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普通に楽しめますが怪しいです

 なんとも怪しいCDが出ています。(正確にはCD-Rでした。)
 Bobby Blandの新作が、03年のBlues At Midnight以来、出ていないことが気がかりでしたので、アマゾンUSでこのCDを見つけた時は、素直に嬉しかったです。

 ただ、ジャケットに使用されている写真は、アングルのせいもあるんでしょうが、かなり老化が進行した顔で、痛々しささえ感じます。

 BlandのCDに渇望していなかったら、このCDに簡単に手を出すことはなかったでしょう。
 少なくとも、購入順位はかなり低かったと思います。


Greatest Hits Live
Bobby Bland

1. Stormy Monday Blues
2. This Time I'm Gone for Good
3. Blues Medley
4. I Pity the Fool
5. Ain't That Lovin' You
6. I'll Take Care of You
7. That's the Way Love Is
8. St. James Infirmary Blues
 

 怪しいのは、ほぼ同時期に出たと思われる、Ain't That Loving You(Live)というCDです。

 こちらは、タイトルこそ違いますが、同じ会社から出て、収録曲と曲数が同じで曲順だけが違います。
 なんといっても、2種のCDの各曲のランタイムがぴったり一致しているのが、お粗末すぎます。

 さて、届いた現物を見てさらに驚きました。
 発売会社は、Setco Acewonder ltd.と表記されているのが唯一の手掛かりです。
 製品番号さえありません。
 ただし、Amazon Usの商品詳細欄にはASIN番号が記載されています。

 リーフレットは二つ折りですが、見開きを開くと、そこには1文字も印刷されていず、1色ベタ塗りになっていました。
 バックインレイに記載されている曲目リストが情報の全てということになります。

 いつごろの録音なのかだけでも知りたいものです。
 ジャケットの写真が、頬がこけた老いた顔であっても、収録曲とはなんの関係もない可能性はあります。

 とはいえ、80歳を超えた人です。
 既に7年、新作アルバムのリリースがありませんが、このまま、フェード・アウトしないことを切に願います。
 B.B.Kingとともに、まだまだブルース界を引っ張っていってほしいです。

 全体的に、観客の「Yeah!」や、拍手がかなり近めに聴こえるつくりのアルバムになっています。
 また、女性客のバカ笑いが盛んに聞こえる箇所もあります。
 
 気になっているのは、Blues Medleyの中身です。
 15分に及ぶこのトラックは、全体が長尺のスロー・ブルースのように聞こえ、どのあたりがメドレーなのか判然としません。

 むしろ、トラック2のThis Time I'm Gone for Goodのほうが分かりやすくて、途中でレイ・チャールズのLonely Avenueのフレーズが入るのがはっきりわかります。

 トラック3は、初めのうち、さかんに「It's Too Late Baby…」というフレーズが気になり、しかも曲後半になると、いつのまにか「Thay Call It…」とStomy Monday Bluesになっていることに気付きます。

 さあ、気を取り直して、もう一度聴きたいと思います。
 なにしろ、2日連続で不覚にも途中で眠ってしまっているのです。

 しかし、またしても、睡魔が勝利しそうです。



こちらは、06年のライヴです。頭髪がジャケ写に近く、なかなか元気そうです




 関連記事はこちら  ギタリストでたどるデュークのブランド
              サンキュー・ボビー
              ブルー・バラードで眠りたい


ヒューイ・ルイス、ライヴならいいかも

 私が音楽を聴く状況は、「ながら」の場合が多いです。
 時間に余裕があるときも、音楽だけに集中することは少なく、文庫本のページをくりながら聴いたりするのが、最も多いです。

 しかし、最近、じっくり聴きいってしまう1枚のアルバムがあります。
 その理由は、単純に「好きだから」とかいったものではありません。
 そのアルバムは、Huey Lewis And The Newsの9年ぶりの新作です。


Soulsville
Huey Lewis And The News

1. Don't Fight It
2. Got To Get You Off My Mind
3. Free
4. Respect Yourself
5. Cry To Me
6. Just One More Day
7. Never Found A Girl
8. Soulsville
9. Little Sally Walker
10. I Want To (Do Everything For You)
11. Just The One (I've Been Looking For)
12. Don't Let The Green Grass Fool You
13. Never Like This Before
14. Grab This Thing


 私は、考えながら聴いています。
 このアルバムのどこが、私を不安にさせるのだろうかと…。

 ここ数日、繰り返し聴いてきて、それなりに愛着がわいてきていますが、とことんは好きと言えませんでした。 

 今回のアルバムは、スタックスの名曲への敬意を表したもので、一部のアトランティック音源のカバーも含め、選曲の大半は私の好みと一致しています。

 なぜ、好みの音楽が詰まっているはずなのに、すっきりと「好きだ」と言えなかったのか、自問し続けています。

 この手の企画盤は、大好物です。
 なのに、感じるのは、同じヒューイ・ルイスの94年作、Four Chords & Several Years Ago に持った印象に近いものが有りました。

 私は、この地味なカバー集が気になって、しばしばプレイヤーにかけましたが、その音から私が興奮を得ることは、なかなか困難なことでした。

 今回のアルバムは、94年のカバー集よりも、さらに私の好みに近い選曲集です。
 録音もメンフィスでされていて、私は何が不満なのでしょう?

 南部録音ではありますが、よくある成功したバンドの聖地めぐりとは違い、地元の伝説的セッション・メンと吹き込んだものではなく、自らのバンドで、憧れの名曲に果敢に挑んだ意欲作と言えるのかも知れません。

 収録曲で、私の昔からのお気に入りは、エディ・フロイドのNever Found A Girl、ジョニー・テイラーのJust The One (I've Been Looking For)、そしてウイリアム・ベルのNever Like This Beforeです。

 ただ、これらの曲は原曲が好きなのであって、ヒューイのバージョンを聴いて、眼がさめるように曲に対する認識を新たにさせられたわけではありません。

 例えば、ケイト・テイラー盤、I Got The Willを聴いて、私はそれまで一顧だにしていなかったオーティスの原曲が大好きになりました。
 デイヴ・エドマンズが、「ガッタ、ガッタ」したかった理由が、初めて理解できた気がしました。

 同様のことが、ブラッククロウズ盤のHard To Handleを、バーの有線放送で始めて聴いたときにも起こりました。

 それらと同じことを期待してしまい、得られなかったことが、私をいらつかせていたのだと思います。

 ただ、先ほど、YouTubeで動画を見たところ、少し印象が変わりました。
 「これもいいかも」と、初めて気持ちが動いたのです。

 幸い、私が比較的気に入っている曲がアップされていたことが、その想いを強めてくれたのだと思います。
 さらに繰り返し聴きこんでいきたいと思いつつも、私の心は買い逃していた前作、Plan Bに想いを寄せ始めています。

 01年のPlan Bでは、ニック・ロウのWhen I Write A Bookがカバーされていることを、知ったからなのでした。



こんなソウル・レビュー風の演奏を見ると気持ちが動きます。



こちらもいい感じです。やっぱりライヴの方がいいかも



こちらはおまけです。



ワイルド・ワン

 obinさんの日誌を読みました。
 DJをされたあとにアップされるプレイリストの発表は、いつも楽しみにしています。
 今回、Mitch Ryderを回されていたことに触発されて、久しぶりにあるCDを引っ張り出してきました。
 私にとってのデトロイト・ロックは、キッスでもMC5でもありません。


The Greatest Hits
Suzi Quatro

1. キャン・ザ・キャン
2. 48 クラッシュ
3. デイトナ・デモン
4. 悪魔とドライヴ
5. トゥ・ビッグ
6. ワイルド・ワン
7. ママのファンキー・ロックン・ロール
8. ビット・オフ
9. 恋するヤング・ガール
10. 恋はドッキリ
11. ロキシー・ローラー(サケロック)
12. 涙のヤング・ラヴ
13. レースに賭けよう
14. 愛のゲーム
15. ママズ・ボーイ
16. ネバー・ラヴ
17. ローリング・ストーン (モノーラル録音)
18. オール・シュック・アップ
19. キープ・ア・ノッキン
20. 起きろよスージー

 スージー・クアトロが好きだなんて、意外ですか?
 でも、持っているのは、このベスト盤CD1枚だけなんです。
 レパートリー的ににも、女ミッチ・ライダーという感じですよね。

 ヒット曲歌手というイメージを持っていましたが、ヨーロッパで成功しても、本国アメリカでは長く不遇であったことを知りました。
 ブラック・ミュージックへのアプローチの仕方に、愛着を感じます。
 
 とにかく、ポップでキャッチーで、ガツンとくるところが気に入っています。
 ただ、この曲が好きだと言えるようになるまで、私には時間が必要でした。

 この手のトップ40的な曲は、ヒットした当時は、ほとんど関心がないんですが、概ね20年が経過すると、素直に「好き嫌い」で語れるようになれるようです。

 デトロイトのロックで、もう一組名前をあげるとすると、ロマンティックスが私の好みです。




車に乗らないといけわないわけぢゃないけれど

 テレビ朝日の音楽番組「ミュージック・ステーション」には、Birth Year Songsというコーナーがあります。
 「自分の生まれた年のヒット曲を聴く」という趣旨のコーナーなのですが、主に小中学生に、生まれた年のヒット曲を聴かせて、素直な感想を引き出すコーナーです。
 率直で飾らない子供たちの反応が微笑ましい、私が番組中で最も好きな時間です。

 
Cruisin' 1959
The Original Histry Of Rock And Roll Radio!

Side One
Hunter Hancock Theme
1. (Baby) Hully Gully / The Olympics
Jordan High School Record Hop
2. There Is Something On Your Mind / Big Jay McNeely
Chuck Berry Bit
3. Almost Grown / Chuck Berry
Saturday Evening Post Commercial
4. What A Difference A Day Makes / Dinah Washington
Champion Spark Plug Commercial
5. Say Man / Bo Diddley
KGFJ Station I.D.

Side Two
1. Sixteen Candles / The Crests
2. Personality / Lloyd Price
Dolphin's of Hollywood Commercial
3. It's Just A Matter Of Time / Brook Benton
4. Sea Of Love / Phil Phillips
Robert Hall Commercial
5. Kansas City / Wilbert Harrison
Hunter Hancock Theme


 このアルバムは、Cruisin'というオールディーズ・コンピのシリーズの1枚です。
 アルバムは、1年1枚単位で組まれていて、シリーズは1955年から1970年まで、全部で16枚あるようです。

 内容は、ラジオ番組を模したもので、ディスクジョッキーの曲紹介や、ジングル、当時のコマーシャルなどを再現した構成になっています。
 この1959年盤では、LAのKGFJ局のハンター・ハンコックというDJによる軽快な進行が楽しめます。

 収録されている曲は、必ずしもオリジナル・バージョンではありませんし、曲のあたまにおしゃべりが被ったりもしていますが、当時に想いをはせ、雰囲気の一端を疑似体験できる、ちょっと他にはないアイテムです。

 このアルバムを買った動機は、ハニードリッパーズで知った、Sea Of Loveの原曲を聴くためでしたが、ダイナ・ワシントンのWhat A Difference A Day Makesや、ブルック・ベントンのIt's Just A Matter Of Timeは、ここで聴かなければ、ずっと出会いは遅くなったと思います。

 ウィルバート・ハリスンのKansas Cityとの出会いも、このアルバムが最初で、ビートルズのバージョンがリトル・リチャード盤がお手本であることを、腰をぬかすような衝撃とともに確認したのでした。

 その後、この構成の楽しさに魅かれ、別の年のアルバムも買いました。
 ちなみに、58年盤では、セントルイスのジャック・カーニーの、60年盤では、バッファローのディック・ビオンディのDJを聴くことができます。

 今回、いくつかあるなかで、なぜこの年のものをチョイスしたのかは、ヒミツです。
 
 

こちらは、ハンター・ハンコックのテーマです。



こちらは、南カリフォルニアの放送局の楽しいジングル集です。



マザー・ロードをゆく

 ハイウェイ・ソングやトラック・ドライバーズ・ソングが好きです。
 この二つは似ていて、どちらとも分類できるものがありますが、地名が歌いこまれた曲が特に私の好みです。

 このアルバムは、Asleep At The Wheelのドラマー、David Sangerが編さんしたもので、01年にリリースされています。
 ルート66をテーマにした曲をコンパイルしたもので、95年リリースのSongs Of Route 66の続編にあたるものです。


More Songs Of Route 66
Roadside Attractions

1. Introduction / Route 66 / Marcia Ball
2. Sweet Home Chicago / Randy Garibay
3. You Came A Long Way From St.Louis / Gary Primich
4. Hoppin' in Joplin / Maryann Price
5. Oklahoma Hills / Jimmy Lafave & Night Tribe
6. T-U-L-S-A Straight Ahead / Jason Roberts
7. Midnight in Amarillo / Cindy Cashdollar
8. Tucumcari, Here I Come / Dale Watson
9. Albuquerque / Asleep at the Wheel
10. Goodbye, California (Hello, Illinois) / Two High String Band
11. Gallop to Gallup / Dale Watson
12. Arizona State Line / Red Dirt Rangers
13. California Sun / The Leroi Brothers
14. 66 Highway Blues / Steve James


 収録アーティストは、私にとって未知の人が大半ですが、カントリーの世界ではそれなりに有名なアーティストの可能性は高いです。

 70年代にサザン・ロックとカテゴリーされたバンドは、現在ならカントリー専門のFM局や、衛星放送などで流れていることが多いです。

 ここに含まれている一部のカントリー・ロック系のバンドも、ロック・フィールドより、カントリーのリスナーに支持されている場合が多いのではないかと考えます。

 マーシア・ボールは、リーダー・アルバムこそ持っていませんが、イースト・テキサスやルイジアナ系のコンピなどで聴くことが多いシンガー、ピアニストです。
 ドクター・ジョン製作の企画アルバムもあったはずです。(すぐに出てきませんが…。)
ここでは、冒頭でメイン・テーマを歌っていて、跳ねるブギ・ピアノがかっこいいです。

 ジェイソン・ロバーツは、アスリープのフィドラーで、ときどきリード・ボーカルもとっている人です。
 今回やっている曲は、アスリープのバージョンもある曲で、原曲は、リオン・マッカーリフのウエスタン・スイングです。
 リオンは、ボブ・ウィルズ & テキサス・プレイボーイズのスチール・ギタリストだった人で、自身のバンドでのアルバムは日本盤も出ています。

 シンディ・キャッシュダラーは、元アスリープのスチール・ギタリストで、リーダー・アルバムが1枚あります。
 脱退後も、和気あいあいとアスリープのステージにゲスト出演したりしています。
 ここでは、ペダル・スチール・ギターのムーディーなインストで和ませてくれています。

 そして、本家アスリープの演奏も収録されていて、いつもながら、ジェントルな魅力に溢れるレイ・ベンスンのバリトン・リードは、安定感満点で貫禄を感じます。
 
 リロイ・ブラザーズは、私にとっては懐かしい存在です。
 以前は、テイル・ゲイターズなどと共に聴いていたバンドでした。
 私は、ご無沙汰になって久しいです。

 相変わらず、テキサスの香りをプンプンさせている、コンパクトな音がいさぎよいバンドです。
 オルガンのサウンドが、オーギーやジョー・キング・カラスコを容易に連想させ、「そうだ、これなんだ」と嬉しくなります。

 未知の人では、むさい男声のなかで、女性ボーカルが新鮮なマリアン・プライスが良いです。

 そして、ジャック・ガスリーのカントリー・クラシック、Oklahoma Hillsを歌うJimmy Lafave & Night Tribeは、胸にぐっとくるせつな系のアレンジが決まっています。

 シカゴからセントルイスを経て、タルサ、オクラホマ・シティを横に見て、アマリロからアルバカーキーへ、そしてサンタモニカまで、母なる道を行く旅は歌とともに続きます。
 
 デイル・ワトソンは、レイ・ベンスンにも似たボーカルのシンガー・ソングライターですが、トワンギーなギターが、やはりかっこいいです。
 ここでの自作のブギも、ウキウキするようなご機嫌なチューンに仕上がっています。

 ツー・ハイ・ストリング・バンドのGoodbye, California (Hello, Illinois) では、西海岸から全く逆のコースを走る行程が歌われています。
 マンドリンを中心とした、さわやかなアクースティック・ナンバーです。
 シンディ・キャッシュダラーのドブロも見事に決まっています。

 最後は、ピート・シーガー作のフォーク・ソングを、スティーヴ・ジェイムズが弾き語ります。
 カントリー・ブルースに通じるギターがかっこいいです。

 アルバムを通して、オースティン・カントリーの香りが感じられる好アルバムだと思います。
 デイヴ・サンガーの仕事は要注目です。



こちらは、初期のデイル・ワトソンです。




 関連記事はこちら   オール・アメリカン・ハイウェイ・ソング


魂の兄弟、フレディ・フェンダー

 Freddy FenderのオーダーしていたCDが届きました。
 以前にも少し書いたのですが、フレディ・フェンダーのアルバムって、ABC時代のオリジナル・アルバムは、まともなリイシューがないわりに、中身の音源がよくわからない、よく似たアルバムが出ては消えています。

 何種類ものベスト盤が出ていますが、音源は実際に聴いてみるまで分かりません。
 さて、このCDはどうでしょうか?


Tex Mex Legend
Freddy Fender

1. Wasted Days And Wasted Nights
2. Before The Next Teardrop Falls (Spanish Version)
3. Since I Met You Baby
4. Cowboy Peyton Place
5. Seacret Love (Spanish Version)
6. Yours
7. Chokin' Kind
8. Vaya Con Dios
9. Squeeze Box
10. La Bamba (Live)   
 

 今回、私がこのアルバムをオーダーした理由は、ただひとつです。
 それは、トラック4のCowboy Peyton Placeの存在です。

 この曲は、Doug Sahmの曲なのです。
 私は、ダグ・サームのカバーをやっているアーティストが気になります。
 ましてや、それが、よく知っている大好きなアーティストである場合は、もうそわそわして、聴き終えるまで気が気でなります。

 それが理由です。
 それ以上のなにか理由が必要でしょうか?

 さて、Cowboy Peyton Placeは、ダグの97年リリースのアルバム、Texas Rock For Country Rollersに収録されていた曲でした。
 そして、天に召された後にリリースされた00年のReturn of Wayne Douglasで再演盤を聴く事が出来ます。

 フレディは、ダグの曲をいくつもカバーしていますが、この曲をやっていることは知りませんでしたので、存在を知ったときは、胸の鼓動が高鳴りました。

 内容は、充分素晴らしい出来に仕上がっていると思います。
 満足しました。

 とはいえ、その他の曲についても気にならないわけではありません。
 このアルバムは、04年にカナダの会社からリリースされたものですが、収録曲に関するデータは一切記載されていません。

 それはもう潔いくらいで、録音時期、パーソネルなどはもちろん、各曲の作者でさえクレジットされていません。
 しかし、まあお馴染みの曲ばかりではあります。
 あまり見かけない曲は、YoursSqueeze Boxくらいでしょうか。

 さて、私の耳では、聴き分けることは困難ですが、 Wasted Days And Wasted Nightsと、Vaya Con Diosは、ABC録音とは別バージョンのように思えます。
 しかし、その他の曲も含めて、かなり良い音で、しかもしっかりとプロデュースされた吹き込みのような感じがします。

 Before The Next Teardrop FallsSeacret Loveのスペイン語バージョンは、クレイジー・ケイジャンに録音があったと思いますが、多分別バージョンでしょう。

 Yoursと言う曲は、初めて聴いた気がします。
 作者が知りたいものです。

 そして、Squeeze Boxは、先ほどからずっと考えているのですが、聴いたことのある曲です。
 うーん、出てきません。
 
 と、悩んでいた時、全く予想だにしなかった方面から記憶が蘇ってきました。
 これは、Whoですね。
 私は、フーをほとんど聴きませんが、それでも何枚かは持っています。
 ちなみに一番よく聞いたのは、BBCセッションズでした。

 Squeeze Boxは、パブっぽいテイストの、嬉しくなる曲調です。
 ひっかかっていたことが氷解したので、気分よく眠れそうです。








 関連記事はこちら  バルドマール・ウエンタ、サン・ベニート生まれ
              フレディ・フェンダー、沼地で金鉱を披露する

シェイキーのマンハッタン・メロドラマ

 今回は、Shakin' Stevens And Sunsetsの75年リリースのアルバムを聴きました。
これは、Sunsets名義で出された5作目に当たるものです。
 このころ、シェイキーは、オランダで再出発を期していたようで、チューリップという会社から出されたようです。
 ただし、私が持っているものは、英国盤です。


Manhattan Melodrama
Shkin' Stevens And The Sunsets

Side One
1. Manhattan Melodrama / Paul Barrett、Paul Dolan 
2. Alan Freed / Paul Barrett、Lloyd Jones
3. California Cowboy / Paul Barrett、Mal Preest
4. Lady Lizard / Paul Barrett、Lloyd Jones
5. Punk / Paul Barrett
6. Outlow Man / Paul Barrett

Side Two
1. I Told You So / Paul Barrett
2. Longer Stronger Love / Michael Barrett
3. Like A Teenager / Michael Barrett
4. Holy Roller / Sabandi McCarthy
5. No Other Baby / Bobby Helms
6. Get Back John / Charlie Arley


 さて、このアルバムには、曲名と作者名以外全くクレジットがないため、プロデューサーさえ不明です。
 もちろん、サンセッツのパーソネルに変動があったかどうかも分かりません。

 ジャケットを一見して思うことは、今までのアルバムとは、曲のクレジットが違うことです。
 今作では、シェイキーの本名であるマイケル・バレット名義が使われています。
 これまでずっと、作者名にシェイキン・スティーヴンスを使っていたので、少し違和感を覚えます。

 さらに、シェイキーの兄(?)のポール・バレットが、作詞を担当している曲が多いことも、顕著な特徴です。
 今回のクレジットでは、曲名のあとに、先に記している名前が作詞、後が作曲担当で、単独のものは作詞作曲とも同じ人が書いたものです。
 このうち、ポール・ドーランとロイド・ジョーンズは、サンセッツのメンバーです。
  
 これらから、オリジナルが多く、カバーが少ないということも見てとれます。
 多分、B面の最後にまとめて収録されている3曲が、カバーだと思います。

 さて、これは確たるものはないのですが、このアルバムは、凶悪な銀行強盗、ジョン・デリンジャーについて歌ったコンセプト・アルバムだという話があります。

 アルバム・タイトルの「マンハッタン・メロドラマ」は、デリンジャーにゆかりのあるものらしいです。
 ジャケットは、マンハッタン周辺の地図をデザインしたものです。

 英語が出来ない悲しさで、見当違いのことを言っている可能性がありますが、今回、ポール・バレットが、作詞に力を入れているのは、コンセプトにそったアルバムづくりを意識したものではないかとも考えられます。

 ただ、2曲目に、Alan Freedいう曲が入っているのが、少し主張をためらうところではあります。
 アラン・フリードは、ロックンロールの歴史に少しでも関心が有る人なら、一度は耳にしたことがある有名なDJの名前で、ペイオラ事件で逮捕された人でした。

 ともかく、ぐたぐた考えるより聴いてみましょう。
 まず、驚いたのは、冒頭の1曲目がアップ・テンポの曲ではないことです。
 静かなピアノのイントロで始まるロマンチックなバラードで、今までのアルバムにはなかった展開です。
 もともとポップ志向の強い傾向がありましたが、このアルバムを象徴しているように感じました。

 サウンドとしては、サックスがほとんど前面に出なくなっています。
 完全に脱退したのかと思いましたが、一部の楽曲では参加していて、ゲスト扱いに近くなっているようです。
 シンプルなギター・バンドに近づいた印象があります。

 全体的に地味になった印象がありますが、オリジナルはそれなりにポップです。
 Alan Freedは、ティーン・ポップ調ですが、ギターが骨太のリフを奏でていて聴かせてくれます。

 エルヴィスを連想させるLonger Stronger Loveは、シェイキー版テディ・ベアといった印象を受けました。
 60年代前半の、ポップでありながらロックンロールの塊だった頃のエルヴィスです。

 そして、カバーの3曲は、それぞれが聴きものです。
 スラッピング・ベースのカチカチ音が耳に残るHoly Rollerでは、エレキ・マンドリンっぽい音も聴こえ、新しいサウンド作りへの意欲も感じ知られます。

 No Other Babyは、ボビー・ヘルムス盤が有名な曲ですが、ヴァイパーズが原曲のはずで、ヘルムス作となっているクレジットはどうでしょうか?
 この曲は、後にポール・マッカートニーも99年のRun Devil Runでやった曲だと思います。
 私はそのアルバムを持っていませんが、ギターは、ミック・グリーンでしょうか?

 何しろ既に5枚目のアルバムですが、芽が出たとは言えないです。
 有名ロックンロールのカバー中心から脱却して、新たな1歩を踏みだそうとした実験的な1枚だったのかも知れません。

 80年代に成功を収めるときには、再び原点へと回帰していくシェイキーですが、あせりながらも、手ごたえを模索し続けていた時期のアルバムだったのかも知れません。 



こちらでは、74年ころのサンセッツの姿が見られます。




 シェイキン・スティーヴンス&サンセッツの関連記事はこちら

シェイキー、日の出に旅立つ
シェイキー、理由ある反抗
シェイキーの陽気にいこうぜ 



スリム・ハーポのレア・ライヴ

 曲目を見ただけで、期待で胸が一杯になるアルバムって、経験ありますか?
 私は有ります。
 これは、そんなアルバムの1枚です。
 パッケージ・デザインも、ヴィンテージ写真を使用していて、かっこいいです。 


The Scratch : Rare And Unissued Volume 1
Slim Harpo

The Jay Miller Outtakes
1. I'm a King Bee
2. This Ain't No Place For Me
3. That Ain't Your Business
4. Strange Love
5. Late Last Night
6. Wonderin' & Worryin'
7. What's Going On
8. One More Day
9. One of These Days
10. Things Gonna Change
11. I Got Love If You Want It
12. Moody Blues

The Excello Outtakes
13. Wonderin' & Worryin'
14. Buzz Me Babe
15. Late Last Night
16. Rainin' in My Heart
17. The Scratch
18. I Don't Want No One (To Take You Away From Me)

Slim Harpo & The King Bees Live At The Sage Avenue Armory
19. Startime Theme/I'm A King Bee
20. Hold Me Tenderly
21. Everybody Needs Somebody
22. Big Boss Man
23. Little Liza Jane
24. When the Saints Go Marching In
25. Rainin' in My Heart


 全25曲入り、てんこ盛り状態ですが、収録曲は大きく3つに分けられます。
 中でも、トラック19から25までのライヴ録音が目玉です。
 というより、この一連の吹き込みこそが、私の胸の鼓動を高めたお目当ての音源なのでした。

 ライヴは、61年アラバマ州モービールでの録音です。
 このようなヴィンテージ期のライヴ音源がまとまって聴けるというだけでも、このアルバムには大きな価値があると思います。

 ライヴならではの、スリルや緊迫感が真空パックされたような、なんとも興味深い内容になっています。

 私がまず注目したのは、Everybody Needs Somebodyという曲ですが、そのあとに続く3曲がさらに関心を惹きます。

 有名曲Little Liza Janeでは、期待通りの曲展開が待っていますし、When the Saints Go Marching Inが始まる前には、もはや待ち構えている自分がいます。

 観客とのコール・アンド・レスポンスも、しっかり記録されています。
 盛り上がった後、哀愁のバラードでしめるべタな展開も、予想通りでありながら、期待を裏切らない見事な出来です。

 さて、その他の音源ですが、ジェイ・ミラー・アウトテイクスと、エクセロ・アウトテイクスに分けられています。
 これはどういう分類なんでしょうか?
 どちらも、ルイジアナ州クローリーで、ジェイ・ミラーにより録音されたものです。

 普通に考えれば、ジェイ・ミラー・アウトテイクスというのは、ミラーがエクセロへ送る前の段階で取捨選択し、クローリーのスタジオに残されたテープに記録されたテイクだと推測されますが、はたしてどうでしょうか?

 また、エクセロ・アウトテイクとはどういうものでしょう?
 これは、ジェイ・ミラーから送られたテープを元に原盤を作る際に、使用しなかったテイクということでしょうか?

 私は、このへんの製作過程には全く不案内なので、これが通常の流れなのか知りませんし、時代的な制約もあったのか等、なかなか興味深いです。

 面白いのは、ジェイ・ミラー・アウトテイクスが、完成テイクであるのに対して、エクセロ・アウトテイクスの中には、失敗して演奏をやり直しているテイクが含まれていることです。

 その他、リリース・テイクと聴き比べて、エコーの有る無しとか、音圧の違いとか、比較できれば面白いのかも知れませんが、私には手にあまることです。

 それより私は、ごくごく普通の聴き手ですので、いつもどおり身構えることなく、普通に音楽を楽しんでしまいます。

 ジミー・リードが、ファッツ・ドミノしたような、ダウンホームでゆるゆるの音楽に、はまらずにはいられません。





ロバート・ウォード、びやびやギターの怪人

 想像してみて下さい。
 買い逃していたアルバムを発見したときって、どんな気持ちですか?

 私がこのアルバムを買った時のことは、もうほとんど覚えていませんが、声に出して喜びたいのを懸命に堪えたことだけは、よく記憶しています。


Hot Stuff
Robet Ward

1. I'm Tired
2. Forgive Me Darling
3. Up Town
4. Your Love Is Real
5. Something For Nothing
6. Touch Me Not
7. I'm Gonna Cry A River
8. Workout
9. Your Love Is Amazing
10. Hot Stuff
11. She's My Heart's Desire
12. What To Do
13. Let's Kiss And Make Up
14. Take This Love I've Got
15. The Swim
16. I Found A Love
17. My Love Is Strictly Reserved For You
18. Fear No Evil
19. Deeper In Love
 

 何しろ、ロバート・ウォードとオハイオ・アンタッチャブルズによる60年代の録音なのです。

 しかも、あの蜘蛛の巣のロゴのRelic盤なのです。
 私はサザン・ソウル.好きですが、Doo Wopをマニアックに掘り起こしていたRelicは、アナログ時代から大注目の会社でした。

 当時から、グレイトなファルコンズをまとめて聴けるのは、このレーベルだけでした。
 なぜかノーザンを偏愛する英国でさえ、多分今でも、ファルコンズのリイシューはないと思います。(サニー・マンロー時代の一部の音源は出ています。)

 ジョー・スタッブズ時代とウイルソン・ピケット時代を、それぞれ1枚ずつまとめたアルバムは、中身はもちろん、パッケージ・デザインも含めて最高のアイテムでした。

 このアルバムは、レリックの五本の指に入る渾身の仕事の1枚だと思います。

 ブラック・トップから出た、再発見アルバム(特に1枚目)が大好きだったので、そのアルバムでも再演していた曲のオリジナルがごっそり聴けるこのアルバムは、はっきり言って宝です。

 まず、ビブラートというか、トレモロ風のギターに大きな特徴がある人で、さらにディープかつスモーキーなボーカルもたまりません。
 ブラック・トップ盤での切れ味鋭いギターは、この60年代の録音でもたっぷり聴く事が出来ます。

 この人は、既に60年代からギターをビヤビヤ言わせていたのでした。
 個性の塊、正にワン・アンド・オンリーの怪人です。

 ディープ・ソウルからブルージーR&B、ファンクまで、全編にわたってかっこよすぎます。
 ロバート・ウォードは、リトル・ミルトンが、ビッグ・ブルースのコピーをやっていた頃から、すでにブルーズン・ソウルを体現していた人だったと思います。

 当時のデトロイトは、ノーザンだけじゃなくディープもすごかったという生きた証しが彼です。
 ノー・クレジットで反則ですが、バックを務めたファルコンズの超名作も、ちゃっかり収録されています。


           Your Love Is Real by Robert Ward





伝説の人、ジョーイ・ロングの謎

 Joey Longというアーティストをご存知でしようか?
 ヒューイ・モー関連の音楽を追っかけていると、時々出会う名前です。
 モーがプロデュースしたT-Bone Walkerの晩年の吹き込みで、リード・ギターを弾いたのがジョーイ・ロングでした。

 
Anthology
Joey Long

1. Jingle Bell Jam
2. Take My Love And Shove It
3. Something To Ease My Pain
4. If You See My Baby
5. The Rains Came
6. Lealla
7. Beatle Bug
8. Watching It Go
9. Sincerely Yours
10. Sweet Little Angel
11. Don't Lock My Love Outside
12. Cold Blooded Mama
13. 4 O'clock A.M.
14. Explosion
 

 しばしば「伝説的な…」という形容を付けて語られるギターリストでもあります。
 でも、なぜ「伝説的」なのか、その理由はよく分かりません。
 その答えが、この中にあればいいのですが…。

 このアルバムは、00年にリリースされたもので、アルバム・タイトルから推測するところ、恐らくは様々な時期の録音を集めたものだと思われます。
 
 このあたりの中身について、手がかりがないかと思い、英文ライナーの大意だけでも知りたいと思いましたが、私のへなちょこな頭では、解読は困難です。

 それでも、多分こんな雰囲気ではないかと思います。
 以下は、私の斜め読みです。

 ジョーイ・ロングこと、ジョゼフ・アール・ロンゲリアは、ルイジアナの小さな町で1932年に生まれました。
 10歳のころ、初めて黒人音楽を聴き、深く感動しました。
 その時の音楽は、ジャグ・バンドのような楽器編成でしたが、初めて聴いたブルースだとのことです。
 
 ネイティブ・ケイジャンとクリオールの街と、黒人街を行き来して成長したジョゼフ少年は、貧困の中で、10代半ばからプロのギタリストとして活動しました。
 また、ブルース・ハープでも才能を発揮したようです。

 酒場でヒルビリーを演奏することからスタートしたようですが、特定のジャンルにこだわらず、なんでもプレイしたジョーイ・ロングの才能は、50年代半ばになって、ヒューストンのヒューイ・モーの眼にとまります。

 ヒューストンでは、ロカビリアンのソニー・フィッシャーのもとでギターを弾いたそうです。

 当時交友していたミュージシャンには、ジーン・トーマスやリンク・デイヴィスなどがいました。
 また、ジョニー・ウインターやドクター・ジョンから尊敬を受けていたそうです。

 ギター・ヒーローとなったジョーイは、全米各地を回るようになり、若き日のビリー・ギボンズは、ジョーイのプレイを一目見るため、幸運のありったけを使ったそうです。

 と、まあこんな感じでしょうか?
 筆者によれば、白人最高のブルース・ギタリストであるとのことです。
 1994年に天に召されました。

 とりあえず音を聴いてみると、収録曲の大半がブルース系の曲でした。
 しかもインストだけでなく、ボーカル入りの曲もあって、ロックンロールないしは、ロカビリーっぽい曲もあります。

 しかし、わずかにカントリーも含まれているのですが、これを聴くと、確信はありませんが、ブルースとカントリーでは別人の声のようにも思えます。

 もしかすると、本人の曲だけでなく、他人の伴奏をしたものも含まれているのかな、などと思ったりもします。

 収録曲のクレジットは、あっさり、All Songs Written By Joey Longeriaと記載されていますが、これはどう考えてもおかしいです。

 B.B.キングのレパートリー、Sweet Little Angelは、ジョーイ作ではないでしょう。
 また、The Rains Cameは、ヒューイ・モー作の曲で、ダグ・サームやフレディ・フェンダーが吹き込んでいる曲です。

 さらに、これは無名曲ですが、Watching It Goは、ジーン・トーマスの作品です。
 
 ジョーイ・ロングの実像を知るため、絶好の題材だと思って手に入れたアルバムですが、結局、このアルバム自体がデータ不足で、さらに謎が増しただけでした。

 名前は聞くけれどよくわからない、という状態から、まとまった音を聴いた、と一歩前進しましたが、彼の全体像の理解からは、ほとんど進歩していません。
 
 何とも悩ましい、レジェンダリー・ジョーイ・ロング先生なのでした。






この動画のソースは、ベアファミリーのロカビリー・コンピですね。
しかも、チェス録音 !






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