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バイユー・ブギー・マン

 針がやたらとスベります。
 レコード針の替え時なのかも知れません。
 針圧が軽いのか、盤のそりなのかとも思ったりもしましたが、この頻度の多さはやはり針の寿命なのかな。

 シングル・レコードの音圧の強さが好きです。
 まあ、普段聴くのはもっぱらLPなんですが…。
 CDは便利で使い勝手がいいですが、レコードの音には活きの良さを感じます。
 (感覚で語っています。なにぶん昭和の人間なので。)
 今回は、久々にのこのLPを引っ張り出してきました。


The Crawl
Guitar Junior

Side One
1. The Crawl (Shuler, Vitrian)
2. Family Rules (Baker, Shuler)
3. I Got It Made (When I Marry Shirly Mae) (Baker, Shuler)
4. Tell Me baby
5. Love Me, Love Me Mary Ann
6. Now You Know (Baker, Shuler)
7. Roll, Roll, Roll (alternative take)
Side Two
1. Roll, Roll, Roll (Baker, Shuler)
2. Broken Hearted Rollin' Tears (Baker, Shuler)
3. Oo Wee Baby
4. Please (Garlow, Baker)
5. Pick Me Up On Your Way Down (H. Howerd)
6. Love Me, Love me (Lee Baker Junior)
7. Knocks Me Out Fine Fine Fine (Lee Baker Junior)

 Obinさんがギター・スリムのスペシャルティ盤について書かれていたので、刺激を受けました。
 私もギター・スリムが大好きです。
 アトコ時代は物足りないところもありますが、早世しなければ、もっともっと傑作を残してくれた人だと思います。

 ダグ・サームのファンなら、T-ボーン、ギター・スリム、ボビー・ブランド、ジュニア・パーカーは皆んな好きにさせられますよね。
 「好きなアーティストが赤い靴下をはいていたら、私も赤い靴下をはいたりします。」
 …とディランも言っていました。(引用が不正確の可能性大です。でも主旨はこんな感じのはず。)

 私がギター・スリムから連想するアーティストは、次の通りです。

・ゲイトマウス・ブラウン(ライバル?的な意味で)
・アール・キング(スリムの信奉者、ボーカルは影響大、一方、意外にギターの影響は控えめ?)
・ジョニー・ギター・ワトソン(アール・キングのカバー、"Those Lonely Lonely Nights"からの連想。意外とギターがスリムぽい)
・ジミー・ヴォーン(武骨で音数が少ないソロというイメージから)

 そして、今回の主人公、ギター・ジュニアです。
 スワンプ・ブルース的な連想です。
 同じスワンプでも、スリム・ハーポに代表される、マディ、ライトニン、リード系とは一線を画す人ですよね。

 この人は、後にLonnie Brooksの名前で発掘され、一定の成功を収めました。
 ロニー時代のスタイルは、Chuck Berry調やR&Bを得意としている人というイメージですが、それなりにブルース・マンとして認知されていたと思います。
 エディ・クリアウォーターなどと似たイメージです。

 しかし、このGuitar Junior時代はどうでしょう?
 頭に浮かぶのは、完全にR&Bの人で、スワンプ・ポップもやっているというイメージです。
 本盤は、84年に英CharlyからリリースされたLPで、数年ぶりに聴きました。

 この時代(Goldband時代)の音源は、CD化があまりされていず、英Charlyがほぼ同内容のものをジャケを替えてCD化していたように思いますが、私は、ジャケが気に入らず入手していません。

 個別には、GoldbandのコンピCDに数曲が収録されています。
 ただ、"The Crawl"とか特定の曲が選ばれている場合が多いので、やはりしっかりとした編集のコンプCDが欲しいですね。
 あせらずゆったりと、熊家族あたりに期待しましょうか。

 久々に聴いたら、とてもよかったです。
 最初の方に音圧のことを書きましたが、音楽全体から受けるパワーを感じました。
 そして、私が記憶していたイメージとかなり違いがありました。

 ノベルティックな歌中心というイメージでしたが、しっかりとギター・ソロもあってかっこいいです。
 しかも、これがギター・スリムっぽく感じて驚きました。 
 普通に、テキサス〜ウエストコースト・スタイルなのかも知れませんが、とにかくいいです。
 Lonnie Brooks時代は、スクイーズ系で、なおかつシカゴに近いイメージを持っていました。

 "The Crawl"や"I Got It Made (When I Marry Shirly Mae)"の攻撃的なソロが気持ちいいです。
 "The Crawl"は、確かT-Birdsが初期のアルバムでカバーしていたような気が…。

 ブルージー・バラードもいいです。
 "Now You Know"が特に印象に残りました。
 また、Bobby Blandのデューク・サウンドを連想させる、"Oo Wee Baby"みたいなのもあって、思わず「おおっ」と声が出ました。

 記憶のイメージにあったロックンロール調の曲より、こういったハード・ブルース(あまりないですが…)や、ブルージーR&Bがいいです。
 "Family Rules"のようなスワンプ・ポップ調の曲も、記憶とは違い大甘なアレンジではなく、つばが飛ぶような熱気あるスタイルでやっていて、眼を洗った直後のようなすっきりした気分になりました。

 唯一、ハーラン・ハワード作の"Pick Me Up On Your Way Down"が違和感ありですが、目くじら立てるほどではありません。

 久しぶりに引っ張りだしてきたLPがですが、記憶のハードルが下がっていたせいでしょうか、とても印象がよく、予想外の喜びを感じました。 

 今私は、Lonnie Brooksの方も聴き返したいなと思い始めています。
 (もう10年くらい聴いていません。) 



The Crawl by Guitar Junior


このつべの音源のソースはなんでしょう?
若干迫力不足に感じます



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