2011年10月09日
シャーリー&リー、無類のデュオ
私は、時々思い出したように得心することがあります。
「ああ、自分は黒人音楽が好きなんだ」ということです。
心の琴線に触れる古いリズム&ブルースを聴いたとき、特にそういった思いがつのります。
私は、最近、Nick LoweとJohn Hiattの新作を聴きました。
わくわくして待っていたアイテムでしたが、実は最もわくわくしていたのは、CDが届くまでの間だったのだと思いました。
彼らの音楽に、昼も夜もなく身を焦がしたのは、はるか昔のことになりつつあります。
こういったとき、私が改めて思うのは、私はロックが好きなのではなく、きらきらと輝いている音楽が好きなのだということです。
とはいえ、私は、今後も彼らの作品に気をかけ続けるでしょう。
もう一度、1曲1曲をなめるように聴いた、あの頃のトキメキが戻ってきてほしいと願っています。
今回取り上げたものに、決して新しい要素はありませんが、私にとっての癒しの音楽です。
1. Let the Good Times Roll (Leonard Lee)
2. A Little Word (Leonard Lee)
3. I Feel Good (Leonard Lee)
4. All I Want to Do Is Cry (Leonard Lee)
5. You'd Be Thinking of Me (Leonard Lee)
6. Rock All Night (Leonard Lee)
7. That's What I Wanna Do (Leonard Lee)
8. I'm Gone (Leonard Lee, Dave Bartholomew)
9. Sweethearts (Shirlie Goodman, Leonard Lee)
10. That's What I'll Do (Leonard Lee)
11. Shirley, Come Back to Me (Shirlie Goodman, Leonard Lee)
12. Shirley's Back (Shirlie Goodman, Leonard Lee)
13. Don't You Know I Love You (Alvin Tyler)
14. Feel So Good (Leonard Lee)
15. Come on and Have Your Fun (Leonard Lee)
16. I'll Thrill You (Leonard Lee)
17. Don't Leave Me Here to Cry (Leonard Lee)
18. Before I Go (Leonard Lee, Shirlie Goodman, Earl Palmer)
19. The Reason Why (Shirlie Goodman, Leonard Lee)
20. I Didn't Want You (Leonard Lee)
21. I'll Do It (Deed I Do) (Leonard Lee)
22. Everybody's Rockin' (Leonard Lee)
23. Rockin' With the Clock (Leonard Lee, Eddie Mesner)
24. Lee's Dream (Leonard Lee)
25. The Flirt (Leonard Lee, Eddie Mesner)
26. Korea (Shirlie Goodman, Leonard Lee)
27. Comin' Over (Leonard Lee)
28. Marry Me (Earl Palmer, Leonard Lee)
29. When the Day Is Done (Leonard Lee)
30. True Love (Never Dies) (Leonard Lee)
Shirley & Leeを初めて聴いたのは、日本盤LP「アメリカを聴こう」シリーズの中の収録曲としてでした。
現物に当たらずに書いていますが、代表曲、"Let the Good Times Roll"と"I'm Gone"が出会いだと思います。
"Let the Good Times Roll"は、不思議な曲ですね。
というか、変な曲というべきかもしれません。
なんだか、すっとんきょうに弾むなピアノのイントロで始まり、そこへワン・アンド・オンリーのデュエットがのってきます。
とりわけ、女性ボーカルのShIrleyの声や歌い方が変で、印象的とかいう言葉を超えています。
非常に甲高くとんきょうな声で歌う人で、他に比較できる人はいないでしょう。
文章で表現するのが困難ですが、あえて、この曲を聴いたことのない、中高年向きに比喩をしますと、さくらと一郎の「昭和枯れすすき」を苦し紛れに例えさせてください。
あの曲は、スムースな男性シンガーの歌いだしを受けて、不意うちのように発せられる、一見調子はずれかのような「いーえ」という女性シンガーのレスポンスが衝撃的でした。
あのとんきょうな高い女性パートの歌いだしのスリリングさ、そこにShirley & Leeとの共通性を感じます。
今回、曲のクレジットを確認して、男性シンガーのLeonard Leeが、ほとんどの曲を書いており、彼が優れたソング・ライターであることを知りました。
男性シンガーのLeeは、Shirleyの甲高いとんきょうなボーカルに合わせて、しばしばユーモラスな歌い方をしており、お似合いのカップルだと思っていましたが、今回、30曲を聴きなおしてみて、実は味のあるいいテナー・シンガーだと気付きました。
Leeがメインをはる曲や、ソロ・パートが長い曲を聴くとそれが分かります。
今回の私の注目曲は、以下の通りです。
2. A Little Word
3. I Feel Good
4. All I Want to Do Is Cry
5. You'd Be Thinking of Me
7. That's What I Wanna Do
8. I'm Gone
10. That's What I'll Do
12. Shirley's Back
14. Feel So Good
20. I Didn't Want You
24. Lee's Dream
27. Comin' Over
トラック2の"A Little Word"は、初めて聴いたとき、どうも居心地の悪い、そわそわとした気分になりました。
この曲には、なんだか聞き覚えがあるのです。
しばし頭をひねりましたが、解答が閃けば何ということはない、Lloyd Priceの大名作、「ジャスト・ビコーズ」のメロディそのものではないですか。
このような有名曲でも、歌詞が違うとすぐにマッチングしないものなのでした。
作者がLeeとなっていますが、まあ黒人音楽では、似た曲を自作として発表するのはさほど珍しいことではありません。
トラック3の"I Feel Good"は、トラック14の"Feel So Good"と併せて聴きたいかっこいいリズム・ナンバーです。
聴いていて、とても元気になれる曲で、二人の軽快なコンビネーションが最高に決まった傑作だと思います。
"I Feel Good"は、Leeの比較的長めのソロ・パートで始まる曲で、彼の艶のあるテナー・ボイスを堪能できます。
もちろん、女性パートに切り替わる瞬間はスリリングでたまりません。
"Feel So Good"は、"Let the Good Times Roll"と似たイントロで始まる曲で、Swamp Popシンガーに人気の曲だと思われます。
兄妹デュオ、Van & Graceのカバーが聴きものです。
トラック4の"All I Want to Do Is Cry"ですが、この言い回しは慣用句なのでしょう。
同名またはよく似たタイトルの曲があります。
これはLee作のオリジナルです。
トラック5の"You'd Be Thinking of Me"は、とてもブルージーな曲で、この時代ではよくあるスタイルですが、ここではLeeがチャールズ・ブラウンばりの素晴らしい喉を聴かせています。
トラック7の"That's What I Wanna Do"は、Shirleyが出てくると一瞬で世界がユーモラスになる、ハッピーな展開が楽しめます。
トラック8の"I'm Gone"もまた、Shirleyが最高のパフォーマンスを聴かせる曲です。
この曲の展開は、まさに、さくらと一郎を連想します。
トラック10の"That's What I'll Do"は、最近の私のお気に入りの一人、Swamp PopシンガーのWayne Foretの秀逸なカバーがあります。
トラック12の"Shirley's Back"は、トラック11の"Shirley, Come Back to Me"と組みになっているのでしょうか。
ここでは、Shirleyが「ただいま」と何度か呟き、Leeが「おかえり」と返す、それだけの曲のようです。
2曲には、ストーリーに連続性があるのではとも思いますが、精査できていません。
トラック20の"I Didn't Want You"は、一転してLeeが「ごめんなさい」と謝罪し続けるブルージー・バラードです。
曲名との関係が知りたいですね。
トラック24の"Lee's Dream"は、ほぼLeeのソロ・パートで珍しく構成されている曲で、Shirleyが語りのセリフのみで出てくるのが面白いです。
曲の雰囲気は、そこはかとなく、Johnny Aceを連想させます。
トラック27の"Comin' Over"は、調子のいい軽快な曲で、サビこそ違いますが、前半のメロディは「ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン」を連想させます。
30曲を一気に聴きとおすのは、正直疲れますが、こういう好きなアーティストだと、あれこれ思うことが湧き出してきて、充実した時間を過ごすことが出来て楽しいです。
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ヴァンとグレース再び
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「ああ、自分は黒人音楽が好きなんだ」ということです。
心の琴線に触れる古いリズム&ブルースを聴いたとき、特にそういった思いがつのります。
私は、最近、Nick LoweとJohn Hiattの新作を聴きました。
わくわくして待っていたアイテムでしたが、実は最もわくわくしていたのは、CDが届くまでの間だったのだと思いました。
彼らの音楽に、昼も夜もなく身を焦がしたのは、はるか昔のことになりつつあります。
こういったとき、私が改めて思うのは、私はロックが好きなのではなく、きらきらと輝いている音楽が好きなのだということです。
とはいえ、私は、今後も彼らの作品に気をかけ続けるでしょう。
もう一度、1曲1曲をなめるように聴いた、あの頃のトキメキが戻ってきてほしいと願っています。
今回取り上げたものに、決して新しい要素はありませんが、私にとっての癒しの音楽です。
Let The Good Times Roll
Shirley and Lee
Shirley and Lee
1. Let the Good Times Roll (Leonard Lee)
2. A Little Word (Leonard Lee)
3. I Feel Good (Leonard Lee)
4. All I Want to Do Is Cry (Leonard Lee)
5. You'd Be Thinking of Me (Leonard Lee)
6. Rock All Night (Leonard Lee)
7. That's What I Wanna Do (Leonard Lee)
8. I'm Gone (Leonard Lee, Dave Bartholomew)
9. Sweethearts (Shirlie Goodman, Leonard Lee)
10. That's What I'll Do (Leonard Lee)
11. Shirley, Come Back to Me (Shirlie Goodman, Leonard Lee)
12. Shirley's Back (Shirlie Goodman, Leonard Lee)
13. Don't You Know I Love You (Alvin Tyler)
14. Feel So Good (Leonard Lee)
15. Come on and Have Your Fun (Leonard Lee)
16. I'll Thrill You (Leonard Lee)
17. Don't Leave Me Here to Cry (Leonard Lee)
18. Before I Go (Leonard Lee, Shirlie Goodman, Earl Palmer)
19. The Reason Why (Shirlie Goodman, Leonard Lee)
20. I Didn't Want You (Leonard Lee)
21. I'll Do It (Deed I Do) (Leonard Lee)
22. Everybody's Rockin' (Leonard Lee)
23. Rockin' With the Clock (Leonard Lee, Eddie Mesner)
24. Lee's Dream (Leonard Lee)
25. The Flirt (Leonard Lee, Eddie Mesner)
26. Korea (Shirlie Goodman, Leonard Lee)
27. Comin' Over (Leonard Lee)
28. Marry Me (Earl Palmer, Leonard Lee)
29. When the Day Is Done (Leonard Lee)
30. True Love (Never Dies) (Leonard Lee)
Shirley & Leeを初めて聴いたのは、日本盤LP「アメリカを聴こう」シリーズの中の収録曲としてでした。
現物に当たらずに書いていますが、代表曲、"Let the Good Times Roll"と"I'm Gone"が出会いだと思います。
"Let the Good Times Roll"は、不思議な曲ですね。
というか、変な曲というべきかもしれません。
なんだか、すっとんきょうに弾むなピアノのイントロで始まり、そこへワン・アンド・オンリーのデュエットがのってきます。
とりわけ、女性ボーカルのShIrleyの声や歌い方が変で、印象的とかいう言葉を超えています。
非常に甲高くとんきょうな声で歌う人で、他に比較できる人はいないでしょう。
文章で表現するのが困難ですが、あえて、この曲を聴いたことのない、中高年向きに比喩をしますと、さくらと一郎の「昭和枯れすすき」を苦し紛れに例えさせてください。
あの曲は、スムースな男性シンガーの歌いだしを受けて、不意うちのように発せられる、一見調子はずれかのような「いーえ」という女性シンガーのレスポンスが衝撃的でした。
あのとんきょうな高い女性パートの歌いだしのスリリングさ、そこにShirley & Leeとの共通性を感じます。
今回、曲のクレジットを確認して、男性シンガーのLeonard Leeが、ほとんどの曲を書いており、彼が優れたソング・ライターであることを知りました。
男性シンガーのLeeは、Shirleyの甲高いとんきょうなボーカルに合わせて、しばしばユーモラスな歌い方をしており、お似合いのカップルだと思っていましたが、今回、30曲を聴きなおしてみて、実は味のあるいいテナー・シンガーだと気付きました。
Leeがメインをはる曲や、ソロ・パートが長い曲を聴くとそれが分かります。
今回の私の注目曲は、以下の通りです。
2. A Little Word
3. I Feel Good
4. All I Want to Do Is Cry
5. You'd Be Thinking of Me
7. That's What I Wanna Do
8. I'm Gone
10. That's What I'll Do
12. Shirley's Back
14. Feel So Good
20. I Didn't Want You
24. Lee's Dream
27. Comin' Over
トラック2の"A Little Word"は、初めて聴いたとき、どうも居心地の悪い、そわそわとした気分になりました。
この曲には、なんだか聞き覚えがあるのです。
しばし頭をひねりましたが、解答が閃けば何ということはない、Lloyd Priceの大名作、「ジャスト・ビコーズ」のメロディそのものではないですか。
このような有名曲でも、歌詞が違うとすぐにマッチングしないものなのでした。
作者がLeeとなっていますが、まあ黒人音楽では、似た曲を自作として発表するのはさほど珍しいことではありません。
トラック3の"I Feel Good"は、トラック14の"Feel So Good"と併せて聴きたいかっこいいリズム・ナンバーです。
聴いていて、とても元気になれる曲で、二人の軽快なコンビネーションが最高に決まった傑作だと思います。
"I Feel Good"は、Leeの比較的長めのソロ・パートで始まる曲で、彼の艶のあるテナー・ボイスを堪能できます。
もちろん、女性パートに切り替わる瞬間はスリリングでたまりません。
"Feel So Good"は、"Let the Good Times Roll"と似たイントロで始まる曲で、Swamp Popシンガーに人気の曲だと思われます。
兄妹デュオ、Van & Graceのカバーが聴きものです。
トラック4の"All I Want to Do Is Cry"ですが、この言い回しは慣用句なのでしょう。
同名またはよく似たタイトルの曲があります。
これはLee作のオリジナルです。
トラック5の"You'd Be Thinking of Me"は、とてもブルージーな曲で、この時代ではよくあるスタイルですが、ここではLeeがチャールズ・ブラウンばりの素晴らしい喉を聴かせています。
トラック7の"That's What I Wanna Do"は、Shirleyが出てくると一瞬で世界がユーモラスになる、ハッピーな展開が楽しめます。
トラック8の"I'm Gone"もまた、Shirleyが最高のパフォーマンスを聴かせる曲です。
この曲の展開は、まさに、さくらと一郎を連想します。
トラック10の"That's What I'll Do"は、最近の私のお気に入りの一人、Swamp PopシンガーのWayne Foretの秀逸なカバーがあります。
トラック12の"Shirley's Back"は、トラック11の"Shirley, Come Back to Me"と組みになっているのでしょうか。
ここでは、Shirleyが「ただいま」と何度か呟き、Leeが「おかえり」と返す、それだけの曲のようです。
2曲には、ストーリーに連続性があるのではとも思いますが、精査できていません。
トラック20の"I Didn't Want You"は、一転してLeeが「ごめんなさい」と謝罪し続けるブルージー・バラードです。
曲名との関係が知りたいですね。
トラック24の"Lee's Dream"は、ほぼLeeのソロ・パートで珍しく構成されている曲で、Shirleyが語りのセリフのみで出てくるのが面白いです。
曲の雰囲気は、そこはかとなく、Johnny Aceを連想させます。
トラック27の"Comin' Over"は、調子のいい軽快な曲で、サビこそ違いますが、前半のメロディは「ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン」を連想させます。
30曲を一気に聴きとおすのは、正直疲れますが、こういう好きなアーティストだと、あれこれ思うことが湧き出してきて、充実した時間を過ごすことが出来て楽しいです。
I Feel Good by Shirley & Lee
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投稿者:エル・テッチ|10:34|リズム・アンド・ブルース
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