2012年09月14日
ブエナのころ
いつものように、obinさんのブログを訪問したところ、Johnny Perezが亡くなったとのことで、追悼の文を書かれていました。
Johnny Perezは、Sir Douglas Quintetの初代ドラマーで、Doug Sahmとは60〜80年代あたりまで、Dougの様々なキャリアに密接に関わった人でした。
今回は、Johnny Perezゆかりのアーティストである、この人のアルバムをチョイスすることにしました。
1. Buena (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
2. Let's Get Pretty (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
3. Betty's World (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
4. Party Doll (Buddy Knox, Brown)
5. Tuff Enuff (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
6. Wild 14 (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
7. Kicks On You (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
8. Nervoused Out (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
9. Susan Friendly (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
Joe King Carrascoは、78年にTornado Recordsから"Rock-Roll Tex-Mex"でデビューしました。
この時はDoug Sahm人脈のEl Morino Band(Speedy Sparks, Ernie Durawa, Augie Meyers, Louie Bustos, Charlie McBurney)という豪華なメンツをバックに、ゴージャスなオルケスタ・サウンドを披露してくれました。
Joe King Carrasco & the Crownsとなったのは、翌79年にRoir Recordsからリリースした、"Tales From The Crypt"からです。
Crownsでは、El Morino Bandとは一転して、コンパクトなロック・コンボ・スタイルをとり、当時の最先端、ニューウェイヴ風に調理した、Tex-Mex Rock'n' Rollをかっこよく決めてくれました。
そして、ミニ・アルバム1枚を経て、欧州ではStiffから、米国ではHannibalから、バンド名をタイトルとしたアルバムがリリース(80年〜81年)され、広く(?)知られるようになります。
Johnny Perezが、どうしてCarrascoの売出しに関わりを持つようになったのか、私は知りませんが、初期のCarrascoのアルバムには、Perezの名前がしばしばクレジットされています。
精査したわけではありませんが、80年代半ば頃までは密接な関係にあったのではないかと思います。
ドラムでの参加こそないようですが、しばしば一緒に曲づくりを行い、一部プロデュースもやっています。
本盤収録曲では、バディ・ノックスのカバー、"Party Doll"1曲を除く全ての曲が、Joe King CarrascoとJohnny Perezの共作となっています。
(本盤の表記に従いましたが、他の盤では別のクレジットになっている曲が含まれています。)
さて、本盤は、曲目を見ると、Carrascoの初期の代表曲を集めた、ありきたりの編集盤のように思えます。
しかし、Carrascoのオフィシャル・サイトの記述によれば、本盤収録曲は、80年3月にニューヨーク州ブロンクスで録音されたデモ録音で、11年のCrownsの再結成をきっかけに世に出ることになった、これまで一度もソフト化されていない音源だそうです。
本盤は、11年6月にAnaconda Recordsからリリースされました。
デモ録音とのことですが、通して聴いた感想は、普通に聴ける完成された音源だと思いました。
というか、この頃は名曲ぞろいで、ぐいぐい引き込まれます。
むしろ、曲によっては、普及版よりも荒々しさが感じられて好きかも知れません。
エコー深めで、かつ録音レベルも高めです。
などと書きましたが、実はそれほど真剣に二つのバージョンを聴き比べたわけではありません。
そもそも、Carascoの音源については、混乱するようなクレジットが多いのです。
Stiffでの出世作となったシングル、"Buena"は、同曲を最初に収録したアルバム、"Tales From The Crypt"のCDのライナーによれば、79年にオースチンで録音されたということになっています。
しかも、この時のセッションでは、ベースはSpeedy Sparksと記載されています。
(Crownsのベーシストは、Brad Kizerという人で、CDライナーによれば、収録曲の約半分がSparksのプレイで、残りがKizerとなっています。)
しかし、オフィシャル・サイトでは、同アルバムはニューヨーク州ニューヨーク録音と記載されています。
私は、オフィシャル・サイトの記述にいくつかの誤り(矛盾?)を見つけましたので、根拠は薄いですが、具体的な記述をしているCDライナーの方が、より信憑性があるのではと思っています。
(しかし、確証はありません。)
そこで考えたのが、次のような推測です。
Stiff盤のLP、"Joe King Carrasco & the Crowns"は、80年ニューヨーク録音となっています。
このアルバムには、"Buena"を含む、"Tales From The Crypt"とかぶる曲が7曲も収録されています。
これら7曲は、普通なら、前年に録音したものをそのまま再録するのでしょうが、あるいは、ベーシストを全面的にBrad Kizerとしたうえで、新たにニューヨークで録音し直したのかも知れません。
ここで忘れてならないのは、本盤は同じ州でも、わざわざブロンクス録音だとしていることです。
何か色々と面倒ですねえ。
そして、これら一連のことが、混乱に拍車をかける元ととなった、というのはいかがでしようか。
まあ、相手はテキサスですので、細かいことは言ってもしようがない気はします。
聴き手側も、とことんは追及せず(疲れるので)、大らかな気持ちで、とにかく楽しみましょう。
Johnny Perezは、私の手元にあるLPでは、85年の"Bordertown"までは名前を見つけることが出来ます。
"Bordertown"のLPでは、一部の曲のプロデューサー、コンポーザーとしてクレジットされています。
一方、Doug Sahmとの関わりでは、アルバムで言いますと、82年の"Quintessence"、83年の"Live Texas Tornado"(録音年不明、81〜83年?)あたりが最後ではないかと思います。
Joe King Carrasco、Doug Sahmともに80年代ですね。
さて、私がCarrasco好きということが大きいですが、本盤は「スカッ」と聴きとおせるパンチの効いたアルバムです。
とりわけ、冒頭の"Buena"から、"Let's Get Pretty"、"Betty's World"と続く流れが最高にごきげんです。
"Buena"の、アコギから始まってメロディックなベース、グルーヴィーなオルガンが入ってくる前奏の雰囲気は、Sir Douglas Quintetのサウンドそのものです。
本バージョンでのベースは、ざっくりとクリーデンスの「雨を見たかい」を連想しました。
"Let's Get Pretty"は、Joe King Carrasco版の"96 Tears"じゃないでしょうか。
脳内に留まって暴れ回る無限軌道リズムは、分かっていてもはまってしまう高い習慣性があります。
ちなみに、トラック7の"Kicks On You"は、Stiff盤では"I Get My Kicks On You"と表記されている曲です。
Johnny Perezが曲づくりにどんな役割を担ったのか不明ですが、本盤の収録曲はみんな好きです。
"Bordertown"収録曲で、Johnny PerezがJ.J.Light(クインテットの70年代初期のベーシスト)と共作した、"Baby Let's Go Mexico"もポップな良い曲でした。
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Johnny Perezは、Sir Douglas Quintetの初代ドラマーで、Doug Sahmとは60〜80年代あたりまで、Dougの様々なキャリアに密接に関わった人でした。
今回は、Johnny Perezゆかりのアーティストである、この人のアルバムをチョイスすることにしました。
Danceteria Deluxe
Joe King Carrasco & the Crowns
Joe King Carrasco & the Crowns
1. Buena (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
2. Let's Get Pretty (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
3. Betty's World (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
4. Party Doll (Buddy Knox, Brown)
5. Tuff Enuff (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
6. Wild 14 (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
7. Kicks On You (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
8. Nervoused Out (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
9. Susan Friendly (Joe King Carrasco, Johnny Perez)
Joe King Carrascoは、78年にTornado Recordsから"Rock-Roll Tex-Mex"でデビューしました。
この時はDoug Sahm人脈のEl Morino Band(Speedy Sparks, Ernie Durawa, Augie Meyers, Louie Bustos, Charlie McBurney)という豪華なメンツをバックに、ゴージャスなオルケスタ・サウンドを披露してくれました。
Joe King Carrasco & the Crownsとなったのは、翌79年にRoir Recordsからリリースした、"Tales From The Crypt"からです。
Crownsでは、El Morino Bandとは一転して、コンパクトなロック・コンボ・スタイルをとり、当時の最先端、ニューウェイヴ風に調理した、Tex-Mex Rock'n' Rollをかっこよく決めてくれました。
そして、ミニ・アルバム1枚を経て、欧州ではStiffから、米国ではHannibalから、バンド名をタイトルとしたアルバムがリリース(80年〜81年)され、広く(?)知られるようになります。
Johnny Perezが、どうしてCarrascoの売出しに関わりを持つようになったのか、私は知りませんが、初期のCarrascoのアルバムには、Perezの名前がしばしばクレジットされています。
精査したわけではありませんが、80年代半ば頃までは密接な関係にあったのではないかと思います。
ドラムでの参加こそないようですが、しばしば一緒に曲づくりを行い、一部プロデュースもやっています。
本盤収録曲では、バディ・ノックスのカバー、"Party Doll"1曲を除く全ての曲が、Joe King CarrascoとJohnny Perezの共作となっています。
(本盤の表記に従いましたが、他の盤では別のクレジットになっている曲が含まれています。)
さて、本盤は、曲目を見ると、Carrascoの初期の代表曲を集めた、ありきたりの編集盤のように思えます。
しかし、Carrascoのオフィシャル・サイトの記述によれば、本盤収録曲は、80年3月にニューヨーク州ブロンクスで録音されたデモ録音で、11年のCrownsの再結成をきっかけに世に出ることになった、これまで一度もソフト化されていない音源だそうです。
本盤は、11年6月にAnaconda Recordsからリリースされました。
デモ録音とのことですが、通して聴いた感想は、普通に聴ける完成された音源だと思いました。
というか、この頃は名曲ぞろいで、ぐいぐい引き込まれます。
むしろ、曲によっては、普及版よりも荒々しさが感じられて好きかも知れません。
エコー深めで、かつ録音レベルも高めです。
などと書きましたが、実はそれほど真剣に二つのバージョンを聴き比べたわけではありません。
そもそも、Carascoの音源については、混乱するようなクレジットが多いのです。
Stiffでの出世作となったシングル、"Buena"は、同曲を最初に収録したアルバム、"Tales From The Crypt"のCDのライナーによれば、79年にオースチンで録音されたということになっています。
しかも、この時のセッションでは、ベースはSpeedy Sparksと記載されています。
(Crownsのベーシストは、Brad Kizerという人で、CDライナーによれば、収録曲の約半分がSparksのプレイで、残りがKizerとなっています。)
しかし、オフィシャル・サイトでは、同アルバムはニューヨーク州ニューヨーク録音と記載されています。
私は、オフィシャル・サイトの記述にいくつかの誤り(矛盾?)を見つけましたので、根拠は薄いですが、具体的な記述をしているCDライナーの方が、より信憑性があるのではと思っています。
(しかし、確証はありません。)
そこで考えたのが、次のような推測です。
Stiff盤のLP、"Joe King Carrasco & the Crowns"は、80年ニューヨーク録音となっています。
このアルバムには、"Buena"を含む、"Tales From The Crypt"とかぶる曲が7曲も収録されています。
これら7曲は、普通なら、前年に録音したものをそのまま再録するのでしょうが、あるいは、ベーシストを全面的にBrad Kizerとしたうえで、新たにニューヨークで録音し直したのかも知れません。
ここで忘れてならないのは、本盤は同じ州でも、わざわざブロンクス録音だとしていることです。
何か色々と面倒ですねえ。
そして、これら一連のことが、混乱に拍車をかける元ととなった、というのはいかがでしようか。
まあ、相手はテキサスですので、細かいことは言ってもしようがない気はします。
聴き手側も、とことんは追及せず(疲れるので)、大らかな気持ちで、とにかく楽しみましょう。
Johnny Perezは、私の手元にあるLPでは、85年の"Bordertown"までは名前を見つけることが出来ます。
"Bordertown"のLPでは、一部の曲のプロデューサー、コンポーザーとしてクレジットされています。
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一方、Doug Sahmとの関わりでは、アルバムで言いますと、82年の"Quintessence"、83年の"Live Texas Tornado"(録音年不明、81〜83年?)あたりが最後ではないかと思います。
Joe King Carrasco、Doug Sahmともに80年代ですね。
さて、私がCarrasco好きということが大きいですが、本盤は「スカッ」と聴きとおせるパンチの効いたアルバムです。
とりわけ、冒頭の"Buena"から、"Let's Get Pretty"、"Betty's World"と続く流れが最高にごきげんです。
"Buena"の、アコギから始まってメロディックなベース、グルーヴィーなオルガンが入ってくる前奏の雰囲気は、Sir Douglas Quintetのサウンドそのものです。
本バージョンでのベースは、ざっくりとクリーデンスの「雨を見たかい」を連想しました。
"Let's Get Pretty"は、Joe King Carrasco版の"96 Tears"じゃないでしょうか。
脳内に留まって暴れ回る無限軌道リズムは、分かっていてもはまってしまう高い習慣性があります。
ちなみに、トラック7の"Kicks On You"は、Stiff盤では"I Get My Kicks On You"と表記されている曲です。
Johnny Perezが曲づくりにどんな役割を担ったのか不明ですが、本盤の収録曲はみんな好きです。
"Bordertown"収録曲で、Johnny PerezがJ.J.Light(クインテットの70年代初期のベーシスト)と共作した、"Baby Let's Go Mexico"もポップな良い曲でした。
Buena by Joe King Carrasco & the Crowns (81)
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