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ブルースの詰め合わせ

 「痛快丸かじり」
 最初の1音を聴いた瞬間に頭に浮かんだ言葉です。
 なかなかにカッコイイ出だしで、期待が高まりました。

 ところが、ボーカルが出てくると、若干意外な感じを受けます。
 私が持っているJohnny Winterの印象は、もっとドスが効いた声だったはずだからでした。

 年齢のなせる変化でしょうか。
 それとも、録音やミックスのせい?
 曲によっては、楽器の音圧に、ボーカルが若干押され気味な印象を受けました。


Roots
Johnny Winter 

1. T-Bone Shuffle : with Sonny Landreth
2. Further On Up The Road : with Jimmy Vivino
3. Done Somebody Wrong : with Warren Haynes
4. Got My Mojo Workin' : with Frank Latorre
5. Last Night : with John Popper
6. Maybellene : with Vince Gill
7. Bright Lights, Big City : with Susan Tedeschi
8. Honky Tonk : with Edgar Winter
9. Dust My Broom : with Derek Trucks
10. Short Fat Fannie : with Paul Nelson
11. Come Back Baby : with John Medeski

 Johnny Winterの最新作です。
 彼のスタジオ盤を聴くのは久々です。

 私は、最近では、少し前からリリースされている、ブートレグ・シリーズという、オフィシャルの発掘ライヴ盤シリーズをいくつか聴いていました。

 でも、スタジオ盤は、調べたところ、92年の"Hey, Where's Your Brother"を聴いたのが最後のようです。
 実に20年近く聴いていないことになります。
 驚きです。

 少し前に、George Thorogoodの最新作を聴いたときと少し似ています。
 どちらも、関心を持って聴いていたアーティストではありますが、次第に興味が薄れて疎遠になっていたのです。

 今回、このアルバムに興味を持って入手したのも、Thorogood盤同様、私好みの企画盤だったからです。

 George Thorogoodのそれが、シカゴ・ブルースへのオマージュだったように、これは、Johnny Winterが好んで聴いてきたブルースを追体験する内容になっています。
 タイトルはベタですが、ずばり「ルーツ」です。

 テキサス、ウエストコーストのブルースから、シカゴ・ブルース、チャック・ベリーのR&RからR&Bの古典まで、範囲は広いですが選曲はオーソドックスです。

 今作では、各曲にそれぞれ別のゲスト・ギターリストが参加していて、ギター・プレイは、彼らに敬意を表したつくりになっています。

 クレジットによれば、Johnnyがメインなのは1stソロだけで、イントロやおかずのフレーズ、そして2ndソロはゲストに出番を譲っています。

 各曲で、様々なゲストが、それぞれ個性を発揮していますが、実は全体のサウンド・カラーを決定づけているのは、プロデューサーであり、リズム・ギターリストである、Paul Nelsonによるところが大きいように感じました。

 この人は、輪郭のはっきりした魅力的なギターを弾いています。
 さらに、ゲストが弾いたとされる「フィル」が効果的で、こくと深みのあるブルース・アルバムに仕上がっています。

 このあたりは、誰にプロデュースを任せても、いつだって直球勝負のGeorge Thorogoodとは、少し違う印象を受けました。

 さて、中身ですが、まず冒頭のT-Bone WalkerとBobby Blandの名作連打が良いです。
 "T-Bone Shuffle"では、お馴染みのリフがいいのは当然として、リズム・ギターに絡むサニー・ランドレスのおかずが良くて、自然と頬が緩んでしまいます。

 "Further On Up The Road"は、誰がやっても名曲ですね。
 ただ、実は私は、Jimmy Vivinoという人物が誰か知りません。
 この曲でも、しっかりとしたリズム・ギターが全体を締めているのが印象に残ります。

 Johnny Winterは、テキサス・スタイルだけでなく、シカゴ・ブルースもうまくて、私は、80年代のアリゲーター時代にやっていた、"Serious Business"あたりの攻撃的なシカゴ・ブルースも好きです。

 本盤では、比較的淡々とやっていて、凶悪な突っ込みとかないので、このあたりをどう感じるかは好みの問題でしょう。
 私はと言えば、どちらも好きです。

 よく考えると、今作はあえて「ルーツ」をテーマに掲げていますが、Johnnyのアルバムはいつの時代だってルーツを探求していたように思います。
 その意味では、今作はゲストに敬意を払うあまり、少しフォーマルなJohnnyになっているかも知れないです。

 私の考えるところ、カジュアルなJohnnyは、Swamp Popも大好きだったはずです。
 コロンビアからメジャー・デビューする以前は、シリアスなブルースより、三連のマイナー・バラードとか、R&Bテイストが強い何でもありの音楽をやってました。

 さて、その他の曲も聴きましょう。

 スーザンとデレク夫妻の参加曲もいいですが(特にダンナが参加したエルモアが美しい。)、私の推しは、Vince Gillがボーカリストではなくギターリストとして参加した、"Maybellene"、そして、バンドの要であり、セカンド・ギター兼プロデューサーである、Paul Nelsonがリードを弾いた、"Short Fat Fannie"です。

 "Maybellene"では、Vince Gillによる、他のゲストとは明らかに違う、軽快なライト・ゲージのギャロッピング風プレイを聴くことが出来ます。
 Vince Gillは、確かセッション・ギタリスト出身で、エミルー・ハリスのホット・バンドでギターを弾いたことが大きなステップになった人だった気がします。

 "Short Fat Fannie"は、Paul Nelsonのソウル・ダンス風のバッキングが見事で、さらにリードとサイドを巧みに行き来しながら展開する、スイング感溢れるプレイが美しいです。 

 そして、ラストはレイ・チャールズのブルース・バラードで締めです。
 間奏では、ゲストによるグルーヴィーなオルガンが独演会をやっています。
 そこへ負けじとカットインしてくるJohnnyのギターが雰囲気満点で私は好きです。
 こういうのがもう1曲くらいあっても良かったかも…。

 全体的に、ノイジーなサウンドとは無縁で、開放弦がグワングワン鳴るようなラウドさも控えめなので、とても聴きやすいアルバムに仕上がっています。

 なお、日本盤には、ライヴ音源のボートラが2曲追加されているようです。










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