2011年04月01日
ビバ、ラス・ヴェガス
今回は、Freddy Fenderのライヴ・アルバムを聴きました。
このアルバムは、96年にHaciendaレコードからリリースされた、ラス・ヴェガス公演を記録したものですが、残念ながら録音データの記載がなく、いつ頃の収録なのか分かりません。
Haciendaはテキサスの会社で、例によって大らかなつくりと言えますが、それでも各曲の作者クレジットの記載があるだけでも、ローカル・レーベルとしては良心的です。
1. Intro - Rancho Gran (Pepe Guizar)
2. Next Time You See Me (J.Parker)
3. Tell It Like It Is (George Davis, Lee Diamond)
4. For The Good Time (Kris Kristofferson)
5. Blueberry Hill (Al Lewis, Larry Stock, Vincent Rose)
6. I Just Called To Say I Love You (Stevie Wonder)
7. Wild Side Of Life (W.Warren, A.Carter)
8. Dinero (Augie Meyers)guest vo. Augie Meyers
9. Matilda (Harry Thomas)guest vo. Augie Meyers
10. Guacamole (Augie Meyers, Freddy Fender)guest vo. Augie Meyers
11. Hey Baby Que Paso (Augie Meyers, Bill Shedfield)guest vo. Augie Meyers
12. Secret Love (Paul Francis Webster, Sammy Fain)
13. Break Up (Thom Bell, Kenny Gamble)guest vo. Alan Rich
14. Behind Closed Doors (Kenny O'Dell)guest vo. Alan Rich
15. Mentiras (Carlos Gardel)
16. Medley
- La Mucura (Antonio Fuentis)
- A Mover El Bote (Matias Monoz)
17. I Gotta Woman (Jimmy McGriff)
18. Before The Next Teardrop Falls (Ben Peters, Vivian Keith)
19. Wasted Days & Wasted Nights (Freddy Fender)
20. Closing - Rancho Grande (Pepe Guizar)
内容は、いつものフレディ節が随所で聴ける、ファンなら楽しめる1枚となっています。
一方、ファンでなければ、「また同じ曲をやっているなあ」「変わり映えしないなあ」というところだと思います。
しかも、バックはどうやらリズム隊のみで、ホーン陣が不在のようです。
そのため、いくつかの曲では、本来ならサックスやトランペットのリフが入るところを、シンセが代用しており、チープ感はいなめません。
ところで、このアルバムは、タイトルに"and Friends"とありますが、多数のゲストが参加しているわけではなく、具体的には二人です。
一人は、フレディが「Son of Charlie Rich !」と紹介する、Alan Richです。
チャーリー・リッチには二男二女があり、アランは多分長男だと思います。
アランは、父の初期の作品Break Up(Jerry Lee Lewisでヒット)と、代表曲Behind Closed Doorsを演奏しています。
ここで気になるのが、公演時期です。
実は、チャーリー・リッチは、95年に62歳で天に召されたからです。
この公演がいつの収録なのか不明ですが、90年代初めの可能性が高いと思います。
なぜなら、もう一人のゲスト、Augie Meyersを、フレディは「Texas Tornadosのメンバー」と紹介しているからです。
Texas Tornadosの1stがリリースされたのは、90年のことでした。
本作のリリースが96年ですから、収録は90年から95年の間ではないかと思います。
さて、実はフレディ本人のパフォーマンスより、オーギー・マイヤースの演奏が気になります。
まず、Dineroですが、この曲は、90年のTexas Tornadosの1stで初めて世に出た曲です。
この公演の時期は不明ですが、あるいは新曲の披露であったかも知れません。
その後、96年のオーギーのソロ・アルバム、Alive and well At Lake Tacoで再演されました。
本作にライヴ・テイクが記録されたわけですが、その後、TexaTornadosでのライヴ・テイクが、99年リリースのLive From The Limo Vol.1(98年公演)、05年リリースのLive From Austin TX(90年公演)に収録されました。
続くMatildaですが、この曲はフレディのレパートリーでもありますね。
オーギーは、86年のソロ・アルバム、My Main Squeezeで取り上げました。
そして、その後、96年のソロ、Alive And Well At Lake Taco、10年の最新作、Trippin Out On Tripletsでもやっているお気に入り曲です。
原曲は、もちろんクッキー&ヒズ・カップケイクスの名作スワンプ・ポップです。
次は、Guacamoleです。
この曲は、Texas Tornadosの92年作、Hangin' On By A Threadで初めて披露されました。
素直に受け止めれば、この公演の時期の推測は、さらに狭まったと言えそうです。
この曲のライヴ・テイクは、多分、今のところ、このアルバムでしか聴けないと思います。
最後に、オーギーの代表曲(?)Hey Baby Que Pasoです。
この曲は、テキサスやルイジアナの若手アーティストに、かなりカバーされている、隠れた人気曲です。
私が知る範囲で、この曲を取り上げているアーティストは、次の通りです。
99年 : Lost in the Shuffle/Rick Robledo 【Western Swing】
05年 : Now And Then/The Tornadoes 【Surf insto】
06年 : Fiesta/Spencer The Gardener 【Latin Surf】
08年 : Need a Little Squeezin’/Copper Box 【Zydeco】
09年 : Dame Mas Amor/Conjunto Los Pochos 【Tex-Mex】
09年 : Live Set /The Mighty Mike Schermer Band 【Jump Blues】
10年 : Where's My Waitress?/Jimmy Carl Black 【?】
これは、もうチカーノ・アンセムと言ってもいいのでは…。
さて、オーギー自身のバージョンは、Sir Douglas Quintetの84年作Rio Medinaが初出で、86年のソロ・アルバム、My Main Squeezeで再演されました。
さらに、90年のTexas Tornadosの1stでみたび取り上げ、その後96年のソロ・アルバム、Alive And Well At Lake Tacoでも吹き込んでいます。
スタジオ・テイクだけでも、4回も録音していることになります。
ライヴ・テイクは、Texas Tornadosのライブ盤Live From The Limo Vol.1(98年公演、99年リリース)、Live From Austin TX(90年公演、05年リリース)に収録されています。
そこへ、このテイクが加わったわけです。
ぜひ公演時期が知りたいものです。
フレディのMCは限られていますが、ヒントが含まれている可能性もあります。
(または、アランのMC)
ただ、私には聞きとる能力がありません。
聞きとれたよ、という方がいらしたら、ご教示いただけたら嬉しいです。
さて、主役のフレディのパフォーマンスについては、ほとんど触れませんでした。
これはもう、黄金のマンネリズムと呼ばせて下さい。
ファンが求める曲を、フレディは最後まで繰り返し歌い続け、喝采の中で走り抜けた生涯でした。
今作では、スティーヴィー・ワンダーの曲などもやっており、面白いとは思いますが、不要だとも思います。
今回は、主役を脇において、ゲストに注目した1枚でした。
フレディ・フェンダーについては、近いうちに改めて取り上げたいと思います。
関連記事はこちら
愛してないなら、なぜそっとしておいてくれない
エル・ビー・バップ・キッドの逆襲
魂の兄弟、フレディ・フェンダー
バルドマール・ウエンタ、サン・ベニート生まれ
フレディ・フェンダー、沼地で金鉱を披露する
涙のしずく、そのままに
このアルバムは、96年にHaciendaレコードからリリースされた、ラス・ヴェガス公演を記録したものですが、残念ながら録音データの記載がなく、いつ頃の収録なのか分かりません。
Haciendaはテキサスの会社で、例によって大らかなつくりと言えますが、それでも各曲の作者クレジットの記載があるだけでも、ローカル・レーベルとしては良心的です。
Live In Las Vegas
Freddy Fender and Friends
Freddy Fender and Friends
1. Intro - Rancho Gran (Pepe Guizar)
2. Next Time You See Me (J.Parker)
3. Tell It Like It Is (George Davis, Lee Diamond)
4. For The Good Time (Kris Kristofferson)
5. Blueberry Hill (Al Lewis, Larry Stock, Vincent Rose)
6. I Just Called To Say I Love You (Stevie Wonder)
7. Wild Side Of Life (W.Warren, A.Carter)
8. Dinero (Augie Meyers)guest vo. Augie Meyers
9. Matilda (Harry Thomas)guest vo. Augie Meyers
10. Guacamole (Augie Meyers, Freddy Fender)guest vo. Augie Meyers
11. Hey Baby Que Paso (Augie Meyers, Bill Shedfield)guest vo. Augie Meyers
12. Secret Love (Paul Francis Webster, Sammy Fain)
13. Break Up (Thom Bell, Kenny Gamble)guest vo. Alan Rich
14. Behind Closed Doors (Kenny O'Dell)guest vo. Alan Rich
15. Mentiras (Carlos Gardel)
16. Medley
- La Mucura (Antonio Fuentis)
- A Mover El Bote (Matias Monoz)
17. I Gotta Woman (Jimmy McGriff)
18. Before The Next Teardrop Falls (Ben Peters, Vivian Keith)
19. Wasted Days & Wasted Nights (Freddy Fender)
20. Closing - Rancho Grande (Pepe Guizar)
内容は、いつものフレディ節が随所で聴ける、ファンなら楽しめる1枚となっています。
一方、ファンでなければ、「また同じ曲をやっているなあ」「変わり映えしないなあ」というところだと思います。
しかも、バックはどうやらリズム隊のみで、ホーン陣が不在のようです。
そのため、いくつかの曲では、本来ならサックスやトランペットのリフが入るところを、シンセが代用しており、チープ感はいなめません。
ところで、このアルバムは、タイトルに"and Friends"とありますが、多数のゲストが参加しているわけではなく、具体的には二人です。
一人は、フレディが「Son of Charlie Rich !」と紹介する、Alan Richです。
チャーリー・リッチには二男二女があり、アランは多分長男だと思います。
アランは、父の初期の作品Break Up(Jerry Lee Lewisでヒット)と、代表曲Behind Closed Doorsを演奏しています。
ここで気になるのが、公演時期です。
実は、チャーリー・リッチは、95年に62歳で天に召されたからです。
この公演がいつの収録なのか不明ですが、90年代初めの可能性が高いと思います。
なぜなら、もう一人のゲスト、Augie Meyersを、フレディは「Texas Tornadosのメンバー」と紹介しているからです。
Texas Tornadosの1stがリリースされたのは、90年のことでした。
本作のリリースが96年ですから、収録は90年から95年の間ではないかと思います。
さて、実はフレディ本人のパフォーマンスより、オーギー・マイヤースの演奏が気になります。
まず、Dineroですが、この曲は、90年のTexas Tornadosの1stで初めて世に出た曲です。
この公演の時期は不明ですが、あるいは新曲の披露であったかも知れません。
その後、96年のオーギーのソロ・アルバム、Alive and well At Lake Tacoで再演されました。
本作にライヴ・テイクが記録されたわけですが、その後、TexaTornadosでのライヴ・テイクが、99年リリースのLive From The Limo Vol.1(98年公演)、05年リリースのLive From Austin TX(90年公演)に収録されました。
続くMatildaですが、この曲はフレディのレパートリーでもありますね。
オーギーは、86年のソロ・アルバム、My Main Squeezeで取り上げました。
そして、その後、96年のソロ、Alive And Well At Lake Taco、10年の最新作、Trippin Out On Tripletsでもやっているお気に入り曲です。
原曲は、もちろんクッキー&ヒズ・カップケイクスの名作スワンプ・ポップです。
次は、Guacamoleです。
この曲は、Texas Tornadosの92年作、Hangin' On By A Threadで初めて披露されました。
素直に受け止めれば、この公演の時期の推測は、さらに狭まったと言えそうです。
この曲のライヴ・テイクは、多分、今のところ、このアルバムでしか聴けないと思います。
最後に、オーギーの代表曲(?)Hey Baby Que Pasoです。
この曲は、テキサスやルイジアナの若手アーティストに、かなりカバーされている、隠れた人気曲です。
私が知る範囲で、この曲を取り上げているアーティストは、次の通りです。
99年 : Lost in the Shuffle/Rick Robledo 【Western Swing】
05年 : Now And Then/The Tornadoes 【Surf insto】
06年 : Fiesta/Spencer The Gardener 【Latin Surf】
08年 : Need a Little Squeezin’/Copper Box 【Zydeco】
09年 : Dame Mas Amor/Conjunto Los Pochos 【Tex-Mex】
09年 : Live Set /The Mighty Mike Schermer Band 【Jump Blues】
10年 : Where's My Waitress?/Jimmy Carl Black 【?】
これは、もうチカーノ・アンセムと言ってもいいのでは…。
さて、オーギー自身のバージョンは、Sir Douglas Quintetの84年作Rio Medinaが初出で、86年のソロ・アルバム、My Main Squeezeで再演されました。
さらに、90年のTexas Tornadosの1stでみたび取り上げ、その後96年のソロ・アルバム、Alive And Well At Lake Tacoでも吹き込んでいます。
スタジオ・テイクだけでも、4回も録音していることになります。
ライヴ・テイクは、Texas Tornadosのライブ盤Live From The Limo Vol.1(98年公演、99年リリース)、Live From Austin TX(90年公演、05年リリース)に収録されています。
そこへ、このテイクが加わったわけです。
ぜひ公演時期が知りたいものです。
フレディのMCは限られていますが、ヒントが含まれている可能性もあります。
(または、アランのMC)
ただ、私には聞きとる能力がありません。
聞きとれたよ、という方がいらしたら、ご教示いただけたら嬉しいです。
さて、主役のフレディのパフォーマンスについては、ほとんど触れませんでした。
これはもう、黄金のマンネリズムと呼ばせて下さい。
ファンが求める曲を、フレディは最後まで繰り返し歌い続け、喝采の中で走り抜けた生涯でした。
今作では、スティーヴィー・ワンダーの曲などもやっており、面白いとは思いますが、不要だとも思います。
今回は、主役を脇において、ゲストに注目した1枚でした。
フレディ・フェンダーについては、近いうちに改めて取り上げたいと思います。
Before The Next Teardrop Fallsです。
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