2014年10月20日
手風琴の壁
今回は、こちらのバンドを聴きました。
デビュー当時、Tex-Mex Beatlesと評された、The Krayolasのアルバムです。
Krayolasは、サンアントニオを拠点とするChicano R&Rバンドで、Augie Meyers、Doug Sahm、そして彼らの周辺アーティストらと古くから交流があるようです。
本作は、最初は新作かと思ったのですが、実は過去作からのセレクションに、新曲4曲を加えた編集盤でした。
また、比較してはいないのですが、もしかすると一部(あるいは全曲?)ミックス違いが含まれているかも知れません。
しかし、ほとんど初めて聴いたような感覚で聴けました。
これを喜ぶべきかどうか、心中は複雑です。
1. Americano (Hector Saldana)
2. Fruteria (The Fruit Cup Song)(Hector Saldana)
3. Quiero Ser Tu Novio (Spanish)
4. La Inundacion De Piedras Negras (Hector Saldana)
5. Wall of Accordion (Hector Saldana)
6. Under One Roof (Hector Saldana)
7. Little Fox (Augie Meyers)
8. Corrido - Twelve Heads in a Bag (Hector Saldana)
9. Exit / Salida (Hector Saldana)
10. La Conquistadora (Hector Saldana)
11. Tony Tormenta (Hector Saldana)
12. Bird Don't Fly Away (Hector Saldana)
13. Piso Diez (Hector Saldana)
14. I'm Your Dirty Mexican (Hector Saldana)
15. Lala La Lala (Hector Saldana)
16. Lazy Afternoon (Hector Saldana)
17. Epitaph Street (Hector Saldana)
18. Canicas (Hector Saldana)
19. I Wanna Be Your Boyfriend (Bilingual) (Joey Ramone)
20. Home (Hector Saldana)
Bonus Track
21. All I Really Want To Do (Bob Dylan)
本作は、13年にリリースされたもののようですが、私は最近まで知りませんでした。
Krayolasは、現在までに、(CD時代になってから)私の知る限り6枚のアルバムと2枚のミニ・アルバム(若しくはマキシ・シングル)があります。
以下のとおりです。
Best Riffs Only (07年) 過去(77〜88年)のシングル等をコンパイルしたアルバム
Little Fox (07年) 4曲入りマキシ・シングル("La Conquistadora"に2曲収録)
La Conquistadora (08年) 初のオリジナル・アルバム(多分)
Long Leaf Pine (No Smack Gum) (09年)
Americano (10年)
Tipsy Topsy Turvy (11年)
Canicas-Marbles (13年) 8曲入りミニ・アルバム、全曲"Tormenta"に収録
Tormenta (13年) 本作、既発からのセレクトに新曲を加えた編集盤
私は、このうち、"Little Fox"と"Tipsy Topsy Turvy"の2枚が未入手なのですが、特に"Tipsy Topsy Turvy"が気になっています。
今回の"Tormenta"とは一切ダブっていないからです。
編集盤に1曲もチョイスされなかった理由が、むしろ気になります。
おさらいをしておきましょう。
バンドの編成は以下のとおりです。
Hector Saldna、リズム・ギター、リード・ホーカル
David Saldana、ドラムス、ハーモニー・ボーカル(曲によりリード・ボーカルも)
Van Baines、リード・ギター、ペダル・スチール、ハーモニー・ポーカル
Abraham Humphrey、ペース
ギター2本からなるギター・バンドです。
ここに、しばしば、オルガンやサックスなどがゲスト参加します。
その代表が、Augie Meyers(key)であり、Louie Bustos(sax)とAl Gomez(tp)らのWest Side Horns勢(旧Doug Sahm人脈)です。
さて、本作をざっと聴いたところ、可愛いらしい曲が多いという印象を持ちました。
可愛いらしいというのは、性急感や反抗心といった、ロックの一部のイメージとは合わない、のどかでほんわかした感じを指しています。
比較的、ミディアム・テンポの曲が多いうえ、アコーディオンのゆったりした響きがからむ曲などの印象が強いからかも知れません。
そんな中、今作の私の注目曲は、以下のとおりです、
3. Quiero Ser Tu Novio (Spanish)
5. Wall of Accordion (Hector Saldana)
6. Under One Roof (Hector Saldana)
14. I'm Your Dirty Mexican (Hector Saldana)
19. I Wanna Be Your Boyfriend (Bilingual) (Joey Ramone)
21. All I Really Want To Do (Bob Dylan)
3曲目の"Quiero Ser Tu Novio"は、本盤が初出の4曲のうちの1曲です。
実は、19曲目のラモーンズのカバー、"I Wanna Be Your Boyfriend"(英語、スペイン語のちゃんぽん版)の完全スペイン語バージョンで、おそらくリズム・トラックは同じものだと思います。
黒い皮ジャンだとか、不良だとか、バイクだとか、全く連想できない、ポップ・ソングに仕上がっています。
5曲目の"Wall of Accordion"は、出落ち的なネタが(初めて気づいた時には)面白かった曲です。
フィル・スペクター風のドラム・イントロから始まる曲で、音の壁ならぬ、手風琴の壁ということでしょうか。
全体的に、アンダー・プロデュース風な曲が多く感じる中、色々と工夫を凝らしたアレンジになっています。
"Americano"(10年)初出の曲です。
6曲目の"Under One Roof"は、本盤初出の曲です。
アコーディオンがアレンジの柱になる曲で、フォーキーな雰囲気で進行する、ゆったりしたアクースティック・ナンバーです。
14曲目の"I'm Your Dirty Mexican"は、やはり本盤初出の曲です。
オルガン伴奏がメインの曲で、歌詞はなく、時折り「ラーララ」というコーラスが入る、聴き方によってはアシッド、またはノベルティック(?)な、グルーヴィー・ナンバーです。
タイトルの意味は、うかがい知れません。
最後はボートラで、ディランのカバー、"All I Really Want To Do"です。
本盤が初出の曲です。
あっという間に終わる短い構成の曲ですが、タイトな伴奏、厚みのあるコーラスなど、初期のコレクション・アルバム、"Best Riffs Only"に入っていても違和感のない、若さを感じさせる、力強いフォーク・ロックに仕上がっています。
そろそろ、完全新作のリリースを期待します。
関係記事はこちら
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デビュー当時、Tex-Mex Beatlesと評された、The Krayolasのアルバムです。
Krayolasは、サンアントニオを拠点とするChicano R&Rバンドで、Augie Meyers、Doug Sahm、そして彼らの周辺アーティストらと古くから交流があるようです。
本作は、最初は新作かと思ったのですが、実は過去作からのセレクションに、新曲4曲を加えた編集盤でした。
また、比較してはいないのですが、もしかすると一部(あるいは全曲?)ミックス違いが含まれているかも知れません。
しかし、ほとんど初めて聴いたような感覚で聴けました。
これを喜ぶべきかどうか、心中は複雑です。
Tormenta
The Krayolas
The Krayolas
1. Americano (Hector Saldana)
2. Fruteria (The Fruit Cup Song)(Hector Saldana)
3. Quiero Ser Tu Novio (Spanish)
4. La Inundacion De Piedras Negras (Hector Saldana)
5. Wall of Accordion (Hector Saldana)
6. Under One Roof (Hector Saldana)
7. Little Fox (Augie Meyers)
8. Corrido - Twelve Heads in a Bag (Hector Saldana)
9. Exit / Salida (Hector Saldana)
10. La Conquistadora (Hector Saldana)
11. Tony Tormenta (Hector Saldana)
12. Bird Don't Fly Away (Hector Saldana)
13. Piso Diez (Hector Saldana)
14. I'm Your Dirty Mexican (Hector Saldana)
15. Lala La Lala (Hector Saldana)
16. Lazy Afternoon (Hector Saldana)
17. Epitaph Street (Hector Saldana)
18. Canicas (Hector Saldana)
19. I Wanna Be Your Boyfriend (Bilingual) (Joey Ramone)
20. Home (Hector Saldana)
Bonus Track
21. All I Really Want To Do (Bob Dylan)
本作は、13年にリリースされたもののようですが、私は最近まで知りませんでした。
Krayolasは、現在までに、(CD時代になってから)私の知る限り6枚のアルバムと2枚のミニ・アルバム(若しくはマキシ・シングル)があります。
以下のとおりです。
Best Riffs Only (07年) 過去(77〜88年)のシングル等をコンパイルしたアルバム
Little Fox (07年) 4曲入りマキシ・シングル("La Conquistadora"に2曲収録)
La Conquistadora (08年) 初のオリジナル・アルバム(多分)
Long Leaf Pine (No Smack Gum) (09年)
Americano (10年)
Tipsy Topsy Turvy (11年)
Canicas-Marbles (13年) 8曲入りミニ・アルバム、全曲"Tormenta"に収録
Tormenta (13年) 本作、既発からのセレクトに新曲を加えた編集盤
私は、このうち、"Little Fox"と"Tipsy Topsy Turvy"の2枚が未入手なのですが、特に"Tipsy Topsy Turvy"が気になっています。
今回の"Tormenta"とは一切ダブっていないからです。
編集盤に1曲もチョイスされなかった理由が、むしろ気になります。
おさらいをしておきましょう。
バンドの編成は以下のとおりです。
Hector Saldna、リズム・ギター、リード・ホーカル
David Saldana、ドラムス、ハーモニー・ボーカル(曲によりリード・ボーカルも)
Van Baines、リード・ギター、ペダル・スチール、ハーモニー・ポーカル
Abraham Humphrey、ペース
ギター2本からなるギター・バンドです。
ここに、しばしば、オルガンやサックスなどがゲスト参加します。
その代表が、Augie Meyers(key)であり、Louie Bustos(sax)とAl Gomez(tp)らのWest Side Horns勢(旧Doug Sahm人脈)です。
さて、本作をざっと聴いたところ、可愛いらしい曲が多いという印象を持ちました。
可愛いらしいというのは、性急感や反抗心といった、ロックの一部のイメージとは合わない、のどかでほんわかした感じを指しています。
比較的、ミディアム・テンポの曲が多いうえ、アコーディオンのゆったりした響きがからむ曲などの印象が強いからかも知れません。
そんな中、今作の私の注目曲は、以下のとおりです、
3. Quiero Ser Tu Novio (Spanish)
5. Wall of Accordion (Hector Saldana)
6. Under One Roof (Hector Saldana)
14. I'm Your Dirty Mexican (Hector Saldana)
19. I Wanna Be Your Boyfriend (Bilingual) (Joey Ramone)
21. All I Really Want To Do (Bob Dylan)
3曲目の"Quiero Ser Tu Novio"は、本盤が初出の4曲のうちの1曲です。
実は、19曲目のラモーンズのカバー、"I Wanna Be Your Boyfriend"(英語、スペイン語のちゃんぽん版)の完全スペイン語バージョンで、おそらくリズム・トラックは同じものだと思います。
黒い皮ジャンだとか、不良だとか、バイクだとか、全く連想できない、ポップ・ソングに仕上がっています。
5曲目の"Wall of Accordion"は、出落ち的なネタが(初めて気づいた時には)面白かった曲です。
フィル・スペクター風のドラム・イントロから始まる曲で、音の壁ならぬ、手風琴の壁ということでしょうか。
全体的に、アンダー・プロデュース風な曲が多く感じる中、色々と工夫を凝らしたアレンジになっています。
"Americano"(10年)初出の曲です。
6曲目の"Under One Roof"は、本盤初出の曲です。
アコーディオンがアレンジの柱になる曲で、フォーキーな雰囲気で進行する、ゆったりしたアクースティック・ナンバーです。
14曲目の"I'm Your Dirty Mexican"は、やはり本盤初出の曲です。
オルガン伴奏がメインの曲で、歌詞はなく、時折り「ラーララ」というコーラスが入る、聴き方によってはアシッド、またはノベルティック(?)な、グルーヴィー・ナンバーです。
タイトルの意味は、うかがい知れません。
最後はボートラで、ディランのカバー、"All I Really Want To Do"です。
本盤が初出の曲です。
あっという間に終わる短い構成の曲ですが、タイトな伴奏、厚みのあるコーラスなど、初期のコレクション・アルバム、"Best Riffs Only"に入っていても違和感のない、若さを感じさせる、力強いフォーク・ロックに仕上がっています。
そろそろ、完全新作のリリースを期待します。
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