、鈴の音の「シャンシャン」がムードを盛り立てます。

 冒頭の"Navidad Navidad Navidad"は、メキシカン・トランペットの哀愁のイントロで始まる、少しセンチな曲調のボレロで、スペイン語で歌われます。
 "Navidad"は、クリスマスを意味し、"Feliz Navidad"で「メリー・クリスマス」のようです。

 アルバム全体を通して、パーティ風の親密な雰囲気で展開していきます。
 
 Augieがリード・ボーカルをとるのは、トラック3の"I Saw Mommy Kissed Santa Claus"です。
 鈴の音をバックに、Augieがオルガンで弾き語りをし、Texmaniacsのメンツが盛り立てます。
 お馴染みのAugieの声が聴こえてくるだけで和んでしまいます。

 アルバムのアクセントは、"Marry Christmas Baby"です。
 これを歌っているのは誰でしょう。
 普通に考えればMax Bacaですが、B. B. Kingのような喉を聴かせています。
 とてもブルージーなアレンジで、ここでのアコーディオンはザディコのそれのようです。

 一転、"Rudolph The Red Nose Reindeer"では、お馴染みのメロをお馴染みのスタイルで演奏します。
 それでも、アコーディオンの響きがTex-Mexであることを思い出させてくれます。

 トラック7の"Jesus Is The Reason"が、唯一事前に知らなければクリスマス・ソングだと分からない曲でしょう。
 鈴の音がなく、グルービーなオルガンとベースが印象に残ります。
 盛んに「ジーザス」と連呼しているのでゴスペルかと思うかも知れません。 
 曲の最後になって「クリスマス」と叫んで解答が明かされます。

 次の"Feliz Navidad"がいい曲です。
 歌詞の中で、"I Wanna Wish a Merry Christmas"と英語で歌う箇所があり、そこを除けば全てスペイン語で歌われます。
 楽しい雰囲気が伝わってきます。

 ラストは"Jingle Bells"です。
 出だしから、おもちゃの楽器のような伴奏で「がやがや」と始まり、ジャグ・バンドっぽい展開でスタートします。
 そして、徐々に演奏が厚くなっていき、盛り上がっていくところがいいです。

 全9曲、あっという間に終わります。
 がっちり固めた演奏ではなく、思い思いにメンツが楽しみながら参加している、そんな印象を受けました。

 タイトルにある"Blue Cat"は、何か意味があると思うのですが不明です。



All About Avocados by Augie Meyers & Los Texmaniacs




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ハートの切り札

 今回は初物です。
 以前から名前は知っていたのですが、音を聴くのは初めてです。

 実は、この人のことはよく分かりません。
 勝手な想像をしますと…
 60年代くらいにシングルを出していたけれど、LPを出すまでには至らず、CD時代になって遅まきながらアルバム・デビューした、まあそんな感じの人なのでは?


Across The Board
Gary T.

1. The Fat Man (Bartholomew, Domino)
2. Just As Long (As I'm With You) (Gary Thibodaux)
3. Roses Don't Grow Here Anymore (Tommy Maclain)
4. Angels Don't Fly (N. "Cotton" Guidroz)
5. Louisiana (That's What Cajuns Do) (Gary Thibodaux)
6. If I Had You (V. Guzzetta) 
7. Johnny B Goode (Chuck Berry) 
8. Since You Left Me (D. Schurb) 
9. All By Myself (Bartholomew, Domino)
10. I Don't Wanna Cry (L. Gatlin)
11. Love Struck Baby (Stevie Ray Vaughn)
12. Eleven Roses (McCall, Morris)
13. Don't You Know (Bartholomew, Domono)
14. Nobody's Darlin But Mine (Davis, Pruett)
15. Sweet Home Chicago (Robert Johnson)

 シングルの有無を調べるとすれば、Jin、Swallow、Goldband、そしてExccelloあたりでしょうが、そこまでの気力は持ち合わせていません。
 とりあえず、Wikiにはページがないようです。

 わずかに分かる範囲で言いますと、本名は、Gary Thibodauxといい、息子のTravisもミュージシャンで、親子名義の共演盤があるようです。

 本盤は、スワンプ・ポップをたくさん出しているCSP Recordsから、07年にリリースされました。

 パーソネルは以下のとおりです。
 息子がバンド・メンツですね。

Gary T. : lead vocals, piano, slide and lead guitar
Travis Thibodaux : drums, piano, organ, scrubboard,b.g.vocals
Nelton Rodrique : saxophone
Bozo Jarreau : drums
Bailey Thibodaux : scrubboard

 Gary T.は、Fats Dominoのスタイルをベースにした元気な三連のニューオリンズR&Bと、同じ三連でも、もろにスワンプ・ポップという感じの哀愁のバラードが売りだと思いました。

 そして、ここからが興味深いのですが、ピアノだけではなく、ギターも弾く人で、それもスライドを使ったリードをプレイするというサプライズな人なのでした。

 本盤では、3曲のDominoナンバーをやっていて、これは曲の良さもあってとてもいい感じに仕上がっています。

 また、自作の"Just As Long (As I'm With You)"や、Tommy McLainの"Roses Don't Grow Here Anymore"は、哀愁味たっぷりのミディアム・スロー・バラードで、この人の本領はこのあたりかなと感じます。
 サックス・ソロがムーディーな"If I Had You"も、胸キュンのバラードでよいです。

 現役のスワンプ・ポップ・シンガーで、Fats Dominoの影響が強い人では、この人とWayne Foretが双璧ではないかと強い印象を受け、即行で気に入りました。

 一方、ギターを弾いている曲も聴いてみましょう。
 Chuck Berryの"Johnny B. Goode"は、Berryの持つ小粋なスイング感も残しつつも、全体的には南部風で、ギターのトーンも若干ディストーションがかかっているので、かなりブルース・ロックに近い印象を受けます。
 ギター・ソロでは、タッピング風の速弾きもあります。
 まあ、選曲はベタですね。

 さらに、もう1曲のギター曲が驚きます。
 Stevie Ray Vaughnの1stのアタマに入っていた、Rayの作品、"Love Struck Baby"です。

 原曲は、特徴的なイントロこそないですが、やはりChuck Berryスタイルのロックンロールでした。
 ここでは、Ray Vaughnのクリアで素早いストラト・トーンを彷彿させつつも、サックスのブロウとギターのかけあいによる、独自の味付けで迫ってきます。

 ブルース・スタンダードの"Sweet Home Chicago"は、Magic Sam風というか、映画Blues Brothers風に決めていますね。
 そして自作曲、トラック5の"Louisiana(That's What Cajuns Do)では、元気一杯のケイジャン・ダンス曲も披露していて、なかなかにバラエティさもあって聴かせます。

 トラック12の"Eleven Roses" などは、George Jonesの名作、"A Good Years For The Roses" を思い出させる、カントリー調のいい曲です。

 全体の印象からは、古いスタイルのR&B好きの人、ちょっぴりカントリー風味を隠し味にしたスワンプ・ポップ・バラードが好きな人なら、本盤は気に入ると思います。
 まあ、そのての方には、ブルース・ロック風の曲は賛否が分かれるかもしれませんね。
 私はといえば、カオスな面白さとしてはOKで、不必要とまでは言いませんが、なくても好きです。
 
 最近聴いている現役スワンプ・ポップ・シンガーの中では、メンフィス・ソウル志向が感じられない人でした。

 普通にカントリーをやってもいいアルバムを作れる人だと思います。
 トラック14の"Nobody's Darlin But Mine"がまた、胸キュン系のカントリー風味のバラードに仕上がっています。

 トラック8の"Since You Left Me"の作者、D. Schurbは、現役のスワンプ・ポップ・シンガーのはずで、未聴ですが、近いうちに聴いてみたいひとりです。

 Gary T.は、おそらく単独アルバムは、今のところこれだけではないかと思います。
 私は、かなり気に入りました。
 今後の動向を注意していきたいです。

 また、50s60sのシングル曲があるのなら、ぜひ聴いてみたいです。
 どこかのコンピに入ってないかな?


Take My Hand by Deuce Of Hearts


キーボードがGary、ドラムとリード・ボーカルが息子のTravis Thibodaux (多分)


 
 追記
 今日、Bobby Charlesの日本企画盤「ベター・デイズ」が届きました。
 多分、惜しくて当分はながめて過ごすと思います。

 ほかにも、Fame StoryやGeorge Jacksonのデモ集など、年末になって、続々とじっくり味わいたいアルバムが届きます。
 嬉しいです。
 





スワンプの王子、究極のダブル

 凄いコレクションがリリースされました。
 Swamp Popファンにとっては、一生ものの宝ですね。

 Jimmy Donleyの60年代の音源の大量蔵出しです。
 CD2枚組のうち、Disc2はほぼ全曲初出音源です。


In The Key Of Heartbreak
The Complete Tear Drop Singles And More
Jimmy Donley

Disc 1
1. A Woman's Gotta Have Her Way - As Kenny James (Murphy Maddux)
2. Please Mr. Sandman - As Kenny James (Huey Meaux)
3. Honey Stop Twistin' (Huey Meaux)
4. Hello Remember Me (Huey Meaux, Murphy Maddux)
5. Think It Over (Little Mae Donley, James Donley)
6. Forever Lillie Mae (Huey Meaux)
7. Santa, Don't Pass Me By! (Huey Meaux, Murphy Maddux)
8. Baby, Heaven Sent Me You (Huey Meaux)
9. Loving Cajun Style (Huey Meaux)
10. You're Why I'm So Lonely (Huey Meaux)
11. Let Me Told You (Huey Meaux)
12. Just A Game (Huey Meaux, Wayne McGill)
13. I Really Got The Blues (Huey Meaux)
14. Forget The Past (Huey Meaux, Myrna Roberts)
15. I'm Lonesome Without The Blues (Huey Meaux)
16. I'm To Blame (Huey Meaux)
17. Love Bug (Huey Meaux, Murphy Maddux))
18. Strange, Strange Feeling (Huey Meaux)
19. My Forbidden Love (Murphy Maddux)
20. Santa's Alley (Instrumental) (Huey Meaux, Murphy Maddux)
21. I'm Lonesome Without The Blues (Huey Meaux) demo
22. I'm To Blame (Huey Meaux) demo
23. Love Bug (Huey Meaux, Murphy Maddux) demo
24. Baby Ain't That Love (Huey Meaux) demo
25. I Still Care (Huey Meaux, Jack Jessup) demo acoustic ver.
26. Two Sides To The Story Of Love (Huey Meaux) demo acoustic ver.
Disc 2 Demo
1. Message To Huey / A Woman's Gotta Have Her Way - Pee Wee Maddux & Jimmy Donley (Murphy Maddux)
2. Please Mr Sandman (Huey Meaux)
3. Honey Stop Twistin' (Huey Meaux)
4. Santa! Don't Pass Me By (Huey Meaux, Murphy Maddux)
5. Think It Over (Little Mae Donley, James Donley)
6. Forever Lillie Mae (Huey Meaux)
7. Loving Cajun Style (Huey Meaux)
8. Let Me Told You (Huey Meaux)
9. Just A Game (Huey Meaux, Wayne McGill)
10. I Really Got The Blues (Huey Meaux)
11. What A Price (Antoine Domino, Murphy Maddux, Jack Jessup)
12. Stop The Clock (Antoine Domino, Murphy Maddux, James Donley)
13. Spare Me The Details (Murphy Maddux)
14. Mathilda (George Khoury, Huey Thierry)
15. Rockin' Bicycle (Antoine Domino, Murphy Maddux, Jack Jessup)
16. If That's The Way You Want It (Murphy Maddux)
17. Little Cajun (Jimmy Donley, Marion Carpenter)
18. The Domino Twist - Jimmy Donley & Ernie Chaffin (Antoine Domino, Murphy Maddux, James Donley)
19. Rose Mary (Antoine Domino, Dave Bartholomew)
20. It's You I'm Missing - Jimmy Donley & Ernie Chaffin (Huey Meaux)
21. Our Last Goodbye (James Donley)
22. Don't Fall In Love (James Donley)
23. Don't You Know (Antoine Domino, Dave Barthlomew)
24. I Need You (James Donley)
25. I Still Care (Huey Meaux, Jack Jessup) band ver.
26. If I Knew You Didn't Know Better (Murphy Maddux) band ver.
27. Two Sides To The Story Of Love (Heuy Meaux) band ver.
28. You're Lonely Too (Huey Meaux, Murphy Maddux)
29. It's Time To Say Goodbye (James Donley)
30. I'll Keep On Movin (James Donley)

 Disc1は、最後の方の数曲を除いて、ほとんどが99年に英Edselからリリースされた、"Born To Be A Loser 〜 Crazy Cajun Recordings"で既にまとめられていたものです。
 ですが、それを持って価値が下がることなどありようがなく、やはり本CDのメインは、これら既出の珠玉作たちであるのは間違いありません。

 今回副題が、"The Complete Tear Drop Singles and More"となっていますが、英Edsel盤のブックレットを見ると、Tear Drop盤のコンパイルであったことが確認できます。

 Huey Meauxのレーベルは、Crazy Cajun Recordsが有名ですが、他にもTribeやStarflite、そしてTear Dropなどがあります。
 また、本盤によって、American Pla-Boyなるレーベルも彼のものだと知りました。
 Disc2-28の"You're Lonely Too"が、本盤で唯一のAmerican Pla-Boy音源です。

 さて、レアという意味での今回の目玉は、Disc1の終盤の数曲と、Disc2全曲です。
 ホーンレスの未編集ものに加えて、アコギでの弾き語りや、ピアノだけの伴奏で歌われているものなど、シンプルそのもののデモ録音が多数含まれています。

 面白さ、興味深さだけでいうと、これらの音源に惹きつけられます。

 ところで、ここで改めてJimmy Donleyさんのおさらいをしたいと思います。
 本名は、James Kenneth Donleyといい、実はルイジアナ出身ではなく、29年ミシシッピのガルフポートという所の生まれらしいです。

 ゴシップ的な情報になりますが、なんと5回も結婚しているそうです。
 最初の奥さんはEdithといい、結婚したとき、彼女は16歳、Jimmyは20歳でした。
 そして、最後の奥さんが、Disc2-6の"Forever Little Mae"のタイトルになっている、Maeさんです。

 Jimmy Donleyの最初の録音は、56年にDeccaへ吹き込まれました。
 ナッシュビルの大物プロデューサー、Owen Bradleyが手掛けています。
 この時期の音源は、独Bear Familyから、"The Shape You Left Me In"として、10年にCD化されました。

 60年代には、テキサスのHuey MeauxがDonleyを獲得しますが、このとき、Owen Bradleyは、MeauxにDonleyのことをこんな風に伝えています。
 「君はもうひとりのハンク・ウイリアムスと契約したのさ」

 オーウェンの言葉は最大の賛辞ですが、Donleyの持ち味の多くは、R&Bにあります。
 Jimmy Donleyの最大のアイドルは、Fats DominoとRay Charlesだったようです。

 本盤を通して聴いて思ったのですが、案外Swamp Popそのものといった曲は、さほど多くありません。
 まあ、Swamp Popの定義はあいまいなので、聴き手の受け取り方によります。

 私の思うところ、Swamp Popの典型といえるのは、次のような曲です。

Disc1
2. Please Mr. Sandman
5. Think It Over
8. Baby, Heaven Sent Me You
14. Forget The Past

 ちょっと狭義かも知れませんが、ニューオリンズR&Bやケイジャンと分けるため、チョイスしてみました。
 一方、ニューオリンズR&B系は、私の思うところ以下のとおりです。

Fats Domino スタイル
Disc1
4. Hello Remember Me
12. Just A Game
24. Baby Ain't That Love (デモのみなのが惜しいです。これは、50年代のBobby Charlesにより近い雰囲気です。)
Disc2
12. Stop The Clock
15. Rockin' Bicycle
18. The Domino Twist
19. Rose Mary
23. Don't You Know

 Disc2の5曲は、Dominoの作品とJimmyとDominoの共作です。
ライナーによれば、Dominoには、60年から62年の間に、7曲のDonley作品の吹き込みがあるらしいです。
 (私は手持ちのCDで、2曲のみ確認しました。)

Ray Charles スタイル
Disc1
3. Honey Stop Twistin'
11. Let Me Told You

 ライナーによれば、大のDonleyファンであるDoug Sahmが(ここからのライナー氏の表現がどうかと思いますが)、"Honey Stop Twistin'"をもとにして、「テンポを少し落とし」、「ビートを変えて」、「歌詞を書き直して」作ったのが、"She's About A Mover"だそうです。
 面白い話で、それなりの裏を取っているのでしょうが、そこまで変えれば、ほとんど別のものになりますよね。

Lee Dorsey スタイル
Disc1
17. Love Bug

 そして、私は聴き比べ出来ていませんが、次の曲がLloyd Priceの"Have You Ever Had The Blues"という曲の影響下に書かれたらしいです。
Disc1
13. I Really Got The Blues

 さて、今回のブックレットには、とても興味深い写真が多数掲載されています。
 Jimmy Donleyが曲を書いたときに残した、手書きによる歌詞の走り書きです。
 そこには、"Wards & Music by Kenny James"と署名されています。
 (前述のとおり、彼の本名は、Kenneth James Donleyです。)

 今回、ブックレットの写真で確認できるのは、以下の曲の手書きの歌詞です。
 (おそらくは第一稿)

・Keep On Movin' - Kenny James, Wayne Davis =Disc2-30 "I'll Keep On Movin'
・Our Last Goodbye - Kenny James =Disc2-21
・A Game You Were Playing - Kenny James, Wayne McGill =Disc1-12 "Just A Game"
・Please Mr. Sandman - Kenny James =Disc1-2
・Honey Stop That Twistin - Kenny James =Disc1-3 "Honey Stop Twistin'"
・Lovin Cajun Style - Kenny James =Disc1-9
・I'm To Blame - Kenny James =Disc1-16
・Foget The Past - Little Mae Donley =Disc1-14 (これは、奥さん作ではなく、奥さん名義にしたのでしょう。)
・A Year Ago - Kenny James, Wayne Davis =Disc2-28 "You're Lonely Too"

 これらから推測できるのは、おそらくJimmyの吹き込みのうち、Huey Meaux名義となっているものは、大部分が(本当は全てと言いたいですが)、Jimmy Donleyの自作なのだと思います。
 Jimmyのテキサス時代はいろいろとあるようで、「とりあえずキャッシュを求めた」ようです。
 (Decca時代は、自作のクレジットが多いです。)

 Disc2では、ホンキー・トンクや、Charlie Richばりのカントリー・ソウル風の曲も聴くことが出来ました。
 オルガンのない(もちろんホーンもない)"Think It Over"は珍品です。
 とにかく、ファンにとっては嬉しい、当分はヘビロテの1枚になりそうです。

 追記
 ライナーによれば、Johnny Vincentの米Aceに4曲のアンイシュードがあるそうで、気になります。

 アマゾンの曲目リストには、数か所、曲順の誤りがあります。
 また、Disc1-20の"Santa's Alley"は、アマゾンではインストと表記されていますが、Disc1-7の"Santa, Don't Pass Me By!"のボーカルがオフ気味になったものだと思います。
 残念なことに、完全にオフになっていず、低いレベルでボーカルが残っているため、編集ミスのように聴こえます。



Rockin' Bicycle by Jimmy Donley / demo


左端の女の子はFatsの娘さんです


Rockin' Bicycle by Fats Domino




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そんなに長尺じゃありません

 今回は、Joe King Carrascoの最新作です。

 キタ━(゚∀゚)━!!!!!

 久々の骸骨ジャケ


Vamos A Get Down
Joe King Carrasco

1. Noche (Joe King Carrasco)
2. El Arroyo (Joe King Carrasco)
3. Easy Going (Joe King Carrasco)
4. Looking for a Party (Joe King Carrasco)
5. Vamos a Get Down (Joe King Carrasco)
6. That's What She Said (Joe King Carrasco)
7. Hurricane (Joe King Carrasco)
8. Bump and Run (Joe King Carrasco)

 チカーノ音楽のジャケでは、ドクロのデザインは定番です。

 これは、キリスト教の死者の日(日本のお盆に当たる行事)の関係だと思いますが、なかでもメキシコ及びその影響下にある地域では、ドクロ信仰があるらしいです。

 ロス・ロボスにもドクロ・ジャケのアルバムがありましたよね。
 Joe King Carrascoも、過去作でドクロのキャラを使ったアルバムがいくつかあったはずです。

 どうして不気味なものを祀るのか、我々の感覚では理解不能ですが、まあ、もともと日本人は宗教音痴ですから止むをえませんよね。

 日本人は平然と「無宗教です」と言ったりしますし、特段それで訝しがられることもありませんが、欧米の人にはそれこそ理解不能でしょう。

 日本人にとって、お盆は特別に宗教行事という意識は薄いでしょう。
 宗派とは関係なく、お地蔵様を大切にしたりもします。
 また、自宅に神棚と仏壇の両方があるのは珍しいことではありません。

 このあたりのことは、とりわけキリスト教、イスラム教、ユダヤ教などの一神教では、考えられないことだと思います。
 ただ、理解できないことを怪訝に思うのは自由ですが、否定するのはやめてほしいですね。

 さて、本作のパッケージにはリリース年の記載がありませんが、最新作で間違いないと思います。
 バンドの編成は以下のとおりです。 

Joe King Carrasco : lead vocals & guitar
Chris Stephenson : keyboad & backing vocals
Tom Cruz : lead erectric guitar
Chuggy Hernandez : bass & backing vocals
Javier Zenteno : drums



 ここに、ゲストとしてサックス、トランペットらのホーン陣が加わっています。
 本作の音を一言でいうと、ファンキー・ラテン・ロックでしょうか。

 リズム・ギターの細かくせわしないカッティングに、かっこいいブラスのリフが被さる曲が大半です。

 クールなサイド・ギターは、Tom Cruzのブレイのような気がします。
 曲によっては、長めのリード・ギター・ソロが入るものもあって、これは多重録音でしょうか。

 ラテン・パーカッションが活躍する曲では、ブラスとのゴージャスなアンサンブルが耳を惹きます。

 そんな中、王様のボーカルは、昔ながらのとぼけた味が出ていて、少し安心します。

 全体的に、曲調のバリエーションが少ないような気がしますが、よく聴くとスカっぽい曲もあったりして、それなりにアクセントは付けられています。

 はっきりと違う印象を受ける曲は"Hurricane"で、これは本盤で唯一の疾走系のロックンロールです。
 これは、ストレートな横ノリのスイング感がよいです。

 ただ、いずれもCrowns時代のクレイジーなバカ騒ぎサウンドとはどこか違い、能天気でチープだったころをどうしても懐かしんでしまいます。

 とはいえ、相変わらず喧噪感はたっぷりあります。
 お祭りサウンドとして楽しみましょう。



Dinero by Joe King Carrasco


ドクロが出てくるPV見つけました



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