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ヒッチハイカーズ・ブルース

 私は、コンテンポラリーなブルースを聴く機会があまりありません。
 嫌いというわけではありませんが、積極的に聴くこともないです。 
 まあ、それがヒット曲なら、広く聴かれている理由があるとは思いますし、聴けば気に入るかも知れません。
 でもどうせ聴くなら、流行りものとかとは関係なく、ルーツをがっつり感じる古いスタイルが好きです。

 そんな私が、今回の主人公、Mighty Mo Rodgersを聴くことになったのは、どういう巡りあわせでしょう。
 その音楽性は、初めて聴いた私の耳には、とてもスムースでソフィスティケイトされたものだと感じました。

 しかし、彼は、必ずしも安定したメジャーとは言い切れず、事実近年はインディーズで活動しているようです。
 とはいえ、本盤のコンセプトが私の興味を惹くことがなければ、出会うことはなかったでしょう。  

 本盤は、アメ車の象徴、キャデラックをとばし、ウエストコーストからイーストコーストまで、ルート66の道程をめぐる旅を米国音楽の探訪になぞらえる内容になっています。
 (…と私は解釈して関心を惹かれ、入手しました。)

 本盤は11年にリリースされた、Mighty Mo Rodgersの最新作です。


Cadillac Jack
Mighty Mo Rodgers

1. Cadillac Jack Says "Bring the Fishtail Back" (Mighty Mo Rodgers)
2. Black Coffee and Cigarettes (Mighty Mo Rodgers)
3. Boogie To My Baby (Mighty Mo Rodgers)
4. Cadillac Ranch (American Stonehenge) (Mighty Mo Rodgers)
5. Motor City Blues (Mighty Mo Rodgers)
6. See America First (Mighty Mo Rodgers)
7. Tell Me Why (Mighty Mo Rodgers)
8. The Freddy Fender Song (Mighty Mo Rodgers)
9. God In My Car (Mighty Mo Rodgers)
10. Hitchhiker's Blues (Mighty Mo Rodgers)
11. My Blues, My Car and My Woman (Mighty Mo Rodgers)
12. West Coast Blues (Mighty Mo Rodgers)
13. Slow Dance With Me (Mighty Mo Rodgers)
14. Lights of America (Jan Eglen, Mighty Mo Rodgers)

 Mighty Mo Rodgersは、魅力的な声を持つシンガー、キーボーディストで、そのバンドの演奏はとてもソウルフルです。

 写真から感じる風貌は貫禄たっぷりで、経験値の高いベテランのブラック・アーティストだろうと思いました。
 しかし仮に、何の予備知識もなしにその歌声を聴いたなら、「もしかするとソウルフルな白人シンガーという可能性もあるかな」とふと思ったかも知れません。
 なぜなら、ブルージーでソウルフルですが、ロック以降の音楽だと感じるからです。

 彼が黒人であることを知ったうえで連想したのは、ロバート・クレイでした。
 そう思って聴きかえすと、ファンキーでメロウなビートに共通性を感じます。

 本盤の収録曲はすべて自作で、その音楽はブルージーです。
 ただ、いわゆるブルースマンとは少し違った肌触りを感じました。
 マイナー・ブルース調の曲が多くあり、それが売りだと思いますし、間奏のソロはブルースそのものだったりしますが、多くはブルース形式ではなく、ブルース・バラードとでも呼びたい音楽です。



 本盤の参加メンバーは以下のとおりです。

Mighty Mo Rodgers : vocals, keyboad
Burleigh Drummond : drums, percussion
Will MacGregor : bass on track1 to 11,13
Kevin Longden : guitar on track1 to 11,13
Dick Aven : saxophone, flute on track9,10,11,12
John Davis : dobro on track11
Mary Harris : strings on track2, keyboad on track6
Steve Guillory : guitar on track12,14
Albie Burks : bass on track12,14
Jan Edlen : oercussion on track14
Jim Gibson : guitar on track12
Nick Senelli : accordion on track8
Darryl Dunmore : harp on track5
Tollak Ollestad : harp on track3

 ソウルフルな歌声が素晴らしいです。

 特に、熱を帯びた声がハスキーになるところが魅力的で、サザン・ソウルのシンガーを連想せずにはいられません。
 ロバート・クレイのほかでは、例えば、リトル・ミルトンとか、ブルーズン・ソウル系の人を思い出します。

 本盤は、素晴らしくブルージーでソウルフルなバラードが次々に展開していくアルバムです。
 そんな中、"Motor City Blues"は、ブルース・ハープ入りで、雰囲気たっぷりに進行する、本盤では珍しくブルースそのものといった曲です。
 ただ白人の演奏なら、ブルース・ロックと呼んだかも知れません。
 (どうも、みかけに囚われがちです。)

 本盤は優れた曲が多く収録されていますが、いかんせん同じような曲が多いという印象を持ちます。
 そんな中、はっきりと言える聴きものは次の2曲です。

7. Tell Me Why
8. The Freddy Fender Song

 "Tell Me Why"は、鍵盤奏者であるMighty Mo Rodgersらしく、Jerry Lee Lewisを引き合いに、あのころのロックンロールの楽しさをハネるピアノに乗せて歌い飛ばす曲で、歌詞がいまいち理解できませんが、とりあえず「訳けを聞かせて」と繰り返しあおり続けます。
 曲中では、Chuck Berry、Fats Domino、Roy Orbison、Little Richard、John Lee Hooker、B. B. Kingの名前が次々と織り込まれています。

 "The Freddy Fender Song"は、クルージング中、ラジオから流れてきたFreddy Fenderの歌を聴いた主人公が、かつて人生のひと時を共に過ごした女性の想い出を振り返る曲です。
 曲中では、Freddyの代表曲、"Before The Next Teardrop Fall"と"You'll Lose A Good Thing"のタイトルが、歌詞の中にもじって盛り込まれています。
 曲調は、アコーディオンこそ控えめに入りますが、予期していたFreddyっぽさはさほどでもありません。
 最初は少し残念なアレンジかと思いましたが、何度も聴くうちに、イントロだけでぐっとくるお気に入り曲になりました。
 今はかなり良いバラードだと思っています。

 この人は、モダン・ブルース・ファンには聴かれている人なんでしょうか。
 もともとのリスナー層が知りたいものです。

 いずれにしても、ブルースからロックンロールへの道筋をたどる旅の試みは抗いがたい魅力に溢れていて、この人には、更に深く、オール・アメリカン・ミュージックの探求者となってほしいと感じました。




Cadillac Jack by Mighty Mo Rodgers





リトル・ジュニアの不思議な旅

 これはいいです !
 久々に個人コレクションものとして、良盤だと思いました。
 大好きなJunior Parkerの新しい編集盤が、英Fantastic Voyageからリリースされました。

 映画「ミクロの決死圏」の原題を社名とする会社、Fantastic Voyageは、多分ここ数年前くらいから、地域別のR&Bのコンピを粛々と出していたという印象でしたが、昨年ころから、堰を切ったようにわらわらとリリースしだしたという感じの会社です。

 コンピでは、白黒混成の女性ロッキンR&B、ロカビリー集や、ロッキン・ウエディング・ソング集など、興味を惹かずにはいられない企画ものを出しています。
 
 コレクションでは、ロイ・ブラウン、ワイノニー・ハリスの新らしい編集盤(どちらも2枚組)がよくまとまっていて良いです。

 さて、そんな英国幻想的旅行社が、かなり頑張ってリリースしたのが本盤です。
 Junior Parkerの初期シングル集というテーマで、Modern、Sun、Dukeの音源をCD2枚にパッケージしています。
 この会社、デジパック仕様が多いのが特徴で、CD収納の省スペース化を図っている私には、美麗な装丁はよいですが、収納の面では困った社風ではあります。


Ride With Me, Baby
The Singles 1952-1961
Little Junior Parker

Disc 1
1. You're My Angel (Herman Parker)
2. Bad Women, Bad Whiskey (Herman Parker, Jules Taub)
3. Love My Baby (Bobby Bland and Junior Parker) (Herman Parker, Sam Phillips)
4. Feelin' Good (Herman Parker)
5. Fussin' And Fightin' Blues (Herman Parker)
6. Love My Baby (Herman Parker, Sam Phillips)
7. Mystery Train (Herman ParKer, Sam Phillips)
8. Feelin' Bad (Herman Parker)
9. Dirty Friend Blues (Herman Parker)
10. Can't Understand (Herman Parker)
11. Please Baby Blues (Herman Parker)
12. Sittin', Drinkin' And Thinkin' (1953 Duke) (Herman Parker)
13. Sittin' At The Bar (Herman Parker)
14. Sittin' At The Window (Herman Parker)
15. Sittin', Drinkin' And Thinkin' (1954 Sun) (Herman Parker)
16. Love My Baby (Alt.take) (Herman Parker, Sam Phillips)
17. Backtracking (Herman Parker)
18. I Wanna Ramble (Herman Parker)
19. Can You Tell Me, Baby (Herman Parker)
20. Driving Me Mad (Dick Cole)
21. There Better Be No Feet (In Them Shoes) (Eddie "Tex" Curtis)
22. I'm Tender (Herman Parker)
23. Pretty Baby (1955) (Chester Burnett)
24. Mother-In-Law Blues (Don Robey)
25. That's My Baby (Angel Cartwright, Bill Harvey)
26. My Dolly Bee (Oscar Willis)
27. Next Time You See Me (Earl Forest, Bill Harvey)
Disc 2
1. That's Alright (Jimmy Rogers)
2. Pretty Baby (1956) (Chester Burnett)
3. Peaches (Joe Veasey, Don Robey)
4. Pretty Little Doll (Joseph Scott, Don Robey)
5. Wondering (Joseph Scott, Don Robey)
6. Sitting And Thinking (Joseph Scott, Don Robey)
7. Barefoot Rock (Charles Harper, Joseph Scott)
8. What Did I Do (Don Robey)
9. Sometimes (Don Robey)
10. Sweet Home Chicago (Robert Johnson)
11. I'm Holding On (Joseph Scott, Deadric Malone)
12. Five Long Years (Eddie Boyd)
13. Blue Letter (William Joiner, Deadric Malone)*
14. Stranded (Deadric Malone)
15. Dangerous Woman (Deadric Malone)
16. Belinda Marie (Deadric Malone)
17. You're On My Mind (Deadric Malone)
18. The Next Time (Deadric Malone) 
19. That's Just Alright (Deadric Malone) 
20. I'll Learn To Love Again (Deadric Malone)
21. Stand By Me (Herman Parker)
22. I'll Forget About You (Herman Parker, Pluma Davis)
23. Driving Wheel (Roosvelt Sykes)
24. Seven Days (Herman Parker, Deadric Malone)
25. How Long Can This Go On (Herman Parker)
26. In The Dark (Herman Parker, Deadric Malone)
27. Mary Jo (Thomas Braden)
28. Annie Get Your Yo Yo (Joseph Scott, Deadric Malone) 

 まず本題の前に、なぜ61年までなのか、ここは知りたいところです。
 Junior Parkerは早世した人(71年没:39歳)ですが、Dukeには60年代中期まで在籍したはずで、現に本家(当時の)米MCA発売のCD、"Backtracking 〜 Duke Recordings Vol.Two"では66年のシングルを収録していました。

 Dukeのシングルがコンプリートじゃないのは、続編の企画があるのでしょうか?
 でも、残りはかなり少ないはずで、なおかつ英Fantastic Voyageは、3枚組を普通に出している会社なので、どうせなら3枚組のシングル・コンプリート集にしてほしかったです。

 Bobby BlandのDuke時代が、2枚組CD×3セット(米MCA盤、日本盤はVol.1のみ出された。現在は全て入手困難)にまとめられたことに比べれば、やはり不遇という気はします。

 現在は、ユニバーサルに吸収されて(?)、マーキュリーも傘下なら、Parkerはデューク〜マーキュリーを横断するセットも可能ははず…。

 そして話は唐突に変わりますが、アルバム・タイトルの"Ride With Me, Baby"が気になります。
 このタイトルは、収録曲の曲名ではありません。
 あるいは、どの曲かの歌詞の一節である可能性は高いです。

 でもまあ、普通ならさほど気にせず、スルーするところですよね。
 アルバム・タイトルなんて、単に編者の好みや気分で付けられたかも知れないからです。

 今回私が気になったのは、Disc1-23とDisc2-2に収録された、"Pretty Baby"という曲の存在です。
 どちらも、作者はChester Burnettとなっていて同じ曲です。
 Chester Bernettが、Howlin' Wolfの本名であることは、(ブルース・ファンには)よく知られています。

 違うのは、Disc2の方が、シングルとして57年にリリースされたのに対して、Disc1の方は、先に録音されましたが、後に82年の英AceのLP、"I Wanna Ramble"で初めて世に出るまでお蔵入りしていたことです。
 ちなみに、ギターは、正規盤のDisc2がPat Hareで、Disc1はRoy Gainesです(どちらもかっこいい!!)。

 この"Pretty Baby"という曲は、これまでリリースされたMCAのCDや、DukeのLPでは、作者がHerman Parker、つまりJunior Parkerの自作となっていたのです。
 これは、単にFantastic Voyage盤のケアレス・ミスでしょうか。
 あるいは、最新の修正情報なのでしょうか?

 Howlin' Wolfには、"Pretty Baby"という曲はありましたっけ?
 よく分かりません。
 これこそ、タイトル違いで、歌詞やメロが同じものがあるのかも、などと思ったりします。

 "Pretty Baby"の正解が解き明かせぬまま、しかし、Wolfについて、あることに気が付きました。
 Howlin' Wolfの代表曲のひとつに、"Riding In The Moonlight"という曲があります。
 くだんの"Pretty Baby"とは、ひいきめに聴いてメロが若干似ていますが、全体の歌詞は違います。
 ただこの"Riding In The Moonlight"、実は別名があり、それが"Baby Ride With Me"というのです。

 熊家族が94年に出したHowlin' WolfのCD、"Memphis Days Definitive Edition 2"の1曲目は、"Baby Ride With Me (Ridin' in the Moonlight)"という表記になっています。
 そして、歌詞の中に、"Come On Ride With Me, Baby"というフレーズがあるのでした。

 そして、改めてJunior Parkerの"Pretty Baby"を聴き返したところ、"Ride With Me Baby"と歌っていたのでした。

 まあ、ブルースの歌詞の場合、オリジナルだと思っても、実は昔からある伝承的な常套句である可能性は高いです。
 とはいえ、ひとつの関連性を見つけました。

 アルバム・タイトルは、"Pretty Baby"の歌詞の一節から名付けられた、とりあえずそういう結論にしたいです。

 さて、そろそろ中身をじっくり聴いてみましょう。

 簡素なスモール・コンボ・スタイルから、ホーンを数管加えた編成、そしてゴージャスなビッグバンド・スタイルまで、いくつかの例外を除いて、ほぼ録音順に並べられているので、その音の変遷をたどりながら聴くだけでも楽しいです。

 Disc1の冒頭の3曲は、Matt Murphyがギターを弾いているんですが、意表をついてT-Boneみたいなプレイで、音もフルアコかセミアコっぽかったりします。
 ピアノの存在がモダンで、ジャンプ風にも聴こえます。
 ちなみに52年録音です。

 その後を引き継いだのが、弟(それとも兄?)のFloyd Murphyで、Disc1-4から1-8あたりは彼のギターなのでした。
 このあたりは53年録音なんですが、タイトなスモール・コンボ・スタイルです。
 今回、面白く思ったのは、有名な"Mystery Train"が案外ロッキン度がゆるくて、その裏面だった"Love My Baby"のプレイが、よりロカビリーの原石っぽく聴こえることです。 
 "Love My Baby"のカバーでは、クリス・スペディングを擁したロバート・ゴードン盤が懐かしいです。

 さらに、Floyd Murphyから、徐々にPat Hareへと移行していきますが、この二人は、Junior Parkerのギターリストとして双璧だと感じました。
 一時期、Roy Gainesも登場し、Bobby Blandの場合もそうですが、やはりDuke時代は素晴らしいメンツばかりですね。

 この時期の代表曲のひとつ、"Mother-In Low Blues"は、これまでのCD等ではPat Hareとなっていますが、本盤のライナーではFloyd Murphyとなっています。
 そして、"Next Time You See Me"は、確証はないが、おそらくFloydだろうと記しています。
 この曲も、これまではPat Hareだと言われていた曲です。 

 もし仮に、本盤の説が正しいとすれば、Pat Hareが弾いた代表曲は、"That's Alright"当たりということになます。
 その後、Pat Hareは、やんごとない事情(I'm Gonna Murder My Baby)で、57年ころを最後にセッションから消えることになります。

 さらに、ごくわずかですが、Clarence Hollimanが弾いた曲もあり、ついにはWayne Bennettの登場となるわけですが、ビロードのようなボーカルには、Bennettの優しい音色は相性抜群のように思えて、実はスリルに欠けるのではないか、と思ったりしています。
 まあ、名人同士ですので、曲によりますよね。

 "Sweet Home Chicago"、"Driving Wheel"、"Five Long Years"、"In The Dark"といった代表曲が、弾き人知らずなのが残念です。
 時期的には、Wayne Bennettの可能性はあります。
 もしそうだとすれば、相性抜群だと全面的に前言を翻します。

 今回の発見として、コーラス・グループを配した曲があり、これがゴスペル・カルテットみたいだと感じて興味深かったです。
 Disc2の以下の曲がそんな風です。

16. Belinda Marie
18. The Next Time
19. That's Just Alright

 3曲とも新鮮で、とりわけ"That's Just Alright"は、コール・アンド・レスポンスが印象に残ります。

 実は、本盤で私が初めて聴いた曲がかなりあり、上記3曲以外では、以下の曲がそうです。

Disc 1
25. That's My Baby
26. My Dolly Bee
Disc 2
4. Pretty Little Doll
8. What Did I Do
13. Blue Letter
20. I'll Learn To Love Again
27. Mary Jo

 これらの曲は、あるいは初CD化曲かも知れません。
 少なくとも、私の持っている既発のCD、LPには未収録でした。

 CD2枚組、至福の時間を過ごせました。



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リトル・ジュニアが大好き
ギタリストでたどるジュニア・パーカー



ブルースの詰め合わせ

 「痛快丸かじり」
 最初の1音を聴いた瞬間に頭に浮かんだ言葉です。
 なかなかにカッコイイ出だしで、期待が高まりました。

 ところが、ボーカルが出てくると、若干意外な感じを受けます。
 私が持っているJohnny Winterの印象は、もっとドスが効いた声だったはずだからでした。

 年齢のなせる変化でしょうか。
 それとも、録音やミックスのせい?
 曲によっては、楽器の音圧に、ボーカルが若干押され気味な印象を受けました。


Roots
Johnny Winter 

1. T-Bone Shuffle : with Sonny Landreth
2. Further On Up The Road : with Jimmy Vivino
3. Done Somebody Wrong : with Warren Haynes
4. Got My Mojo Workin' : with Frank Latorre
5. Last Night : with John Popper
6. Maybellene : with Vince Gill
7. Bright Lights, Big City : with Susan Tedeschi
8. Honky Tonk : with Edgar Winter
9. Dust My Broom : with Derek Trucks
10. Short Fat Fannie : with Paul Nelson
11. Come Back Baby : with John Medeski

 Johnny Winterの最新作です。
 彼のスタジオ盤を聴くのは久々です。

 私は、最近では、少し前からリリースされている、ブートレグ・シリーズという、オフィシャルの発掘ライヴ盤シリーズをいくつか聴いていました。

 でも、スタジオ盤は、調べたところ、92年の"Hey, Where's Your Brother"を聴いたのが最後のようです。
 実に20年近く聴いていないことになります。
 驚きです。

 少し前に、George Thorogoodの最新作を聴いたときと少し似ています。
 どちらも、関心を持って聴いていたアーティストではありますが、次第に興味が薄れて疎遠になっていたのです。

 今回、このアルバムに興味を持って入手したのも、Thorogood盤同様、私好みの企画盤だったからです。

 George Thorogoodのそれが、シカゴ・ブルースへのオマージュだったように、これは、Johnny Winterが好んで聴いてきたブルースを追体験する内容になっています。
 タイトルはベタですが、ずばり「ルーツ」です。

 テキサス、ウエストコーストのブルースから、シカゴ・ブルース、チャック・ベリーのR&RからR&Bの古典まで、範囲は広いですが選曲はオーソドックスです。

 今作では、各曲にそれぞれ別のゲスト・ギターリストが参加していて、ギター・プレイは、彼らに敬意を表したつくりになっています。

 クレジットによれば、Johnnyがメインなのは1stソロだけで、イントロやおかずのフレーズ、そして2ndソロはゲストに出番を譲っています。

 各曲で、様々なゲストが、それぞれ個性を発揮していますが、実は全体のサウンド・カラーを決定づけているのは、プロデューサーであり、リズム・ギターリストである、Paul Nelsonによるところが大きいように感じました。

 この人は、輪郭のはっきりした魅力的なギターを弾いています。
 さらに、ゲストが弾いたとされる「フィル」が効果的で、こくと深みのあるブルース・アルバムに仕上がっています。

 このあたりは、誰にプロデュースを任せても、いつだって直球勝負のGeorge Thorogoodとは、少し違う印象を受けました。

 さて、中身ですが、まず冒頭のT-Bone WalkerとBobby Blandの名作連打が良いです。
 "T-Bone Shuffle"では、お馴染みのリフがいいのは当然として、リズム・ギターに絡むサニー・ランドレスのおかずが良くて、自然と頬が緩んでしまいます。

 "Further On Up The Road"は、誰がやっても名曲ですね。
 ただ、実は私は、Jimmy Vivinoという人物が誰か知りません。
 この曲でも、しっかりとしたリズム・ギターが全体を締めているのが印象に残ります。

 Johnny Winterは、テキサス・スタイルだけでなく、シカゴ・ブルースもうまくて、私は、80年代のアリゲーター時代にやっていた、"Serious Business"あたりの攻撃的なシカゴ・ブルースも好きです。

 本盤では、比較的淡々とやっていて、凶悪な突っ込みとかないので、このあたりをどう感じるかは好みの問題でしょう。
 私はと言えば、どちらも好きです。

 よく考えると、今作はあえて「ルーツ」をテーマに掲げていますが、Johnnyのアルバムはいつの時代だってルーツを探求していたように思います。
 その意味では、今作はゲストに敬意を払うあまり、少しフォーマルなJohnnyになっているかも知れないです。

 私の考えるところ、カジュアルなJohnnyは、Swamp Popも大好きだったはずです。
 コロンビアからメジャー・デビューする以前は、シリアスなブルースより、三連のマイナー・バラードとか、R&Bテイストが強い何でもありの音楽をやってました。

 さて、その他の曲も聴きましょう。

 スーザンとデレク夫妻の参加曲もいいですが(特にダンナが参加したエルモアが美しい。)、私の推しは、Vince Gillがボーカリストではなくギターリストとして参加した、"Maybellene"、そして、バンドの要であり、セカンド・ギター兼プロデューサーである、Paul Nelsonがリードを弾いた、"Short Fat Fannie"です。

 "Maybellene"では、Vince Gillによる、他のゲストとは明らかに違う、軽快なライト・ゲージのギャロッピング風プレイを聴くことが出来ます。
 Vince Gillは、確かセッション・ギタリスト出身で、エミルー・ハリスのホット・バンドでギターを弾いたことが大きなステップになった人だった気がします。

 "Short Fat Fannie"は、Paul Nelsonのソウル・ダンス風のバッキングが見事で、さらにリードとサイドを巧みに行き来しながら展開する、スイング感溢れるプレイが美しいです。 

 そして、ラストはレイ・チャールズのブルース・バラードで締めです。
 間奏では、ゲストによるグルーヴィーなオルガンが独演会をやっています。
 そこへ負けじとカットインしてくるJohnnyのギターが雰囲気満点で私は好きです。
 こういうのがもう1曲くらいあっても良かったかも…。

 全体的に、ノイジーなサウンドとは無縁で、開放弦がグワングワン鳴るようなラウドさも控えめなので、とても聴きやすいアルバムに仕上がっています。

 なお、日本盤には、ライヴ音源のボートラが2曲追加されているようです。









ズズ・ボーリン

 変わった名前のアーティストをご紹介します。
 ZuZu Bollinです。

 T-Bone Walkerの強い影響下にある人で、唯一のオリジナル・アルバム(だと思います)の本盤では、時の流れとは一人関わりがないかのように古いスタイルでやっています。

 表面的には、スイング・リバイバルのバンドに近いスタイルですが、この人の場合、あくまで自分のやりたいようにやったらこうなったということでしょう。

 
Texas Bluesman
ZuZu Bollin

1. Big Legs (Gene Phillips)
2. Hey Little Girl (Hill)
3. Blues in the Dark (C. Basie, J. Rushing)
4. Kidney Stew (Blackman, Vinson)
5. Cold, Cold Feeling (J. Robinson)
6. Why Don't You Eat Where You Slept Last Night? (Zu Zu Bollin)
7. Headlight Blues (Zu Zu Bollin)
8. How Do You Want Your Rollin'Done (Zu Zu Bollin)
9. Leary Blues (Percy Mayfield)
10. Rebecca (Joe Turner)
11. Zu's Blues (Zu Zu Bollin)

 ゲイトマウス・ブラウンなどと同時代の人で、50年代にシングルを出していましたが、大きなヒットもなく、人々の記憶から消えるところでしたが、再発見され、このアルバムが創られたのでした。
 89年のことです。

 当初は、Dallas Blues Society Recordsから出され、その後、Antone Recordsから90年に再発されました。
 そのセッション参加メンバーは、次のとおりです。

Produced by Chuck Nevitt & Duke Robillard (except "Hey Little Girl" & "Cold Cold Feeling")
Zu Zu Bollin : guitar, vocals
Duke Robillard : guitar
Sumter Bruton : rhythm guitar
Hash Brown : rhythm guitar ("Big Legs" & "Blues In The Dark")
Doyle Bramhall : drums
Jim Milam : clevinger bass
Craig Simecheck : piano
George Galbreath : trumpet
Mike Strickland : baritone saxophone
Mark Kazanoff : saxophone
Robert Harwell : tenor saxophone
David Fathead Newman : tenor saxophne ("Big Legs" & "Kidney Stew")
Marchell Ivery : tenor saxophone ("Big Legs" & "Rebecca)

 収録曲のうち、2曲のみ別のセッションになっています。

Produced by Derek O'brien & George Rains
"Hey Little Girl" & "Cold Cold Feeling" Sessions
Wayne Bennett : guitar
C-Eorce Rains : drums
Jack Barber : bass ("Hey Little Girl" only)  
John Blondell : bass ("Cold Cold Feeling" only)、trumpet ("Hey Little Girl" only)
Doug Sahm : Piano
Keith Winking : trunpet ("Cold Cold Feeling" only)
Charlie McBurney : trumpet ("Hey Little Girl")
John Mills : baritone saxophone ("Cold Cold Feeling" only)
Rocky Morales : tenor saxophone

 私が、本盤に注目した理由は、もちろんこの2曲のセッションの存在です。
 Doug Sahmがピアノで参加しているのです。

 また、お馴染みのDoug Sahm人脈、ベースのJack Barber、トランペットのCharlie McBurney、テナー・サックスのRockey Moralesの名前が見つけられて頼もしいです。
 ドラムスのC-Eorce Rainsは、おそらくGeorge Rainsの変名だと思われます。 

 そして、ギター・マイスター、Wayne Bennetの名前が光っています。
 Wayne Bennetは、ご存じのとおり、Bobby BlandやJunior Parkerの素晴らしい伴奏で知られている人です。

 さて、ここで思い出されるのは、Doug Sahmの名作ソロ・アルバム、Juke Box Musicです。
 あのアルバムのリリースは、88年でした。
 本盤のリリースが89年ですから、おそらくは録音時期も近いと思われます。

 実際、先のDoug Sahm人脈の3人とWayne Bennetは、Juke Box Musicにも参加しています。
 そして、"Hey Little Girl"は、Doug SahmもJuke Box Musicで取り上げていました。
 このあたりの関係は、いろいろと興味深いです。

 ZuZu Bollinは、まるでロックの洗礼を受けていないかのように、R&B誕生以前の頃のスタイルでやっています。
 私は、ジャンプ系の曲が好きですが、ここでの柔らかでジャジーなスロー・ブルースもまた良いです。

 ジャンプの"Why Don't You Eat Where You Slept Last Night?"は、50年代のZuZu Bollinの代表曲で、元のバージョンは、RhinoのコンピCD、Blues Masters Vol.3で聴くことが出来ます。

 素晴らしいメンツのサポートを受け、再出発したZuZuでしたが、90年に68歳で天に召されました。




Why Don't You Eat Where You Slept Last Night by ZuZu Bollin






ケイティを捕まえて

 今回は、全く別のアルバムを取り上げようと思っていたのですが、Obinさんの記事を読んだところ、やみくもにあるアルバムが聴き返したくなり、急きょ頭に浮かんだCDを引っ張り出してきました。
 それは、Albert Kingの"Lovejoy"です。

 これを初めて聴いた当時、私は、Albertの"I'll Play The Blues For You"に痺れまくっていて、こういうメロウなブルースがもっと聴きたいと渇望し、第二の"I'll Play〜"を求めてこのアルバムを手に取ったのでした。

Lovejoy
Albert King

1. Honky Tonk Women (M.Jagger, K.Richards) *
2. Bay Area Blues (Donald "Duck" Dunn, Don Nix) *
3. Corrina, Corrina (Don Nix) **
4. She Caught the Katy (And Left Me a Mule to Ride) (Taji Mahal, Yank Rachell) **
5. For the Love of a Woman (Don Nix) *
6. Lovejoy, Ill. (Don Nix) **
7. Everybody Wants to Go to Heaven (Don Nix) *
8. Going Back to Iuka (Don Nix) **
9. Like a Road Leading Home (Don Nix, Dan Penn) **

 このアルバムは、Staxから71年にリリースされたもので、アルバム"I'll Play The Blues For You"のひとつ前のアルバムにあたります。

 "I'll Play〜"が、Bar-Kaysをバックに、メンフィスで録音されたのに対して、こちらは、Don Nixの制作により、ハリウッドとマッスル・ショールズで、それぞれ個性的なメンツを集めて録音されました。
 セッションの概略は以下のとおりです。

Produced and arrenged by Don Nix
Albert King : all guitar, vocals
Track1,2,5,7(*)
Recorded at Skyhill Studio, Hollywood
Jim Keltner : Drums
Donald "Duck" Dunn : Bass
Jesse Ed Davis : Guitar
John Gallie : Keyboards
Sanford Konikoff : Percussion
Jeanie Greene : Back Ground Vocals
Mount Zion Singers : Back Ground Vocals
Track3,4,6,8,9(**)
Recorded at Muscle Shoals Sound Studio, Muscle Shoals, Alabama
Roger Hawkins : Drums
David Hood : Bass
Tippy Armstrong : Rhythm Guitar
Wayne Perkins : Rhythm Guitar
Barry Beckett : Keyboards
Jeanie Greene : Back Ground Vocals
Mount Zion Singers : Back Ground Vocals

 私は、Bar-Kaysというのは、あまり感心しないのですが、"I'll Play〜"でのセッションは、眼が洗われるような思いで聴き、彼らとAlbertの間に起こった不思議な化学反応に驚いたものでした。

 "Breaking Up Somebody's Home"、"Answer To The Laundromat Blues"、"Do't Burn Down The Bridge"など、名曲、名演を多数含む名盤だと思いました。

 「誰かの家庭を壊さずにいられない気分」だと歌う怨念の歌、"Breaking Up Somebody's Home"は、女性に歌ってほしいダークな名曲ですね。
 やはりAnn Peebles盤でしょうか。

 その後、メロウなブルースに対する考えが少し変化しましたが、それでも、"I'll Play〜"は、大好きなアルバムです。

 対して、"Lovejoy"のセッションは、"I'll Play〜"の面影を探しつつ聴き、それが満足に叶えられないと知ると、今度は"Born Under A Bad Sign"の緊張感はどこへ行った? といらだちと戸惑いを覚えた記憶があります。

 当時、私の耳には、ふたつのセッションの違いなど全く分かっていませんでした。
 正直、今意識して聴いても、それほど重要な違いが感じられません。

 特に、マッスル・ショールズ録音に信仰に近い憧れがあるせいか、点数が辛くなってしまいます。
 今回、久しぶりに意識して聴いた私の印象は、ハリウッド・セッションの方が好みかも知れません。
 まあ、どちらのメンツも、Albertに遠慮している可能性はあります。

 肝心のブルースは、今一消化不良な気もしましたが、意外にも唯一のバラードが良いです。
 ラストに入っている、Dan PennとDon Nixの作品、"Like a Road Leading Home"が、アルバムの掉尾を飾るにふさわしい感動の1曲に仕上がっています。
 控えめながら、教会風のバック・コーラスも素晴らしく、荘厳な雰囲気を醸し出しています。
 この曲は、誰かサザン・ソウル・シンガーはやっているのでしょうか? 

 さて、話を冒頭へと戻したいと思います。
 なぜこのアルバムを聴き返したくなったのか、と言いますと、"She Caught the Katy (And Left Me a Mule to Ride) "が入っていたからです。

 私は、この曲のBlues Brothersのバージョンが大好きです。
 まあ、映画のシーンとオーバーラップして、より深い印象が形作られているのでしょうが、とにかく好きです。

 冒頭、刑務所から出所したばかりの兄(又は兄貴分?)ジェイクを、迎えに来た弟(分?)エルウッドが、廃車落ちの中古パトカーで、フリーウェイを飛ばすシーン、「ンチャッ、ンチャッ」というイントロが聴こえてくると、もう心臓がばくばくしてきます。
 最高のアレンジであり、絵に最高にマッチした音楽だと思います。
 好きです。

 思わず熱くなりました。
 ただ、残念ながら、Albertのバージョンは、さほど印象に残るものではありません。
 まあ、映画のシーンに重ねあわせた思い出には、勝負できないですよね。

 このアルバムに強い印象を持っているのは、Albertのバージョンを初めて聴いたとき、「これって、聴いたことがある。なんだっけ」とそわそわして、やがて回答に到達した時の快感が、体に染みついて残っているからだと思います。

 そして、曲の作者がTajiだと気づかせてくれる、きっかけとなったことも大きいです。
 私が、Tajiの"The Natch'l Blues"を聴いたのは、それからまもなくのことでした。

 どうも、今回は、Albert Kingのアルバムについて書こうと思ったのに、Blues Brothersに触れたため、ぶれまくってしまいました。
 映画"Blues Brothers"は、私の永遠のフェイヴァリットです。

 2010年が近づいていたころ、私は、"Blues Brothers 2010"が創られるべきだと回りの人に訴えて、無視されたことを思い出しました。


 追記
 Obinさんが、Yank Rachellについて触れられていますが、この曲が、"She Caught the Katy"と"Left Me a Mule to Ride"という、二つの曲が合わさったものだという大胆な仮説はいかがでしょうか?
 例えば、どちらかがYank Rachellのレパートリーだとか?
 You Left Me a Mule to Rideってなしですか。
 ちなみに、Muleはロバのことで、Bill Monroe(Jimmie Rodgers)のMule Skinner Bluesを思い出します。

 それと、彼女に捕まるKatyというのは車の略称でしょうか?
 でもすぐに思いつくキャデラックは、Caddyですよね。
 普通に女性の名前かも知れないですが、それってつまんないです。
 あるいは、車ではなく、列車のことかも知れません。

 Chuck Berryの"You Can't Catch Me"を連想しながら、思いつくまま書いてしまうのでした。


AlbertのShe Caught The Katy and Left Me Mule to Rideです。




こんなの見つけました。
Big Joe WilliamsのShe Left Me a Mule to Rideです。




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シェイク・ユア・マネーメイカー

 私は、Elmore JamesのCDをいくつか持っているんですが、長らく気に入って愛聴しているのがこのRelic盤です。

 リリース時期がよくわからないんですが、おそらくは90年代後半ではないかと思います。
 ミレニアム以降、さらに音質のいいCDが出て、私も買いましたが、いまだにこのCDに愛着を持っています。
 シンプルに1枚ものなのもよいです。
 まあ、音質に鈍感な私が、どうこう言うのは照れてしまいますが…。


Rollin' & Tumblin'
The Best Of Elmore James
Elmore James

1. Rollin' & Tumblin' (James)
2. You Know You're Wrong (James)
3. Look on Yonder Wall (James, Sehorn)
4. I Need You Baby (James, Sehorn)
5. Standing at the Crossroads (James, Josea)
6. The Sky Is Crying (James, Lewis, Robinson)
7. Baby Please Set a Date (James, Sehorn)
8. My Bleeding Heart (James, Sehorn)
9. Sunnyland (James, Josea)
10. Dust My Broom (James, Johnson)
11. Something Inside Me (James, Sehorn)
12. Go Back Home Again (James)
13. Anna Lee (James, Sehorn)
14. Mean Mistreatin' Mama (James, Robinson)
15. One Way Out (James, Sehorn)
16. Shake Your Moneymaker (James)
17. Fine Little Mama (Lewis, Robinson)
18. Stranger Blues (James, Lewis, Robinson)
19. It Hurts Me Too (James, Sehorn)
20. Find My Kind of Woman (James)
21. Every Day I Have the Blues  (Memphis Slim)
22. My Baby's Gone (James)

 エルモア・ジェイムズは、モダンだかクラウンだかの日本盤LPで初めて出会いました。
 内容に関係のない、一連の美女ジャケットの1枚です。

 これがなんとも団子のようなサウンドで、曲そのものが好きでしたので大変残念に思ったものでした。

 そして、曲に関して気に入りつつも感じたのが、エルモアのバリエーションの少なさでした。
 初期は特にそうですね。

 その点、このCDはFireとか後期の音源だと思いますが、なにか「一挙にいろいろとやりました」といった印象です。
 作者クレジットには(?)というものが散見しますが、ビッグ・ブルースのエルモア版が色々と聴けるのが、まず物珍しく嬉しいです。

 そんな中、今回の私の注目はこの3曲です。

3. Look on Yonder Wall
6. The Sky Is Crying
16. Shake Your Moneymaker

 いずれも、ブルーム・スタイルのいくつかの傑作に匹敵する曲だと思います。
 中でも私が特に好きなのが、"Shake Your Moneymaker"です。

 このCDの収録テイクは、テイク1とテイク2の未編集版という感じで、スタジオでのやりとりを聴くことがでます。
 「テイク1」の掛け声のあと、イントロ数秒でやりなおしとなり、続けて「テイク2!」の宣言で1曲通して演奏されます。

 この曲のイントロ・パターンを初めて聴いたのは、ダウンタウン・ブギウギ・バンドの「スモーキン・ブギ」だったと思います。
 その時は、まだエルモアを知りませんでした。
 
 私は、ここでのエルモアの何ともいえない「ノリ」が快感で、何度も聴き返してしまいます。
 例えるなら、ディランの"I Want You"に似たような雰囲気を連想します。

 軽快なリズムをバックに、エルモアのボーカルが微妙に遅れてくるような感じが堪りません。
 手さぐりするように、初期衝動のまま歌詞を吐き出していくさまに痺れます。
 最高です。

 このCDでのエルモアは、シカゴ録音が少しでニューヨーク録音がほとんどだと思いますが、"Look on Yonder Wall"と"Shake Your Moneymaker"は、なんとニューオリンズ録音らしく驚きです。

 この時のメンツは、こんなふうだったようです。

Elmore James : vocal, guitar
Sam Myers : hca (Look on Yonder Wallのみ)
Johnny 'Big Moose' Walker : piano
Sammy Lee Bully : bass
King Mose Taylor : drums

 なお、本CDは、トラック19から22までの4曲がステレオで収録されているのも興味深いです。



Shake Your Moneymakerです。







ブルースのライオン

 Bobby Blandの新作がリリースされなくなって、かなりたちます。
 新しいマラコのベスト盤も、なぜかリリースが遅れているようです。
 だからと言う訳ではありませんが、まだこのアルバムが手に入りましたので、聴いてみました。
 録音時期不明のライヴ盤です。

  
Really The Blues
Bobby Bland

1. Ain't That Lovin' You
2. I'll Take Care Of You
3. I Pitty The Fool
4. This Time I'm Gone For Good
5. That's The Way Love Is
6. Blues Medley
- Stomy Monday Blues
- Guitar Blues Solo
- Ad Lib Blues Finale
7. Encore Medley
- Instrumental
- Riconsider Blues
8. St. Jame Infirmary
 
 このアルバムのジャケットは、アナログ時代から眼にしていた気がしますが、私の記憶違いでしょうか。
 仮にアナログ盤が存在していたとすれば、ストレートにCD化したものだと思います。
 
 しかし、このアルバムは、Monad Recordという聞きなれない会社から出ており、ブルース&ソウル・レコーズ誌の記事「ボビー・ブランド全アルバム・ガイド」でも触れられていません。

 ただ、内容は、さまざまなジャケやタイトルで出されている通称「ロングビーチ・ライヴ」ものとは違うと思います。
 (ただ、少し前に2種出た怪しいライヴCDと若干似ている気もしますが…。)
 これは、やはりブートなんでしょうか。

 まあ、ブートかどうかはともかく、久々にブランドのライヴが聴けました。
 ブランド禁断症状の一時的な緩和としては、役立ってくれました。
 でもやはり、ブランドの新しい録音が聴きたいです。

 少し前に、ブランドの80歳を祝うバースデイ・ライヴのニュースを読みました。
 消息が聞けなくなって久しかったので、元気であることがわかって嬉しかったです。
 そろそろ、私たちの前に、その元気な姿を見せてほしいものです。

 さて、唐突ですが、ボビー・ウーマックが数年ぶりに新作の制作に取り掛かっているらしいです。
 豪華なゲストの参加も予定されているようで、楽しみです。

 そんなニュース記事の中に、聞き捨てられない記述を発見しました。
 なんと、ボビー・ウーマックは、ブランドとの共演盤を企画しているらしいのです。
 それが実現すれば、大きな話題になるでしょう。(オールド・ファンのあいだでは…。)

 その企画が夢と消えないことを願っています。

ニュース・ソースはこちら  
http://bmr.jp/news/detail/0000010569.html


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ロイ兄い

 CDの整理をしていると、ついつい手をとめてしまい、ついにはプレーヤーのトレイへと乗せてしまう。そんなことがしばしばあります。
 これも、そんな1枚でした。 


The First TB Album
Roy Gaines

1. Chicken Shack Boogie (Amos Milburn, Cullum)
2. Every Saturday Night  
3. You're Still My Baby (Chuck Willis)
4. C.C.Rider
5. Baby, Please Don't Go (M.Morganfield) 
6. Dangerous (Randy Chortkoff)
7. Switcheroo
8. Lizzie
9. Boom Boom (John Lee Hooker)
10. Open House At My House (Patterson)
11. Running Around Balling
12. Big Legs, Tight Skirt (John Lee Hooker) 
 
 
 テキサスの名人ギタリストの一人、Roy Gainesの03年リリースのソロ・アルバムです。
 
 ロイ・ゲインズは、リトル・リチャードのツアー・バンドだったアップセッターズのリーダー、テナー・サックスのGraddy Gainesの兄弟(多分ロイが兄貴)で、ボビー・ブランドの名作、It's My Life Babyでギターを弾いた人です。

 デュークでは、ジュニア・パーカーのバックも務めて、Driving Me Madなどでプレイしています。
 時期的には、ビッグ・ママ・ソーントンあたりもやったかも知れません。
 (ただし、ハウンド・ドッグは、ジョニー・オーティス楽団と吹き込んだので、ピートなんとかさんでしょう。)

 そして、90年代には、弟のグラディと組んで、テキサス・アップセッターズ名義の録音もあります。
 
 さて、このアルバムですが、初めて聴いたときは、案外シカゴ風のところもあって、ちょっとイメージが違うかなと感じました。

 今回、その記憶のまま、久々に聴いたところ、なるほどと思う部分と、記憶違いなのか、私の感覚に変化が起こったのか、印象が変わった部分もありました。

 シカゴと思ってしまう要因は、選曲とハープにあります。
 我ながら、ブルース・ハープ=シカゴというのは、短絡的ではありますが。

 しかし、チャック・ウィリスのYou're Still My Babyも、ここではパブリック・ドメインとクレジットされている、C.C.Riderも、シカゴを連想させるスタイルでプレイされています。
 (パブリック・ドメインとは、一般的に著作権切れの創作物を指します。映画「ローマの休日」の著作権が切れているかどうか、争われたことが記憶に新しいです。)
 
 ただ、よく聴いていると、Baby Please Don't Goでは、シカゴ風に始まりますが、途中から自然とテキサス風にチェンジしていて、これはよいです。

 有名なビッグ・ブルースを何曲もやっていますが、すべてロイ流にやっていて、オリジナルそのままでやっているものはありません。

 Chicken Shack Boogieでは、原曲のクレイジーさが全くなく、曲名を見なければ別の曲かと思いそうです。
 とはいえ、テキサスを感じさせる軽快なロッキン・ブルースはやはりよいです。

 テキサスを感じさせるといえば、一番顕著なのが、自作のEvery Saturday Nightで、シャッフル・ビートがかっこよく決まっています。

 私は、ゲイトマウス・ブラウンも、アルバート・コリンズも、嫌いではありませんが、それほど好きではありません。
 しかし、ロイ・ゲインズは好きです。
 なぜかは、自分でもよく分かりません。

 T-ボーンのルーツが、先のふたりのように深く潜行していず、時に見え隠れするところが好きなのかも知れません。

 ところで、アルバム・タイトルのFirst TB Albumというのは、どういう意味でしょう。
 私などは、TBというと、すぐ肺結核を連想します。

 ジミー・ロジャースのイメージですね。
 ジミーには、肺結核をテーマにした曲がいくつもありました。

 Firstという言葉に鍵が有るのかも知れません。



ロイによるオーキー・ドーキー・ストンプです。





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ジャクソンのボビー

 近々、Bobby Blandの新しいベスト盤が出ます。
 今回は、Malaco時代からの選曲ですので、久々に未発表とか、Duke録音の再録音とか期待していました。

 ただ、徐々に明かされてきた情報によれば、どうやら既発曲のみからのセレクトで、以下のような内容になるようです。


Unmatched - The Very Best Of
Bobby Bland
 
1. I Just Tripped On A Piece Of Your Broken Heart/93:Years Of Tears
2. I'm A Blues Man/03:Blues At Midnight
3. Need Your Love So Bad/85:Members Only
4. Tonight's The Night (It's Gonna Be Alright)/96:Sad Street
5. Ain't No Sunshine When She's Gone/88:Midnight Run
6. If I Didn't Get Involved/88:Midnight Run
7. Members Only/85:Members Only
8. I Just Won't Be Your Fool Anymore/91:Portrait Of The Blues
9. The Truth Will Set You Free/98:Memphis Monday Morning
10. Get Your Money Where You Spend Your Time/87:Blues You Can Use
11. Second Hand Heart/86:After All
12. Sad Street/96:Sad Street
13. When Hearts Grow Cold/91:Portrait Of The Blues
14. There's No Easy Way To Say Goodbye/87:Blues You Can Use
15. After All/86:After All
16. Heart Open Up Again/85:Members Only


 とりあえず、曲名の後にオリジナル・アルバム名を記載してみました。
 まあ、これだけ見て思うのは、「未発表曲はなしかあ」ということです。

 早くもテンションが下がり気味ですが、ジャケット・デザインが、なかなかちゃんとした作りなので、やはり欲しくなっています。

 編者が誰かまだ不明ですが、少し角度を変えて見て、何か個性が発揮された選曲になっているのか、見てみましょう。

 まず、おさらいとして、マラコ時代のオリジナル・アルバムを整理してみます。

1985年 : Members Only (3,7,16)
1986年 : After All (11,15)
1987年 : Blues You Can Use (10,14)
1988年 : Midnight Run (5,6)
1991年 : Portrait Of The Blues (8,13)
1993年 : Years Of Tears (1)
1996年 : Sad Street (4,12)
1998年 : Live On Beale Street
1998年 : Memphis Monday Morning (9)
2003年 : Blues At Midnight (2)


 80年代は、精力的に新作をリリースしていたことがわかります。
 対して、90年代以降は、インターバルが空き始め、最近作が03年リリースというのは、寂しいですね。

 まあ、高齢でもありますから、元気でライヴをこなしている(らしい)だけでも、良しとしましょうか。
 
 さて、アルバム名の後のカッコ書きの中に、今回のベスト盤のトラックNo.を記載してみました。

 比較的、80年代重視の選曲ですね。

 こうやってみると、枚数的には少ないと思っていましたが、これでも1枚もののベスト盤を編むとなると、これはこれで大変なんだなと感じました。

 当初は、選曲や並び順についてコメントしようと思っていましたが、遊びとはいえ、どうも虚しい気がしてきました。
 実際に手に入れて、通して聴いてみて、しっくりくるかどうかだけの話です。
 これはもう、やはり入手するほかないですね。

 ちなみに、もし私が編むとすれば、ハードなストレート・ブルースをメインに選曲し、効果的な箇所に少数のソウル・バラードを挟みこんでいく、というごくごくオーソドックスなコンセプトです。

 ブルースとソウル・バラードで、7対3くらいでいかがですか?
 全16曲入りとして、ブルース11曲、ソウル・バラード5曲くらいのイメージです。

 適当に言ってますが、5曲のバラード候補は?
 
Members Only
Can We Make Love Tonight
Heart Open Up Again
After All
Second Hand Heart
I Can Take You To Heaven Tonight


 このあたりでどうですか?
 あまり変わり映えしないですね。
 すみません。

 ところで、マラコ時代のアルバムで、私が一番好きなのは、91年のPortrait Of The Bluesです。
 このアルバムは、バラードこそこれといったものがないですが、全体的にミディアム・ナンバーが素晴らしいです。
 (When Hearts Grow Coldは、オーティス・クレイ盤のほうが好きです。)
 
 おそらくバック陣は、いつものマラコのリズム隊ではなく、別のチームだと思います。
 緊張感のある伴奏が私の好みです。

 今回、手持ちのアルバムを引っ張りだしてきて、After AllBlues You Can Useのみ、LPのみでCDを所有していないことに気付きました。
 何となく、全てCDで買い直したと思い込んでいたのです。

 安く手に入るなら、購入したいものです。
 Blues You Can Useのジャケットが差し替えられているのが残念ですが…。

 それと、マラコのベスト盤は、First Class Bluesが決定盤だと固く信じていましたが、購入の必要なしと考えて、未入手のままにしていた98年リリースのCD、Just One More Stepが気になりだしています。

 これに入っている、I've Got Years Of Tears To Goと言う曲は、もしかして、これでしか聴けないのでは?

 真相が明らかになるまで、またまた、眠れない夜がやってきそうです。





Ain't No Sunshine When She's Goneです。





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長い夜、あなたは私のところへやってきた

 今回は、あるロック少年の旅立ちのお話をしたいと思います。

 私の音楽体験の全てはビートルズから始まりました。 
 ある日、好きで好きでたまらない音楽が、もうわずかしかないと気付いた時、私はそれを惜しむようになりました。
  
 ビートルズのアルバムは、英国盤をベースに最もダブリの少ない買い方を考えて、着々と購入していたのですが、そのことが迫りつつあると思った時、私の中にセーブする気持ちがわいてきたのです。

 この素晴らしいものを全部聴いてしまったら、自分の人生は、次のビートルズがない世界になってしまう。
 恐れにも似た感情が激しく迫ってきたのです。

 そのころ、私は既に、50年代のロックンロールや、リズム・アンド・ブルースを聴き始めていました。
 まだ日本盤だけでしたが、全てはビートルズの影響です。
 彼らが影響を受けた音楽の原曲が聴きたい、それが私を強く動かしていました。

 もう記憶がおぼろげになりつつありますが、ワーナーのアトランティックのシリーズで、ドリフターズやレイ・チャールズを聴き、東芝のインペリアルのシリーズでファッツ・ドミノを聴いたのが最初です。

 そして、ヴィヴィッドという会社が、リトル・リチャードを出していることを知って、体が震えるような胸の高まりを感じました。
 Pヴァインが、チャック・ベリーのアフター・スクール・セッションを出したのは、もう少し後のことだったと思います。

 輸入盤店へも足を運ぶようになりました。
 日本盤が出る前は、チャック・ベリーのマーキュリー録音を買っていました。

 まだ大型店でレコードを買っていたと思います。
 でも、マニアックなものを置いている小さな専門店へたどり着くまで、さほどの期間は必要なかったと思います。

 そこでは、英チャーリーのカール・パーキンスや、仏パテ・マルコーニのエディ・コクランやジーン・ヴィンセントなど、夢のようなお宝に出会い、二度と戻ることが出来ない世界へと深く深く潜って行くことになったのです。
 それらは、全てビートルズの導きでたどり着いた、素晴らしい音楽世界でした。

 今回のお話は、その時期と同じころか、少し後のことだと思います。
 黒人音楽にずぶずぶとはまっていたとはいえ、まだまだロック少年だった私は、ビートルズの残りが少ない事を受け止め、さらに次の一歩を踏み出す決心をしたのです。

 その最初のきっかけとして買った2枚のアルバムがあります。
 今回は、そのうちの1枚、私が初めて買ったB.B.Kingの日本盤LPのお話です。


The Feeling They Call The Blues
The Time Of B.B.King Vol.1
B.B.Kig

A面
1. Long Nights (The Feeling They Call The Blues)
2. My Sometimes baby
3. Down Now
4. Fishin' After Me
5. The Road I Travel
6. Trouble In Mind
7. And Like That
8. Who Can Your Good Man Be

B面
1. Tell Me Baby
2. Broken Promise
3. Dreams
4. I Wonder Why
5. Your Fool
6. Worried Life
7. Love, Honor And Obey
8. Mercy, Mercy Baby


 本格的にブルースを聴こう、そう思ったのでした。
 最初に何を聴けばいいのか、何もわからなかったため、とりあえずB.B.だろう、そう思って選びました。 
 
 ストーンズは聴いていたと思いますが、まだ、マディもウルフも、ジミー・リードも聴いていませんでした。
 ロック少年にとって、ほとんど知識がないにも関わらず、ブルースといえば、キュイーンというチョーキングのロング・トーンだったのです。

 初めて聴いた印象は、さほど良いものではありませんでした。
 このヘヴィーな世界はなんなんだ、そう思いました。
 今なら違う思いを持つ曲も、ポップでキャッチーな音楽世界からやってきた、無垢なロック少年には、どろどろの世界のように感じたのでした。

 このアルバムには、必ずしもB.B.のベスト・テイクが収められてはいません。
 Fishin' After Meのような、B.B.には、あまり似あわない古いスタイルの曲もやっています。
 この曲は、タイトルが違いますが、中身はあのCat Fish Bluesなのでした。

 実は、合う合わないはそれぞれ違いますが、ほかにもビッグ・ブルースをやっています。
  The Road I Travelは、ロイ・ブラウンのHard Luck Bluesのパターンを使った曲です。
 Dreamsも、それに近い感じです。

 そして、Worried Lifeは、もちろん、Someday Babyの別名もある、あのWorried Life Bluesです。

 こういった曲は、今ならこれは好き、あれは今いちなどといっぱしの意見もありますが、当時の私には全て未知の重い世界でした。
 適当な例えが見つかりませんが、欧米人がアジア系の人を区別できないのと似ていたかも知れません。

 そんな私も、他の様々な音楽を聴きこむうちに、ある日、このLPの味わいに気付く日がやってきました。
 ある日、それは突然やってきたのです。

 私にとって、このアルバムは、冒頭の1曲につきます。
 
 満月の夜だったのかもしれません。
 ミスター・ムーンライトは、私に魔法をかけ、夢の世界へといざなってくれ、こう呟いたのでした。
 「これがブルースって、感覚なんだよ」
 
 この夜を境に、私の眼はそれまで見えなかった世界を覗きこむことが出来るようになったのです。
 このサッドでダークな世界(当時、強烈にそう思いました。)が、私を引きずりこみ、新たな音楽の捕らわれ人となしたのでした。

 そんな思い出の1枚です。

 明日は、気が変わらなければ、もう1枚のアルバムについても、お話したいと思います。




Broken Promiseです。




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