2011年01月23日
若き日の王様とエル・モリーノ
テックス・メックスって、何て楽しいんだ。
しみじみとそう感じさせてくれるアルバムです。
サウンドこそ、ラテン風味たっぷりですが、ほぼ英語で歌われているので、とっつきやすく、入門編として最適であるとともに、なおかつ高い音楽性を持ったひとつの完成形だとも思います。
1. Jalapeno Con Big Red
2. Mezcal Road
3. Black Cloud
4. Tell Me
5. I'm A Fool To Care
6. Rock Eate Noche
7. Funky Butt
8. Every Woman(Crazy About An Automobile)
9. Please Mr. Sandman
10. Just A Mile Away
このアルバムは、02年にリリースされたCDですが、私がこれを初めて聴いたソフトは、カセットテープでした。
録音は77年ごろだと思われ、多分翌78年に自主製作盤としてひっそりと出され、その後商業リリースされたようです。
最初のソフト形式がなんだったのか不明ですが、普通はLPでしょう。
Joe King Carrascoのデビュー作になります。
今手元にくだんのカセットテープがなく、いつ頃の発売で、私が入手した時期も霧のかなたですが、推測することは出来ます。
CDの黎明期、LPからCDへのメディアの変更は、ゆるやかに行われました。
事実は違うかも知れませんが、当時の私はそう感じていました。
CDとLPの同時発売が普通になったころ、CDのみのボーナス・トラックというのが、ひとつの流行りでした。
国内でCDがほぼLPを駆逐し、ヴィニール盤のプレス工場が姿を消したころになっても、海外の発展途上国では、まだヴィニール盤の需要がありました。
国内の針メーカーは、海外向けに商品を作り続けていたのです。
そして、カセットテープの需要もまた、国内では想像もつかないほど有ったのだと思います。
これは、再生機の普及率に関わることでしょう。
途上国では、CDプレイヤーはもちろんのこと、レコード・プレイヤーでさえ希少で、ラジカセこそ、庶民にとって身近な音楽再生機だったと思われます。
私がこのアルバムのカセットテープを入手したのは、そういった時期だったのではないかと思います。
さて、このジョー・カラスコのデビュー作は、その後のスティッフ時代などの音源のみ聴いて来られた方には、驚きの音源だと思います。
一般的には、ジョー・キング・カラスコ & クラウンズ名義のものが有名だと思います。
ニューウェイヴが流行っていたころに現れた、まさにパンクの洗礼を受けたテックス・メックスともいうべきものでした。
それも聴いたことがないという方は、ニック・ロウのハーフ・ア・ボーイ・アンド・ハーフ・マンを思い出して下さい。
あんなサウンドです。
初めてニックのあの曲を聴いたとき、多くの人が「ああ、ジョー・キング・カラスコだ」と感じたと思います。
私は、そのころのサウンドも大好きで、パーティ・ウイークエンドとか、ブエナとか、レッツ・ゲット・ブリティとかは、大のお気に入りでした。
クラウンズのスモール・コンボ・スタイルも良いですが、こちらのオルケスタ(?)スタイルの演奏も素晴らしいです。
エル・モリーノと名付けられたこのバンドの音は、最高のメンツによる、もう最高というしかないサウンドです。
編成の肝は、ホーン陣で、テナー・サックスのロッキー・モラレス、ルイ・バストス、トランペットのチャーリー・マクバーニーのアンサンブルがとにくかく素晴らしいです。
ホーン・アレンジは、チャーリー・マクバーニーが担当しています。
チャーリーとロッキーは、とりわけこのバンドの要だと思います。
一方、リズム隊は、ベースのスピーディ・スパークス、ドラムスのアーニー・デュラワ、リチャード・エリソンド、キーボードのオーギー・メイヤース、アルツロ・ゴンザレス、マリンバのアル・カストロ、そして、ジョー自身によるリズム・ギターからなっており、さらにアイク・リッターという人がリード・ギターを弾いています。
その他、一部の曲では、さらにゲスト演奏者が入っていて、ゴージャス感たっぷりの編成です。
多くの曲は、英語で歌われていますが、スペイン語を含む曲もあり、まず1曲目の Jalapeno Con Big Redからして、スペイン語で始まり、途中から英語になるという、黄金のバイリンガル・スタイルで歌われる、陽気なサンバです。
続くMezcal Roadは、アコーディオンこそありませんが、コンフントによくある軽快なツービート・ナンバーです。
全編とおして大活躍するホーン陣ですが、この曲やBlack Croudでは、特にトランペットが素晴らしく聴きものです。
アイアイ、オイオイといった掛け声も楽しいです。、
Tell Meは、ニューオリンズR&Bスタイルの曲で、三連ミディアムのリズムに、ロッキーのソロが最高です。
そして、Rock Eate Nocheでは、マリンバのロールが美しく印象に残ります。
また、Funky Buttは、ホーン・リフがメインのシャッフル・インストですが、リード・ギターが、パット・ヘアか、クラレンス・ホリマンかと言いたいような、スリリングなフレーズを連発して、思わず「おおっ」と声が出そうになります。
Every Woman(Crazy About An Automobile)や、Just A Mile Awayでも、やはりリード・ギターが大活躍して、サザン・ロック風味のスライドを聴かせてくれます。
Just A Mile Awayでは、ファーフィサ・オルガンが、脳内アドレナリンを活性化するような、反復ビートを奏でて、サー・ダグラス・クインテットを連想させます。
そうです。
メンツの名前を見て気付かれた方も多いと思いますが、エル・モリーノ・バンドは、ほとんどがダグ・サームの人脈に繋がる人たちなのでした。
70年代終盤は、ダグ・サームが固定的なバンドでやっていなかった時期かも知れず、それがこのような名盤を生んだ大きな要因かも知れないな、などと私はひそかに思っています。
彼らの多くは、その後も長く、折につけダグ・サームと活動を共にして、ダグが天に召された後は、この中から、ウエスト・サイド・ホーンズに参加した人も多いです。
私は、ジョー・キング・カラスコが大好きですが、中でもこのアルバムは特別な存在で、もし1作だけを選べといわれれば、この作品こそ最高傑作であるといいたいです。
しみじみとそう感じさせてくれるアルバムです。
サウンドこそ、ラテン風味たっぷりですが、ほぼ英語で歌われているので、とっつきやすく、入門編として最適であるとともに、なおかつ高い音楽性を持ったひとつの完成形だとも思います。
Joe King Carrasco and El Molino
1. Jalapeno Con Big Red
2. Mezcal Road
3. Black Cloud
4. Tell Me
5. I'm A Fool To Care
6. Rock Eate Noche
7. Funky Butt
8. Every Woman(Crazy About An Automobile)
9. Please Mr. Sandman
10. Just A Mile Away
このアルバムは、02年にリリースされたCDですが、私がこれを初めて聴いたソフトは、カセットテープでした。
録音は77年ごろだと思われ、多分翌78年に自主製作盤としてひっそりと出され、その後商業リリースされたようです。
最初のソフト形式がなんだったのか不明ですが、普通はLPでしょう。
Joe King Carrascoのデビュー作になります。
今手元にくだんのカセットテープがなく、いつ頃の発売で、私が入手した時期も霧のかなたですが、推測することは出来ます。
CDの黎明期、LPからCDへのメディアの変更は、ゆるやかに行われました。
事実は違うかも知れませんが、当時の私はそう感じていました。
CDとLPの同時発売が普通になったころ、CDのみのボーナス・トラックというのが、ひとつの流行りでした。
国内でCDがほぼLPを駆逐し、ヴィニール盤のプレス工場が姿を消したころになっても、海外の発展途上国では、まだヴィニール盤の需要がありました。
国内の針メーカーは、海外向けに商品を作り続けていたのです。
そして、カセットテープの需要もまた、国内では想像もつかないほど有ったのだと思います。
これは、再生機の普及率に関わることでしょう。
途上国では、CDプレイヤーはもちろんのこと、レコード・プレイヤーでさえ希少で、ラジカセこそ、庶民にとって身近な音楽再生機だったと思われます。
私がこのアルバムのカセットテープを入手したのは、そういった時期だったのではないかと思います。
さて、このジョー・カラスコのデビュー作は、その後のスティッフ時代などの音源のみ聴いて来られた方には、驚きの音源だと思います。
一般的には、ジョー・キング・カラスコ & クラウンズ名義のものが有名だと思います。
ニューウェイヴが流行っていたころに現れた、まさにパンクの洗礼を受けたテックス・メックスともいうべきものでした。
それも聴いたことがないという方は、ニック・ロウのハーフ・ア・ボーイ・アンド・ハーフ・マンを思い出して下さい。
あんなサウンドです。
初めてニックのあの曲を聴いたとき、多くの人が「ああ、ジョー・キング・カラスコだ」と感じたと思います。
私は、そのころのサウンドも大好きで、パーティ・ウイークエンドとか、ブエナとか、レッツ・ゲット・ブリティとかは、大のお気に入りでした。
クラウンズのスモール・コンボ・スタイルも良いですが、こちらのオルケスタ(?)スタイルの演奏も素晴らしいです。
エル・モリーノと名付けられたこのバンドの音は、最高のメンツによる、もう最高というしかないサウンドです。
編成の肝は、ホーン陣で、テナー・サックスのロッキー・モラレス、ルイ・バストス、トランペットのチャーリー・マクバーニーのアンサンブルがとにくかく素晴らしいです。
ホーン・アレンジは、チャーリー・マクバーニーが担当しています。
チャーリーとロッキーは、とりわけこのバンドの要だと思います。
一方、リズム隊は、ベースのスピーディ・スパークス、ドラムスのアーニー・デュラワ、リチャード・エリソンド、キーボードのオーギー・メイヤース、アルツロ・ゴンザレス、マリンバのアル・カストロ、そして、ジョー自身によるリズム・ギターからなっており、さらにアイク・リッターという人がリード・ギターを弾いています。
その他、一部の曲では、さらにゲスト演奏者が入っていて、ゴージャス感たっぷりの編成です。
多くの曲は、英語で歌われていますが、スペイン語を含む曲もあり、まず1曲目の Jalapeno Con Big Redからして、スペイン語で始まり、途中から英語になるという、黄金のバイリンガル・スタイルで歌われる、陽気なサンバです。
続くMezcal Roadは、アコーディオンこそありませんが、コンフントによくある軽快なツービート・ナンバーです。
全編とおして大活躍するホーン陣ですが、この曲やBlack Croudでは、特にトランペットが素晴らしく聴きものです。
アイアイ、オイオイといった掛け声も楽しいです。、
Tell Meは、ニューオリンズR&Bスタイルの曲で、三連ミディアムのリズムに、ロッキーのソロが最高です。
そして、Rock Eate Nocheでは、マリンバのロールが美しく印象に残ります。
また、Funky Buttは、ホーン・リフがメインのシャッフル・インストですが、リード・ギターが、パット・ヘアか、クラレンス・ホリマンかと言いたいような、スリリングなフレーズを連発して、思わず「おおっ」と声が出そうになります。
Every Woman(Crazy About An Automobile)や、Just A Mile Awayでも、やはりリード・ギターが大活躍して、サザン・ロック風味のスライドを聴かせてくれます。
Just A Mile Awayでは、ファーフィサ・オルガンが、脳内アドレナリンを活性化するような、反復ビートを奏でて、サー・ダグラス・クインテットを連想させます。
そうです。
メンツの名前を見て気付かれた方も多いと思いますが、エル・モリーノ・バンドは、ほとんどがダグ・サームの人脈に繋がる人たちなのでした。
70年代終盤は、ダグ・サームが固定的なバンドでやっていなかった時期かも知れず、それがこのような名盤を生んだ大きな要因かも知れないな、などと私はひそかに思っています。
彼らの多くは、その後も長く、折につけダグ・サームと活動を共にして、ダグが天に召された後は、この中から、ウエスト・サイド・ホーンズに参加した人も多いです。
私は、ジョー・キング・カラスコが大好きですが、中でもこのアルバムは特別な存在で、もし1作だけを選べといわれれば、この作品こそ最高傑作であるといいたいです。
これは素晴らしい!?
レアなスモール・コンボ編成のエル・モリーノ・バンドによるTell Meです。
レアなスモール・コンボ編成のエル・モリーノ・バンドによるTell Meです。
【チカーノ、テハーノの最新記事】
この記事へのコメント