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アップセッターズ、心をかき乱されて

 よくあることなのですが、特定のレコードを探している時、全く見つからなくて、イライラし始めたころ、別の気になるレコードがひょっこり現れて、結局当初の目的を脇に置いて、その気になるレコードを夢中になって聴きだしてしまった、ということがあります。

 今回も、何年ぶりかで聴いた、このレコードがたまらなく今の気分にはまって、聴き惚れてしまいました。
 アナログ・レコード・プレイヤーを何年ぶりかで買ってから、私の音楽ライフは、とても豊かなものになったと思います。

 ただ、LP盤の数は、CDに比べれば大した量ではないんですが、ほとんど規則性なしに収納してしまっているので困ったものです。
 (目測で、2000枚以下、多分1600から1700枚くらいだと思います。)


The New Orleans Connection
The Upsetters

Side One
1. Hatti Malatti : Lee Diamond And The Upsetters
2. The Strip : The Upsetters
3. A Girl In Every City : Lee Diamond
4. Wake Up : The Upsetters
5. Baldhead Baby : Lee Diamond
6. Upsetter : The Upsetters
7. Mama Loochie : Lee Diamond
8. Upsetter Rock : The Upsetters

Side Two
1. Pigtails And Blue Jeans : Leonard Carbo
2. So Tired : Leonard Carbo
3. I'm Pleading Just For You : Larry Birdsong
4. If You Don't Want Me No More : Larry Birdsong
5. Time : Larry Birdsong
6. My Darling : Larry Birdsong
7. Baby, Baby : Leonard Carbo
8. I Don't Want Lose Her : Leonard Carbo


 やはり、50年代のリズム・アンド・ブルースは、コーヒーに例えるなら、芳醇な香りに溢れています。
 そのサウンド、空気感に触れているだけで、幸せな気分になれます。

 ひとときではありますが、俗世間のくだらないことを忘れさせ、私をリラックスさせてくれる、魔法の処方箋なのでした。

 このアルバムは、英チャーリーが84年にリリースしたもので、レイ・トッピング先生がコンパイルしたものです。

 内容は、シカゴのレーベル、ヴィー・ジェイが、57年から59年にかけて、ニューオリンズへ、タレント探しに出張して、コシモ・マタッサのスタジオで録音したもののようです。

 アップセッターズは、リトル・リチャードのツアー・バンドをやっていたことで一部で有名(?)なバンドで、テナー・サックスのGraddy Gainesを中心とした、サックス3本、ビアノ、ギター、ベース、ドラムスからなる7人編成のチームです。

 ちなみに、グラディ・ゲインズは、ボビー・ブランドの初期のデューク録音でギターを弾いた、Roy Gainesの兄弟です。(兄なのか弟なのか分からないのが英語の困るところですね。)

 80年代後半には、兄弟で組んで、ブラック・トップで新録アルバムを出しています。

 アップセッターズは、キャリアをヒューストンでスタートさせていて、ゲイトマウス・ブラウンのバックなども経験し、ビッグ・ウォルター・プライスの55年のピーコック録音、Pack Fair And Square(J.ガイルズ・バンドを思い出します。)で、バックを担当したようです。

 そういったバックボーンもあるのでしょうか?
 ボーカリストのバックを務めた演奏が、ニューオリンズR&B臭たっぷりなのに対して、アップセッターズ名義で出されたインスト・ナンバーは、ヒューストン・ジャンプというか、テキサスを感じさせる演奏に、私には聴こえます。

 
 とりわけ、それはA面に顕著で、リー・ダイアモンド名義の曲でもアップ・テンポの曲は、ニューオリンズ、というか、リトル・リチャーズ風を連想させます。
 リーの歌い方や声質がリトル・リチャードに似ており、意識しているのか、影響を受けたのか、それ風に歌ったりしています。

 対して、アップセッターズ名義の曲では、The Stripなどのサックス・リフ中心の曲は、ニューオリンズ風ですが、アグレッシブなギターをフューチャーした曲では、テキサスを感じます。
 ギターは、ナサニエル・ダグラスという人で、よく知らない人ですが、カッコいいプレイです。

 イビキのSEで始まる、Wake Upでは、ゲイトマウスとか、ピーウィーを思わせる、ニワトリの鳴き声風のせわしないフレーズを聴かせてくれます。
 サックスとギターが、せっかちにブリブリ、パキパキとリフを繰り返す、Upsetterというインストもカッコいいです。

 一方、B面は、レオナード・カーボと、ラリー・バードソングというボーカリスト名義の作品が収録されていて、はっきりと歌い手の個性による違いが感じられます。

 レオナード・カーボは、ヘイワード・カーボの兄弟だそうで、それって誰と思われるでしょうが、ヘイワードはチャック・カーボのことです。
 レオナードにも、チックという二つ名があって、レオナード・"チック"・カーボというそうです。

 チャック・カーボは、スパイダースという、ニューオリンズの有名なドゥ・ワップ・グループのボーカル出身で、のちにソロになったと思いますが、ソロの音楽は、よく知りません。
 ドゥ・ワップは、北部の都会のストリートを中心に発達した音楽でしたので、南部でナショナル・ヒットを出して成功したグループは希少です。

 レオナード・カーボ名義のPigtails And Blue Jeansには、エドガー・ブランチャードによる、ボ・デイドリー・スタイルのギターがフューチャーされています。
 エドガー・ブランチャードは、スワンプ・ポップ系のコンピなどで聴いていた人ですので、懐かしい名前を久しぶりに見て、嬉しいです。

 ラリー・バードソングは、なかなか個性的なボーカリストで、エクセロなど、ナッシュビルのレーベルに録音が有る人です。
 ろうろうとした歌い方に特徴があって、いいボーカリストだと思いますが、60年代のアーリー・ソウルの時代になっても、古いスタイルしか出来なかった人で、割り切って聴けば、私はいい歌手だと思います。

 私の趣味では、断然A面が好みです。

 このように、時折り予期しない良いアルバムを再発見したりするので、LP棚をごそごそするのも楽しいです。

 そうして見つけたアルバムは、大抵ほとんど内容を忘れているものばかりです。
 これは、幸せなことだと思います。


こちらは、リー・ダイアモンドのHatti Malattiです。



 
こちらは、ニワトリ・ギターが聴ける、Wake Upです。




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