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強く叩き続けろ

 暑い日が続きます。
 昼過ぎに、お目当てのCDを取りに2階へ上がったら、蒸し風呂状態でした。
 早々に空調を効かせた部屋へ逃げ帰ってきました。

 皆さんは、節電でクーラーを控えられてますか?
 私は、正直いって無理です。
 一応、28度の設定にはしていますが、強めの送風にしています。
 近所のおばさんが、「今年はまだ一度もクーラーをつけていない」と誇らしげに宣言しているのを聞いて、信じられない思いがしました。


Still Going Strong !
Wayne Foret

1. I'm Sorry I Met You (Huey P.Meaux)
2. That Is Why I Love You So
3. I Pray Every Night (Wayne Foret)
4. Drip Drop  (Jerry Leiber, Mike Stoller)
5. Treasure of Love (Shapiro, Stallman)
6. Nobody But You
7. God Gave Me You
8. That's What I'll Do (Leonard Lee)
9. Don't Leave Me Now (Schroeder, Weisman)
10. Lonely Blue Boy (Conway Twitty)
11. Lavender Blue
12. Don't You Know That I Love You
13. Just My Baby and Me  (Robert Guidry)
14. Doin' the Swamp Pop (Wayne Foret)
15. All I Want for Christmas Is You

 暑いときには、カレーですね。
 冷やし中華も冷たいそうめんもいいですが、熱くて辛いカレーも良いです。

 そういうわけで(?)、今回は、初物Swamp Pop Singerです。
 
 ジャケに写っている、非常にガタイのいい老人(?)の名は、Wayne Foretさん。
 少し前に取り上げた、Rayan Foretという、やはりSwamp Pop Singerがいましたが、縁者かどうかは不明です。
 キャリアは長そうです。

 このForetという姓は、フランス系なのでしょうか?
 ルイジアナで、Swamp Popというと、そんなことを考えてしまいます。
 英語圏では、良く似たForestという姓なら、比較的ありそうですね。
 「森」という意味の姓です。

 英国の作家に、ケン・フォレットという人がいました。
 スパイ冒険小説の書き手で、主人公がしばしば女性であるという点に特徴がある人でした。
 初期の作品「針の眼」は、なかなか面白く読んだ記憶があります。
 この人の名前の綴りは、Ken Forettで、語尾に「t」が重なります。

 試しに英辞書で「Foret」を調べてみましたが、該当はないようです。
 ついで、仏辞書で調べたところ、意味が載っていました。
 「ドリル」という意味でした。
 この場合、意味の内容がどうとかは関係ありません。
 意味のある単語が、姓になっているということに意味があります。

 Foretは、何と発音するのでしょう? 
 フランス系であっても、普通に米国人ですから、やはり英語読みで「フォレット」なのでしょうか。
 そういう気はします。
 でも、フランス風に、「フォレー」とか「フォーレ」であってほしい、と極東の人間としては無責任に思うのでした。


 さて、中身を聴いてみましょう。
 内容は、看板に偽りなしのSwamp Popですので、ご安心ください。
 今回も、数曲をピックアップしたいと思います。
 注目曲は、次のとおりです。

1. I'm Sorry I Met You
4. Drip Drop  
5. Treasure of Love
8. That's What I'll Do 
9. Don't Leave Me Now 
10. Lonely Blue Boy
13. Just My Baby and Me
15. All I Want for Christmas Is You

 冒頭の"I'm Sorry I Met You"は、ほとんど無名の曲だと思いますが、初期のBarbara Lynnがやっている曲です。
 オリジナルが誰かは、私は知りません。

 ゆるーく迫ってくる三連バラードで、本盤のスタイルのパイロット・ナンバーといったところです。
 とりあえず、名刺がわりの一発という感じでしょうか。

 続いて、調子のよい能天気ソング風の曲へとバトンタッチします。
 能天気ものは、ニューオリンズR&Bの特徴のひとつですね。
 
 4曲目の"Drip Drop"は、R&Bファンには忘れられない曲です。
 Clyde Mcphatterが兵役のため脱退した後の、Original Driftersの貴重な名演のひとつです。

 原曲は、Bobby Hendricksという人が、Clyde Mcphatterそっくりのハイテナーで歌っていました。
 この曲は、古いR&Bファンなら、「よくぞカバーしてくれました!」と、その選曲に拍手したい人も多いはず。
 Wayneのボーカルはアベレージですが、とにかくやってくれただけでプラス100点です。

 続く"Treasure of Love"が、これまた泣かせてくれます。
 原曲はもちろん、ソロ時代のClyde Mcphatterです。
 この続けての選曲は、Wayne ForetのClyde Macphatter好きを表わしているのでしょうか。

 "Drip Drop"は、厳密にはClydeではありませんが、Clydeスタイルの名作です。
 2曲とも、ほぼ原曲そのままにやっています。
 Wayneが、嬉々としてカバーしている気がしてなりません。

 "That's What I'll Do"は、これまたレアな選曲で、Shirly & Leeの曲のカバーです。
 Shirley & Leeは、もちろん、「かもーん べいび れっざ ぐったーい ろーる ♪」のデュオです。
 当然、ご存じですよね。
 ただ、この曲は、見逃すところでした。
 この曲には特段の思い入れはないですが、やはり渋すぎる選曲に1票入れたいところです。

 "Don't Leave Me Now"は、言うまでもなく、Elvisです。
 この曲と、次の"Lonely Blue Boy"こそ、驚いたことに、本作で最もWayne Foretにあった曲だと感じました。
 いわゆるロッカ・バラードの2連発です。

 "Don't Leave Me Now"は、私の大好きなElvisのアルバム"Loving You"、邦題「さまよう青春」の収録曲です。
 それでも思い出せない方には、この情報はどうでしょう。
 "Teddy Bear"が入っているアルバムです。
 そうです、もう思い出しましたね。
 名作"Got A Lot O' Livin' To Do!"も入っていました。

 ちなみに、私が一番好きなElvisのアルバムは、RCAの2ndの"Elvis"ですが、「闇に響く声」、「さまよう青春」、「GIブルース」といった、初期のサントラも大好きなのでした。

 "Lonely Blue Boy"は、Conway Twittyの初期の代表曲です。
 ロッカ・バラードと言えば、Elvisよりも、むしろこの曲と、同じConwayの、"It's Only Make Believe"でしょう。

 ここでのWayneのサウンドづくりは、ロカビリーそのもので、まるでShakin Stevensのように聴こえます。
 リヴァーブのかかったギターの三連バッキングが雰囲気満点で、Wayneのもったいぶった歌い方もそれ風で見事にはまっています。
 
 "Just My Baby and Me"は、またまた地味な曲で、Clarence 蛙男 Henrryのレパートリーです。
 作者のBobby Charlesは吹き込んでいましたっけ?
 私は、こういったニューオリンズR&Bのテイストがたまらなく好きです。

 オーラスの"All I Want for Christmas Is You"は、しみじみと胸に迫るいい曲です。
 マライア・キャリーに有名な同名曲がありますが、もちろん別の曲です。
 「クリスマスには 君さえいれば何もいらない」
 オリジネイターは誰でしょう。

 今作は、主としてピアノの左手の様々な連打のバリエーションが聴けた楽しい1枚でした。
 私好みの曲が多数入った嬉しいアルバムです。


Just to Hold My Hand by Wayne Foret


なんとこの曲もClydeです。





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