2011年06月06日
土曜の夜はバイユー・ポップ
"Louisiana Saturday Night"という英Aceのコンピレーションは、ご存じかと思います。
スワンプ・ポップのファンなら、まず最初に聴くべきバイブル的なコンピですね。
その名作コンピで、ギターを構える姿がジャケ写に使用されていた青年がいます。
今回は、その主人公、Van Broussardの初期音源集を聴きました。
1. Pledging My Love - Van & Grace
2. Feel So Good - Van & Grace
3. When It Rains It Pours
4. In Real Life
5. Young Girls - Grace Broussard
6. Hot Nuts
7. Your Picture
8. My Girl Across Town
9. Everything's Gonna Be Alright - Van & Grace
10. My Ting-a-ling
11. I'm Asking For Forgiveness
12. Hold My Hand
13. Baby Please
14. By The Light Of The Silvery Moon - Grace Broussard
15. Crying To See You
16. Miss You So (Instrumental)
本盤の収録曲ですが、録音時期など詳細が明記されていません。
ライナーには、50年代と60年代のアナログ・マスターからデジタル化した、と簡単に記されているだけです。
既に通して数回聴いていますが、良いです。
風呂上りに、また聴いているのですが、和みまくっています。
先の英Aceのコンピでは、"Feed The Frame"や"I'm Not A Fool Anymore"といった名作のVan盤が収録されていました。
そちらも良かったですが、曲の良さが先に立って、今一個性が分かりにくかった面がありました。
その点、こちらの収録曲は、やはりそれなりの選曲ではありますが、まとめて聴くことによって、その得難い個性をしっかりと堪能することができました。
また、ソロ名義以外でも、妹のGraceとのデュオや、妹のソロまで含む内容になっていて、全く飽きさせません。
音としては、基本的に、ティーン・ポップ的側面もしっかりと残しつつ、にじみ出るリズム&ブルース・テイストがたまりません。
Van & Grace名義のものは、比較的ティーン・ポップ的な狙いで作られています。
冒頭の" Pledging My Love"で、まず驚かされます。
多くのシンガーにカバーされたJohnny Aceの名作ですが、この男女デュオ・バージョンはとても新鮮です。
男性と女性が、交互にパートを歌うスタイルで、考えればしごく普通ではありますが、この曲をそのスタイルで聴いたのは初めてで、眼がさめる思いがしました。
間奏では、「ヴァン」「グレース」と呼びかけあい、それぞれの語りが入るというユニークさです。
これは、ぜひ聴いていただきたいです。
スワンプ・ポップ版「ポールとポーラ」というのは言い過ぎでしょうが(それほど甘くはないです)、とにかくこの名作に別の魅力を引き出した功績は大きいと思います。
Van & Grace名義の作品は、いかにも青春Popsという感じで、懐かしのアメグラを思い出します。
でも、隠しきれないR&Bテイストがにじみ出ており、好きもの心をそそらせずにはいられないのでした。
Graceのボーカルは、基本はキュート路線ながら、時にはパンチを効かせた「ミス・ダイナマイト」路線もありで、楽しませてくれます。
"Feel So Good"では、シャーリー&リーばりに、ジャンプ感たっぷりに、パンチの効いたR&Bを聴かせてくれます。
軽快なジャンプ・サウンドに乗って歌われる、爽やかな二人のデュエットが最高です。
一方、Vanのソロでは、Billy "The Kid" Emersonの"When It Rains It Pours"や、Bobby Charlesの"Your Picture"をやっているのが嬉しいです。
そして、中でも"My Ting-a-ling"(正しい表記は"My Ding-a-Ling)が素晴らしい出来です。
Chuck Berryでナショナル・ヒットした曲ですが、元々はDave Barthoromewが書いた曲です。
先だってリリースされた英Aceのコンピ、"The Big Beat : The Dave Barthoromew Songbook"で、Dave盤を聴いたばかりでしたので、感激もひとしおでした。
そして、もう1曲、Clyde McPhatterの"Hold My Hand"が最高の出来で感激しました。
Vanのボーカルの乗りも、ウキウキするようなバンドの乗りも快感そのものです。
Graceのソロも素晴らしいです。
"Young Girl"では、ガール・ポップの味わいもたっぷりに、しっとりとしたバラードを聴かせています。
また、Little Richardのバージョンが鮮烈だったスタンダード、"By The Light Of The Silvery Moon"では、キュートかつ大人の雰囲気も加味したスタイリッシュなスタイルで、新たな魅力を表現しています。
この頃、彼女は何歳だったのでしょう。
Van Broussardは、37年、ルイジアナ州プレイリーヴィル出身、妹のGraceは、44年生まれ、出身地は同じです。
妹のGraceは、こののち、男性シンガー、Dale HoustonとDale & Graceとして男女デュオを組みます。
このあたり、前後関係に確信が持てないまま、推測で書いていますが、おそらくそういう順番だと思います。
そうです。
Don & Deweyの"I'm Leavin' It All Up To You"をカバーして、大ヒットさせたDale & GraceのGraceこそ、Vanの妹、Grace Broussardなのでした。
うーん、こちらでは、ティーン・ポップ路線を極めた結果、スワンプ・ポップの名作としても、長く語り継がれる作品を生み出したわけです。
Van Broussardは、好青年でもありますし、その黒っぽい音楽性からいっても、オンリー・ワンのヒット曲さえあれば、あるいはJimmy Clantonのような立ち位置になっていた人だったかも、と私は思います。
Vanは、近年も音楽活動を継続しており、レパートリーを見ると全く音楽的嗜好に変化はないようで、嬉しいです。
近作では、Graceがゲスト参加して歌っているアルバムもあるようです。
スワンプ・ポップのファンなら、まず最初に聴くべきバイブル的なコンピですね。
その名作コンピで、ギターを構える姿がジャケ写に使用されていた青年がいます。
今回は、その主人公、Van Broussardの初期音源集を聴きました。
The Early Years
Van Broussard
Van Broussard
1. Pledging My Love - Van & Grace
2. Feel So Good - Van & Grace
3. When It Rains It Pours
4. In Real Life
5. Young Girls - Grace Broussard
6. Hot Nuts
7. Your Picture
8. My Girl Across Town
9. Everything's Gonna Be Alright - Van & Grace
10. My Ting-a-ling
11. I'm Asking For Forgiveness
12. Hold My Hand
13. Baby Please
14. By The Light Of The Silvery Moon - Grace Broussard
15. Crying To See You
16. Miss You So (Instrumental)
本盤の収録曲ですが、録音時期など詳細が明記されていません。
ライナーには、50年代と60年代のアナログ・マスターからデジタル化した、と簡単に記されているだけです。
既に通して数回聴いていますが、良いです。
風呂上りに、また聴いているのですが、和みまくっています。
先の英Aceのコンピでは、"Feed The Frame"や"I'm Not A Fool Anymore"といった名作のVan盤が収録されていました。
そちらも良かったですが、曲の良さが先に立って、今一個性が分かりにくかった面がありました。
その点、こちらの収録曲は、やはりそれなりの選曲ではありますが、まとめて聴くことによって、その得難い個性をしっかりと堪能することができました。
また、ソロ名義以外でも、妹のGraceとのデュオや、妹のソロまで含む内容になっていて、全く飽きさせません。
音としては、基本的に、ティーン・ポップ的側面もしっかりと残しつつ、にじみ出るリズム&ブルース・テイストがたまりません。
Van & Grace名義のものは、比較的ティーン・ポップ的な狙いで作られています。
冒頭の" Pledging My Love"で、まず驚かされます。
多くのシンガーにカバーされたJohnny Aceの名作ですが、この男女デュオ・バージョンはとても新鮮です。
男性と女性が、交互にパートを歌うスタイルで、考えればしごく普通ではありますが、この曲をそのスタイルで聴いたのは初めてで、眼がさめる思いがしました。
間奏では、「ヴァン」「グレース」と呼びかけあい、それぞれの語りが入るというユニークさです。
これは、ぜひ聴いていただきたいです。
スワンプ・ポップ版「ポールとポーラ」というのは言い過ぎでしょうが(それほど甘くはないです)、とにかくこの名作に別の魅力を引き出した功績は大きいと思います。
Van & Grace名義の作品は、いかにも青春Popsという感じで、懐かしのアメグラを思い出します。
でも、隠しきれないR&Bテイストがにじみ出ており、好きもの心をそそらせずにはいられないのでした。
Graceのボーカルは、基本はキュート路線ながら、時にはパンチを効かせた「ミス・ダイナマイト」路線もありで、楽しませてくれます。
"Feel So Good"では、シャーリー&リーばりに、ジャンプ感たっぷりに、パンチの効いたR&Bを聴かせてくれます。
軽快なジャンプ・サウンドに乗って歌われる、爽やかな二人のデュエットが最高です。
一方、Vanのソロでは、Billy "The Kid" Emersonの"When It Rains It Pours"や、Bobby Charlesの"Your Picture"をやっているのが嬉しいです。
そして、中でも"My Ting-a-ling"(正しい表記は"My Ding-a-Ling)が素晴らしい出来です。
Chuck Berryでナショナル・ヒットした曲ですが、元々はDave Barthoromewが書いた曲です。
先だってリリースされた英Aceのコンピ、"The Big Beat : The Dave Barthoromew Songbook"で、Dave盤を聴いたばかりでしたので、感激もひとしおでした。
そして、もう1曲、Clyde McPhatterの"Hold My Hand"が最高の出来で感激しました。
Vanのボーカルの乗りも、ウキウキするようなバンドの乗りも快感そのものです。
Graceのソロも素晴らしいです。
"Young Girl"では、ガール・ポップの味わいもたっぷりに、しっとりとしたバラードを聴かせています。
また、Little Richardのバージョンが鮮烈だったスタンダード、"By The Light Of The Silvery Moon"では、キュートかつ大人の雰囲気も加味したスタイリッシュなスタイルで、新たな魅力を表現しています。
この頃、彼女は何歳だったのでしょう。
Van Broussardは、37年、ルイジアナ州プレイリーヴィル出身、妹のGraceは、44年生まれ、出身地は同じです。
妹のGraceは、こののち、男性シンガー、Dale HoustonとDale & Graceとして男女デュオを組みます。
このあたり、前後関係に確信が持てないまま、推測で書いていますが、おそらくそういう順番だと思います。
そうです。
Don & Deweyの"I'm Leavin' It All Up To You"をカバーして、大ヒットさせたDale & GraceのGraceこそ、Vanの妹、Grace Broussardなのでした。
うーん、こちらでは、ティーン・ポップ路線を極めた結果、スワンプ・ポップの名作としても、長く語り継がれる作品を生み出したわけです。
Van Broussardは、好青年でもありますし、その黒っぽい音楽性からいっても、オンリー・ワンのヒット曲さえあれば、あるいはJimmy Clantonのような立ち位置になっていた人だったかも、と私は思います。
Vanは、近年も音楽活動を継続しており、レパートリーを見ると全く音楽的嗜好に変化はないようで、嬉しいです。
近作では、Graceがゲスト参加して歌っているアルバムもあるようです。
My Ting-a-Lingです。
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