2012年01月20日
リトル・スワンプ・ドラマー・ボーイ
今回は、またまたアナログLP盤です。
去年オークションで入手しました。
ジャケ・デザインがいまいちなので、本人のスナップも併せて貼っておきます。
本盤は、78年にCrazy Cajun Recordsからリリースされました。
まちろん、制作はHuey P. Meauxです。
Side One
1. Your Kind Of Love (Huey P. Meaux)
2. Honky Tonk (Doggett, Scott, Butler, Shepherd)
3. They Won't Let Me In (Wolfe)
4. Don't Fall In Love (Huey P. Meaux)
5. Four Dried Beans (Huey P. Meaux)
Side Two
1. I'll Walk Alone (77-73)
2. Don't Let It End This Way (Kerney Ravet)
3. Love Me Cherry (77-74)
4. Jack and Jill (Joe Bernice Jr)
5. Family Rules (Guitar Jr.)
今回の主人公、Warren Stormについてはあまりよく知りません。
比較的有名なのは、彼の音楽人生がスタジオ・ミュージシャンとしてスタートしたということです。
サウス・ルイジアナでは、ちょっとしたセッション・ドラマーだったらしいです。
他人の伴奏からスタートしましたが、50年代の終わり頃に、シンガーとしてシングルを出します。
その後、ローカル・レーベルを渡り歩いたのだと思いますが、LPは作られなかったのだ思います。
そして、90年代以降になり、ソロLPデビューしますが、それ以前のシングル時代は、現在でもまとまったリイシューがなされていません。
(細かく言えば、LPは、一時期Rod Bernardと組んでいたバンド、The Shondells名義のLP(未CD化)があります。…Tommy Jamesとは無関係です。)
さて、彼は、ヴィンテージ・スワンプ・ポップ・シンガーの一人として知られていますが、スタジオのドラマーとして、ときどき「おっ」というセッションに参加していたりして驚かされます。
(Lazy Lesterの50年代のExcello録音、"Suger Coated Love"でドラムを叩いていますので、他にもJ. D. Miller関連のアーティストの伴奏をしていてもおかしくないはず…と推測します。)
ヴィンテージ期の自身の録音では、58年に"Prisoner's Song"というスワンプ・ポップの佳曲をNasco(NashboroのR&B部門)から出していて、同曲はJohnnie Allanなどもカバーしていたはずです。
また、Roy Head盤とは同名異曲ですが、"Mama Mama Mama"という曲もあります。
そのほか、70年代以降にはサザン・ソウル風の伴奏を使った曲もあり、興味深いですが、南部系よりも、むしろBen E.Kingの隠れた(?)名曲、"Seven Letters"のカバーが秀逸でした。
(お馴染み英Aceの名コンピ、"Louisiana Saturday Night"で聴けます。)
その後、ソロ・シンガーとして、ミレニアム以降も数枚のアルバムをリリースしており、息の長い活動をしている人です。
そのスタイルは、若干Rod Bernardに近く、例えて言うならスワンプ・ロックンローラーという印象です。
また、近年では、ルイジアナのオールスター・バンド、Lil' Band O' Goldにも参加して数曲でボーカルを担当していました。
Lil' Band O' Goldでは、"Seven Letters"の再演もありましたね。
Heuy P. Meaux関連の音源では、00年に英EdselからリリースされたCD、"King Of The Dance Halls 〜 Crazy Cajun Recordings"が貴重なソフトです。
(流通しているうちに入手しましょう。)
ここには、古き良き時代のスワンプ・ポップの空気感と同種の香りが、そこかしこに感じられます。
このCD収録曲の録音ソースははっきり分かりませんでしたが、今回のLPの収録曲が数曲チョイスされていましたので、70年代後半の音源が加わっていることが判明しました。
(私の思うところ、80年代の音源も混ざっていると思います。)
本盤の曲のうち、英EdselのCD(26曲入り)に収録されているのは、以下の6曲です。
Side One
3. They Won't Let Me In
4. Don't Fall In Love
Side Two
1. I'll Walk Alone
2. Don't Let It End This Way
3. Love Me Cherry
4. Jack and Jill
"They Won't Let Me In"は、Rod BernardやJohnnie Allanを連想させるギター・ロックンロールで、なかなかかっこいいですが、彼らと同様、どこかほのぼの感を感じます。
その他の曲は、いずれもミディアム〜スローのバラードで、それぞれ味わい深い魅力があります。
コーラス入りのおセンチなミディアム・バラード"Don't Fall In Love"、オルガンを伴奏に使ったスワンプ・ポップの"Love Me Cherry"、ピアノの三連バラード" Don't Let It End This Way"あたりの定番感は、保守的な私には、それぞれが安息の1曲です。
また、"I'll Walk Alone"は、Fats DominoスタイルのニューオリンズR&Bで、ころころと転がるピアノが耳に心地よく、これまた安心して聴けます。
"Jack and Jill"は、軽快で小粋な良曲で、グッドタイム・ミュージック風のホーン・リフに癒されます。
そして、未CD化曲では、何といってもA面1曲目の"Your Kind Of Love"が注目です。
このHeuy P. Meaux作とクレジットされている曲は、ほとんどDoug Sahmの"She's About A Mover"と同じ構成で作られた曲です。
オルガンの伴奏から、アーリー・ソウル風のグルーヴ、サビ前のタメやブレイクのタイミングまでそっくりです。
オリジナルのギター・ソロがあるので良しとしましょう。
ビル・ドゲットの大有名曲、"Honky Tonk"は「?」で、まるで別の曲に聴こえます。
ここでは、Joey Longぽいブルージーなギター・ソロが聴けます。
そして、Guitar Junior作とクレジットされているラストの"Family Rules"は、本盤の中では少し残念な出来で、ストリングス入りの大甘のアレンジにしてしまったスワンプ・ポップ・バラードです。
間奏で、セリフの語りがあるのが面白いです。
本曲に関しては、Guitar Junoior盤の、ぶっきらぼうながらも愛すべきボーカルと、緊張感のあるバックの圧勝でしょう。
とはいえ、本盤は、Huey P. Meauxのこの時期のプロデュース作にいくつか散見する、安易なカントリー寄りの制作には陥ることなく、主役のパーソナリティを尊重した仕上げになっていると思います。
関連記事はこちら
70年代 Crazy Cajun LPs
土曜の夜は流れるままに
トミーのお気に入り
土曜の夜のショータイム
スワンプ・レジェンドの帰還
シャーリー&カンパニー、しばしばジェシー
スワンプ・ロッカーの休息
カオスの人、ジョゼフ・ロンゴリア
マーゴはルイジアンナ
去年オークションで入手しました。
ジャケ・デザインがいまいちなので、本人のスナップも併せて貼っておきます。
本盤は、78年にCrazy Cajun Recordsからリリースされました。
まちろん、制作はHuey P. Meauxです。
Family Rules
Warren Storm
Warren Storm
Side One
1. Your Kind Of Love (Huey P. Meaux)
2. Honky Tonk (Doggett, Scott, Butler, Shepherd)
3. They Won't Let Me In (Wolfe)
4. Don't Fall In Love (Huey P. Meaux)
5. Four Dried Beans (Huey P. Meaux)
Side Two
1. I'll Walk Alone (77-73)
2. Don't Let It End This Way (Kerney Ravet)
3. Love Me Cherry (77-74)
4. Jack and Jill (Joe Bernice Jr)
5. Family Rules (Guitar Jr.)
今回の主人公、Warren Stormについてはあまりよく知りません。
比較的有名なのは、彼の音楽人生がスタジオ・ミュージシャンとしてスタートしたということです。
サウス・ルイジアナでは、ちょっとしたセッション・ドラマーだったらしいです。
他人の伴奏からスタートしましたが、50年代の終わり頃に、シンガーとしてシングルを出します。
その後、ローカル・レーベルを渡り歩いたのだと思いますが、LPは作られなかったのだ思います。
そして、90年代以降になり、ソロLPデビューしますが、それ以前のシングル時代は、現在でもまとまったリイシューがなされていません。
(細かく言えば、LPは、一時期Rod Bernardと組んでいたバンド、The Shondells名義のLP(未CD化)があります。…Tommy Jamesとは無関係です。)
さて、彼は、ヴィンテージ・スワンプ・ポップ・シンガーの一人として知られていますが、スタジオのドラマーとして、ときどき「おっ」というセッションに参加していたりして驚かされます。
(Lazy Lesterの50年代のExcello録音、"Suger Coated Love"でドラムを叩いていますので、他にもJ. D. Miller関連のアーティストの伴奏をしていてもおかしくないはず…と推測します。)
ヴィンテージ期の自身の録音では、58年に"Prisoner's Song"というスワンプ・ポップの佳曲をNasco(NashboroのR&B部門)から出していて、同曲はJohnnie Allanなどもカバーしていたはずです。
また、Roy Head盤とは同名異曲ですが、"Mama Mama Mama"という曲もあります。
そのほか、70年代以降にはサザン・ソウル風の伴奏を使った曲もあり、興味深いですが、南部系よりも、むしろBen E.Kingの隠れた(?)名曲、"Seven Letters"のカバーが秀逸でした。
(お馴染み英Aceの名コンピ、"Louisiana Saturday Night"で聴けます。)
その後、ソロ・シンガーとして、ミレニアム以降も数枚のアルバムをリリースしており、息の長い活動をしている人です。
そのスタイルは、若干Rod Bernardに近く、例えて言うならスワンプ・ロックンローラーという印象です。
また、近年では、ルイジアナのオールスター・バンド、Lil' Band O' Goldにも参加して数曲でボーカルを担当していました。
Lil' Band O' Goldでは、"Seven Letters"の再演もありましたね。
Heuy P. Meaux関連の音源では、00年に英EdselからリリースされたCD、"King Of The Dance Halls 〜 Crazy Cajun Recordings"が貴重なソフトです。
(流通しているうちに入手しましょう。)
ここには、古き良き時代のスワンプ・ポップの空気感と同種の香りが、そこかしこに感じられます。
このCD収録曲の録音ソースははっきり分かりませんでしたが、今回のLPの収録曲が数曲チョイスされていましたので、70年代後半の音源が加わっていることが判明しました。
(私の思うところ、80年代の音源も混ざっていると思います。)
本盤の曲のうち、英EdselのCD(26曲入り)に収録されているのは、以下の6曲です。
Side One
3. They Won't Let Me In
4. Don't Fall In Love
Side Two
1. I'll Walk Alone
2. Don't Let It End This Way
3. Love Me Cherry
4. Jack and Jill
"They Won't Let Me In"は、Rod BernardやJohnnie Allanを連想させるギター・ロックンロールで、なかなかかっこいいですが、彼らと同様、どこかほのぼの感を感じます。
その他の曲は、いずれもミディアム〜スローのバラードで、それぞれ味わい深い魅力があります。
コーラス入りのおセンチなミディアム・バラード"Don't Fall In Love"、オルガンを伴奏に使ったスワンプ・ポップの"Love Me Cherry"、ピアノの三連バラード" Don't Let It End This Way"あたりの定番感は、保守的な私には、それぞれが安息の1曲です。
また、"I'll Walk Alone"は、Fats DominoスタイルのニューオリンズR&Bで、ころころと転がるピアノが耳に心地よく、これまた安心して聴けます。
"Jack and Jill"は、軽快で小粋な良曲で、グッドタイム・ミュージック風のホーン・リフに癒されます。
そして、未CD化曲では、何といってもA面1曲目の"Your Kind Of Love"が注目です。
このHeuy P. Meaux作とクレジットされている曲は、ほとんどDoug Sahmの"She's About A Mover"と同じ構成で作られた曲です。
オルガンの伴奏から、アーリー・ソウル風のグルーヴ、サビ前のタメやブレイクのタイミングまでそっくりです。
オリジナルのギター・ソロがあるので良しとしましょう。
ビル・ドゲットの大有名曲、"Honky Tonk"は「?」で、まるで別の曲に聴こえます。
ここでは、Joey Longぽいブルージーなギター・ソロが聴けます。
そして、Guitar Junior作とクレジットされているラストの"Family Rules"は、本盤の中では少し残念な出来で、ストリングス入りの大甘のアレンジにしてしまったスワンプ・ポップ・バラードです。
間奏で、セリフの語りがあるのが面白いです。
本曲に関しては、Guitar Junoior盤の、ぶっきらぼうながらも愛すべきボーカルと、緊張感のあるバックの圧勝でしょう。
とはいえ、本盤は、Huey P. Meauxのこの時期のプロデュース作にいくつか散見する、安易なカントリー寄りの制作には陥ることなく、主役のパーソナリティを尊重した仕上げになっていると思います。
Seven Letters by Warren Storm & Willie T.
Ben E.のオリジナルが聴きたくなったでしょ?
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